概要
てんとう虫コミックス31巻及び、藤子・F・不二雄大全集13巻に収録。また、改作前の作品は藤子・F・不二雄大全集18巻に収録されている。
穿くとターザンのような運動神経を得ると同時に動物と話せて仲良くなることができる。
また、飛びつけばどこへでも行けるひみつ道具「ターザンロープ」もセットで使用すると、飛び渡りが可能になるのでさらに便利になる。
「アーアー」と叫べば動物を呼ぶことができるが、叫び声によって呼ばれる動物が変わり、原作ではカラス、猫、ゴキブリ、ネズミ、犬(のび太に噛みついた犬も含む)を呼んだ。
初出について
初出は『てれびくん』1977年8月号の付録てれびくんコミックスに収録されていた「ターザンパンツ」だが、今までアニメ化も大全集以外の収載もされていない封印作品、黒歴史に近い存在でもある。どんな話かというと序盤は大人しいが、中盤あたりから子どもたちが人食いに攫われたと不穏な展開になる。
そして、劇中終盤はしずかが人食い土人から身ぐるみひん剥かれて全裸にされ、石畳のまな板に載せられ刃物で斬首されそうになっていたところを、すんでのところでのび太が助けに来たと思ったら、のび太は木の枝にパンツをひっかけ、パンツが脱げ落ちそのまま煮えたぎった鍋にドボン。
脱走中のしずかが、さっきまでのび太が穿いていたパンツを嬉々として拾い上げて穿き、上半身裸のまま雄叫びを上げて暴れまわり、全裸ののび太からパンツを返してくれと言われたら、いやよと逃げまとう…
とまあ、当時は表現規制が緩かったとはいえ幼年向け雑誌としてはどこまでも凄まじく破廉恥な内容で、前作とこの作品の発表によって、無告知のままてれびくんからドラえもんの連載が無期限休載となった。なお、コロコロコミック1978年9月号に、「ターザンパンツ」のタイトルで再掲載されたが、てんとう虫コミックスへの収録は流石に見送られている。
この物語は後に、全話収録を謳う藤子・F・不二雄大全集18巻によって収録されたが、タイトルは「ターザンパンツで大活躍!?」となり、人食い土人という表現が差し替えられたり台詞から抹消されたりしているため、のび太の発言に不自然さが生じている(なお、タイトル名変更は重複を回避するためで、ほかにも数作、変更措置があった)。
改作について
TCには「小学二年生」1981年12月号に改めて作り直した「ターザンパンツ」のタイトルの話が掲載され、こちらはトップに記した巻に収録されており、アニメ化も果たしているが、性能は初作のものとは違っており、動物たちと会話をかわす道具から、特定の動物を呼び集め、仲良くなる道具に変更されている。
ストーリー(TC版のもの)
のび太が犬に追いかけられる姿を見たしずかはジャイアンとスネ夫に「助けてあげて」と頼んだが、彼らは「ほっとけ、いつものことさ」と知らん顔で、当ののび太は犬に足を噛まれてしまった。帰宅後ママに手当をしてもらったが、よく犬に噛まれることを言われ、逃げても追いかけて来ることを言ったが、ドラえもんは逃げるから追いかけてくるんだと主張。
「だって怖いんだもの」と言うのび太にドラえもんは仕方なく「ターザンパンツ」を取りだし、これを履かせた後、「ターザンロープ」も渡してこれを掴むよう言った後、背中を押して突き飛ばした。悲鳴を上げながらも、のび太はこれに捕まって向こう側の屋根に着地することができ、これを繰り返して次々に屋根を渡って行った。
途中、調子に乗って雄たけびを上げたためカラスの群れがやってきてしまい、ドラえもんから犬や猫を呼ぶ声を教えられたが、どれも同じようだったため、空地で試したみた際も猫やゴキブリ、ネズミを呼んできてしまった。これに驚いてドラえもんが去って行った後、のび太は飽き始めてしまいあくびをしたが、その際の声が犬を呼ぶものだったため犬がた大勢集まってきて、その中に先ほど噛みついた犬もいたが、のび太は許してあげこれからは仲良くするしようと仲直りした。
その後のび太は調子に乗って「今度はライオンなんか呼びたい」と言っていたが、その場に本当にライオンが現れ、始めは夢だと思っていたが直後にサイレンを鳴らすパトカーや、猟銃を持った男性達を見かけ、やって来たドラえもんからどこか家で飼っていたライオンが檻を破って逃げ出したことを聞かされ、大慌てで逃げることに。
すると途中でライオンが銃で撃たれそうになっている現場に遭遇したため、自分の友達だからと盾になって庇い、どこでもドアでふるさとのアフリカへと返してあげた。我ながらかっこよく決まったと誇らしく思ったのび太は、このことを皆に話したが、しずかは家の中に隠れていたため見ておらず、ジャイアンとスネ夫も信じようとしなかった。
ならばもう一度見せようとロープを使ったのび太だったが、飛行中にパンツが木の枝に引っかかり破けてしまったため、ジャイアンとスネ夫には「何やってんだ」と笑われ、しずかは顔を赤くして離れて行っていまった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1988年1月29日に、水田版は2017年1月27日にそれぞれ放送している。
1988年版
- 原作はイヌに追いかけられ、噛みつかれるところからスタートするが、その前にオウムに指を噛まれ、ネコに引っかかれる下りが追加され、さらに蜘蛛に驚くシーンも追加されている。
- カラスを呼んだ際に叫び声は原作は不意に叫んだものだったが、こちらはドラえもんに教えてもらって叫んだ。
- のび太が本物のライオンに遭遇した際、原作では夢だと勘違いしていたが、こちらでは日本にライオンなんているわけないと解釈している。
- こちらでは逃げ出したライオンの飼い主の女性も登場。
- ラストはジャイアンとスネ夫がしずかにのび太の活躍を話し、そこに通りかかったのび太がしずからの元へ向かおうとした際、枝にパンツが引っかかり破けてしまったというものに変更。また、ジャイスネがそののび太の様子を笑う場面はカットされている。
2017年版
- のび太が呼んだカラスは原作と大山版はキャラクター化されたものだったが、こちらはリアルな見た目になっている。
- 空地で呼び寄せたネコは呼んですぐにドラえもんがもの場所へ帰るよう促し、ゴキブリを呼び出す下りはカットされている。
- 呼び出し仲良くなった犬たちに手伝ってもらってツリーハウスを作る、それをバカにしに来たジャイアンとスネ夫をイヌたちが集団でにらみつけ追い返す下りが追加。
- 原作と大山版は撃たれそうになっているライオンをかばう形だったが、ライオンに遭遇して逃げる際に叫んだことでライオンと仲良くなった。
- その後、ライオンに飛び乗って警察を振り切って、イヌやチのルチルの助けを得て一時スネ夫の家に隠れた後、アフリカに送り返した。また、ライオンの飼い主へはドラえもんが連絡し事件を解決したことになっている。
- ラストではスネ夫が自分がライオンを追い払ったとデマを行ったので、それを訂正しようとするも皆家に隠れていて現場を見ていなかったので、のび太が証拠を見せようとことで原作のラストに繋がるものになっている。また、パンツが脱げてしまった際はスズメや木の葉でのび太の陰部が隠される処置がとられた。