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前後のストーリー

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マザー・ユニバース今回サイクリング・ボム

概要

2004年10月31日放送。

脚本:荒川稔久、監督:渡辺勝也

前回のEpisode.36でスーパーデカレンジャーロボを破壊されたため、怪重機との巨大戦がない。

それだと珍しくはないが、それだけではなく変身バンクデカレンジャー十八番であるジャッジメントのシーンもカットされている。

また、これも珍しくはないが今作を通じた敵であるエージェント・アブレラも登場しない。

古川登志夫氏によるナレーションも冒頭部のみに絞られている。


スワットモードも前半で申し分程度で使われており、デカレンジャーを構成する「刑事ドラマ」としての要素がいっそう強調されている。


今週の怪人たるアリエナイザーもまた、これまでのエピソードで描かれてきた典型的な凶悪犯ではなく、やむなき事情で一線を越えてしまった人物として描かれており、一概に善悪で測りきれない展開となっている。


そして、スーパー戦隊史上最も救いようのない悲恋物語。

お、このエピソードはホージー役の林が印象深いエピソードと語っておりVシネクスト特捜戦隊デカレンジャー20thファイヤーボール・ブースター』の配信を記念して期間限定配信となったおすすめエピソードとして取り上げている。


予告

Episode.37

ドギー「あいつは今、特キョウ昇進試験に挑戦中なんだ」

ホージー「俺は絶対に合格する自身がある。俺には女神がついてるんだ」

テレサ「宝児さんったら…」

ホージー「テレサが!?」

『ハードボイルド・ライセンス』

君のハートに、ターゲット・ロック!


あらすじ

ある夜、踏切待ちをしていた女性が謎のに襲われて死亡する事件が発生する。この事件は単なる変死事件としてSPDには報告されなかった。

しかしこれを皮切りに、都内では若いOLをはじめとした女性不審死事件が多発。いずれも遺体には青いバラのような花が咲いていた。


一方、地球署ではホージーがご機嫌だった。憧れの特キョウとして昇進試験に挑み、四次試験までパスしており残りは最終試験を待つのみだった。

さらには階段の鏡でやけに着飾った姿で「パーフェクト」と言ってのけた。それを見た地球署の面々は、ホージーに女性の陰を見る。

その予測は当たり、ホージーはバーで流しの歌手をしているテレサという女性と交際していた。そして特キョウ昇進試験を合格したあかつきには、彼女にプロポーズまで考えていたのだった。

テレサはマイク星人というエイリアンで、両親を宇宙船の事故で亡くしてから、弟のクロードと共に「どんなに辛くても、きっと幸せになれるから頑張ろう」と互いを励まして弟のためにひたすら身を削ってきた献身的な女性で、その影響で体が丈夫でないのか常に咳きこんでいる。

にもかかわらず歌うことが好きな彼女は、現在地球で私鉄沿線付近のアパート203号室で弟と共にひそやかに暮らしている。一方、弟のクロードはホージーが気に入らないのか、距離を置いていた。

そんな時、デカレンジャーに出動命令が下る。公園で若い女性と巡回中の警官がアリエナイザーに襲われたというのだった。

地下駐車場に逃走したアリエナイザーにスワットモードで対応するデカレンジャー。暗視カメラで追跡しディーリボルバーを発射する。取り逃がしはしたが、ディーリボルバーの光線がアリエナイザーの肩をかすめ、緑色の血液が残っていた。


スワンに採取した血液の検査を依頼したデカレンジャー。するとSPDのヌマ・O長官からホージーに最終試験の内容が伝えられる。一連の事態を重く見た宇宙警察は広域指定事件として認定し、「48時間以内に事件を解決すること」それが試験内容だった。

やがてスワンから検査結果が出る。それはマイク星人の若い男性の血液だった。

スワンの見識を聞きホージーはクロードに会いに行く。ディーリボルバーの銃弾を右腕に受けたことが決め手となり、重要参考人として連行しようとする。

刑事である以上に愛する姉の想い人である彼に、クロードは自身の過去と姉に訪れた運命を告げる。

姉は自分を養うために宇宙放射線の漂う鉱山惑星ガイガミュラで重労働をしており、元気そうに見えても後僅かの命であることを。

鳴り響く電車の振動。明滅する遮断器の赤ランプ。

愛する人が長く生きられない……クロードの痛切な叫びにホージーは両目を見開き、言葉を失う。


「俺はあの花を青く咲かせる物質が特効薬になることを突き止めた……。そしてあちこちの星で人体実験を重ねた結果、やっとこの星の若い女の体に最適な物質を見つけたんだ。何と言われようと、俺は姉さんを助ける! 俺がやるしかないんだ!!」



地球署の刑事に背を向け、ただ姉を救うためにマイク星人の青年は走り出す。

ここ2日間で起こった殺人事件、遺体に咲いた青いバラの花、その凶行を繰り返してきたアリエナイザーが愛する人の弟……。

アパートに足を進め、テレサの部屋の前に立つホージー。

だが、たった一人の肉親である弟が自分のために罪を重ね続けているという事実を知ったテレサがどう思うだろうか。

そしてクロードをデリートした自身に憧れの金バッヂを手にする資格はあるのか……。

ドアの向こうでギターを弾きならしながら懸命に歌う恋人愛と任務の間で板挟みになるホージーだが、一旦躊躇いながらもドアノブに手を触れる。

しかしドギーから通信が入った。クロードが再び殺人を犯そうとして逃走中だというのだ。

沈黙を破りSPライセンスから発するドギーからの言葉が使命を思い出させる。

苦悩の末、ホージーは覚悟を決め……フォンモードからチェンジモードにスライドする。

……と同時に、部屋の中ではテレサの部屋に飾っているふたりの写真が電車の振動で倒れていた。


バーに向かう時間となり、テレサはギターケースを手に部屋を出る。

咳きこみながら先程までホージーがいた場所に立ち鍵をかけた瞬間、激しい雷雨の音に気付き、台所側のアルミ格子にかかった赤い傘を手にした。


クロードは、夜の線路沿いをひたすら逃走していた。

というのも、ホージーと別れた後ある女性を殺害しようとしたものの、幼い弟に靴紐を結び直す姿にかつての自分たち姉弟と重ね合わせた瞬間に気付かれてしまったためであった。

やがて、獲物たる帰宅途中のOLを見つけた彼は、今度こそと狙いを定め、周囲を確認しマイク星人としての姿に戻る。

触手を放とうとした瞬間…


「待て」


そこにいたのはデカブルー。彼は無言でSPライセンスを突きつける。


「マイク星人クロード。7つの惑星で人体実験を重ね、数十人を殺害した罪で……」


信号が青から赤に変わった。交差点にいたテレサは立ち止まる。


「俺がいなくなれば姉さんは死ぬんだぞ。それでもいいのか……?!」

「俺は……デカなんだ」

「姉さんを好きだっていうのは……嘘だったんだな!?」

「嘘じゃない!……愛している」


愛する人を救いたいとは言え、大勢の罪なき命を奪ったことを帳消しにはならない。

ホージーはデカレンジャーとしての道を選び、ディースナイパーを構えた。


愛する姉の笑顔を思い出し、クロードは死に物狂いで逃走を試みる。

マイク星人が駆け上がった場所には、多くの女子高生がアリエナイザーに怯える様が映し出されていた。

悲鳴を上げる少女たちに向かい触手を放とうとするアリエナイザーに対し、ホージーは静かに引き金を引いた。


バーへと向かうテレサは、人だかりができているのを見つける。中に入っていると、そこには絶命した弟の姿があった。

彼の体を抱き、泣き崩れるテレサ。やがて…緩やかに、しかし重々しい足取りでデカブルーが目の前に現れる。

それに気づいたテレサの眼に、力なく下げられた銃のSPDマークが最初に入り込んでくる。

すべてを悟り、憤りと嘆きが入り混じった顔で無表情のマスクをじっと見つめるテレサ。

青き刑事にできるのは、この絶え間なくマスク越しから降り続ける涙雨と共に恋人の悲しみをただ無言で受け止め続けることだけだった。


しばらくして、バンたち五人が現場に到着。前もって緊急変身したのか、デカスーツ姿で通行人をかき分ける。そこで彼らが見たものは……


デカスーツを解除したまま、涙を見せまいと雨空に向け顔を上げるホージー。

デリートされた肉親であるアリエナイザーの手をただ握りしめ、泣き崩れる女性の姿……


後日、ホージーの試験は合格となった。しかし彼は合格を辞退したという。つい先日までホージーの彼女や特キョウへの昇進試験で大いに盛り上がってた様子と裏腹な空気だった。

その後テレサはスワンの治療で病気は完治したものの、行方不明になってしまったという。


「あの時、メディカルセンターに運び込まれた彼女の体は回復に向かっていたわ」

「クロードの治療が、それなりに功を奏したんでしょうか?」

「それよりも、地球に来てからの彼女に『生きたい』という想いを強くさせる何かがあったんじゃないかしら?」



一方、ホージーは喪服姿でとある墓地に立っていた。

弔花を手に、俯きながら無数の墓石の中でクロードのへと向かう彼に、ひとりの尼僧が歩いていく。

見覚えのある顔に驚いたのか、思わず目を見開く二人。その尼僧は出家したテレサだった。

かつて聞こえた懐かしいメロディーが二人の耳に響いていく。

両者の脳裏に駆け巡っていく愛と悲しみの思い出に支配され、互いが言葉を失う。


しかし一言も交わさず、一礼をしながら目を伏せその場を後にする尼僧。

その面影に気づいたホージーは彼女の名を呼ぼうとするが、言葉が見つからない。

ただ尼僧の背中を見やりながら、ホージーはすべてを押し殺し前を向き歩き出すしかなかった。


関連タグ

特捜戦隊デカレンジャー


次回予告

Episode.38

バン「降ろせ、馬鹿野郎!」

時速20km以下になると起爆装置のスイッチが入ります

くぁー!

ヤーコ「変身したら?爆発してもあんたは助かるかもよ」

バン「俺を信じろ!」

『サイクリング・ボム』

君のハートに、ターゲット・ロック!

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