「一千年前はるばる中国からやってきた吸血鬼……泣く子も黙る夜叉とは俺様のことだ!!」
アニメ版「墓場鬼太郎」より
概要
CV:杉浦宏策(第1作)、槐柳二(第3作)、橋本晃一(第4作)、大友龍三郎(第5作)、秋元羊介(第6作)
ギターやヴァイオリンなどの弦楽器の音色で相手に催眠術をかけ魂を抜き取って食べる。
このギター催眠術の威力は、鬼太郎さえあっさりと操ってしまうほどに強力。
楽器を弾いているのは人形(アニメ第3作と5作では憑依された人間)で本体は長い髪の毛の塊。
ちなみに原作漫画「夜叉」では、操る人形のデザインは「墓場鬼太郎」時代の夜叉が相打ちになったドラキュラ四世そのものだった。
原作漫画では中国から渡ってきた妖怪として登場。以降の作品でも中国妖怪として扱われるが、本来の夜叉はインド神話に由来する魔族のこと。聊斎志異など中国の文学にも登場するので野暮なツッコミはここでは避ける。
正太少年の魂や鬼太郎の魂を抜き取り、鬼太郎の魂を奪還しにきた目玉おやじを食べてしまい、子供を拐かそうとしたところを妨害に合っただけでなく、復活した鬼太郎にボコボコにされる。
ならばと髪の毛の正体を表すが、カメレオンの術に翻弄され、目玉おやじによって荼毘に伏された。
アニメ1作目では貧しいギタリスト兼風船売りのフリをしており、卒塔婆であっさり昏倒することから妖怪ではないと信用を得て、街からバスで疎開する子供達を狙うなどの狡猾さを見せる。
仁王像や鬼面に憑依して鬼太郎を苦しめるが、最期はつるべ火に燃やされてあの世行きとなった。
アニメ3作目ではギタリストの響ワタルに憑依し、スランプから脱却させてやるという契約で人々から魂を奪っていた。
潜伏先でユメコにターゲットを定めた事が仇となり、鬼太郎のカメレオンの術に翻弄され、ねずみ男の屁を利用した火炎放射で火葬された。元に戻ったワタルはスランプから脱却できた模様。
こちらでは中国にいた頃は琵琶で悪さをしていたことになっている。
アニメ4作と5作ではいずれも「3話」に登場する。
4作目では傀儡に目はなく、目は本体にある。
墓場で人魂を貪っており、特に人魂を煮て食べるのが好き(なお、魂が煮られると持ち主も苦しむ)。
また、地下鉄の横に作ったトンネル内を根城としていたが、そのトンネルは奈落に通じる深い穴があり、その下にうごめく「死霊ども」となぜか共生していた。
しかし、ねずみ男の魂を食らったせいで腹を下し(傀儡も苦しんでいるが、よく見ると傀儡は汗をかかず、髪の毛だけが発汗している)、口直しと称してギターの音色で子供の魂を奪い取ったが、消化しきれなかったねずみ男の魂を吐き出してしまう。
その後は夜叉の妖気を追ってきた鬼太郎にアジトまで踏み込まれる。それでも音響催眠術で鬼太郎を操り、死霊どもが蠢く穴に落とすが、そこで猫娘の奇襲を受けてギターを破壊される。
夜叉は傀儡から脱出して猫娘を襲撃するも、ギターを失ったことで鬼太郎も空気ポンプの術で脱出。髪の毛針の直撃を目に浴びただけでなく、鍋の熱湯を食らって悶絶。そのまま奈落から現れた死霊どもに捕まり、地獄の底へと運ばれて貪り食われるという因果応報の末路を辿った。
本作ではねずみ男の死の描写、魂を抜かれた子供達が短いカットで連続してアップで映る、死霊に引きずり込まれる夜叉の絶叫、ラストシーンの余韻など、かなりホラー要素が多い。
5作では鬼太郎・目玉おやじ・猫娘の言動からボンボン版同様、過去に一度戦った事がある模様(過去のシリーズとの繋がりは不明だが、脚本担当の長谷川圭一氏の発言から、第4シリーズの夜叉ではないかと仄めかされている)。当初はバイオリニストの月野小夜子と彼女のファンを狙っていたと思われたが、実は小夜子自身が夜叉であった(3作の響ワタル同様、スランプに陥っていた彼女を唆して憑依していた)。こちらは魂を抜き取った人間を夜叉のようにして操る事ができ、これで小夜子のファンを囮にして鬼太郎たちを撹乱していたが、最期は髪の毛の癖に体内電気を浴びて死ぬという呆気ない末路を遂げた。
6作ではサンタクロースの姿に扮して子供の生命力を吸い取っていたが、通報を聞きつけた警察官によって逮捕されてしまう…が、傀儡は生命力を吸い取られた人間であり、本体は分離してまんまと逃げ去っていたのである。
自分を妨害してきたまなを執拗に付け狙うが、最期は鬼太郎と猫娘に退治された。
こちらでは白髪の姿をしている。
なお、第3作の夜叉はモーツァルトやビートルズの曲も夜叉の手引きで生まれたものという設定が本人の口から語られており、相当な年月を生き、数々の国々で悪事を働いている事が窺える。
夜叉一族
夜叉の甥や姪で構成された集団。夜叉姫という個体が筆頭。
レンタルビデオ店(ビデオは催眠効果付き)を経営しながら夜叉の仇討ちを狙う。
虎や熊などの猛獣に取り付いたり、合体して夜叉獣という巨大な怪物となる事が可能。
墓場鬼太郎版
CV:堀秀行
千年前に中国から渡来した吸血妖怪。
なんらかの理由により、東北の寒村で墓に埋められていたが、昭和6年、夜叉の存在を確信していた有馬汎という理学博士が執念で発掘。
この墓の表層には魔除けとして鰯の頭が大量に埋められていたが、有馬博士がそれも掘り起こしたため、飢えた野ネズミが大量に出現、老齢で瀕死の有馬博士の肉までかじってしまう。
そのために大量流血した有馬博士の血が夜叉に注ぎ込まれていき、数百年ぶりの血を吸ったことで復活を遂げた。
その後は日本各地で密かに血を吸っていたが、昭和36年に偶然鬼太郎を発見、魂を抜き取って支配下に置く。
その後は鬼太郎を操ってヴァイオリンの音色で人々を操り捕食したり、下宿屋を経営しながら入居者の血を吸っていた。
音響催眠術はこのころから披露していて、「ガイコツ節」なる曲を鬼太郎にひかせて多数の人間を餌場に導き捕食する。
しかし下宿屋を訪れたのが、売れない漫画家とねずみ男に加えて、同じ吸血鬼であるドラキュラ四世であったため、獲物を巡ってドラキュラと争うことになる。
結果、相討ちとなって死亡。
マガジン「墓場の鬼太郎(のち「ゲゲゲの鬼太郎」改題)」版「夜叉」及びそれがベースとなったアニメ版に登場する夜叉とは、同じ外見の同種族ながら魂ではなく血を吸う別個体である。
そのためか、墓場鬼太郎の夜叉篇から怪奇一番勝負までのエピソードをゲゲゲの鬼太郎に置き換えてリメイクした「鬼太郎夜話」では、牛鬼に置き換えられている。
実写版
演:ソ・ジソブ
実写版第2作『千年呪い歌』に登場。
ぬらりひょんの客分である東アジア(特にどの地域かは明言されていない)の妖怪。髪色は5期同様に緑色。
他者の生命に一切の価値を見出さない冷酷な性格。今までの夜叉同様に弦楽器を携えている。(今回は胡弓)
客分として呼ばれるだけはある高い戦闘力を誇り、弓と一体化した刀を武器としており、胡弓を弾いて毛針のような針を射出し、さらに弾いて力を溜めると骸骨があしらわれたパーツから強力なビームを放てる。このビームは鬼太郎を吹き飛ばし、ぬりかべを貫通する程の威力を誇る。
作中では手始めに鬼太郎に敗走したさとりを始末し、ぬらりひょんのアジトに乗り込んできた鬼太郎達と対峙。ぬらりひょんの言葉に動揺した鬼太郎を刺し貫こうとするが猫娘に妨害される。激昂した鬼太郎とのせめぎ合いを制して今度こそトドメを刺そうとするが砂かけばばあの砂太鼓に翻弄され取り逃がす。
その後楓を救出に来た鬼太郎達と再度対峙。子泣き爺の石化を針の連続射出で解除させ、増援に来たぬりかべもビームで貫き、大ダメージを負わせた。最期は鬼太郎との一騎打ちで子泣き爺の杖にちゃんちゃんこを巻き付けた擬似的な剣で弓の弦を破壊され、刀を掴まれ至近距離の体内電気を喰らい敗北した。
劇中ではあまり喋らない無表情で寡黙なキャラクターだったが、ぬりかべの増援や鬼太郎の参戦の際にニヤついたり、鬼太郎に弦を破壊された際には目を丸くして弦を見つめる等、ある意味感情が表に出やすいタイプのようだ。
ノベライズでは原作同様髪の毛が本体であると明言されており、こちらでは元は優しい性格だったのが、それを快く思わない父によって冷酷な性格に変貌し、一族を滅ぼした。
倒されるのは劇場版と同じだが、こちらでは生存している。
専用BGMは『夜叉〜修羅の妖怪』(作曲:高梨康治)。弦楽器の要素を多分に取り入れており、強敵である彼に相応しいシリアスな曲調が特徴的。
このように歴代夜叉の中でも本作が頭一つ抜けた扱いをされている。
シナ夜叉/女夜叉
巨大な頭でイノシシのような鼻と牙を持つ妖怪。妖怪図鑑などによる解説によれば、人間の心を良く知り、七つの音色を使い、八つの物に化ける人喰いの妖怪と解説されている。
なお、デザイン自体はメキシコの面をモチーフにしている。
伝承における“女性の夜叉”についてはヤクシニーを参照のこと。
シナ夜叉
CV:緒方敏也
恐山の妖怪血液銀行を狙う吸血妖怪軍団の一員。アニメでの名前は「吸血夜叉」。
特技は地中を自在に掘り進む事と牙を活かした突撃。
女夜叉
CV:津田延代
金蚕虫という虫を使って蛭を改造し、妖力に強い耐性を持つヒ一族を作り出した。
ヒ一族からは「夜叉神さま」と呼ばれる。
ちなみに80年代版鬼太郎第10話でもイメージイラストとして登場している。
余談
鬼太郎シリーズには、同様に音楽で人を操り餌食とする妖怪として、霧の中のジョニーまたは吸血鬼エリートという吸血鬼が登場する。