曖昧さ回避
- 妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する主人公の坊主・桃(もも)が有する身体強化技。
- 香月正二(かずき しょうじ)の書籍「桃花散華 温情溢れる或る警察署長の話」に在る標題。
本稿では1.について解説する。
概要
小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する主人公の坊主・桃(もも)が有する身体強化の鬼技(おにわざ:超能力)。更に応用で他を強化する付与技も行える。物語序盤では度々使用して窮地を退けてきた。
白い桃
目立った特徴として、桃(もも)の黒髪が白髪へ変化し頭髪が薄っすら発光する容態になる。つまり〝白い桃〟である。なお真っ白の髪はメラメラと燃えてる風な様子-まるで何かを燃焼してるような-をみせているが……。
強化技
総合的に桃(もも)の身体・異能が大幅に上昇し高い戦闘力を発揮できる。
身体面では、高速移動で光跡の如く空を駆け、巨大な物の怪にバクッと喰われても強引に口をこじ開けて生還するなど、怪力を有し耐久力も並外れている。
異能面では、桃の鬼技(おにわざ:超能力)で「万物両断」の効力は向上し、黄桃御膳などの式神(しきがみ:従属関係を結んだ妖怪で多くは姿形だけの即席妖怪)を瞬時に召喚かつ普段よりも巨大化して実体化できる。
このような身体強化の変身技にありがちな難点「変身終了後は疲労困憊」はみられず、変身解除後は平常時と然程変わりなく済ませれる利点がある。
因みに、桃花散華(とうかさんげ)を発動時には「一日」「一年」など年月日を唱えており、この数が意味するのは…。
〝 〟を両断
始まりは突飛な発想だった。
主人公の赤鬼(ヒロイン)・小紅と出会う遥か昔、桃(もも)が刀を握り旅をしていた侍の時代。当時は己の力量が把握しきれず強大な敵を前に苦戦し、力は尽きかけ魂魄(こんぱく:万物構成の一つであり、汎用性に優れた元素および活動力の一種)も枯れ果て死を覚悟した時、侍は自分の体の中に〝まだ使える力〟があることへ気づいた。
それは―
幼少の頃から感じていた存在で、普段ゆっくりと少しずつ小さくなるそれを斬りだして、一瞬で燃やすことができれば活路を開けると考えた。他人のものならいざしらず、自分のものなら、認識できるものならば「万物両断」で斬り出すことができるかもしれない。
その試みは成功し、彼は大きな業を体得したのだった。
という事は・・
自身の血肉を削る畢竟(かんかく)へ至った境地ですか!!
改め、窮地を脱する多大な力の代償として変換・消費される〝魂〟とは、つまり―
" 桃自身の命を削る業であった "
そう、桃花散華(とうかさんげ)を発動時に唱えていた「一日」「一年」などの数は、削る桃の寿命年月日であった。
そして本人が「どちらかと言えばMでござるゆえ!!」と軽口・迷言していたことは、事情は異なるも『自ら心身を傷つける傾向がある』という、中らずと雖も遠からずな事実だった。
また、自己の命を消費する鬼技(おにわざ:超能力)「桃花散華(とうかさんげ)」は、その応用で〝魂〟を〝塊〟として具現化し他を強化する事も可能とした。
始め桃(もも)は桃花散華(とうかさんげ)の絡繰を小紅へ明かさず使用しており、かつて桃の御供をしていたキジの九十九神・ぽむなの交流で彼女も知る事となる。この時点では残り8年の余命という事実も併せて絶望する小紅。
桃花散華(とうかさんげ)は自己犠牲の技であり、桃(もも)の命を賭す覚悟を顕現した業・・・だけでなく、現行では過去の遺恨から自己の戒め、懺悔の一心が大きい因縁深い所業となっている。
これも一因になって桃へ御供していたシロ・サル・ぽむなの3名と離別(ただしシロについては、別の意味な別れがあったと示唆されている)。御供達は各々で旅の始まりだと桃(もも)へ尊敬・信頼を抱いていだが、その相手が(傍目からは)積極的に易々と命を使う姿勢へ憤怒・悲愴など負の念を抱いた。さらに桃のお人好しな性格・眩しいほどの正義感を知っているから、他者からどう言われようと彼は決して桃花散華(とうかさんげ)の使用を辞めないだろうと分かるから、尚更に否定的な心情を持たれている。
後にこれらの成り行きを知った、現行で旅の御供・小紅も同じような気持ちだった。
経緯や桃花散華の仕組みについて語る最中、桃は後ろめたい気持ちが顔に出ていた事から、当人も道理に外れた行動「理由は正しく進もうとする誠実な意志だが、その過程が度を越して異常である」を自覚している様子であった。
また、元御供たちのこれらの軋轢が後に、平小次郎将門と抗争が起きる引き金の一端にもなり、意外な刺客から桃花散華(とうかさんげ)を含む自己の異能が永久的に封印されてしまった。