横浜優勝
よこはまゆうしょう
「横浜優勝」とは、文字通りの意味だと「横浜の優勝」という意味となり、「横浜に関連した事項が何かにおいて優勝すること」を意味する言葉である。
しかしネット上では、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)が試合に勝利することを意味して使用されている言葉となっている。
かつて、ベイスターズは弱かった。
とってもとっても弱かった。
その前身である「大洋ホエールズ」時代から横浜球団は弱小球団であり、ベイスターズ名義としては1998年(平成10年)に一度だけ日本一になったことはあるが、その後TBSオーナー時代は長い長いトンネル、いわゆる「暗黒時代」を味わう事となった。
どのくらい暗黒だったかというと、
・セ・リーグの1位と5位、パ・リーグの1位と6位よりセ・リーグの5位と6位のゲーム差の方が大きかった
・シーズン開幕前の評論家10人による順位予想で全員が横浜を最下位と予想、しかもその予想通りになった
・シーズン終盤の優勝(或いはAクラス)争いで「横浜戦を落としたチームから脱落する」と言われる
・2008年北京五輪ソフトボールアメリカ代表の4番打者で日本相手に本塁打を打った強打者クリストル・ブストスに「4番一塁を空けておくから横浜に来てくれ」と懇願する書き込みがあった。
・同じく2008年、「10年前(1998年)の横浜高校とどっちが強い?」という疑問に「松坂に完封されそう」との答えが返ってくる。
……と、こんな具合であった。
連戦連敗、毎年毎年シーズン100敗さえも見えるほど敗戦を重ね、いつ終わるともわからない真っ暗闇の中でも、ファンはベイスターズの勝利を信じて応援を続けていた。
そんな中で生まれたのが「横浜優勝」というネットスラングである。
横浜ベイスターズが試合に勝てば「横浜優勝」。
あるいは、例えばWBCに日本代表としてベイスターズの選手がいて、もしも日本代表が優勝すれば「横浜優勝」。
または、他球団がリーグ優勝、もしくは日本一になって、もしもそのチームにベイスターズ出身者がいれば、それだけでもう「横浜優勝」。
つまり「横浜優勝」とは、勝利に飢えていたベイスターズファンの心の叫びなのである。
そんなわけでベイスターズファンは、いつかリーグ優勝する日が来ることを信じて、いつかは日本一になる日を夢見て、今日も「横浜優勝」と叫び続けている。
なお、現在では「横浜が優れて勝つ」という意味の言葉として解説されることもあるが、これはぶっちゃけ「後付け」であるので注意のこと。
2017年、アレックス・ラミレス監督指揮下のレギュラーシーズンは3位に終わるものの、クライマックスシリーズでは阪神、広島を破り、下剋上でCSを突破して「横浜優勝」を果たした。
その後の日本シリーズでは、ソフトバンクに対し第5戦まで粘ったものの、第6戦で痛恨のサヨナラ負けを喫し、惜しくも日本一を逃した。
2023年、三浦大輔監督指揮下の交流戦では激戦の中、ソフトバンク、オリックス、巨人と同位1位に並んだものの得失点率差で優勝。レギュラーシーズンではなかったが、交流戦での「横浜優勝」を達成した。
2024年には2軍でリーグ優勝・ファーム日本選手権優勝。
2024年。引き続き三浦大輔監督のもとで戦った2024年のレギュラーシーズンは3位に終わったが、ポストシーズンは野手陣の守備がガチガチに。クライマックスシリーズでは阪神、巨人を下し、再びソフトバンクと日本シリーズで対戦した。
第1・2戦では連敗しながらもその後4連勝。長い長い暗黒時代を乗り越えたベイスターズは、遂に26年ぶり、かつ史上2例目となるペナント3位からの下剋上で日本一を掴んだ。この年はリーグ優勝こそ逃したものの、ベイスターズの日本一を願っていたファンの夢は遂に叶うことになったのである。
近年では戦力的には充実し度々優勝候補に挙がりながらも、怪我人の続出や機動力不足、早打ちによる出塁率の低さ(このことから攻撃は大味、繋ぐ意識が無く淡泊と評されることが多い)、選手起用、そして勝負弱さ等が原因で最終的に優勝を逃すシーズンが続いており、一部では12球団で最もリーグ優勝から遠のく現状への落胆や皮肉、フロントの経営努力との対比の意味をこめてこの言葉が持ち出されることもある。
昨今では球団・選手側にもこの言葉が認知されていることが明らかになっており、三浦大輔政権で「横浜○○」(漢字四文字)という名の球団スローガンが作られたり、トレバー・バウアー選手等がヒーローインタビューで口にしたりしている。2024年の日本一の時も、記念ポスターに「横浜日本一」と記載。