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ファティマ(FSS)

ふぁてぃま

ファティマとは、永野護著のファイブスター物語(FSS)に登場する、ファティママイトの手によって人工的に生み出された人造人間たち。驚異的な演算能力を持つ生体コンピューターでもある。正式名称は、旧称は『ファティマ・ファティス』GTM以降なら『オートマチックフラワーズ(AF)』。
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概要編集

ファティマ。それは騎士に仕え、モーターヘッド(新設定ではゴティックメード)を制御するために存在する生命。

騎士と共にMH(GTM)に有機コンピューターとして同乗して戦闘に赴く、

いわば戦争目的で生み出された哀れな、しかし美しい命である。


正式名称は『ファティマ・ファティス』であるが、『ファティマ』と略称で呼ぶのが一般的。

(作中でも、ファティマ・ファティスとフルに呼称するのは、第一巻等ごく一部。)

なお、2013年4月のFSS連載再開後からは、『オートマチック・フラワーズ(AF)』という呼称が追加されている。


ファティマって何をするものなんですか?編集

作者の永野護は、当時開設間も無い公式Webサイトの質問フォームで段落タイトルの質問を受け取って顔色を変えた体験を、2000年に発売された副読本「KNIGHT FLAGS」の巻末コラムで語っている。


ファティマの役目は、ロボット兵器モーターヘッド(以下MH)の様々な情報処理を引き受ける事で、操縦士「騎士<ヘッドライナー>」の操作を助ける事にある。その比重は重大なもので、ファティマ無しのMHはファティマ有りのMHには勝てない。


MHの仕様が確立した星団暦980年。それを扱う超人戦士「騎士」とエンジニア達は新しい難題に直面していた。これを制御する情報処理が、搭載コンピュータの手に負えなくなったのである。

騎士とコンピュータはMHの動力やら伝達機構やら戦闘その他による機体への入出力やらに対する計算処理に大きく手間を取られ、騎士・MHの本来の運動能力を発揮出来ない状態が長く続いた。


このため新型のコンピュータが求められ、デルタ・ベルン星フェイツ公国のウラニウム・バランス公が基礎理論を作り、その孫リチウム・バランス公が星団暦2310年に実用モデルを生み出した。

レーザーや光速に反応対応できる騎士の強靭な神経細胞を利用することで、人間とは全く異なる構造の大脳で電子情報を直接授受し、通常3000チャンネル・戦闘最大時10000チャンネルという情報を同時に判断、騎士のオペレーションに追いつく早さで出力出来る、人間ベースの生体コンピュータ(あるいは、コンピュータ能力を組み込まれた人造人間)を作り出したのだ。

生前のウラニウム公は、「完成した暁には、この制御コンピュータを「ファティマ」と呼ぶつもりだ」と言っていた。


ファティマの出現がMH(GTM)の能力に与えた影響については、モーターヘッド及びゴティックメードの項目も参照のこと。


ファティマの身体的特徴編集

知力編集

MH(GTM)を制御するべく、騎士の体組織を用いて生み出されただけあり、人間やコンピューターを遙かにしのぐ演算能力を有している。

強靭かつ驚異的な騎士の動きと反応速度を、確実にMH(GTM)にトレースするためである。


さらにその演算能力は妨害フィールドや電子障害をものともせず、センサーからのデータとモニター上のほんの僅かな誤差も見逃すことなく一瞬で計算して補正してしまう。ここにMH(GTM)の超高感度のセンサーと騎士の動体視力が加わることで、たとえジャミングの嵐が吹き荒れる中でも数十km先にある標的程度ならば極小サイズ、

かつ超高速で動いていても「絶対に」砲弾ビームを命中させることが可能である。

ファティマの索敵・観測を阻害できるのは、同じくファティマによるジャミングしか無い。


記憶力も凄まじく、膨大な知識を蓄えておいて一瞬で取り出すことが可能である。また、全てのファティマは育成過程で、あらゆる専門分野における大学院修了レベルの知識をインプットされる。

ただし、無機コンピューターと違い有機的であるため、「物忘れ」や「ド忘れ」を起こすこともある。


身体能力編集

星団歴最古の騎士にして伝説の純血の騎士、超帝國剣聖ナッカンドラ・スバースの遺伝情報を基に製作されているためか、ファティマにはなんと、平均的な騎士の80%もの身体能力が与えられている。

モーターヘッドを制御するためには、それだけの身体能力が必要なのだ。

もっとも、実際には戦場において負傷した騎士を助けたり、家政婦や秘書のように公私に渡り身の回りの世話をしたり・・・時には子守やヒッチハイク、性欲処理まで・・・と、とにかくその身体能力で、色々と活躍している。

また、騎士が負傷した際の応急的な予備パーツとしての役割も持ち、血液や臓器は型を問わず万人に輸血・移植が可能になっている。


服を着用したファティマはまるでお人形か、ファンタジーの住人のような美しさだが、実際服を脱いでみると、体型はマネキンを通り越し、ガリガリの宇宙人体型である。

「私、着た方が凄いんです!」ということか。


人間の女性と比べて、特に尻や下腹部の筋肉がなく、繁殖能力が与えられていない事もうなづける。

にもかかわらず、あの華奢な細腕で騎士の80%の腕力があるというのだから信じられない。

地球のソレの数倍のサイズを持つ、ジョーカー太陽星団の戦車を持ち上げ、移動させることも可能である。おそろしい・・・。

当然、騎士ではない常人が彼女らに本気で蹴られたり殴られたりしようものなら肉体損壊はおろか木端微塵は免れない(無論、そんなことが無いように通常は精神制御がかかっている。後述)。


精神面編集

ファティマは生体コンピューターとして扱われているが、戦闘を強いられている彼女らは、実際のところ情緒不安定でナーバスであり、特に性能が高くなれば高くなるほど精神的に不安定になっていく傾向にある。

特にMH(GTM)戦ではマスターである騎士との信頼関係が重要になってくるわけだが、マスターとの関係が却って精神バランスの乱したり、最悪精神崩壊を生じさせる危険性もある。

これはファティマの人格を認めず、あくまで演算兵器という『物』として徹底して扱う方がファティマの精神的負担が少ないという皮肉な結果にも繋がっている。


また、騎士に近い腕力を与えられているため、一般市民を傷付ける事がないようにするべく、「マスターのいない場合はいかなる人間に対しても反抗してはならない」という「マインドコントロール」改め「ダムゲート・コントロール」と呼ばれる感情制御プログラムが施されている。

これはファティマを制御するためのある種の安全装置的な役割を果たす措置でもあり、戦闘時にはあらゆる恐怖心・慈悲心・罪悪感を麻痺させて「騎士の命令に従って敵を殺す」という命令を遵守させるためのものでもある。

ダムゲート・コントロールは無意識レベルでファティマの自我に焼き付けられるため、無理やり逆らおうとすれば精神崩壊を起こしてしまう。


身体的特徴編集

ファティマ・マイトに生み出されるファティマたちは、大半が女性。

生物学的に女性のほうが強靭で造り易いという理由で女性のほうが多いのである。

男性型ファティマもいるが、体質的に不安定で製作に手間がかかるとのこと。また、金髪を持つ者も製作が難しいらしい。


ファティマはいずれも美しい外見を有しているが、それが裏目に出ることもあり、騎士のそばにいるファティマに対して嫉妬と偏見を持つ人々も少なくない(その美貌と長寿、戦争を助長するような存在・・・等々)。

こと戦闘等の理由で騎士を失った「はぐれファティマ」ともなると、ダムゲート・コントロールにより一般人でさえ捕獲可能なうえ何をされても逆らえないため、アンナことコンナことの対象にされてしまうケースが多い。

加えて「はぐれファティマ」となった男性型ファティマは特に悲惨な目に遭うことが多く、女性型が性的暴行や人身売買までで踏みとどまるのに対して、男性型はその美しい容姿への嫉妬やファティマを所有できる騎士への逆恨み等の理由により、一般人の男性達から極めて凄惨なリンチを受けてそのまま殺されてしまうことも珍しくない。これも男性型が女性型よりも少ない理由の一つでもあるという。



ファティマは歳を取らず非常に長命で、騎士に準ずる身体強度を持つが、ファティマとしての特性上、免疫力や自己治癒能力は常人に比べてかなり低く、病気にとても弱い。

さらにファティマの肌はとても敏感で、化学製品で出来た衣服は酷いアレルギーを引き起こしてしまうため身に付けることが出来ない(ただし、ここでいうところの化学製品とは、ジョーカー太陽星団で一般的な、元素合成で作り出された物の事であり、現実世界の地球でいうソレは(劇中のセリフを借りれば「動物の死体から作られている」ため)天然素材に分類される)。

そのため、天然素材であるシルクナイロンなど素材を用いられた専用の服が、太古の製法に基づいてわざわざ作り出されたのである。

なお、これらファティマのための衣服、「ファティマ・スーツ」は、基本的にファティマの美貌を民衆共の嫉妬やら何やらといった視線から守るため、全身を覆い隠すようなデザインとなっている・・・のだが、長い星団史の中では扇情的なデザインが流行したこともある。肩の大きく突き出したデザインが多いのも特徴。

ちなみにファティマ・スーツはメチャクチャ高価である(デカダン・スーツの量産品でも日本円換算で一着平均数千万円。戦闘服であるアシリア・セパレートでオーダーメイドの特別製ともなれば10億円以上はかかる)。


この他、ファティマの美貌を抑制して非人間的な印象を与えるため、ファティマが誕生した当初の頃は仮面の着用を義務付けられ、後の時代には眼球の表面にアイコンタクトグラスと呼ばれる有色レンズを装着させ、光の加減次第で遠目からは瞳が見えないようにされたこともあった(連載中頃までファティマの瞳が描かれていないことがあったのはこのため。プラスチック・スタイルの導入後に廃れた)。


ファティマそのものの値段も目が飛び出るほど高額(一体買うのと同額の予算でジョーカーの戦車100台分に相当)だが、さらに衣服を始めとするアレルギー対策の他、精神面のケア、肉体のメンテナンスなど、維持費だけでも安く見積もって日本円換算で年間十数億円はかかるため、軍や国家の後ろ盾無しの個人が所有するのはなかなか難しい。


ある意味、騎士によって飼われるとも言えるファティマは、軍の高い経費でまかなわれ、

これもまたひどい話であるが、戦争のために生み出された彼女達は、ファティマ・マイト(AFガーランド)と国家との間で、高額で取引されているとも言える。


ファティマは人間を越えた能力を与えられているが、ダムゲート・コントロールの存在からも解るように人権は一切無い。

その存在には、ジョーカー人の技術と夢と、「戦争のために生み出された」という残酷さが同居しているのだ。


ファティマのマスター編集

戦時下を除けば自分自身を守る権利すら無いファティマ達であるが、そんな彼女たちにも唯一許された自由がある。

それは、自分が専従するマスター(パートナー)となる騎士を自らの意志で選ぶこと


ファティマは自分と相性の良い騎士をパートナーとすることで、MH(GTM)の能力を最大限に引き出すことが出来るようになるでのある(ファティマが相性の良い騎士とそうでない騎士をパートナーにした際のMHの出力差はなんと最大で3倍差にもなる)。

そのため、彼女たちがファティマとして完成(成人)すると、『お披露目』と呼ばれるマスター選びのために第三者の見届けの下で複数の騎士との顔合わせをさせるイベントが、そのファティマを製作したマイト(ガーランド)の所属する国家によって開催されている。これは皮肉にもファティマの意思が尊重される唯一の機会ともいわれている。

なお、大々的なものでなくても3名以上の騎士級の人物が見届けていれば、略式のお披露目として認められる。

ちなみにファティマが騎士のパートナー関係になることは、俗に「嫁ぐ」「娶られる」といった言葉で表現される。あくまでも喩えであり本当に結婚したわけではないが、中には本当にファティマと婚姻関係を結ぶ者もいるにはいる(ただ、基本的にファティマとは子どもを作れないため、そこで貴重な騎士の血統が途絶えてしまうことから周囲からはあまりいい顔はされない)。


ファティマにとっての「相性が良い騎士」の基準は個体によってまちまちで、文字通りの一目惚れのようなものから、ファティマの個体特性とその騎士の長所がシナジーを持つもの、特定の血統、もはや運命としか言えないもの等、様々なものが存在するがジョーカーの科学力を以ってしても明らかになってはいない。

しかし大抵の場合、ファティマはとりあえずそのお披露目の出席者の中でも一番強い騎士をマスターに選ぶことが多いようである。


だが、これは裏を返せば彼女たちに振り向いてもらえるほどの強さや才能(或いは何らかの特性)を持たない騎士はMH(GTM)に乗ることすら出来ないという意味でもある。


そういった「弱い騎士」は当然ながら騎士にとって一般的な就職先である国家騎士団に召し抱えられることもなく、弱いと言っても一般人から見れば恐ろしい戦闘力を持った騎士の血脈である事から人権が制限されていて職業選択の自由も無いため、後方支援や諜報活動に従事する忍者や不逞騎士を取り締まる騎士警察官といった(騎士にとっての)閑職に就いて一生を日陰者として生きることを強いられてしまうのである。

後述するエトラムル・ファティマを使って傭兵騎士として生きる道もあるにはあるが、そんな「弱い騎士」が莫大な維持費のかかるMH(GTM)を抱えつつ上手く食べていけるほど、ジョーカーの戦場は甘くはないのも事実である(生家が王族や有力貴族である場合は政治家などの道もあるためこの限りではないが、それでもやはり「お家の恥」として冷遇されることが多い)。

そんなわけで、ファティマはそういった騎士たちから逆恨みされ、嫌悪や憎悪の対象となってしまうこともあるのだ。


ファティマのスペック評価編集

マイト(ガーランド)製ファティマとファクトリー・ファティマ編集

ファティマの設計と育成には特別な能力と専門の技術が必要であり、その専門家をファティマ・マイト(新設定ではAFガーランド)と言う。

これはMH(GTM)の設計を手がけるMHマイト(GTMガーランド)と同様にただの天才ではなく、かつて超帝國の時代に存在していた、物質を変換するダイバー・パワー(魔法)である「ルシェミ」(新設定では「グレイン」)が形を変えて遺伝し、発現した者である。


多くのファティマはマイトが基本フォーマットを設定・調整したファティマ・ファクトリーという工場で大量生産・一括育成された者で、これはファクトリー(工場製)・ファティマと呼ぶ(あくまでも一括大量生産されたというだけで、個体差はある)。

一方、マイトが自らの手で個別にファティマを設計・育成することもあり、特に高名なマイトが手がけたマイト製ファティマは「銘入り」と呼ばれ、一品物の高級ブランド品扱いされる。


マイト製ファティマとファクトリー・ファティマの性能を単純に比較すると、当然ながら前者が遥かに勝っており、ファクトリー・ファティマは能力はそれなりのレベルでまとまっていることが多い。

しかし、マイト製ファティマは高性能さと引き換えに精神的に不安定な傾向にあり、上手く扱うには騎士にも高い能力が要求される。一方、ファクトリー・ファティマはそこそこの性能ではあるものの、精神的にも肉体的にも概ね安定しており、兵器としての信頼性・汎用性ではこちらの方が上であるとも言える(マイト製を速くても故障の多い大排気量のスーパーカーとするならば、工場製は頑丈で好燃費な国産車と喩えられる)。


また、ファティマの能力について数値やカタログスペックだけで判断できない重要な要素として戦闘経験値が挙げられる。

たとえスペック上は平均的なファクトリー・ファティマであっても戦闘経験を長く豊富に積めば、戦闘経験の少ないハイスペックな銘入りファティマに打ち勝つことすら可能となるのである。但し、それだけ長く生き抜いてきた百戦錬磨のファティマを得ることは難しい。


フルゲージ編集

ファティマのスペックを評価するにはフルゲージと呼ばれる区分が使用される。フルゲージはパワーゲージクリアランスに分けられる。

パワーゲージは能力を機械的に測定したランク分けで、クリアランスは相対的な総合評価(品格、扱いやすさ)を指す。


  • パワーゲージ

戦闘能力・MH(GTM)制御・演算性能・肉体耐久・精神安定の5項目で表され、上から順に3A、2A、A、B1、B2、C、D1、D2、Eと格付けされる。

ファクトリー・ファティマはだいたいB1~C程度で、マイト製でも一般的にはAが最高値だが、銘入りファティマともなると2Aや3Aに届く怪物級も存在する(劇中に登場するファティマ達には2A持ちがゴロゴロいるためイマイチわかりづらいが、本来はパワーゲージにAが一つでもあれば周囲に羨ましがられる程の高級ファティマである)。

ただし戦闘能力が3Aになると、これはもはや並の騎士を超える能力となり、全ての騎士にとって確実に制御出来る保証が無くなるため星団法違反となる。

また、D2、Eは廃棄対象とされる(ただし、廃棄対象範囲のパワーゲージを含むものの、それ以外の能力が際立って優れているため「表向きには」廃棄処分済扱いとして用いられているファティマも存在するが)。


  • クリアランス

ファティマの総合的な品質を示す評価区分。上から順にVVS1、VVS2、VS1、VS2、S1、S2と格付けされる。Vは「Very」、Sは「Slightly」の意。

戦闘用ファティマの八割は平均値であるVS2に属し、S1は非戦闘用ファティマが多い。S2になるとファティマとしての目的を果たせないと判断され、廃棄対象となる。

戦闘兵器としての優秀さを示す値でもあるため、当然ながら多くの騎士はよりクリアランスの高いファティマを求める。


また、通常のクリアランスとは別にF(フローレス)というクリアランスが存在する。

これは他のファティマとは別格扱いとする称号であり、製造後の経歴によって特別に認められたファティマにのみ与えられる。いわば人間国宝文化遺産のようなもの。

存在そのものの価値を示す称号であり、技術的・歴史的な意義も考慮されるため、必ずしも性能が優れていなければならないというわけではない。


成長タイプ編集

ファティマは一定年齢の外見に達するまで育成ポッドで育成され、有機合成技術により生育が早められており、約20年以上かけて完成する(通常、ジョーカー人は成人まで90年かかり、寿命が300歳と地球人に比べて長命)。成体に達すると、必要に応じてある成長段階で成長が止められ、それぞれS・M・L型のタイプに分類される(いくつか例外もある)。

育成を止めると、その時点でファティマは歳をとらなくなる。


  • S型(少女・少年型・地球人換算で14 ~ 15歳程度)

最も幼い段階で成長を止めたもの。細胞が若い分、成長の伸びしろの幅が大きく、後の経験次第で強力なファティマになれる可能性を持つ。

しかし、精神や肉体が幼く不安定で、筋力も弱くパワー不足になりがちで、ストレスで精神崩壊を起こす可能性もある。生産効率上、生産数は最も多く、ファティマ全体の6割程度がS型とされる。

  • M型(乙女・青年型・地球人換算で16 ~ 17歳程度)

S型とL型の中間タイプで、両者の長所と短所を併せ持つ。ファティマ全体の3割程度がM型とされる。

  • L型(成女・成人型・地球人換算で18 ~ 20歳程度)

精神面および肉体面が最も成熟した時点で成長を止めたもの。性能的にも精神的にも安定しており、ストレスなどによる機能障害はほとんど起こらず、また肉体的にも騎士に準ずる筋力と身体強度を発揮できる。

反面、経験による後天的な成長が殆ど見込めず、成人直後のスペックを維持し続ける。また、成長させる手間や時間がかかる分、生産コストも高くつくため、生産数も全体の約1割と少ない。

良くも悪くも安定型だが、その分だけ兵器としての信頼性は最も高いため、実戦重視の騎士や戦闘経験豊富なベテラン騎士などに重宝される傾向にある。


エトラムル・ファティマ編集

MH(GTM)のコントロールのみに特化した非人間型ファティマ。

自我らしいものは無く、直接MH(GTM)に埋め込んで運用される完全なる有機コンピューターである。

人工生命体であるファティマを非道徳的とする考えや、ファティマの育成にかかる時間を短縮しようとする動きの中でガリュー・エトラムル博士が考案したもので、レディオス・ソープ曰く「(演算兵器として)ある意味最も正しい姿のファティマ」

慣れた者が見れば騎体の動きだけでエトラムル搭載型か見分けることができる模様。

ソープによればエトラムル搭載型は「動きに優雅さが無い」とのこと。


能力に際立った物があるわけではなく、通常のファティマのように戦闘経験や騎士との信頼関係に基づいて直感的な判断を下したり、MH(GTM)の『母親』としてMH(GTM)の戦闘中の恐怖や興奮といった感情をリアルタイムでケアすることもできない。

一方、かつてGTMで使われていたガス型人工頭脳シン・ファイアに近いロジックを持つことから、GTMとの信号会話で使われる輪波理論の処理速度が人間型ファティマよりも早いという特性を持つ。

さらに低コストかつ7~10年程度の短期間で育成できることに加え、通常のファティマと違って精神的な不調等が無く安定した性能を発揮する為、こちらを好んで使う騎士も多い。

また、ある意味非人道的な存在である通常のファティマを使うことを嫌う騎士にも愛用される。


ちなみに「有名マイト(ガーランド)の手により制作されたエトラムル・ファティマ」も存在する。通常のエトラムルと違い調整を必要とするが、性能は通常のエトラムルを上回る。

なお、星団暦4000年代以降はこちらが主流となっている。


一般的なエトラムルの見た目は生体器官がむき出しとなった、さながら巨大なミジンコのようなちょっとグロテスクなものだが、マイト(ガーランド)製エトラムル・ファティマはまるで女神妖精胸像を思わせる美しい見た目を持つ。


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