「ローラの未来が幸せいっぱいでありますように」
CV：松本まりか
概要
雪の王国シャンティアの王女。
「みんなが笑顔になれるような国を作る」という名目の下、様々なプロフェッショナルのエンターティナー達を“そういう力を持つ人たち”として自身のアバターを使って招待状を送り、自分の国へと招き寄せていた。
プリキュアのことも知っていたようで、現プリキュアであるまなつたちトロピカる部を“みんなの笑顔を守っている”ことを理由に戴冠式に招待するという旨のメッセージをシャンティアの妖精であるホワンとともに送り、彼女たちもシャンティアに呼び寄せた。
ローラは、泉のそばで歌を歌っているシャロンを見つけ、2人は女王を目指す同士であるためすっかり打ち解け、グランオーシャンとの友好国関係になる約束を交わし、あとまわしの魔女たちからやる気パワーを奪われたことを知ったシャロンはローラの幸せを願って指輪をプレゼントした。
余談
演者について
担当声優の松本氏はプリキュアシリーズ初出演。
キャラクター設定
監督の志水淳児氏は「この作品の鍵を握る重要なキャラクターで、プリキュアとほぼ同年齢でありながら、複雑な状況に置かれている設定、そういったところをしっかり演じられ、さらに、プリキュアのような可憐な女の子の声であってほしい」とキャスティング理由について語っている。
演者の松本氏も「オファーを頂いた時は、少し驚きましたが、沢山の子供たちが夢中になっているプリキュアシリーズに関われると思うと何より心が躍りました。脚本を読ませていただき、美しく幸せなだけのプリンセスではないシャロンというキャラクターを知って、より興味が湧いてきました。と同時に、『この子に私が命を吹き込めるんだ！』と思うと、今から楽しみでなりません！」とコメントしている。
関連動画
関連タグ
※以下、『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア』のネタバレにつき閲覧注意
「それはどういう意味ですか？」
「まさか、帰るつもりではありませんよね？」
「この国を出ていくことはなりません！」
「さぁみんなで、笑顔溢れる国を作っていきましょう…！」
・シャロンの正体
彼女こそ本映画におけるヒロインであると同時にヴィランである。
その正体は生者ではなく大昔に死んだ人間の亡霊。
彼女の故国シャンティア王国は、1万3千年ほど前（時代で言えば縄文時代辺りで、ケナガマンモスが生きていた時代）に存在した未知の古代文明の国で、人々の笑顔が溢れる理想郷のような国であったという。
だが、現代ではその名は記録からも記憶からも失われている。
シャロンはその国の王女であり、彼女が新たな女王として即位する予定だったのだが、戴冠式の日に国に彗星が落下、それによりシャンティアは一夜にして滅んでしまう。
一人シャロンだけはその彗星落下の直前に地下シェルターに匿われたことで難を逃れたものの、シェルターを出て目の当たりにしたのは命を落とした国民や両親、そして完全に壊滅した国全土という無惨な光景で、さらにその後に起こった猛吹雪に襲われ、ついに彼女も吹雪の中で深い絶望を抱きながら凍死してしまった。
しかし、件の彗星には宇宙の未知の力が込められており、彗星の欠片の放射線的なものを浴び続けたことで、地中に埋まっていたシャロンの亡骸から魂だけが現代に蘇った（他の国民たちは彗星衝突のショックで亡骸さえ完全に消滅していたためシャロンのように蘇ることはできなかった）。
たった一人だけ蘇って何をすればいいのかと途方に暮れるシャロンだったが、それでも女王として国を幸せに治めるという未練を断ち切ることはできず、どんな手を使っても「笑顔が溢れる故国」を再建しようと考えるようになった。
霊体となったシャロンは自分を生み出した彗星の欠片から魔力を引き出すことができるようになっており、その力で亜空間に雪の王国シャンティアを再現する。だが彗星の力をもってしても、国民たちを蘇らせることはできず、そこで彼女が考えたのが、笑顔が素敵な人々、笑顔をみんなに与えられる人々……そういう素晴らしい人々を国に招待したうえで、この国に閉じ込めて無理やり国民にするという強引な計画であった。
戴冠式に招待された人々は、シャロンが見込んだ国民候補であったのだ。
戴冠式のクライマックス、客人の1人が「またお会いできる日を」と言った途端、表情が曇り豹変。それと同時に上述の台詞と共に本性を表し、国を巨大なブリザードで包んだ後にホワンを消滅させて雪の怪物を召喚し、客人たちを拘束する暴挙に出る。
やがてプリキュア一行は他の客人たちと共にシャンティアから脱出するためにシャロンと衝突する事になるが、シャロンと友情を結んだローラだけは彼女を敵と見なすことができず、それが物語に大きく影響していくことになる。
「女王になる夢に執着している」「故国が理不尽に蹂躙された」と言った側面はローラと共通しており、だからこそローラはシャロンを放っておけなかったのである。
だがシャロンは、ブロッサムとマリンの攻撃から庇ったローラ=キュアラメールすら、冷酷な態度で拘束しようとするも、間一髪のところで逃してしまい失敗に終わる。
凍りついていたシャロンのこころの花はスノードロップ。花言葉は「希望」である。
・悲しみに凍てついたプリンセスの最期
物語終盤、再びラメールと対峙したシャロン。ラメールの説得にも耳を貸さず、逆に語り合った境遇を元に「協力してほしい」と揺さぶりをかけるも、「こんなことをしてもどうにもならない」と心情を見透かされ跳ね除けられてしまう。それがトリガーとなり遂にシャロンの怒りが爆発。雪の大怪獣を召喚しラメールとサマーに襲い掛かる。
だが、そんな状況下でも、シャンティアでの交流を楽しかったと述べ、シャロンにも笑顔でいてほしいと願うトロピカルージュの面々。彼女らの思いに反応したスノーハートクルリングがもたらした、スノークリスタル・トロピカルスタイルにより雪の大怪獣は浄化される。
だが、それでもシャロンの心は凍りついたままだった。更に彗星の欠片も少しづつ溶けていき、消滅寸前であった。そんな中、ラメールはシャロンに近づき、シャンティアの歌を捧げる。
雪原に響き渡るラメール達の歌声、それは雪原だった周りはスノードロップが咲き誇る晴れた草原へと変え、遂にシャロンの心の氷を溶かしたのだった。
「シャロンが大好きだった歌を歌い続ける」と、永遠にこの歌を残すことを決めたラメールに「永遠なんてない」と否定。だが、スノードロップが今までに咲き続けたことを引き合いに「希望を捨てない限りなくならない」とブロッサムにそれを否定される。
それを聞いたシャロンは、「残るかな？永遠に…」とラメールに問うと、「残るわ。だってこの私が歌うのよ！世界中に広まって、大人も子供もみんなが歌うわ！」と誇らしげに語るラメールに思わず笑みが溢れる。
だが、その直後倒れ込んでしまい、同時に彗星の欠片も完全に消滅してしまう。
最期は笑顔を浮かべながらお礼の言葉を言い、ラメールの腕の中で消滅したのだった…。
「ローラ、ありがとう…。あなたに会えて、よかった…」
全ての事態が終わった後、あすかは「誰かに止めて欲しかったのかもしれない」と推測している。
後日、あおぞら商店街の青空ソング大会にて、トロピカる部の5人は舞台に立つ。
シャロンが大好きだったあの歌を、みんなに伝えるために…。
…後に本編でとんでもないことが発覚し、更に最終話にてローラ関連の記憶がまなつを含む全ての人間から消えていたため、下手をするとシャロンの事も忘れ去られていた可能性がある。結局ローラの工作の甲斐もあって記憶は全部戻ったが、もし消えていた場合、ローラとシャロンの約束が無かったことにされていた可能性がある。
※映画についての回想などはテレビ本編にないため、あくまで視聴者視点であることを留意されたし
余談
スノードロップには「希望」の花言葉がある一方で、「貴方の死を望みます」という不吉な花言葉もある。
シャロンの行動の根本的な部分が突然の大切な人たちの「死」の部分が悪い方の花言葉を連想させてしまう。
また、上述の通りすでに亡霊であるシャロンには、むしろ「成仏するように」との意味も込められてるいるのかもしれない。
スノードロップの不吉な方の花言葉の、元ネタのおとぎ話で亡くなった人の棺にスノードロップを供えたら雪のように遺体が解けたと言う物から来ており、亡霊であるシャロンの最期が雪が解けるように徐々に消えていくのが、元ネタのおとぎ話のようである。
令和キュアの映画は、敵が生き延びプリキュアと和解してることが増えてきている。そんな中で亡霊とはいえ、シャロン王女だけが現状和解できたが、消滅してしまっている。
・関連タグ（ネタバレ有）
バトラーヤラネーダ：TV本編でのラスボス
あとまわしの魔女：TV本編の敵組織の女首領。長寿の為に自分が「何をあとまわしにしていたのか？」さえ忘れていたが、終盤その理由と未練が解決されて寿命がつき成仏した。
アウネーテ：TV本編の登場人物。敵ではなく先代のプリキュアだが、ある理由から成仏できずに霊体でこの世に残っていた。
マシュー：同じく俳優が声を務める敵キャラで、こちらも既に死んでいた存在だったのが共通する。
クック：映画で敵の首謀者として立ちはだかる怨霊の少女。但し、シャロンと違い、彼女の成仏後に瓜二つの少女がパティシエの師匠に弟子入りしている。
レッド：こちらは隕石によって星に生きる人々が滅び絶望したことが発端。
ディアンシー:同じ声優、プリンセスということも共通である。
どうせみんないなくなる:松本まりかの中の人繋がりで、シャンティアを失った彼女の心情そのもの。
エゴエゴ → シャロン → ケットシー(プリキュア)
