概要
ウルトラシリーズにおいて時たまに民間人を視点に描くエピソードのひとつである『ウルトラマンブレーザー』第22話『ソンポヒーロー』。
この回では、「怪獣損害保険」に携わる主人公が「誰かの心に直接向き合う大切さ」を伝えたエピソードとして、印象に残ったファンもいたのではないだろうか。
尚、本編ではレッドキング二代目と冷凍怪獣ギガスが登場し、日本アルプスで戦うなど、『初代マン』第25話『怪彗星ツイフォン』のオマージュともいえるシーンがあったが、そんな視聴者達の中でとあるネタが飛び交う様になった。
その理由は、上記の2体と因縁のある怪獣・ドラコだけが登場しなかった事である。
なぜドラコだけが登場しなかったのか…? ここではその理由を考察する。
ドラコが出てこなかった理由の一覧
①単に尺の都合で割り切った説
今回のエピソードはあくまで怪獣プロレスがテーマではなく、前述の通り怪獣損害保険に携わる主人公にスポットが当てられた内容である為、ドラコまで出してしまうと本編に支障をきたしてしまう可能性を危惧したものと思われる。
そもそも『ブレーザー』では宇宙怪獣の存在はかなり重要なポジションである以上、容易に宇宙怪獣を出せなかったのも理由の一つかもしれない(少なくとも、本作における宇宙怪獣の共通点にしてラスボス同然でもあるV99とは無関係だと思われる)。
②着ぐるみの劣化で出せなかった説
今回登場した二代目レッドキングとギガスの着ぐるみはつい近年作成されたばかりなのに対し、ドラコの着ぐるみは2008年に放送された『大怪獣バトルNEO』から使用されており、その期間は実に15年に及ぶ。無論、それくらいの月日が経てば着ぐるみが劣化するのも同然であるうえ(実際、『ウルトラマンマックス』から使用され続けていた初代レッドキングに至っても劣化の影響で前作『ウルトラマンデッカー』においてスフィアレッドキングに改造された他、2000年代後半から活躍してきたグドンやテレスドンの着ぐるみに至っても、着ぐるみの劣化により前作の登場を最後に廃棄処分されている)、「今回登場できなかったのもそれが理由なのでは?」と解釈するファンも少なくない。
ただし、ドラコと同時期に着ぐるみが新造された古代怪獣ゴメスやベムスターなど、十数年経過しても未だに現役を保っている怪獣の着ぐるみも少なくなく、ドラコに至っても2015年放送の『ウルトラマンX』第19話以来、シリーズに登場する機会がほとんどなかった為、「実はそれほど劣化してはいないんじゃないか?」という声もある。
③お約束を達成させる為?
ドラコはウルトラ怪獣の中でも、特に出番に恵まれている方ではあるが、一方で「ウルトラマンとの直接対決が恵まれない怪獣」として有名である。
今回登場させなかったのも、「ブレーザーと戦わせない」というこれまでのお約束を達成させる為の脚本家の意図である可能性も高い。
一方でドラコには「対戦怪獣に翼をむしり取られる」というもうひとつのお約束があるが、これについては登場が見送られた事でその様な扱いを受けずに済んだともいえる。
④ギガスの活躍を優先させた説
これまでドラコの不遇な扱いばかり紹介してきたが、実はギガスに至っても色々残念な怪獣でもある。
ギガスはレッドキングやドラコに比べて出番が遥かに少なく、正規のウルトラシリーズだけでも『初代マン』と『Z』ぐらいしか登場できておらず、どちらもウルトラマンとの直接対決が実現できなかった。しかし今回、ギガスはついにブレーザーとの直接対決が実現できており、初登場から実に56年ぶりに悲願が達成されたともいえる。そもそもレッドキングは初代マンでもギガスの味方ポジションであった事から、「寧ろこの2体に絞った事で、丁度いい対戦カードが実現できた」のだろう。最も、今回のギガスも「アースガロンを羽交締めにしたら間違ってレッドキングにぶん殴られる」「ブレーザーに突進したら闘牛の如く避けられた上勢い余ってレッドキングにぶつかる」など、結構なヘタレぶりが披露されたが。
余談
以上の様に、登場が実現できなかったドラコではあったが、劇中において謎の黒い怪獣が怪獣損害保険のCMに登場しており、ドラコの鳴き声が流用されたので、間接的に出演は果たしている。
尚、本編のレッドキングが本作初登場にも関わらず「二代目」と称されているが、これについては前述の通り初代の着ぐるみが使えなかった事が理由と思われる(劇中では、過去にレッドキングが「多々利(たたり)島」に出現していたという設定があり、これは『初代マン』で初代レッドキングが初登場した多々良島のオマージュである。また、その時出現した際のデータの画像は、『初代マン』の時の画像が使用されている)。
関連タグ
ドラコ:当エピソードに出られなかった哀れな怪獣。
レッドキング二代目、ギガス:当エピソードに出てきた怪獣達。いずれもドラコと因縁のある怪獣である。
ガンキリュウ:ドラコの代役として登場した怪獣。
夢咲き鳥:次作『ウルトラマンアーク』第21話のサブタイトル。こちらでも「過去作のオマージュがあったのに出てこなかったキャラクター」がいたために、一部のファンから疑問と不満の声が上がっている。
テメーはダメだ:本ネタの元。