「そう。確かに、長く、激しい戦いでした。その結果、私達はいくつもの次元世界を征服した。だが、私が姿を消したのは、永い眠りに入るために。そして私は新しい活力を得て、復活したのです」(第17話)
「ラディゲ、見てなさい。私はこの世界を地獄の底に叩き落とす。今の私には、人間どもの苦しみや悲しみが必要なのだ!」(同上)
演:高都幸子
登場話:第17話「復活の女帝」、第18話「凱、死す!」
概要
裏次元侵略戦争で行方不明になっていた次元戦団バイラムの本来の首領。魔獣セミマルの卵を宿しながら、隕石に擬態して地球に降臨し、以前のようにバイラムの頂点に立ってラディゲ等四幹部に服従を強いた。
額の水晶から発射する光線を浴びた人間は体内から結晶を生み出し、最終的には水晶化する。この水晶が弱点であり、破壊されると水晶化は解ける。
戦闘力は非常に高く、ジェットマンに一度は圧勝して結城凱を水晶化し、謀反を試みたラディゲもたやすく一蹴するほどである。
また、感情が高ぶると、魔獣形態である「魔獣ジューザ」に変身する。
すでに死亡したと思われていたためか、長らく空位だった首領の座を一方的に占めたことを幹部達は快く思っていなかった。新参者のマリアに至っては何の権威も認めていなかったほどである。所詮は力のみによる支配だったが、それに気づいていなかったのが彼女の敗因となった。
劇中での活躍
バイラムに復帰したジューザは、自身の結晶化光線によって生み出された人間の悲しみ、苦しみをエネルギーとしてセミマルを育てる作戦を実行(後のこのシリーズを思わせる方法である)。立ち向かったジェットマンを圧倒し、変身解除された結城凱に水晶化光線を浴びせるにまで至る。
だが忠臣だと思っていたラディゲの謀反に遭い、これを易々と退けると、彼を人間の姿に変えて「虫けらのように生きる」という屈辱的な罰を与えた。
人間化されたラディゲは記憶喪失の青年として薄幸の少女・早紀に保護され、その正体を知らない彼女と心を通わせようとしていた。だがジューザが活動を再開すると、それとともに蘇りつつある記憶に引き寄せられるように戦場に導かれ、ジェットマンとジューザとの再度の交戦を目にして、ラディゲとしての記憶と姿を取り戻す。
再びジューザへの反乱を企てるものの、自身の力だけでは敵わぬと見たラディゲは、驚くべき行動に出る。
「ジェットマン撃て! ジューザの額の結晶を狙うのだ!!」
憎きジューザを倒すために、仇敵であるジェットマンにも協力を呼び掛けたのだ。
敵の内紛に一度は戸惑ったジェットマンもジューザ打倒を優先してこれに応じ、ジェットハンドカノンの射撃を結晶に集中。これを何とか弾き返したジューザだったが、そこで出来た隙を狙ってホワイトスワンが斬撃を見舞い、結晶の破壊に成功。これによって水晶化されていた凱は元に戻る(描写はないが他の水晶化された人間も元に戻っただろう)。
怒ったジューザは魔獣形態に変貌し、ラディゲとジェットマンを追い詰めるが、そこに現れたバイラムの他の三幹部がジューザを攻撃。幹部全員に背かれて狼狽するジューザの前に、復活したブラックコンドルも参戦。ついにジェットマンとバイラム四幹部の9対1の総攻撃を受けることになる。
ジェットマン必殺のファイヤーバズーカを直撃されても辛うじて絶命を免れたジューザだったが、そこにラディゲの止めの一撃を受けて消滅。孵化したばかりのセミマルは彼に奪われて育てられることになった。
小説版
バードニックウェーブを開発した人類を、宇宙の禁忌を犯したとして、休眠期にも拘わらず、自ら地球侵略を決定し、ラディゲたちに侵略活動を行わせた。
外見も、原作とはかなり相違があり、全身が純白で上半身が女性、下半身が大蛇のようになっており、原作にて「万物の破壊と創造を司る母」を名乗る通り、正に「神」に等しい存在として描かれているが、こちらでも完全復活前に物語から退場している。
ジェットマンとバイラム幹部連合との戦いの末に敗れ去ったのはテレビ本編と同じだが、死んではおらず、人間の可能性を信じることにして、眠りに就いた。
小説版の能力 ※完全復活後の能力は、倒されたため未知数。
・5千年周期で何度も正と死を繰り返す存在で、『死んでいる間』…つまり休眠期には、その度にラディゲ、トラン、グレイを産み出し、侵略活動を行わせる。その為、3幹部はジューザの『夢』の産物。
・ゴミ山から、自身に取り込んだグレイを介して、ゴミの大樹を作り出し、電化製品と人間を融合させ、機械人間を大量に作り出す。
・地球の地脈(レイ・ライン)を通して、世界各地で大地震を起こし、加えて人間の胎児を醜悪な怪物に変貌させる
・ジェットマンを成層圏まで吹き飛ばす超念動力
・空間湾曲バリアー
・体を真っ二つにされても再生する自己再生能力
・腹部をブラックホールに変える。
・肉体が滅んでも精神体となって存在し続けるため、実質不死身。
余談
結束力が皆無に近いバイラム四幹部が珍しく一致協力したのが対ジェットマン戦ではなく、この時だったというのが皮肉である。更に皮肉だったのは後に四幹部の1人がジューザと似たような末路をたどったという点であろう。
首領ではあるものの、初登場回の次の回で退場しており、実質ゲスト扱いとなっている。
イベント用の敵ではあるが、実はジューザこそ、本調子であれば、ジェットマン最強の敵であった可能性は高いことが、一部のファンの間では囁かれている。
本編では「セミマルの卵を宿した身重の妊婦の状態であり、本気を出せないのは当然」・「額の結晶の弱点をラディゲに晒され、突破口が出来た」という意見がある。また過去の君臨時には幹部たちが全く叛逆する様子など見せていなかったらしい(この時期には忠臣だったのか、既に面従腹背だったのかは定かではないが)のも圧倒的な力の証拠である。こうしたことを考えると、少なくともトランザ以上の実力者であった可能性はないとは言えない。
関連タグ
闇の力(仮面ライダーアギト):小説版ジューザのオマージュ的キャラ。
バンドーラ:翌年の戦隊における悪の首領。こちらはジューザとは逆に部下達から非常に慕われている。
首領タウ・ザント、ボッコワウス:それぞれ11年後と30年後における悪の首領。こちらも弱点を知られなければ普通に最強の敵となっており、戦隊側は突破口を見出せずにいた可能性がある点が共通。前者は本人ではなく複製体であるが。
10サイのロボゴーグ:19年後の戦隊における悪の首領。彼の退場劇の内容と結末はジューザ登場回とよく似ている(死にかけの配下がいる、弱ったところを自身が記憶を奪った幹部の一人に殺害される等)。
ジューザ星人ブライディ:13年後の戦隊に登場する名前が似ている戦隊怪人だが恐らくそれ以外は無関係及び無関連。