概要
88星座のひとつ。黄道12星座を含む「トレミーの48星座」にも数えられた、西洋の竪琴をモデルにした星座。日本では夏に見ることが出来る。
夏の大三角にも選ばれたα星のベガは東洋では織女星(織姫)と呼ばれている。
星座神話
コトの始まりは大神ゼウスがプレアデス姉妹の一人・マイアとの間に作った神・ヘルメスからでした。ヘルメスは子供のころ、異母兄である太陽神アポロンの飼っていた牛を盗んで焼いて食った(全く躾がなってませんね)事があったのですが、それがアポロンにバレたことを知り、慌てていた所、たまたま近くの川を泳いでいた亀を見て一計を案じました。
愛牛の無残な死に怒ったアポロンはヘルメスの家に殴り込みに行きますが、家の裏から美しい琴の音色が聞こえたのを知り、興味を持って裏口に回ります。ヘルメスは亀の甲羅に牛の皮を張ってことを作っていたのでした。音楽が大好きなアポロンはこれを欲しがり、ヘルメスは牛を食ったことを謝罪してこれを渡し、許してもらうのでした。
さてこの竪琴を暫くアポロンが保有していたのですが、彼は息子(血縁が無い他人とする説も)のオルフェウスをたいそう可愛がり、これを譲りました。オルフェウスがその竪琴を奏でると、人々は愚か動物や神々、果ては無生物に至るまで魂を奪われそうになるほど、彼の琴の腕前は際立っていました。
やがてオルフェウスは才能を見込まれてアルゴ号の冒険に加わるなどの活躍を見せ、妖精エウリュディケと結ばれ二人で仲良く暮らしていました。しかし、幸せというものはそう長く続くモノではなく、エウリュディケは毒蛇に噛まれ命を落としてしまいました。
嘆き悲しんだオルフェウスは冥界に向かい、番犬ケルベロスを始めとした冥界の住人たちをその琴で魅了し、遂に冥府の王ハデスの前に辿り着きました。死んだものを生き返らせるわけにはいかないと突っぱねるハデスでしたが、オルフェウスの奏でる深い哀しみを秘めた琴の音色を聴き、遂に心を開きました。
「わかった。エウリュディケを生き返らせてあげよう。ただし、現世に戻るまで決して振り向いてはいけない。守れないようであればこの約束は反故にするからな」
ハデスの許しを得て、オルフェウスはエウリュディケを生き返らせる許可を貰いました。オルフェウスはエウリュディケを従えて歩き、遂に現世の一歩手前まで辿り着きました。ですが、オルフェウスはそこでつい後ろを振り向いてしまったのです。光差す現世の目と鼻の先で、エウリュディケは真っ逆さまに冥府に向かい落ちていきました。その姿を目の当たりにしたオルフェウスは、全ての希望を失い廃人となりました。
やがてオルフェウスは、一曲も弾けなくなるまでに落ちぶれ、ある日酔っ払いに絡まれて斬り殺され、崖から投げ落とされてしまいます。死体は上がらず、残ったのは海岸に打ち上げられたオルフェウスの首と、壊れた竪琴だけでした。
今もオルフェウスの竪琴は、空で哀しみの音色を奏で続けているのです。
関連項目
聖闘士星矢の琴座