「2年E組、九能帯刀。剣道部主将。
連戦連勝、高校剣道界期待の超新星。
人呼んで風林館高校の蒼い雷」
声優:鈴置洋孝(1989年版、熱闘編)、辻谷耕史(熱闘編の一部エピソード代役、OVA)、杉田智和(2024年版)
解説
九能流剣法の達人。二年E組。剣道部主将。
莫大な資産を持つ名家、九能家の長男。実は九能家は本作においても珍しい、家族全員が武術家という武術一家である。
連載最初期における主人公のライバル的存在。何度か実力を引き離され出番も一時期激減するが……。
人物
自他ともに認めるかなりの美男子で黙っていればクールでモテる。問題はその性格。ぶっちゃけナルシスト。自分のことを「顔良し、姿良し、裕福な上に人格者で強くて賢い」と本気で思っている。
風林館高校の男子生徒曰く「風林館高校最強の男」であると同時に「風林館高校最悪の変態」。
基本的に知り合いは「早乙女乱馬」「天道あかね」「天道なびき」などフルネームで呼ぶ癖がある(当初は「あかね君」と呼んでいた)。
「顔良し、姿良し」の自称に違わず美形であることは確かであり、彼の性格面での残念さを知らない女性からはもてているシーンも多数ある。
父親のせいで負った、幼少期の体験に由来する大きなトラウマから自身の頭髪に並々ならぬ執着を示す時がある。特に坊主頭への拒絶反応はものすごい。
当初はあかねだけに惚れていたため「あかね君と交際したくば戦って勝て! それ以外の交際申し込みは僕が許さん!」と、あかねの意思を無視して提唱。九能を敵に回してはたまらないということで、あかねは毎朝男子生徒に襲われるということが続いていた(つまりそれだけあかねが魅力的で、九能が恐れられているということである)。
この毎朝登校するたびに繰り返される乱痴気騒ぎが原因で、その鬱陶しさにあかねはすっかり男嫌いになってしまい、これは乱馬が九能を瞬殺するまで続いた。
惚れっぽさについて
天道あかねと女らんまの両方に惚れているが、二股をかけるつもりはなく、どちらを選ぶべきか真剣に悩んでいる。
一方で大変惚れやすい性格(というか相手が自分に惚れていると勘違いしやすい)。しかし、あかねとらんまに対する想いは深い。ちなみに記憶喪失(後述)になっている間は「おさげの女」の方に想いを寄せていた(先にあかねを見たことで交際を申し込んだが、その後はらんまに対して一途になっていた)。
ちなみに一瞬だけだがシャンプーに対しても「君も僕に惚れているのか?」と勘違いしたことがある。
一方で今条マリ子に惚れられた時には、真剣に自分を愛してくれる(さらには自らのアプローチをもってなおおさげの女に惹かれる九能の姿を目の当たりにして身を引こうという素振りさえ見せた)彼女の姿に「お前の事も好きだぞ」と引き留めたり、それを喜ぶ彼女の姿を「いじらしい」と評したり節操の無い真似をしていたりする。てめえという奴はフロントキーック!!
性格
こう書くとロクでもない人間に思えるが根は善良。意味もなく人を傷つけたり罵ったりはせず、普通に接する分には問題はない。
思い込みこそ激しいが自分を「人格者」と見ており、それを裏切ることなく行動する。良くも悪くも自分に誠実な人間である(たまに愛情から暴走することもあるがご愛嬌)。
三つの願いを叶えるという満願丸を引き抜いた時も「(今の自分に満足している僕に)3つの願いは多すぎる」と本気で悩むなど欲深さもない。
乱馬が弱体化したと聞いた時は他のライバルたちと共に襲撃に来たが「弱くなった乱馬を倒しに来た」のではなく「自分に負けるのが嫌だから変な言い訳をしている」として活を入れに来たという意味合いが強い(直後に突然現れた響良牙にまとめてぶっ飛ばされた)。
アニメ版では作画の関係で原作以上の美形として描かれているが、プライドが高く高圧的なキャラクターになっている。父親に対してえらそうにふんぞり返ったり、乱馬に対する態度も原作以上に攻撃的。熱闘編では八宝斎に次いでアニメオリジナルエピソードで主役に抜擢される事が多い。
人間関係
乱馬/らんま
当初はあかねを巡って早乙女乱馬をライバル視するものの、女らんまにも倒されて惚れ、懲りることなく彼女を「おさげの女」と呼んでつけまわした。
ちなみに原作・アニメ共に最後までおさげの女の正体を知ることはなかった(原作では一度だけ「さおとめらんま」と名乗ったのを聴いてメモをしていたが)。
以後も乱馬に果たし状を手に挑んでは、あるいはらんまに抱き着こうとしては、ぶっ飛ばされる日々が続いている。そのせいか乱馬には軽く見られているところがある。
OVA版5話でらんまの背後から乳を揉んだシーンは、当時の視聴者には刺激的だったようだ。
ちなみに下記の記憶喪失のエピソード中、“らんまより自分の方が強い”と気づいたことでらんまを無理やり手籠めにしようとしたことがある。九能らしくない行いであるが記憶喪失による性格変化の影響もあるのだろう。
天道なびき
クラスメイトであり、彼女とはあかねや女らんまの写真を売り買いする仲。
しかし人格者を自負する九能にとってなびきは最も嫌いなタイプであり、どちらかと言えば腐れ縁や相互利用の関係に近く、お互いに「写真(金)のことがなければ、強欲女(変態)などと関わり合いにはならない」と言い合って憚らない。基本的に互いに異性としては全く見ていない。
女らんまのバレバレの嘘告白や下手な色仕掛けにはあっさり騙されるのに、なびきが同じことをしても全く意に介さず、それどころか鳥肌を立てるほど嫌悪感を露わにすることもある。ただし、なびきが自分に本気で好意を寄せていると勘違いした際には受け入れようとしたこともあり、心底から嫌っているわけではない模様。
九能小太刀
九能の妹・小太刀も、作中で一二を争う変態。恋敵のあかねに夜討ちをかけるなど、兄妹揃ってめんどくさい性格をしている。
どちらも似た性質なのでお互いに相手を「変態」と見ているため喧嘩をすると罵り合いになる。原作者曰く「仲が悪い」とのこと(顔を合わせるたびに喧嘩をするというほどではない)。
実は劇中において兄妹キャラはかなり珍しい。
九能校長
外国かぶれの父親とはソリが合わないのか、基本的には毛嫌いしている描写が多い。
というか幼少期から「本人(帯刀)が嫌がるにもかかわらず(成長に伴う個性の獲得構築を認めて貰えず)問答無用で力ずくで押さえ込まれて丸坊主にされる」などという(令和の観点から見れば)児童虐待も同然の事をされているので嫌うのは当たり前である(連載リアルタイムである平成中期ですらドン引きくらいはされる。まぁ昭和ならままあった事なので、それを知る者であれば受け入れるだろうが)。
とはいえ本人の資質(変態である事を度外視すれば、案外お人好しで懐が深い)もあって父への嫌悪は「まぁ遅めの反抗期」程度のものとなっているので、ガチの不仲というほど酷いモノでもない(父親の方は息子の態度に少し寂しそうにする時がある。事情を知れば「どの面下げて」とツッコミたいトコロではあろうし、何よりも父親当人にその(虐待の)自覚が無いがゆえの事でもあるので、よりタチが悪いとも言えるのだが)。
能力
パワー | ★★☆☆☆ |
---|---|
スピード | ★★☆☆☆ |
テクニック | ★★☆☆☆ |
頭脳 | ★☆☆☆☆ |
ハート | ★★★☆☆ |
スタミナ | ★★☆☆☆ |
能力設定(5段階評価)はワイド版11巻で登場。
乱馬や良牙にこそ劣るものの一般からすれば一騎当千の実力を持っており、木刀で木を切り裂いたり、突きの剣圧で石像を破壊するほどの威力を持つ。直撃すれば乱馬でも一撃で倒されるので当初は苦戦させていた(これでパワーが★2なのか……)。
しかし以後は実力差が開くばかりで、乱馬に襲い掛かるたびに軽くあしらわれるという日々を送っている。
「格闘チアリーディング編」では正体に気づいていなかったとはいえ、剣道の試合であかねを一方的に打ち据えている。
一時期出番が激減し、乱馬のライバルが次々と登場する中で実力的にも取り残されてしまった。その実力差は、乱馬に勝負を挑んだ次の瞬間に敗北するという有様だった。しかし「スイカ島」での修行によって大幅なパワーアップを果たし乱馬を圧倒するほどの実力を得ている(一度負けた乱馬の方がムキになって九能との決闘を望んだほどである)。
だが修行の過程で記憶を失っており、しかも「スイカを見ると反射的に斬る」という体質になってしまい、それに気づいた乱馬によって頭にスイカを乗せられたことでスイカごと自分の頭を叩いたことで敗北した。
ちなみに修行の理由は「おさげの女にスイカ割りを披露したい」というもので、打倒乱馬とは関係ないところで結果的に力を付けたというオチだった(最終的には「俺を倒すためにそこまで……」と九能を認めた乱馬だが、この事情を知ってシラけてしまった)。
名実ともに「風林館高校最強の男」の地位を取り戻した瞬間である。
(……ということなのでワイド版11巻の能力設定とは変化している可能性が高いとみるべきだろう。まあ、記憶が戻った後はまた乱馬との力関係が戻っているのだが……)。
アニメ版では特殊な道具の力でアドバンテージを得て乱馬に挑むという展開が何度かあった。
アニメ版
1989年版
65話では校長に見込まれた八宝斎が九能のコーチになるのだが、当初九能は「貴様のようなエロ妖怪には死んでも教わらん!」と拒否していた。しかし乱馬に惨敗を喫したことから己を見直し弟子入りを頼むことに。
だが八宝斎に九能を鍛える気などまったくなく「光速で動けるようになる秘薬(実は八宝斎の爪の垢)」の材料を集めるように告げ、上手いことに下着泥棒の片棒を担がせられてしまう。
ところが連日怒り狂った女性達に追いかけ回され八宝斎に振り回されたことがプラスに作用した上、偽薬に効き目があると思い込んだ効果で本当に実力を引き上げてしまい、乱馬との再戦では圧倒する。更には新必殺技「旋風剣」まで会得した。
しかし勝利を目前にした時、八宝斎の爪の垢で腹痛が起こり乱馬の蹴りをモロに食らって敗北してしまう。
八宝斎は薬が実は自分の爪の垢であることを皆の前でバラし、九能は腹痛に苦しみながら激怒。乱馬は思い込みの力で九能がここまで強くなったことに驚愕していた。
八宝斎「ふむ、ワシの爪の垢に本当に効果があったということじゃな」
中国寝崑崙大決戦! 掟やぶりの激闘篇!!
あかねが麒麟なる青年に拉致されたため乱馬たちと共に救出に向かう。
中盤では寝崑崙の勢力と激突するが、誰一人も一矢報いることなく打ち倒されてしまう(八宝斎ですら敗れている)。
終盤では再びあかね救出に乗り込むが、統領の麒麟1人に九能たちは圧倒され戦闘不能となる。麒麟との決着は乱馬に託された。
決戦桃幻郷! 花嫁を奪りもどせ!!
あかねたちヒロイン組が桃麿らに拉致されたため乱馬たちと共に救出に向かう。
終盤ではなびきを妻にしようとしていた巨漢・王譚(ワンタン)と対決(犬がモチーフの敵)。
攻撃は全て躱され張り手だけで圧倒される(らんまから見ても「強い」と言わしめるほどの相手だった)。持ち前の打たれ強さで奮闘するもまったく歯が立たず気絶。結局、王譚はなびきが投げた骨を取りに飛び出した結果、地面へと落下してしまった。
目を覚ました九能は「姿がないのは僕に恐れをなした!」と勝手に勝利者を気取っており、なびきも微笑を浮かべながら「そういうことにしておいてあげるわ」と呟くのだった。
超無差別決戦! 乱馬チームVS伝説の鳳凰
ゲーム作品
スーパファミコンソフト「らんま1/2 町内激闘編」と「らんま1/2 超技乱舞篇」に登場。どちらの作品でも木刀を活かしたリーチの長さと判定の強さがウリだが、機動力が乏しい傾向にある。
原作では初期以降戦闘面で目立った活躍はなかったが、ゲーム作品ではどちらでも強キャラよりの部類に当てはまる恵まれたキャラ。
「町内激闘編」では投げ技を持たないというハンデを背負わされながらも小技並に発生の早い中段技をもつため接近すれば容易に2択を迫れるうえこの中段技は投げられ判定がなくなるため接近された相手は必ず2択に付き合わなければならない運ゲーを強制されること、半飛び道具を持ち木刀のリーチを活かした牽制も強力で妹と双璧をなすぶっ壊れキャラとして君臨。
「超技乱舞編」でもリーチを活かした牽制の強さと、優秀な突進技をもち対空もそこそこ優秀で強い…の、だが最上位キャラである女らんまやマリ子を特に苦手とする事。のちの研究で触るまでが大変だが、一度触れれば一気に10割コンボを狙えるほど爆発力がある良牙とあかねの様に際立った強さは無いため強いが、地味といった立ち位置にいる。
「ストーリーモード」ではあかねとおさげの女に対する悩みを解決するべく願いを叶えるという秘法を作る材料集めに向かう。ストーリーモードではあかねと戦い、勝つと「交際しよう!」と告白する。らんまに勝つと「会いたかったぞ(すりすり)」と頬ずりしているような表現がある。
エンディングでは秘法に対して「天道あかねとおさげの女をここへ!」と呼び出してもらおうとしたが、どちらか一人だけだと断られてしまう。そこで九能が選んだのは「おさげの女」であった。願い通りにらんまを呼び出してもらった九能は、肩を抱きながら高笑いするのだった(らんまにはものすごく引かれていたが……)。
カップリング
らんま
pixivにおいては、やはり劇中の執着振りかららんまとのカップリングが多め。
なびき
こちらもクラスメイトという近しい関係もあってか人気がある。
両者の関係は利害こそあるがバカだが一途な男と余裕のある大人びたお姉さんという、一種のカップリング属性が窺える。
余談
作者の高橋留美子は九能のイメージを前作『うる星やつら』にて面堂終太郎を好演した神谷明氏が演じる事を想定して描いていたが、1989年版アニメ化の際に芝山努監督から猛反対されたという経緯がある。
ちなみに右京の苗字は久遠寺でなので注意。
2024年版キャストが杉田智和のため、坂田銀時と一緒に描かれたイラストが投稿されている。ちなみに、このイラストは誤字の『久能』でタグ付けされている。
また、以前犬夜叉では煉骨、うる星やつら(2022年版、2024年版)では、通販のパーソナリティを演じる…
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