概要
最新のサイバーセキュリティに関する知識・技能を有する専門家であることを証明する、経済産業省認定の国家資格。略称はRISS、登録セキスペなど。
企業などでシステム開発・運用に携わる専門技術者の人材育成とサイバー対策の強化を促すことを目的として、前身の情報セキュリティスペシャリスト試験を登録制・更新制にした上で、2016年10月21日に新設された。
情報セキュリティスペシャリスト試験とは異なり、新資格には更新制が採用され、有資格者には定期的な講習の受講が義務付けられる。
情報処理安全確保支援士試験(SC)
情報処理安全確保支援士試験(じょうほうしょりあんぜんかくほしえんししけん)は、情報処理技術者試験の一区分。略号はSC。
情報セキュリティスペシャリスト試験の後継として、2017年4月より実施されている。
サイバーセキュリティに関する高度な知識・技能を認定する試験である。スキルレベル4で、高度情報処理技術者試験(高度試験)の一種。
SC合格者が情報処理安全確保支援士となるには、情報処理安全確保支援士登録簿に、氏名、生年月日その他経済産業省令で定める事項の登録を受けなければならない。
試験及び登録事務はIPA(情報処理推進機構)が行う。ただし、取り消し事務および命令事務は経済産業省が行う。
実施スケジュール
他のスキルレベル4の高度試験が年1回の実施なのに対し、SCは高度試験として唯一、年2回実施されている試験となる。
試験形式
午前1、午前2、午後1、午後2の4科目すべてで基準点(得点率60%以上)に達することで合格となる。
午前1
試験時間50分。マークシート形式。他の高度試験との共通問題で、難易度は応用情報技術者試験の午前とほぼ同レベル。
サイバーセキュリティと関連の薄い経営戦略、簿記、アルゴリズム、プログラミングなどの問題も出題される。
基準点(得点率60%)以上で午前1通過となる。なお、基準点に満たない場合、採点は中断され、午前2、午後1、午後2は採点されない。
午前2
試験時間40分。マークシート形式。サイバーセキュリティやネットワーク関連の問題が中心だが、設計やマネジメントに関する問題も一部出題される。
基準点(得点率60%)以上で午前2通過となる。なお、基準点に満たない場合、採点は中断され、午後1、午後2は採点されない。
午後1
試験時間90分。午前とは異なり、記述式となる。基準点(得点率60%)以上で午後1通過となる。なお、基準点に満たない場合、採点は中断される(午後2は採点されない)。
午後2
試験時間120分。記述式。個人情報の流出に対する対策など、実践的な問題が出題される。
基準点(得点率60%以上)で最終的に合格となる。基準点に達しなかった場合は不合格。
午前1の科目免除制度
下記の試験に合格または基準点を得れば2年間、午前1の科目免除が受けられる。
経過措置
「情報セキュリティスペシャリスト試験」または「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験」の合格者は制度開始から2年間の経過措置期間(2016年10月21日から2018年10月20日まで)は情報処理安全確保支援士試験に合格したものとみなされ、登録が可能である。
その他
- 合格または午前1で基準点以上を得れば2年間、他の高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前1の科目免除が受けられる。
- 当試験に合格することで、弁理士国家試験の一部科目免除が利用できる。
- 予備自衛官の任用資格である。
- 警視庁特別捜査官の3級職(巡査部長)のコンピュータ犯罪捜査官の任用資格である。
支援士制度
支援士制度は従来の情報セキュリティスペシャリスト試験(SC)を登録制・更新制にした国家資格で、名称の独占使用が認められる一方で、信用を失墜するような行為(守秘義務違反など)があった場合には、登録の取り消しの措置が取られたり、罰金・禁錮・懲役といった刑罰に処されることもある。
資格の維持には、定期的な講習の受講(登録日を起点として1年の間に1回6時間のオンライン学習と、3年に1回6時間の集合講習」が必要である。
試験は情報処理推進機構(IPA)が実施する。また有資格者の登録簿の管理、講習の実施などもIPAの所管となる。
なお、欠格事由として、「重度の知的障害や精神疾患がある人」「禁錮または懲役に処された者で、刑務所を出てから2年が経過しない者」「支援士登録を取り消されてから2年が経過していない者」は、情報処理安全確保支援士になることができません。
関連タグ
情報 サイバーセキュリティ 経済産業省 国家資格 国家試験 資格
関連資格
- 情報セキュリティスペシャリスト試験
- システム監査技術者試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験 : 高度試験の一種。
- 応用情報技術者試験(AP)
- 情報セキュリティマネジメント試験(SG) : こちらはあくまで一般のIT利用者向けの試験。
- 技術士
- 中小企業診断士