呉軍港空襲とは、太平洋戦争における本土空襲の一つである。特に第二次空襲では、ほぼ全ての艦が着底・航行不能などの被害を受け、工廠施設も破壊され、大日本帝国海軍は組織的な作戦行動を行う能力を喪失した。
解説
大戦末期に決行された、アメリカを中心とした連合国軍による呉軍港への空襲。
1945年3月19日と、同年7月24日・28日の二度に渡って決行された。
なお、軍港への空襲とは別に、呉市では6月22日には工廠への空襲、7月1日には呉市街地への空襲を受け、それぞれ大きな被害を出している。
第一次空襲(3月19日)
連合国軍は、米軍のマーク・ミッチャー中将率いる第58任務部隊から航空機350機が出撃、空襲に参加した。
対する日本は松山基地の「三四三航空隊」が迎撃に出動し、米軍機56機(米軍側では14機)を撃墜したと記録されている。また陸上爆撃機銀河によって米軍空母フランクリンを大破に追いやり、神風特攻隊によって護衛空母と駆逐艦各一隻が損害を受けている。
被害
結果的に被害は少なく終わり、海軍の保有する艦船への被害も小さかった。
戦艦
航空母艦
巡洋艦
潜水艦
第二次空襲(7月24日/28日)
二日に渡って決行された大空襲。
連合国軍側は、米軍のウィリアム・ハルゼー大将率いる第38任務部隊による950機という大部隊での爆撃を敢行。日本も再び「三四三航空隊」を出撃させ、地上・海上からも高角砲による対空砲火で迎撃するも、多くの艦船が大破着底となり、甚大な被害を及ぼした。
この空襲により呉港は、工廠施設にも大きな被害を受けたことで軍港としての機能を完全に喪失し、日本海軍は致命的な打撃を受けることとなった。
被害
ほとんどの艦船が甚大な被害を受け、使用不能となってしまった。
戦艦
- 榛名/大破着底
- 伊勢/大破着底
- 日向/大破着底
航空母艦
- 天城/転覆
- 葛城/小破
- 鳳翔/損傷
- 龍鳳/損傷
巡洋艦
駆逐艦
その他
建造中だった空母阿蘇、潜水艦伊404が損害を受け、伊404は機密保持のために処分されてしまった。
また呉港以外の周辺地域や、日本海軍所属の艦船が停泊する港にも、同時刻帯に爆撃が敢行されている。
これにより、広島湾にいた標的艦・摂津と、三重県尾鷲湾にいた空母・海鷹が大破着底。大分県別府湾にいた潜水母艦・駒橋が被爆。山口県祝島の南方ににいた松型駆逐艦の萩と岡山県沖にいた同型艦の椿も損傷した。
呉は日本海軍の一大根拠地の軍港であり、勤務する者達はその防衛力を信じきって、空襲警報が鳴っているにも拘らず退避しない者も多く、犠牲を増やしたとも言う。
市街地への被害
特に第二次空襲では軍港周辺の民家なども被害に遭っており、400人ともいわれる民間の死傷者を出している。それから9日後、広島にはさらなる悲劇が待っていた……。
Pixivでは……
DMM.comのオンラインSLG『艦隊これくしょん』のキャラクター・艦娘たちの幾人かが、呉で最期を迎えたことを言及している。
そのため、空襲に関与したキャラクターたちによる集合絵として描かれている。特に榛名や伊勢型姉妹、青葉らを描いた絵が多いもの特徴。
関連タグ
この世界の片隅に 同空襲を民間人の視点から描いた場面がある。