概要
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』におけるアスラン・ザラとメイリン・ホークによるコンビ。
主にメイリン視点。メイリン→→→アスラン。
出会い
第1次連合・プラント大戦後、オーブ連合首長国へと身を寄せていたアスランが、代表首長であるカガリ・ユラ・アスハの護衛として訪れたプラントでファントムペインによるセカンドステージシリーズ強奪とそれらによるテロ攻撃などの一連の事件に巻き込まれた際、避難先としてメイリンがオペレーターを務めるザフトの宇宙戦艦ミネルバ訪れたことが初対面となる。
ボギーワン追撃戦・地球への降下
プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルがカガリとアスランをミネルバの艦橋に招き、アレックス・ディノと偽名を名乗っていたアスランの本名に言及したことで、メイリンはアスランの正体を知ることになる。尚、この時点では正体にこそ驚いてはいたものの、姉のルナマリア・ホークと異なり積極的に話し掛けるようなことはせず、アスランの話題をしている最中に当の本人と出くわした際は気まずさから思わずレイ・ザ・バレルの背中に隠れるなどしていた。
アスランがユニウスセブンの地球落下を阻止すべくザクウォーリアに搭乗した際は、オペレーターとして彼を誘導しており、状況変化に対する確認などに応答している。
ミネルバの地球降下後、姉やシン・アスカ達に混じってデッキで射撃訓練をしていた際は、ルナマリアに請われて手本を見せたアスランの、その正確無比な射撃センスに呆然とした表情を向けていた。ミネルバがオーブに到着して以降はアスランもカガリと共に艦を下りたため、アスランとメイリンの接点はこの時点で一旦途絶えている。
アスランのザフト復隊。トップエリートとしての再会
ミネルバがオーブ滞在中にプラントへと向かったアスランは、デュランダル議長の思想や言葉に心を動かされ、特務隊FAITHとしてザフトに復隊することとなる。一先ずはミネルバとの合流を打診され、セイバーを受領の上ザフト軍カーペンタリア基地でミネルバに乗艦する。
その場に居合わせたメイリンは、艦橋オペレーターという立場から、艦長タリア・グラディスとの面会を希望するアスランを案内しようとするもルナマリアに先を越され、不満げな顔を見せた。そして、アスランが「トップエリート」として戻ってきたことを強く意識し始めた頃、アスランに積極的なアプローチを仕掛けていたのは姉のルナマリアであり、パイロットとして持ち場を同じくする彼女と違い、メイリンはそれほど交流を持つこともなかった。シンを引き合いに出し「ザラ隊長の方が全然大人で格好良い」と本人のいない場所で口にする程度だった。
当初、ルナマリアがアスランとの距離を縮め続けることに不満を感じていたメイリンは、ミーア・キャンベルのライブの混乱にかこつけてやや強引に胸を押し付けるなどあざといアプローチを彼に仕掛けてルナマリアからは目くじらを立てられていた。
地球連合第81独立機動軍とオーブ派遣軍で構成された合同艦隊との戦闘、アークエンジェル及びフリーダムの介入を経て、アスランは搭乗機であったセイバーを大破させられた。逆にエースとして頭角をあらわしはじめたシンとの間に不和が生じたことをきっかけに、艦内で孤立しはじめる。そんなアスランをメイリンは心配げに見つめるのだった。
フリーダム撃破、ザフトからの脱走
ベルリンでの戦闘が決定打となり、打倒フリーダムに執念を燃やすシンと、それを認めることが出来なかったアスランの関係は急速に悪化し、シンが悲願を達成してフリーダムを撃破してしまったことから遂に決裂してしまう。
デュランダル議長にも見限られてしまった彼は逮捕されそうになるも、保安要員を打ち倒し、彼の身を案じて忠告しにきたミーアを連れて逃亡。しかし、ラクスとしての自分を捨てられなかったミーアはアスランの伸ばした手を取ることが出来ず、彼は一人で逃げることとなる。
そんな最中、基地内の異変に気付き独自に調査をしようとしていたメイリンの私室に、アスランが逃げ込んでくる。彼としては基地の外に出たいだけで、メイリンを巻き込むつもりなどなかったが、運悪く保安部がメイリンの部屋を検分しにきた。
だが、メイリンは咄嗟に服を脱いで下着姿のままシャワーを浴び、タオル一枚身体に巻き付けただけの姿で保安要員に顔を見せることで、「入浴中の女性士官の部屋にまでは踏み込まない」という状況を作り出す。これは保安要員の動揺を誘い、且つ、たまたま通りかかった姉のルナマリアがあられもない姿の妹を慌ててフォローしたことから事なきを得る。緊張の糸が切れたメイリンは室内で蹲ってしまい、アスランは彼女の助けに感謝するも、同時に「何故そこまでしてくれたのか?」という疑問を投げかけるが、その理由はメイリンにも分からないものだった。
それでも助けてくれたからと、感謝の言葉と共に立ち去ろうとするアスランだが、メイリンは思わず彼の足を掴んで引き留め、彼の逃亡を助けるために基地のホストに侵入し、港に偽の警報を出すことにまで成功する。保安部を港に惹きつけている間に車を回し、格納庫へとアスランを送ったメイリンは、モビルスーツを奪って逃げるように提案する。メイリンの立場を気に掛けるアスランに対し、メイリンはこれまで自分が見続けていた、苦悩し続けるアスランの姿を思い出しながら、「殺されるぐらいなら、行った方がいいです」と自分の気持ちを吐露した。
そのとき、メイリンがアスランの手助けをしている可能性を疑ったレイの追撃により、2人は突然の銃撃を受けてしまう。ルナマリアの妹であり、それなりに親しい間柄であるはずのメイリンまでも容赦なく銃撃し続けるレイに対し、アスランは反撃を開始。正確無比な射撃でレイの銃器を弾き飛ばして時間を稼ぐと、傍で蹲るメイリンに手を差し伸べた。
ミーアが取ることの出来なかった手をメイリンは即座に掴み、2人は格納庫にあったグフイグナイテッドを奪取し、ジブラルタル基地から逃亡してしまう。
アークエンジェルとの合流
ジブラルタル基地からメイリンを連れて逃亡したアスランだが、追撃に出たシンとレイに捕捉されてしまう。最新鋭機のデスティニーとレジェンドを前に、量産機であるグフではさしものアスランも圧倒されてしまい、メイリンだけでも保護を訴えるが、既にレイはメイリンごとアスランを討つことを決めており、その非情さにメイリンは絶望してしまう。
元々アスランに対してあった不信と不和、それをレイの言葉で誘導されたシンは、遂にはアスランの説得にも耳を貸すことなく、メイリン共々アスランの乗るグフを撃破してしまった。これにより、2人は海の藻屑となったかに見えたが、連合軍に潜入していたオーブ軍将校、レドニル・キサカが助けたことで一命を取り留め、アークエンジェルへと収用されることになる。
アスランはこのとき身を挺してメイリンを守ったことから重傷を負ってしまう。再会したカガリに殆ど話したこともなかったメイリンが自分を助けてくれたことを伝えると、「好きなんだろう、お前のことが」とカガリから聞かされる。アスラン自身はその気持ちに対する反応がなかったが、巻き込んでしまった責任は痛感している。アークエンジェルがザフトと戦闘を行うことになった際も、所属する軍組織と戦う艦に乗せては置けないと退艦を諭した。
しかし、メイリンは仲間に撃墜されたというショックや、様々な感情からアスランの傍を離れることを拒否。上目遣いでアスランを見つめ「私、大丈夫ですから、大丈夫ですから置いていかないでください」と縋り付いた。
それからはオーブやアークエンジェル内での立ち位置が確立されて居らず、知り合いの一人もいないことから、アスランの隣を定位置に怪我が癒えていない彼の介助など積極的に世話を焼くようになった。キラと共にラクスが降下し、アークエンジェルに合流した際も、彼女と話すためにCICより移動しようとするアスランに直ぐ肩を貸すなど、どんなときでもアスランの傍らにつくメイリンはその存在感を増していった。44話「2人のラクス」のラストシーンで、デュランダル議長の野望を阻止すべく宇宙に上がることを決意するキラと、それに賛同し、彼と固い握手を交わすアスランのシーンにおいて、キラの傍らにいるのがラクスであることに対し、アスランの隣にいるのがカガリではなくメイリンだった。
アークエンジェルが宇宙に上がる際には、カガリから「あいつのこと、頼むな。私は一緒行けないから」とアスランのことを任された。
戦いの後、アスランとメイリンのそれから
ミーアの最期に立ち会い、エターナルのオペレーターとして戦争を生き抜いたメイリンは、戦後、シン、ルナマリア、アスランと共にオーブの慰霊碑を訪れ、自身を撃墜したシンや、彼の恋人となった姉のルナマリアと再会している。その際、アスランとメイリンはキラやラクスとは別方向に帰る姿が描かれている。ぴったりとキラに寄り添うラクス、にっこり微笑みあうシン&ルナ。一方でメイリンはアスランよりも三歩ほど下がって歩いているが、笑顔のメイリンとは対照的にアスランは伏し目がちで表情も暗い。この描写の真意は視聴者に委ねられる形となった。
更に、HDリマスター Blu-ray BOX2のブックレットによればメイリンはアスランと共にオーブ軍に所属していることが明記されており、メイリンはアスランと同じくザフトを除隊し、プラントから移住したことになる。
BOX4に収録されたドラマCD「OMAKE quarters Vol.4 オーブの夜に サイドF」でルナマリアからオーブに行くのはアスランのこと好きだからなのかと問われたメイリンは「好き」であることを名言しているが、同時に「面倒くさい」と感じる部分もあるようだ。カガリとの関係を気にしており「カガリさんのこともありますしね」と言い、自分がオーブに行くのは成り行き、ルナマリアとは違うと説明している。
戦争という緊張状態が解かれたからか、アスランの本質的な部分にも目を向け、又、カガリとの関係も気にはするなど、自身の恋愛には慎重且つ、リアリストな面も見せている。
こうして割り切っている部分もある一方で
シンから好きだとも愛しているとも言われたことがないと嘆く姉に対して、「そんなの贅沢だよお姉ちゃん! アスランさんなんか、『ごめん』とか『すまん』しか言わないんだから。いつだって!」と、自分自身の不満も吐露している。
そして現実世界で20年ほどの月日が経ち…。
最終的に…仕事仲間に落ち着く「SEED FREEDOM」
その後が描かれた『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』では、2人はキラやシン、ラクスやルナマリアらが所属する世界平和監視機構コンパスには所属せず、オーブ国防軍からターミナルへ出向している。
2人の描写は少ないながらもメイリンは変わらずアスランの隣の定位置をキープしていた。
救出されたラクスがプラウドディフェンダーに搭乗し出撃許可を貰う際、苦言を呈したアスランに対し、メイリンはアスランに対しての唯一のセリフ「見ているだけの方がよっぽど辛いって事もあるんですよ」と意味深な言葉を残している。過去の自分目線なのか、はたまたカガリの目線なのか、このセリフの真意は不明。
小説版ではアスラン側の反応が描かれており、「キラにラクスの気持ちを考えろと言ったのは自分なのだから自分もラクスを見守るしかない」と考えていた。
ただし、作中終盤のアスランの言動から読み取れる通り、アスランの心の中には常にカガリの存在があった。またメイリンも恋愛感情がなくなったのかアスランとメイリンの関係はあくまで「同じ組織に属する気心知れた仕事仲間」の関係に落ち着いた模様。
もっとも、仕事仲間としてのこの二人は、アスランは「勝つためなら汚い手も使う最強クラスの実力者」、メイリンは、情報のエキスパートと呼ばれるだけのハッキングの腕を持つという敵に回す側からしたら地獄なコンビである。
小説版では交流シーンが増えており、キラを殴って立ち直らせたアスランに対してメイリンが「人って『おまえが言うか』ってことを言いがちですよね」と本人も自覚があった痛い所を指摘、言い訳を試みるアスランに対して「へえぇ、アスハ代表にお聞かせしたいですね」と追い打ちをかけてタジタジにしている。こういう面からも、年齢や階級の差を超えた対等の仲間という関係性を築けていることが分かる。
OP・ED映像におけるアスメイ
その後の展開に繋がる伏線とも言える映像が多いことで知られる種シリーズのOP、EDでも、アスメイに関してはほのめかされている部分があった。
2クール目のEDである「Life Goes On」では、アスランのやや下よりの隣にメイリンが配置されており、ルナマリアとの対になっているようでその視線はしっかりとアスランを見つめている。
3クール目のOP「僕たちの行方」では、アスランを取り巻くヒロインたちの映像で、メイリンが突如彼の背中に寄り添う形で描かれ、メイリンもアスラン争奪戦に参戦か!? と話題になった。
そして、4クール目のED「君は僕に似ている」では、アスランとキラ、カガリやラクスといったメインキャラに極めて近い位置へと配置されている。
演者による見解・評価
メイリン・ホークを演じた折笠富美子はメイリン視点での彼女の恋心を、「有名人に対するミーハー的な気持ちから入っていったけど、色々見ていったことで恋に変わっていった」一方で「アスランて常に周りの人のことばっかり考えて、一生懸命じゃないですか。物事をまじめにとらえすぎて、肩に力が入ってるイメージがあるんですよ。だからメイリンよりもっと大きく包むことができる大人の女性の方が、アスランには合ってるかな。そういう意味ではアスランとカガリが合っている」と評している。
一方で、アスラン・ザラ役の石田彰の分析では、「ルナマリアとの姉妹間での張り合い」であると、アスランとの関係については「正直なところ危機を脱する際に手を取り合ったということ以上の関係性が自分には見えてこない」と答えている。