概要
所謂傭兵部隊。ゼムリア大陸各地でミラ(金銭)と引き換えに大貴族の兵隊として雇われたり、正規軍に代わり危険な任務を実行するほか、汚れ仕事もこなす。
一流の戦士達は総じて猟兵と呼ばれており、それぞれのエンブレムを掲げている。世間一般からは死神、戦争屋と認識されている。
ミラで雇われて戦闘行為を行うという立場故に昨日戦った相手と次の日は味方(逆もまた然り)という場合もあるために良くも悪くも過去の事に余計な禍根を残さない者が殆どである、そのため商売敵(場合によっては親類の仇)である他所の猟兵相手でも戦場外では酒を交わしたり尊敬に値する猟兵の死を悼んだりする姿が見られている。また、当人達も自分達を『外道』、『ヤクザな商売』と述懐し、その分年少者に飲酒や喫煙の年齢制限といった一般的な社会マナーを守らせており、社会一般のモラルを持った上で戦場に身を置いている者が多い。
遊撃士協会とは対立関係にあるが、猟兵自体の数が大小様々であるために対処しきれず、猟兵達も遊撃士とは事を構えれば只では済まない事を承知しているために、お互いに積極的に対立することはない。
その立ち位置からリベール王国を始めとする一部の国では猟兵の雇用そのものを禁止している。
猟兵団に身を置く人間の境遇は様々だが、猟兵を親に持ち、その中で育てられた人間もいるが、猟兵に拾われた戦災孤児或いは災害孤児もおり、それらは少年猟兵団という所謂少年兵として戦場に出る。
作中では主人公達と対立することが殆どだが、事態の成り行きから休戦或いは共闘もある。また、作中のパーティメンバーには元猟兵が多く、それぞれの事情で団を離れる或いは現役のメンバーもいる。
団を離れた猟兵は戦う以外に生きていく術を知らない負の側面を持つが、その経験自体は遊撃士協会も含めて貴重なために『遊撃士への転向』、『大規模マフィアへの移籍』、或いは『現役時代の経験やツテを生かして武器の調整を手掛ける』など様々。が、酷い場合は後述のように落ちぶれる。
近年ではマルドゥック総合警備会社の様にPMCという形で傭兵業を始めた企業も存在し着実にシェアを伸ばしてる模様。
主立った猟兵団
赤い星座-大陸西部で最強と謳われる猟兵団。団長は古い戦闘民族の末裔が務め、闘神と呼ばれている。エレボニア帝国を始め、各都市で高級クラブを経営して猟兵団の資金を調達するなどしており、その潤沢な資金で軍用飛行艇なども所持している。またシャーリィが結社に入った事により、結社のお抱えの猟兵として計画の協力や強化猟兵の指導なども積極に行っている。
西風の旅団-赤い星座と双璧を成す猟兵団。猟兵王ルトガー・クラウゼルが旗揚げした比較的新興の猟兵団で、人員はそう多くないが、赤い星座とも双璧を成す実力を誇る。ルトガーの人柄も相まって仕事の恨みは買っても、個人的な恨みを買うことはなく、団員達も家族のような結束力。西風の妖精(シルフィード)という猟兵の少女がいたが、猟兵王が闘神と相打ちになり、事前の決定に基づいて解散した。が、ある事情で再度結成が図られ、七耀暦1208年にはルトガーの側近2人が中心となる形で再建されている。
北の猟兵-塩の杭の異変で壊滅状態に陥ったノーザンブリアの猟兵達。猟兵ではあるが、元々は大公国だったノーザンブリアの正規軍だったために技量は高く猟兵団としては最大級の規模を持つ。外貨によって故郷の経済を支えるべく奮戦している。大地の多くが塩と化したことで貧困に悩まされるノーザンブリアにとって彼らの報酬は貴重な収益。そのため、現地民にとって彼らは正に英雄でノーザンブリアの議会にも介入するほど権力を持つ、他の猟兵よりも非道な手段に走るのも、故郷の子供達を食べさせるため。後に紫電と呼ばれる少女猟兵もいたが、養父バレスタイン大佐の死に伴って遊撃士に転向している。ノーザンブリアが帝国に併合された事で正規軍に編入されたが、一部は七耀暦1206年に帝国に反攻作戦を決行する。現在(黎の軌跡の時点)は解体され存在しない。元が国軍の為、拠点を動かせないという弱点を持つ。
ニーズヘッグ-実力や規模では赤い星座、西風の旅団、北の猟兵等に劣るものの国家機関では高位猟兵団に分類され、猟兵界隈では中堅クラスとも分類される。そもそも部隊ごとに専門、規模、それどころか部隊の質なども全く違うため正確な脅威度を測るのは不可能かもしれない。例として《拳》大隊と《胃袋》大隊は規模は同じ大隊だが《胃袋》大隊は猟兵の域には程遠い練度で《拳》大隊とは比較するに値しないとアリオスは評している。
犯罪者などをメンバーに入れる事で戦死者の補填を行うため、メンバーの入れ替わりが多く、全容が掴みにくいのも特徴の1つ。
暁の軌跡におけるメインヴィラン。暁の軌跡ではトップは《戦争卿》という存在だったが閃の軌跡Ⅲにおける1206年ではトップが変わっているらしい。
クルガ戦士団-カルバード共和国の東に存在するイシュガル山脈を超えた大陸中東部、その北を拠点にする猟兵団。《空の女神》と同一視される《翼の女神(アルーシャ)》を焔と共に崇めるクルガの民が部族ぐるみで営む猟兵団。部族を守る一面を兼ね備えるため、無関係の民間人に被害が及ぶような依頼は受けない。
アイゼンシルト-大陸北部の自由都市圏を中心に活動する高位猟兵団。元軍人が多いのが特徴で、都市の警備などを主な任務とする大陸中部の高位猟兵団。西風の旅団が解散した後、《火喰鳥》が移籍している。
斑鳩―大陸東部を中心に活動し、同時に大陸東部で最強とされるSSS級猟兵団。130年前に滅亡したイスカ神聖皇国の流れを汲む一派の末裔で構成され、忍や侍といった東方独自の武術の使い手を有する。特に副長の《白銀の剣聖》と呼ばれる女性は並外れた使い手として知られている。
ザハトの蠍―大陸中東で活動する猟兵団。ヴァンによると中堅クラスらしい。一般人に素顔を見られるのを禁忌としており、見られたら容赦なく口封じにかかるという掟がある。
静海船団―海で活動をする猟兵団。詳細は不明。
強化猟兵-身喰らう蛇のお抱え猟兵であり猟兵と言うより結社の私兵団に近い猟兵団。秘密主義である結社のお抱えであるためか短期的に兵の入れ替えが行われているようである。(その度に抜けた兵は記憶の操作をされている)
他の猟兵による指導以外に薬物や暗示により強化されており、その全貌をある一兵卒が『肉体改造論』という本として出している。(その内容はかなりおぞましいものであると思われる)
掟と猟兵くずれ
所謂戦闘集団ではある彼らも一定の掟をそれぞれ持っている。仕事柄、民間人にも被害が及ぶような作戦を請け負うこともあるが、それも極力抑えるように心がけたり、それぞれが悪名を引き受ける覚悟も持っている。中には『クルガ戦士団』や『アイゼンシルト』のような民間人に危害を加える依頼は絶対に引き受けず、治安維持や防衛任務を主に行う猟兵団もある。
そうした流儀から自分達の名前とエンブレムにも誇りを持っており、戦場で遭遇した場合にはエンブレムを見れば大抵はどこの猟兵かが分かる。
そうした掟を踏み外したり、流儀を通すことさえ出来ない者達は猟兵くずれと呼ばれ、只の野盗集団に成り下がる。
猟兵くずれも様々で、壊滅した猟兵団の生き残りまたは別々の猟兵団からのドロップアウトが寄り集まったような寄せ集めもいる。落ちぶれたものが大半であるため、本職の猟兵達からは軽蔑もされている。そんな連中でも政府や軍の依頼を受けることもあるが、その内容は『赤い星座』はもちろんのこと、『北の猟兵』や『ニーズヘッグ』も受けないような筆舌に尽くしがたい悪行が殆どで、その程度の技量しか持たないことを証明している。
特に、ある村を皆殺しにした猟兵くずれは「1つの村を滅ぼした外道達」と猟兵達の間では面汚しにして恥曝しとなっている。
バグベアー-エレボニア帝国で活動を開始した猟兵団。だが、実戦経験があるとはいえ、その実態は上述するドロップアウトの集まりで士官学院の学生にも負けるほどに弱い。発想そのものも貧困で短絡的であり、名を挙げることしか考えておらず、その醜態は幼い頃から猟兵をしていた西風の妖精からも酷評される。黎の軌跡でも活動し、軍用魔獣を手懐ける程度には規模が大きくなっているとはいえ、やはり実力は猟兵界隈では最底辺でマルドゥック社の評価も最低ランクという扱いである。
現役の猟兵
シグムント・オルランド――七耀暦1204年時の《赤い星座》の副団長。クロスベルでの甥との諍いの果てに団長になり、同時に《闘神》の名を引き継ぐ。
シャーリィ・オルランド――《赤い星座》の大隊長で、シグムントの娘。猟兵業以外に身喰らう蛇No.XVIIの執行者との二束の草鞋を兼業している。
ガレス――《赤い星座》の隊員、遠距離射撃のプロフェッショナルであり、ランディやシャーリィが幼少の頃から団員で一線を張っているベテラン団員。
ザックス――《赤い星座》の隊員、大剣の使い手であり元直属の隊長であったためかランディには未だ気安く接しており気にかけている。
ゼノ――《西風の旅団》の団員。《罠使い》の異名を持ち地雷とブレードライフルを駆使した戦法を得意とする関西弁の猟兵。
レオニダス――《西風の旅団》の団員。《破壊獣》の異名を持ちマシンガントレットと言う巨大な爪を駆使する中東系の大男。
フェリ・アルファイド――《クルガ戦士団》副長の娘。七耀暦1208年の時点では13歳だが、既に豊富な実戦経験を持つ。
シズナ・レム・ミスルギ――《斑鳩》の副長。《黒神一刀流》を極めた《白銀の剣聖》。八葉一刀流の使い手と因縁があり、得物の刀は尋常な武器ではない。
クロガネ――《斑鳩》の団員、《朧月流》の達人であり巨大手裏剣と両の双刃剣を使い分けるトリッキーな忍。
元猟兵
ランディ・オルランド――《赤い星座》の連隊長で《闘神》バルデルの息子。現役時代は《紅い死神》と呼ばれていた。ある事件で猟兵の生き方に嫌気がさし、クロスベルで警備隊、その後特務支援課に転向する。
フィー・クラウゼル――《西風の旅団》の最年少で《西風の妖精》と呼ばれていた少女。養父である《猟兵王》の意向で団が解散された後、帝国の士官学院を経て遊撃士に転向する。
サラ・バレスタイン――《北の猟兵》の連隊長。《紫電》の異名を持ち、同世代の間では有名な実力者。養父の死に伴い、遊撃士に転向。後に23歳の若さで史上最年少のA級遊撃士となる。
ガルシア・ロッシ――元《西風の旅団》で《キリングベア》の異名を持つ。《猟兵王》が死ぬ前に団を離れ、前々から声がかかっていたルバーチェ商会に転籍する。
カシム・アルファイド――マルドゥック総合警備会社の保安主任で戦闘技術指南も努める。元《クルガ戦士団》の所属で、フェリ・アルファイドの兄。現在確認される猟兵では最強格の一人とされる。
ヴラド・ウィンスレット――元《北の猟兵》のトップの一角。同じくトップの一人であるバレスタイン大佐の死の責任を取らされ失脚。その後ミシュスク村で隠居する中で天寿を全うする。
ラヴィアン・ウィンスレット――元《北の猟兵》でヴラドの孫。北方戦役の際に尽力したものの敗戦により北の猟兵は解体。その後英雄達の軌跡を追うためにノーザンブリアを離れ旅に出る。
殉職者
ルトガー・クラウゼル――《西風の旅団》の団長でフィーの養父。《猟兵王》の異名を持ち、《赤い星座》の前団長バルデル・オルランドのライバル。バルデルとの一騎打ちで相打ちになり、死亡した。
バルデル・オルランド――《赤い星座》の元団長にして先代の《闘神》。西風のルトガーとの決闘により相討ちという形で死亡。口には出していなかったようであるが本人は次期《闘神》は息子であるランディに継いでほしいと思っていたらしい。
バレスタイン大佐――北の猟兵の元団長であり、公国軍大佐だったサラの養父。ある代理戦争で養女のサラを庇う形で死亡。彼の死をきっかけにサラは遊撃士に転向する。
アイーダ――元《西風の旅団》の副長で、《火喰鳥》の異名を持つ。団が解散した後、《アイゼンシルト》に移籍し中隊長を務めるも、依頼を終えて本拠地に戻る途中でマフィア《アルマータ》の幹部達の毒牙にかかり、裏解決屋に介錯される。
ヴァルカン(軌跡シリーズ)――元《アルンガルム》団長。逆恨みからテロリストに転向した人物。機甲兵ゴライアスの爆発により戦死。かつてはそれなりの猟兵だったらしい。
グラーク・グロマッシュ――《北の猟兵》の元首領。ノーザンブリアを主軸とした連合国を作り大陸を平定する野望を抱いていたが、内部の反乱によって毒殺される。