概要
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』の作中に登場する、MSサイズの日本刀。
今でこそレッドフレームの主力武装だが、かつてはウン・ノウ専用ジンが装備していた。
正しく扱えばジンの標準装備である実体剣「重斬刀」を凌ぐ切れ味を誇り、その一閃はビームをも切り裂く。
作中ではかつてミサイルの直撃を受けてひび割れ、打ち直した後にも折られてしまうという悲劇に見舞われているが、その都度打ち直されている。
茎には「菊一文字」の銘が彫られており、ガーベラ・ストレート(Gerbera Straight)はその直訳。
『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』の代名詞ともいえる武装である。
入手経緯
ロウ・ギュールは一介のジャンク屋であるがゆえに自衛目的以外での戦闘行為が許されておらず、レッドフレームも基本的には作業用のMSとして扱うつもりだった。
しかし、その見るからにワンオフ機なMSは傍から見れば恰好の的。
奪い取ろうと襲撃される機会は次第に増えていき、また、ロウの厄介事に首を突っ込みたがる性分から戦闘に関わる機会も増えていく。
そうしてそれなりに戦闘を経験したことで、ロウはある問題に直面した。
「ビームサーベルは威力過剰に加えてエネルギーを消耗し過ぎる」
ロウ自身、疑似人格コンピュータ「8(ハチ)」のサポートを受けなければMSを操縦しきれない「ほぼ素人のナチュラル」であり、当初は戦闘も不慣れで大雑把な戦いしかできなかった。
おまけに咄嗟に杭代わりとするつもりで突き立てたものの(C.E.世界のビームサーベルの原理を考えれば当然ながら)切れすぎて杭の意味をなさなかったり、やみくもに振り回すせいで戦闘中に機体がエネルギー切れを起こしかけたりと、(当時としては)革新的なテクノロジー以上に問題児な武装であることが判明。
低燃費なのはもちろん現状出回っている近接戦闘用武器(重斬刀)よりも切れ味が良い装備を求めるところとなり、たまたまプロフェッサーがその情報を知っていたため辿り着いたのがこの「ガーベラ・ストレート」であった。
ロウ達は早速この刀があるとされる廃棄コロニー「グレイブヤード」へ向かうが、そこに暮らす最後の生き残りで凄腕の剣豪でもある老人蘊・奥(ウン・ノウ)に、行き違いから略奪者扱いされてしまう。
彼の襲撃を切り抜け、続くトラップエリアもなんとかくぐり抜けると、そこにはひび割れたガーベラ・ストレートが掲げられていた。
監視の末に敵意を解いた彼から諦めるよう言われるが、ロウは「ガーベラ・ストレートの修復」と「これを扱うための技術の習得・継承(鍛造と剣術)」を条件に譲ってもらうことでさせる。
※あくまで蘊・奥が知っていたの日本刀の扱い方と本来の切れ味のみで、作刀した人物は既に没していたため。
ロウが鍛造方法の記録を閲覧して刀鍛冶の技能を習得、蘊・奥の監修のもと数回にわたって打ち直されたことで修復前に劣らない状態まで甦ると、晴れてガーベラ・ストレートはレッドフレームの装備となった。
特性
その切れ味は他の実体剣の追随を許さず、大概のモノを一刀の元に両断する。
切る対象に対して寸分の狂いなく真っ直ぐに振る(刃筋を通す)ことさえできれば、例えビームであろうと切り裂いて躱すことも可能(構えておけばそれだけで盾代わりにもなる。おまけに刃以外の部分であっても当たり方によってはビームを弾いてしまう)。
但しMSサイズであるとはいえ日本刀(それも打刀)であるため、正しく扱わなければ真価を発揮できない。
そのため、レッドフレームには蘊・奥の体捌きがプログラムとして組み込まれ、そこかしこにチューンも施されている。
仮に他のMSが使用した場合は通常のプログラム(力任せに叩き切るモーション)となってしまうため、一切りしただけで腕の関節部がことごとく故障するほどの負荷が掛かってしまう(素振りのように「空を切る」だけであれば問題ない)。
バリエーションや類似品
タイガーピアス
ウン・ノウ専用ジンに装備されていたMSサイズの「虎徹」。
二刀のうちの片割れであり、ガーベラ・ストレートが大刀であるのに対してこちらは小刀となっている。
公式から明言こそされていないが、蘊・奥の死後はグレイブヤードに遺されていると思われる。
後にカーボンヒューマンとして復活した蘊・奥が駆るレッドフレーム(レプリカ)にも同名の刀剣が装備されている。
しかしこちらはライブラリアンの手で新造されたものであり、大刀として作成されている点で異なる。
後にロウの手によって回収され、レッドフレームはガーベラ・ストレートと合わせて二刀流もできるようになった。
なお、こちらは名前に「・」が入らないのが正式である(菊一文字は菊・一文字でもあるが、虎徹は虎・徹ではないからという説がある)。
ガーベラ・ストレートvol.2
通称150ガーベラ・ストレート。名前の通り、全長約150mの超巨大なガーベラ・ストレートである。
その長さはドレイク級宇宙護衛艦の全長を上回り、完成に立ち会った蘊・奥をして「大馬鹿天井知らズ」と言わしめた逸品。
刀身はとある経緯で入手したレアメタルの巨大な塊を全部つぎ込んで作られた。
あまりにも長大過ぎて尋常ならざる慣性の問題が発生するため、当然普通のMSでは使いきれない(振れたとしても極低重力環境下であろうと一振りで腕が故障する)。
当初はMS用のパワードスーツ「パワーローダー」を作製して運用していたが、強化型駆動システム「パワーシリンダー」を搭載した改修形態「パワードレッド」の誕生により、レッドフレーム単体での運用が可能になった。
普段はロウ達の母艦「リ・ホーム」の右脇に外付けで固定されている。
大気圏に突入しても空気を切り裂きながら落下、摩擦熱による溶解を一切せずに大地へ突き立つほどの業物だった。
しかし後にとある一件で砕けてしまい、喪失。
150ガーベラ・ストレート[パワー]
上述の一件によって刀身を失った150ガーベラの柄を陽電子破城砲「ローエングリン」に改造したもの。正に大馬鹿天井知らズ。
柄頭が外れて砲口が現れるほか、外した柄頭(砲口の蓋)は光波防御シールド「アルミューレ・リュミエール」搭載の盾「ガーベラ・シールド」に、鍔は2種の工具「ガーベラ・ツールA・B』」にそれぞれ変形する。
茎を抜いて空になった柄の部分には追加で大容量のバッテリーを内蔵しているため、単純に活動限界の延長にも一役買っているのがミソ。
元々はバンダイのアクションフィギュアシリーズMETAL BUILD用として、デザイナーの阿久津潤一氏によって設定された新ギミック。
天羽々斬
ガンダムアストレイミラージュフレームの近接戦闘用武器。
名称はロンド・ギナ・サハクによって因縁あるサーペントテールの叢雲劾に因み、蛇殺しの由来をもつ伝説上の刀剣「天羽々斬」から名付けられた。
ガーベラ・ストレート等のデータが用いられて製造されたため、見た目こそ色違いなだけだが、最大の特徴はVPS装甲材製で作られている点。
刀身の硬度・強度をある程度自在に変化させることが可能で、純粋な切れ味ではガーベラ・ストレートを上回る剛剣となっている。
また、その材質特性上、刀身の硬度に応じて色が変化する。
ソードピストル
ガンダムアストレイノワールの専用武装。
ストライクEのビームライフルショーティに抜き身の日本刀を組み合わせた複合兵装。
当初はアクタイオン社製の刀身だったが低品質で折れてしまい、より高品質の刀身を求めたダンテ・ゴルディジャーニの依頼を受けた蘊・奥(カーボンヒューマン)が作刀したものを使用している。
大刀として2本が作成され、それぞれ「菊一文字」「虎徹」の銘が刻まれている。
他の作品では
『ASTRAY』という作品を象徴するアイテムであり、レッドフレームの目玉武装ということもあって、ゲーム等でも色々と優遇されている。
EXVSシリーズでは格闘に使用するほか、投擲して相手を攻撃することも。
投げるたびに「串刺しだゼ!!!」や「ガーベラ・ストレートぉ!」とロウが叫ぶため、よく耳に残る。
レッドフレームの覚醒必殺技では150ガーベラ・ストレートが登場。
「逆転だぜ!」の台詞とともにどこからともなくいきなり取り出して正面に振り下ろしては大きなダメージを叩き出す、台詞通りの必殺技である。
『ガンダムSEED ASTRAY』が参戦している『スーパーロボット大戦W』ではレッドフレームの武装として実装。
フライトユニット装備とパワードレッドで演出が異なるだけでなく専用のカットインまで用意されているなど、演出面において優遇されている。
この作品ではビームサーベルと使い分けができるが、設定通りこちらのほうが使い勝手が良いという調整になっている。
さらに、ブルーフレームとの合体攻撃も存在する。
『Gジェネレーション』シリーズでは、『ガンダムSEED ASTRAY』が参戦している作品ならレッドフレームの武装として大概実装されている。
作品によってはビームサーベルと使い分けができたり、ビームサーベルの代わりとしてこちらだけが使える作品もあったりする。
ただ、その「切れ味」に釣られてかEN消費量がビームサーベルと同じになってしまっている作品もあり、「低燃費で威力十分」の謳い文句に反してしまうことも。