概要
アスカガとは、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのキャラクター、アスラン・ザラとカガリ・ユラ・アスハのノーマルカップリングで、本作では数少ないコーディネイターとナチュラルのカップリングの一つである。
機動戦士ガンダムSEED
二人だけの戦争
2人は任務の途中、戦闘の末お互いに飛騨し無人島に不時着したことで運命の出会いを果たす。
島でアスランと遭遇したカガリだったが、挑んで返り討ちにあい、悲鳴をあげてしまう。その声と抑え付けた胸元の感触から少女で、どうにも真っ当な敵兵では無さげな事に困惑し、つい刃を引いてしまう。アスランは命を奪うことはしなかったものの、カガリの身を拘束し、自由を奪うのだった。
アスランが救難信号を出している間にめげずに動き回っていたカガリは、うっかり転がり浅瀬で溺れかける。
結局、アスランに助け起こされるが、二人の間に漂う緊張感を引き裂くように、カガリの髪からカニがひょっこりと姿を現す。アスランは吹き出し、笑ってしまう。突然現れたカニによって、二人の間に漂っていた緊張感は、いつしか消えていた。
シールドの傘から跳ねていき気持ち良さそうにスコールのシャワーを浴びるカガリは、着飾らないありのままの姿だった。このあまりにも自然体の姿にアスランはしばし目を奪われていた。終いには手足の拘束すら止めてしまう程度に、カガリに気安くなってしまっていた。
「服の中にもカニがいるようだぞ?」
冗談のつもりだったのに、カガリは真に受け、思いきり捲り上げた服の中からポロッとカニが落ちてくる。
突然目にしてしまったカガリの濡れた肌に、露わになりかけた胸の膨らみに真っ赤になり、今度はアスランが転がり落ちたのだった。
今夜は電波状態が悪く、味方と連絡が取れないまま二人は、一緒に救助を待つことになった。
当初はザフト兵と地球連合軍艦船の客分という敵同士の間柄だったが、遭難し救助を待つ間にお互いの身の上をぎこちなく語り合う二人。
言葉を交わしたことで、相手の戦う理由、事情を知った。しかし、相容れることはない。それぞれに立場があり、二人が話して解決する問題ではないからだ。単なる敵同士という関係とは異なる雰囲気で落ち着かない時を過ごすことになった。
そんな中、緊張の緩みか疲労からか、アスランに睡魔が襲いかかる。最初は寝まいとしていたが、結局、睡魔に負けて眠ってしまう。
呆れてしまうカガリだったが、あのモビルスーツがカガリを現実に引き戻すのだった。カガリはアスランの腰にある銃に気を取られる。
そして、眠っているアスランに近づき、ためらいつつも腰にある銃に手を伸ばす。それを手にしたら…「殺すしかなくなる」。それでも…。
その瞬間にアスランは目を覚まし、咄嗟に銃を奪い、構える。
銃とナイフで対峙する構図。しかし表情は硬く苦しげだった。
「 ごめん!お前を撃つ気はない。でも、アレはまた地球を攻撃するんだろ!?造ったオーブが悪いってことはわかってる!でもアレは、あのモビルスーツは地球の人たちを沢山殺すんだろ!?」
「 なら撃てよ。その引き金を引いているのは俺だ。俺はザフトのパイロットだ。機体に手を掛けさせるわけにはいかない。どうしてもやると言うのなら、俺はお前を殺す!」
お互いに守りたいと願い、そのために戦う。なら、自分と「敵」との間に、どれほどの違いがあるのだろうか?
相手は悪い奴じゃない。言葉を交わした。顔を見た。相手の境遇を知った。
しかし今は戦争中だ。敵か味方か。それ以外はあり得ない。
「敵」を撃つ。その重みを身に迫って痛感した。
"敵同士なら、どちらかが滅びなくてはいけないのか、、、"
カガリは撃てなかった。
撃つに撃てず、頭の中わけ分からなくなったカガリは銃を投げ捨てる。
その瞬間、アスランは思わず飛びかかっていた。投げ捨てた銃の暴発からカガリを庇うために。
結果としてアスランは脇腹を負傷してしまう。申し訳なさから手当てを申し出るが、断られてしまう。
食糧を分けて、服を乾かして、毛布を貸してくれた。さらに、銃の暴発から庇ってくれた。そんなアスランに対するカガリなりの精一杯の誠意で、恩を返すことに必死だった。下着姿であることも忘れて。
結局、申し出を受け入れたアスランに対し、せめてもの償いに手当をするのだった。
やがて明け方、ついに無線は回復、二人はそれぞれの陣営に戻る時が来る。
別れ際、初めて二人はお互いの名を名乗るのだった。
互いの所属部隊と合流後、本来の身分を明かしたカガリがオーブに戻り、アスランはアークエンジェルを追跡する任務を継続するため、これ以降出会うことはないと思われた。
再開と慟哭
混迷化する戦場でキラが駆るストライクとアスランのイージスが決闘の末に相打ちとなり、その際のイージス自爆調査隊にカガリも同行。大破したストライクと、その近くで気絶していたアスランを回収する形で再会してしまう。
意識が戻ると、目の前には銃をこちらに向けて立っているカガリがいた。単刀直入にアスランに訊ねる。
「ストライクをやったのは、お前だな?キラはどうした?脱出したのか!?それとも…。」
カガリの絶叫に対して、口元を歪めて呟いたのは、キラを殺したという告白…。
カガリは憤り、アスランの胸ぐらを掴み押し倒し、喉元まで銃口を突きつける。悲しみに我を失い、アスランにむしゃぶりつく。
しかし、アスランからこぼれ落ちる物を感じ、今になってアスランを撃っても、キラは戻らない。何をしても帰らない。どうすることもできない感情をカガリは拳を壁に打ちつけるしかなかった。
どこか脱力しているアスランに再び銃口を向け、カガリはわめく。
「キラは、危なっかしくて、ワケわかんなくて、すぐ泣いて、でも優しい、良い奴だったんだぞ!」
そこでキラと親友であったことを知らされる。
「小さい頃から、ずっと友達だったんだ・・・仲良かった」
「それで、何で!それで何でお前がアイツを殺すんだよっ!!」
そして、立場の違いから戦いに至ってしまった経緯を聞いた。仲間を殺され、しかたなかった。アスランもまた、自責の念に捕らわれ、カガリに叫ぶしかなかった。
"敵"なんだ!今のアイツはもう。なら、倒すしかないじゃないか、と…。
お互い守りたいもののために戦ってた。なのになぜ友達に殺されなけばいけないのか。
殺されたから殺して… 殺したから殺されて… それで最後は本当に平和になるのかよ!
と泣きながら問う。このカガリの言葉は、深くアスランに刻まれた。
戦いは心を荒ませ、短絡的な解決を求めておいて、後から誰をも苦しめていくだけ。
悲しみ、涙を流すカガリもまた決める。アスランを憎まない、命を求めないことを。憎しみの連鎖を自分が断ち切ることを。
やがてザフトからアスランの身柄引き渡しのため迎えが到着する。アスランの反応は鈍く、動こうとしないのをカガリに腕を引っ張られ、アスランはされるがままに立たされる。
「やっぱり、変な奴だな、お前は」
力なく呆然としているアスランを心配したカガリは大切にしていたハウメアの護り石を渡した。もう誰も死んで欲しくない、という祈りを込めて…。このハウメアはアスランの中でも支えになっており、以降大切な御守りとして身に着けている。
その後、アスランは父から命じられていたフリーダム奪取に関する任務を独断で破棄して、オーブと地球連合軍の戦闘に個人の意思で介入、オーブ軍に協力し、生還したキラも含め肩を寄せ合い共闘する仲になり、アスランの三隻同盟への加入を経て、急速にカガリとの関係が深まっていった。
父との確執を気にかけるカガリを「ごめん」と言いながら抱きしめた。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦出撃直前には、ストライクルージュで出撃することを告げ「死なせないから、お前」と言ったカガリに対して「カガリに会えてよかった。君は俺が守る」という決意の言葉と共に、アスランの方から口づけを交わした。
戦闘の終盤、地球へのジェネシス発射阻止のためアスランはカガリの制止を振り切ってまで自己犠牲により全てを清算しようとしたものの、追いかけてきたカガリの「逃げるな!生きるほうが…戦いだ!」という言葉で我に返り、ジャスティスのみを爆破しカガリと共に生還した。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
相思相愛の2人ではあったが、カガリは亡き父の跡を継ぎオーブの代表という重責を負い、婚約者であるユウナ・ロマ・セイランの登場によって関係性が変化。一方のアスランは事実上プラントから放逐された上、先の戦いにおける戦犯の息子という立場から表立って動くことができず、名を偽って護衛としてカガリを守ることが精一杯だった。
カガリもアスランにしか縋れず、アスランもカガリのみが支えだった。アスランは何もできない歯痒さからプラントに戻って力になれるように決意し、カガリに対して焦りや独占欲から指輪を渡して、お互いの気持ちを強固なものにしようとした。
しかし、その矢先にブレイク・ザ・ワールドが発生し、アスランはデュランダルに請われザフトに復隊することになる。
それこそが二人を引き裂く「最悪の決断」であった。
カガリはオーブ議会のゴリ押しに負けオーブは中立国としての立場を失い、セイラン家の根回しとユウナ・ロマ・セイランの巧みな誘導によりカガリは「実権も政治家としての資質も無いお飾りの姫」扱いされオーブ政権内で孤立していった。カガリはユウナの口車に乗せられどんどん自信を失い、国を1つにまとめるためユウナと政略結婚するしかないとまで思い詰め、アスランへの想いを断ち切ってしまう。
ちなみにユウナはカガリの婚約者ではあるが、その実態はカガリに対する人格否定を繰り返し髪型や喋り方まで矯正しようとするモラハラ男。
カガリを徹底的に孤立させ、自由な行動を許さず、誰にも会わせず、正常な判断を奪うユウナの策略の中、カガリの侍女であるマーナはカガリの手紙とアスランからの指輪をキラ達に届ける。キラ達はカガリの置かれた異常な状況を察し、きょうだいであるキラさえ呼ばれていない異常な結婚式を潰しフリーダムガンダムで連れ去った事で結婚は御破産となった。
思いを改めて再び指輪をはめるカガリ。
ギルバート・デュランダルの野望を解明するため、
また「国を追われた姫」となったカガリを護る騎士の役目としてアークエンジェルは地球軍の操り人形となったオーブを止めるべく戦いに介入することになる。
アスランはオーブでの立場のなさと無力感、そして父の残した憎しみの残滓に苦しみ、「自分やカガリの為に、オーブの為に」とザフトに複隊したが、皮肉にもカガリの守りたいオーブを討つ側に回ってしまう。
アスランはキラ達の真意を問うが、現在のプラントに疑念を抱くキラはカガリを一人にした上に無断でザフトに復隊し、命令に従うままオーブを討とうとするアスランに激怒する事になり、明確にそれを指摘した上で彼の乗機であったセイバーを破壊する。
ここに至って、自分がカガリ達に対して大きな不義理を働いてしまっていた事を自覚したアスランは苦悩するが、エンジェルダウン作戦を機にデュランダルの本性と、自分が騙されていた事を悟ってザフトから2度目の離反を行い、大怪我を負いながらもアークエンジェルに拾われる。再会したカガリに「俺は、焦ったのかな。嫌だったんだ。何もできない自分が。カガリは国という重い責任を負って毎日死にものぐるいなのに」と吐露しており、焦って大きな失策を犯した事を自覚した2人は互いに謝罪して、ようやく手を取り合う。
また、カガリはオーブ軍人達の決死の覚悟を目の当たりにしたことで、祖国を守るという決意を新たにした。
そして、ザフトのオーブ侵攻によってオーブにまた危機が訪れた際にはウズミの遺したアカツキに乗って祖国の危機を救った。セイラン家は滅亡し、代表としての実権を取り戻したカガリはデュランダルと明確に対決姿勢を示した。その決意を証明するためかカガリは再び指輪を外し、アスランのことを好きなメイリンに彼を託した。自身の気持ちや幸せよりも「オーブの国家元首」としての研鑽を積む決意をする。
二人を心配したキラとラクスにアスランは「いいんだ、今はこれで。焦らなくて良い。夢は同じだ」と答えた。アークエンジェルが宇宙に上がる前に、一人一人と抱擁し、自分の前に立ったカガリをアスランは自ら強く抱きしめにいった。
落ち着いた大人の関係に変化したがメイリン・ホークの存在もあり、二人の関係は果たしてどうなってしまったのか…。
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
カガリは前大戦同様に政治、アスランはターミナルでコンパスの裏方とそれぞれの戦いを続けており、一緒に過ごせる時間は前よりも少なくなっている。
だが、2人の心は確かに繋がっており、作品終盤にはそれが読み取れるシーンが散りばめられている。
読心ができるアコードのシュラへの対策として、アスランは「キャバリアーアイフリッドの通信機能を用いたリモート操縦」と「敵が確実に動揺するイメージを心に思い浮かべる」という2つの策を慣行。前者を任せたのは地球に残っていたカガリであり、そのためか彼が思い浮かべたものは「裸のカガリ」という、いかにも彼らしいイメージだった。
この策は実際に相対していたシュラ・サーペンタインには効果抜群だったものの、彼が発した「破廉恥な妄想」という発言もカガリに通信越しに聞かれてしまい、凡その内容を察した彼女は頬を染めて怒った様な呆れた様な反応を見せている。
動揺をあたえながらもインフィニットジャスティスの片腕を切り落とされ「やはり俺の方が上だ!」と煽られると
「強さは力じゃない! 生きる意志だ!」
と言い放つと共にSEEDを発動。カガリの「生きるほうが戦いだ!」の言葉がアスランの核になっていることがよく分かる。
全てが終わった後は、アスランは地球へと降下した後オーブ近海にて合流し、通信で互いが贈りあった守り石と指輪を見せ合い、笑い合った。
また、カガリを姉の様に慕い、オーブ代表の後継者として教育を受けるトーヤ・マシマの存在もあって、二人に幸せな未来が待っている可能性が示唆されている。
さらに本作の入場者特典第1弾として配布された短編小説「二人の逃避行」では、2人の束の間の休息が描かれている。
余談
人気CP
タグ使用数を見てわかる通り、作品きっての人気カップリングになっている。
2021年にガンダムファンクラブで実施されたガンダムシリーズのベストカップルランキング投票でも1位を獲得しているなど、その人気の高さが証明されている。
余談だが二人共、SEEDシリーズの主人公であるキラ・ヤマトとは密接な関係にあり、アスランは幼馴染で親友。カガリは双子で実のきょうだい(※どちらが上で下かは不明ではあるが、カガリは「自分は姉だ」と言っている)である。(ついでに、ゴールインすると、キラとアスランは義兄弟となる)
映画公開後の舞台挨拶では、監督が「トーヤが一人前になった頃(=カガリが代表の責務から解放される頃)に、また二人のドラマが始まるのではないか」とアスカガの今後についてほのめかし、アスラン役の石田彰氏もファンへ「おめでとうございます」と祝いの言葉を投げた。
また、公式グッズでもツーショットの絵が多数描かれているが、『FREEDOM』とバンダイナムコアミューズメントのコラボレーションによる「47都道府県ご当地ステッカー」では、東京・お台場の実物大ユニコーンガンダム立像の前にてカメラ目線でピースサインをするキラ・ラクス・カガリと、ピースサインをしつつも視線はカガリの方に向いていたアスランという絵が公開され、ネットニュースで「アスラン・ザラ、お台場で彼女をガン見」とネタにされていた。