概要
原作のタイトル名は『妖怪ラリー』。
ストーリーの内容は、主人公・鬼太郎を始めとする世界各国の強豪妖怪達が、優勝者となる1位の座を賭けてモータースポーツの『ラリー』を行う展開となっている。
バックベアードを始めとする世界各国の強豪妖怪が共演する所謂「お祭り的展開」の為か人気は高く、原作の他にも第1期、第3期、第4期等においてアニメ版が描かれ、それぞれにおいてレース開催の経緯やラリーの出場者、優勝者の獲得する物、司会者及び審判の設定等に独自のアレンジが加えられており、「世界各国の代表妖怪達でレースを行う」以外はほぼ別物になっていると言っても良い。
しかし、第5期以降のアニメでは出場する西洋妖怪達の結び付きが強くなりアンフェアな内容になってしまう可能性が考慮された為か、妖怪ラリーを原作としたアニメストーリーは描かれなくなり、残念に思う古参のファンも少なくない。
まあ、「見た目が15歳未満の子供である鬼太郎が自動車の運転だけでなくラリーを行う」というのが、放送的に問題と見なされた可能性もあるが…。
なお、出場者達の運転する車はいずれもクラシックなデザインばかりで、ラリーに向いているとは言い難い代物となっている(第4期に至っては、業務用のトラックや農耕用のトラクターで出場している妖怪もいる)。
各ストーリー
原作
ある民間放送局へ行ったねずみ男は、「自分の実況放送で誰もが見た事の無い妖怪ラリーを見せる」と売り込み、「チョコレート1ダース」という破格の条件だった為、放送局はそれを了承。一反木綿には分け前としてチョコレートの二枚を与え協力させる。
そんな中、妖怪ラリーが開催される事になった佐渡島では、海坊主の子供が妖怪ラリーに出場するバックベアードの運転する車に跳ねられてしまう事件が発生。フランケンシュタインや狼男といった他の妖怪ラリーに出場する妖怪達共々、横柄な態度を向けるベアードに怒る鬼太郎は一触即発になりかけるも、開催者であるねずみ男の仲介で「ラリーに負けた妖怪達は優勝者の言う事を聞く」という条件が設けられる事になり、ベアード、狼男、フランケンシュタイン、魔女、グレムリン、水虎、そして鬼太郎の7人による妖怪ラリーが遂に開催される事になった。
アニメ第1期
ある日、木の実を探しに山岳地帯へ入ったねずみ男は、山道で止まっている車を発見。その車がラリーに出場している車であった事にヒントを得たねずみ男は、妖怪達だけでレースを行う「妖怪ラリー」を開催し、それを売り込む事で金儲けをしようと目論む。
ねずみ男から「妖怪ラリー」の開催を聞いた鬼太郎と目玉おやじは「ねずみ男の誘いに乗って出場する妖怪なんて二流」と笑っていたが、バックベアードに水虎、狼男と二流どころか世界各国の超一流妖怪達が出場する事を聞いた鬼太郎は顔色を変えてねずみ男を問い詰める。
実は、ねずみ男は「ラリーに優勝した妖怪には開催を行う佐渡島の所有権を与える」というとんでもない宣伝(勿論、日本政府の無許可で)を行っており、かつて佐渡島が金山であった事も聞いていた出場妖怪達は、当然目の色を変えて佐渡島に集っていた。それを知った鬼太郎からビンタを炸裂されて叱責されるねずみ男だったが、予め鬼太郎をエントリーさせていたねずみ男は「鬼太郎が優勝すれば問題無い」と開き直ってしまい、佐渡島の所有権を外国の妖怪達に奪わせるわけにはいかないと鬼太郎は渋々妖怪ラリーの出場を決意する。
かくして、ベアード、狼男、グレムリン、魔女、水虎、フランケンシュタイン、そして鬼太郎による妖怪ラリーが開幕となった。
アニメ第3期
タイトル名は『世界妖怪ラリー』。本作では、ねずみ男では無くぬらりひょんが妖怪ラリーの主催者となっている。
海坊主やその息子の小坊主が暮らしていた島で、ぬらりひょんの配下である朱の盆を見かけた小坊主は、彼の後を追って洞窟の中に潜伏していたぬらりひょんの姿を発見する。ぬらりひょんは、この島で世界各国から代表として集めた妖怪達によるレースである「妖怪ラリー」を開催し、それに朱の盆を出場させて優勝させる事で、「敗北した妖怪達の出身国全ての妖怪達を支配下に置こう」という計画を立てていたのである。無論、代表として集める妖怪達は朱の盆でも勝てる決して強豪では無い妖怪達と、セコい内容であった。
だが、手違いによって世界各国の中でも強豪レベルの妖怪達の耳に入ってしまい、敗北した妖怪達の出身国の妖怪達を全て支配出来る事を聞いた彼等は、レースの開催される島へと集い始めてしまう。当然、朱の盆では勝てる見込みのない状況となった事に焦ったぬらりひょんは、急遽鬼太郎を朱の盆に代わる日本代表としてエントリーさせ、世界各国の強豪妖怪達とぶつけさせようとする。
日本代表となっている鬼太郎がいつまでも来ない事に苛立った世界各国の強豪妖怪達は好き勝手に町中を暴れ回る。街の家屋破壊され、子供はひき逃げされ、更に赤子を上空から地面に叩きつける等、暴虐の限りを尽くす彼等の前に、何も事情を知らないまま小坊主に呼び出された鬼太郎達が現れ、今回の騒動の原因がぬらりひょんにある事を聞いた鬼太郎は、出場しなければ島の住民達に危険が及ぶと考え、止む無く出場を決意。魔女、グレムリン、フランケンシュタイン、狼男、水虎、ベアード、鬼太郎による妖怪ラリーが開幕となった。
アニメ第4期
タイトル名は『激走!妖怪ラリー』。今回もラリーの主催者はぬらりひょんである。また、これまでの出場者の中でグレムリンが脱落したのに対し、新たにのっぺらぼうや猫仙人、そしてねずみ男が参戦する事になっている。
夕方の中、カラス達と共に空の散歩を楽しむ鬼太郎と目玉おやじの親子であったが、そんな中でアメリカの強豪妖怪であるバックベアードが山中で自動車事故を起こしている姿を目撃する。それに続く形で狼男や魔女、フランケンシュタイン、水虎といった世界各国の強豪妖怪達までもが、ベアードと同じく自動車に乗ってある方向へと向かっており、更にはやはり自動車に乗っていたのっぺらぼうや猫仙人とも遭遇。しかも彼等は、以前会った時とは打って変わって狂暴で攻撃的な態度を見せ、鬼太郎を自動車で轢き殺そうとし、間一髪でそれをかわした鬼太郎達は戸惑いを隠せなかった。
そこへ、妖怪自動車に乗ってやってきたねずみ男と遭遇。彼が自殺や遭難の名所で知られる青木ヶ原の樹海で開催される「妖怪ラリー」の鬼太郎宛てに届けられた招待状を勝手に見て出場しようとしていたのを聞いて呆れる鬼太郎であったが、妖怪ラリーの優勝者には月の光にかざす事でどんな願い事でも一つだけ叶えられるという伝説の秘石「妖怪石」が与えられる事を聞かされ、ベアード達の手にそれが渡ってしまう事を危惧した目玉おやじは、それを阻止するよう鬼太郎に指示。鬼太郎は妖怪自動車をねずみ男から強奪して出場を決意し、諦めきれなかったねずみ男もまた、業務用トラックを奪って鬼太郎の後を追う。会場達に集った鬼太郎達の前に現れた髑髏の審判の指示により、鬼太郎、ねずみ男、のっぺらぼう、猫仙人、水虎、フランケンシュタイン、魔女、狼男、ベアードの9人による妖怪ラリーが開幕となった。
実は、この妖怪ラリーの黒幕で妖怪石を賞品としてちらつかせていたぬらりひょんには、別の巧妙な思惑が隠されていた。ぬらりひょんの真の狙いは、鬼太郎を始めとする世界各国の妖怪達を、デスマッチレースによって全員抹殺し、更には予め世界中の妖怪達に配布したラリーの内容を放送させる妖怪テレビに狂暴化させる「凶悪静電気の粒子(一種の催眠術)」を仕込み、最終的に各国の強豪妖怪を失った世界中の狂暴化した妖怪達を妖怪石の力で支配下に置こうとしたのである。
主催者の正体が分からないままである中、招待状に仕込まれた「凶悪粉」の影響を受けていた鬼太郎以外の出場妖怪達は醜く争い合い、更にはチェックポイントを規定時間内に通過出来なかった妖怪達は爆死し、コースアウトしてしまった妖怪達はマグマの中に落ちて焼け死ぬ等、悪意に満ちた仕掛けの数々に怒りを震わせた鬼太郎は、必ずラリーを制して主催者を懲らしめる事を決意するのだった。