マギウス(マギアレコード)
まぎうす
「魔法少女達の救済」=「魔女化の回避」を掲げる、魔法少女たちの組織『マギウスの翼』(黒羽根・白羽根ら)を束ねる存在。メインストーリー4章でその存在が語られ、第5章から第7章にかけて1人ずつ登場した。
本作の様々な事件を起こしている張本人であり、神浜市に出没する様々なウワサやドッペルの存在に深く関わりを持つ。そのため、いろは・やちよらと対立する。
アリナ・グレイ、里見灯花、柊ねむの3人から成る。このうち、ねむと灯花は環ういの入院友達であり、いろはも2人とは面識がある。しかし、当の2人にその記憶はない。
また、ドッペルを灯花、ウワサをねむがそれぞれ創造したことが判明している。
東方の三賢人のことはラテン語でMagiといい、これがマギウスのモチーフだろう。また、「魔法使いたち」という意味の男性複数名詞でもある。男性単数形ならMagusになる。
女性複数形はMagaeのはずだが大目に見てあげよう。
ちなみに女性単数形はMagaである。
マギウスの翼たちの主要な活動としては、「魔女の育成」「ウワサの創造」「魔法少女の更なる勧誘」である。
その目的は後述するが、重要なのはこれらの手段が一般人を巻き込んでいる点であり、やちよたちとの衝突もここに起因する。
結局、マギウスの翼たちと他魔法少女たちの違いは「自分の命と周りの命を天秤にかけ、どちらに傾かせるべきか」(都ひなののセリフ)への答えの違いである。
また、いろははその目的自体には賛成しており、マギウスとは違う解放の手段、つまるところマギウスへの対案を模索している。
初期こそ穏便に活動をしていたマギウスの翼だったが、そんなこととはつゆしらぬななみけはマギウスが育成しているウワサを次々と撃破。しびれを切らしたマギウスは段々と過激になっていく。
アリナが堂々とエキサイトを見せつけてくるのはまだ序の口。「講義」と称してみかづき荘のメンバーに加えてまどからも含む面々を招待し、魔女化の事実を突きつけたのはいいものの寝返りを難しいと判断するや否やフェリシアらを洗脳魔法で強引に居留、鶴乃に至ってはウワサと合体させ、さらに第8章では黒羽根・白羽根をウワサによって狂暴化、神浜全域で魔法少女を無差別攻撃させるという暴挙に出るなど、手段も見栄も選ばぬようになっている。ついにはワルプルギスの夜を故意に呼び出し、いろはを拉致するにまでに至った。
しかしこれらの行動(特に無差別攻撃)は「救済」の大義名分すらも薄れさせ非傘下の魔法少女たちの結束・協力を招いており、正直悪手。
そして、彼女たちがここまでウワサや魔女を守ろうとする理由。
メインストーリー第7章にて、灯花達の口からマギウスの翼、というよりマギウス三人の計画の全貌が明かされた。
それは、神浜市を魔女化の起きない魔法少女にとっての理想郷とすることに成功したため、次の段階としてこの理想郷を全世界に広げることを計画。そのために不可欠なのはエンブリオ・イブという謎の存在を孵化させることである。
「イブの孵化」には大量のエネルギーが必要で、彼女らは魔女が溜め込んでいる呪いの力やウワサの所業による人々の喜びや悲しみの力などの感情エネルギー、また理論は不明だが魔法少女そのものを餌にすることができ、それらのエネルギーを孵化にあてている。魔女やウワサが大事なのはこのため。「イブの孵化」によって魔法少女の魔女化がなくなれば、人類はキュゥべえから完全に独立し、宇宙から認められる。
すると―――
灯花は人類何万年かけても知れないような宇宙の全てを知ることができ
ねむはこの地球そのものを原稿としてあらゆる物語を具現化でき
アリナは自身のアートワークを永遠の生の象徴として君臨させ、宇宙規模のアートにソウルを委ねることができ
そして魔法少女は救われてみんなハッピーハッピー……
つまり彼女ら三人は己の欲望の為に地球や宇宙そのものを自己表現の道具にしようと企んでおり、魔法少女の救済はどうやら「ついで」ぐらいにしか考えていないのである。(当然自分が魔女化したら作品制作もクソもないので解放は必須条件なのだが)
また、話のスケールが宇宙レベルにまで拡大しているため、灯花達のような天才でなければついていけなくなってしまっていることも問題と言えよう。マギウスの話を実際に聞いたももこは驚愕を通り越してあきれ顔、フェリシアは脳が理解が追いつかず硬直していた。
十七夜とやちよはそれぞれマギウスの常軌を逸した言動を「獣」「歪んだ天才」と評したほか、やちよは何よりも魔法少女を救うために一般人を平気で犠牲にすることを強く非難していた。
いろはがイブの弱点である宝石を破壊し、その中にいたういと小さいキュゥべえが接触したことによって、灯花とねむは本来の記憶を取り戻す。
2人がまだ入院していた頃、灯花は叔父が残した原稿によって魔法少女の存在を知り、うい・ねむと共に魔女の結界に迷い込んでいたところを、魔法少女となったいろはに救われ、初めてキュゥべえと対面する。
しばらくして、灯花は自分の元に契約の話を持ちかけてきたキュゥべえから魔法少女についての話を訊き、魔法少女の運命を知る。苦しんでいるいろはを助けたいと考えるうい・ねむに対してある提案を持ちかける。
それは自分たち3人が契約して、キュゥべえが保有する機能を奪うことによって「自動浄化システム」を作り出すことだった。
「自動浄化システム」とは、灯花・ねむに溜まった穢れをういが「回収」の力で集め、次にその穢れを灯花が魔法少女が自在に使うことができる魔力に「変換」し、最後にそのエネルギーをねむが「具現」の力で実体化させ宇宙に送り出すというものだった。
2人はその提案に乗り、3人は予定通り契約してキュゥべえの機能を奪う。
しかし、その望みを叶えた代償として、「回収」の力が暴走。灯花の「変換」・ねむの「具現」が間に合わないほど急速にういが穢れを溜め込み始める。魔女化しかけたういを救うために、灯花とねむは様子を見に来たアリナに協力を仰ぐ。アリナが作った被膜の中で、ねむは「ストーリーの具現化」という形でういの魂を世界から切り離し、機能を奪われたキュゥべえの中にその魂を封印する。
その結果、灯花・ねむ・アリナの記憶は改竄され、それぞれの目的は上記のような歪なものとなり、マギウスが誕生したわけである。