来歴
日本大学芸術学部映画学科技術コース卒業。在学中に円谷英二に弟子入りし、東邦特殊技術課を経て円谷プロダクションに入社。
『ウルトラQ』で撮影助手、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』で撮影を務めた後、『マイティジャック』で特技監督デビューを果たす。
1977年に円谷プロを退社。1979年、東映のバトルフィーバーJに参加後、1980年に特撮研究所、1982年にデン・フィルム・エフェクトに属していたが85年にふたたびフリーになる。
1993年『電光超人グリッドマン』で円谷プロに復帰。ウルトラマンティガからウルトラマンコスモスまで特撮監督を担当していたが、コスモス最終回以後は演出作品はなく、雑誌などのインタビューに答える程度に収まっている。
作風・エピソード
ド派手でアクロバティックな殺陣、ケレン味溢れるメカニック描写が持ち味で「飛びの佐川」「メカの佐川」の異名を持ち、また「さがっちょ」の愛称で小学館の学習雑誌の記事に登場した事もある。
円谷英二直伝の巨大感を表現するための遠近法や、撮影・合成技術の特殊な応用にも精通している。有名なウルトラマンガイアの土煙を上げる着地を考えたのもこの人である。(厳密には前作『ダイナ』でテストケースとして考えていたものを使ったところ好評だったため取り入れたらしい)
カメラマン出身であることからカメラやフィルムに精通しており、『マイティジャック』でのハイスピードカメラによる撮影や『スターウルフ』でのネガフィルムの反転を応用した半ダブラシ合成などでそのノウハウが活かされている。
半面職人気質を地で行く性格であり、他の演出家なら妥協するような場合でも良しとせず突き詰める性格であった。そのこだわりの強さゆえに初期話数だけで1クール分の予算を使い果たすなど予算を大きくオーバーしてしまったり、テレビ局への納品がギリギリになってしまう事もあったとの事。現場のスタッフやスーツアクターも佐川の厳しさに意地になってやっている時もあったという。『ガイア』のオープニングも含めた制作には、1話と2話だけで40日以上の日数と従来の4倍もの予算が掛かってしまったとか。ある意味では平成初期の円谷プロの放漫経営、どんぶり勘定を象徴する人物の一人ともいえる。
主な監督作品
TV作品
- 『マイティジャック』(1968年)-特殊技術
- 『戦え!マイティジャック』(1968年)-特殊技術
- 戦2話「ミニミニ島を爆破せよ!」
- 第3話「悪魔の海に飛んで行け!!」
- 第7話「来るなら来てみろ!」
- 第12話「マイティ号を取り返せ!!(前編)」
- 第13話「マイティ号を取り返せ!!(後篇)」
- 第16話「来訪者を守りぬけ」
- 第17話「逃げたぞそれいけつかまえろ!!」
- 第18話「水爆恐竜をやっつけろ!!」
- 第21話「亡霊の仮面をはぎ取れ」
- 第22話「東京タワーに白旗あげろ」
- 第25話「希望の空に飛んで行け!(前編)」
- 第26話「希望の空に飛んで行け!(後編)」
- 『怪奇大作戦』(1969年)-特殊技術
- 『帰ってきたウルトラマン』(1971〜1972年)-特殊技術
- 第13話「津波怪獣の恐怖東京大ピンチ!」
- 第14話「二大怪獣の恐怖東京大龍巻」
- 第18話「ウルトラセブン参上!」
- 第19話「宇宙から来た透明大怪獣」
- 第22話「この怪獣は俺が殺る」
- 第23話「暗黒怪獣星を吐け!」
- 第28話「ウルトラ特攻大作戦」
- 第29話「次郎くん怪獣に乗る」
- 第34話「許されざるいのち」
- 第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」
- 第36話「夜を蹴ちらせ」
- 第41話「バルタン星人Jr.の復讐」
- 第42話「富士に立つ怪獣」
- 第45話「郷秀樹を暗殺せよ!」
- 第46話「この一撃に怒りをこめて」
- 『ウルトラマンA』(1972〜1973年)-特殊技術
- 第1話「輝け!ウルトラ五兄弟」
- 第2話「大超獣を超えてゆけ!」
- 第3話「燃えろ!超獣地獄」
- 第4話「3億年超獣出現!」
- 第7話「怪獣対超獣対宇宙人」
- 第8話「太陽の命エースの命」
- 第11話「超獣は10人の女?」
- 第12話「サボテン地獄の赤い花」
- 第13話「死刑!ウルトラ5兄弟」
- 第14話「銀河に散った5つの星」
- 第19話「河童屋敷の謎」
- 第20話「青春の星ふたりの星」
- 第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」
- 第29話「ウルトラ6番目の弟」
- 第32話「ウルトラの星に祈りを込めて」
- 第33話「あの気球船を撃て!」
- 第44話「節分怪談光る豆」
- 第45話「大ピンチ!エースを救え!」
- 『ミラーマン』(1972年)-特殊技術
- 第32話「今救え!死の海-シーキラザウルス登場-」
- 第33話「インベーダーの海底基地」
- 『恐怖劇場アンバランス』(1973年)※製作は1969年 -特殊技術(全話担当)
- 『ファイヤーマン』(1973年) - 特殊技術
- 第1話「ファイヤーマン誕生-恐竜ドリゴン・ドリゴラス登場-」
- 第2話「武器は科学だS・A・F-恐竜ドリゴン・ドリゴラス登場-」
- 第3話「謎の宇宙船-剣竜ステゴラス登場-」
- 第4話「インベーダーを撃滅せよ-剣竜ステゴラス登場-」
- 第5話「ジュラ紀に落ちた少年-原始恐竜ジュラザウルス登場-」
- 第6話「遊星ゴメロスの秘密-宇宙恐竜スペーザー登場-」
- 第8話「恐怖のミクロ怪獣-怪獣クマゴラス登場-」
- 第9話「深海からの挑戦-殺し屋怪獣ネロ・ギラス登場-」
- 第17話「マグマに消えたファイヤーマン-強獣キングザウラ登場-」
- 第18話「やったぞ!ファイヤーダッシュ-強獣キングザウラ登場-」
- 第19話「宇宙怪獣対原始怪獣-ムクムク対マクノザウルス-」
- 第22話「来たぞ!変身宇宙人-デストロザウス登場-」
- 第23話「宇宙指令ファイヤーマンを殺せ!-グリーンギラー登場-」
- 第24話「夜になくハーモニカ-ハモニカ怪獣登場-」
- 第27話「死人を操る宇宙の支配者-暗黒怪獣ブラッカー登場-」
- 第28話「アルゴン星から来た少年-デビルザウルス登場-」
- 第29話「撃つな!怪獣だって友達だ-宇宙怪獣スペーグス登場-」
- 第30話「宇宙に消えたファイヤーマン-宇宙怪獣ダークマンダー登場-」
- 『ウルトラマンT』(1973年)-特殊技術
- 第1話「ウルトラの母は太陽のように」
- 第24話「これがウルトラの国だ!」
- 第25話「燃えろ!ウルトラ6兄弟」
- 『ジャンボーグA』(1974年)-特殊技術
- 第50話「トウキョウ最後の日」-吉村善之と共同
- 『SFドラマ 猿の軍団』(1974〜1975年) -特殊技術(全話担当)
- 『スターウルフ』(1978年)-特撮監督(全話担当)
- 『西遊記』(1978年) - 特撮監督
- 第10話「悲しき王妃 二人の玄奬」
- 第11話「夜と昼の妖怪夫婦」
- 第12話「御三家妖怪追放作戦」
- 『バトルフィーバーJ』(1979年)-矢島信男と共同で第2話以降の特撮バンクカットを担当
- 『科学冒険隊タンサー5』(1979年)-特撮バンクカットを担当
- 『西遊記Ⅱ』(1979年)-特撮監督
- 第3話「賭博妖怪ミイラ取りがミイラ」
- 第4話「落ちこぼれの恐怖分数妖怪」
- 第7話「夢の妖怪幽鬼将軍」
- 第8話「女だらけの化け猫騒動」
- 第10話「河童の国の悟浄の恋」
- 第25話「虎竜魔王悟空の慕情」
- 第26話「母上は妖怪か?再び天竺へ」
- 『電子戦隊デンジマン』(1980年)-矢島信男と共同で特撮バンクカットを担当
- 『ウルトラマン80』(1980〜1981年)-特技監督
- 第17話「魔の怪獣島へ飛べ!!(前編)」
- 第18話「魔の怪獣島へ飛べ!!(後編)」
- 第21話「永遠に輝け!!宇宙Gメン85」
- 第22話「惑星が並ぶ日なにかが起こる」
- 第25話「美しきチャレンジャー」
- 第26話「タイムトンネルの影武者たち」
- 第29話「怪獣帝王の怒り」
- 第30話「砂漠に消えた友人」
- 第33話「少年が作ってしまった怪獣」
- 第34話「ヘンテコリンな魚を釣ったぞ!」
- 第37話「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」
- 第38話「大空にひびけウルトラの父の声」
- 第41話「君はゼロ戦怪鳥を見たくはないかい?」
- 第42話「さすが!観音さまは強かった!」
- 第46話「恐れていたレッドキングの復活宣言」
- 第47話「魔のグローブ落とし物にご用心!!」
- 第50話「あっ!キリンも象も氷になった!!」
- 『電光超人グリッドマン』(1993〜1994年)-特撮監督(全話担当)
- 『超光戦士シャンゼリオン』(1996年)-特撮バンクカットを担当
- 『ウルトラマンティガ』(1997年)-特技監督
- 『ウルトラマンダイナ』(1997〜1998年)-特技監督
- 『ウルトラマンガイア』(1998〜1999年)-特技監督
- 『ウルトラマンコスモス』(2001〜2002年)-特技監督
劇場作品
- 『ウルトラマン・ウルトラセブン モーレツ大怪獣戦』(1969年)-監督
- 『ジャンボーグA&ジャイアント』(1974年・タイ)-特殊技術 (日本未公開)
- 『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(1974年・タイ)-特殊技術(日本公開は79年)
- 『極底探検船ポーラボーラ』(1977年・アメリカ)-特殊効果
- 『8人ライダー対銀河王』-矢島信男と共同で特撮演出
- 『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)-特技監督