「何か気に食わねえよな、ブレイドだの、レンゲルだの…」
演:杉浦太雄
変身する仮面ライダー
概要
『劇場版 仮面ライダー剣 MISSING ACE』の登場人物の一人で、仮面ライダーランスに変身する青年。
年齢は21歳。所謂「新世代ライダー」の中でも、上級アンデッドに単騎で挑んで勝利するほどの優れた実力の持ち主でもあるが、一方で後述する前歴からも窺える短気さや無鉄砲さが玉に瑕であり、作中でも占い師からは「単細胞」と評され、同じ新世代ライダーの一人で好意を寄せている三輪夏美からも、ど直球に「バカ」扱いされるほどである。
また、旧世代のライダーである剣崎一真や上城睦月に対しては、他の2人と同様に邂逅した当初から一貫して「過去の人物」と見下しており、睦月の変身するレンゲルにビートルアンデッドを横取りされる格好となった際には、八つ当たりも同然に戦闘を仕掛けたことさえある。
とはいえ、そのビートルアンデッドの封印により剣崎までもがライダーとして戦線復帰すると、「何であいつらと手を組まなきゃならねーんだ」と不満を露わにし、直後に夜の海岸で単独行動を取っていたところタランチュラアンデッドと遭遇。
ランスに変身しての激戦の末に勝利を収めたが……程なくして今度はアルビノジョーカーの襲撃に遭い深手を負わされてしまう。辛うじて新生BOARDの基地に帰還したとはいえ既に虫の息であった禍木は、夏美に対してジョーカーが現れたこと、そしてジョーカーが狙っているクラブのKを託して逃げるよう言い残し、そのまま事切れてしまった。
禍木の願いも空しく、夏美もまたカテゴリーKのカードを独り占めしようとした末に非業の死を遂げることになるのだが……一方で禍木は死に際にクラブのJのカードを握りしめてもおり、このダイイングメッセージが後に彼を死に追いやった真犯人の正体を暴くことに繋がるのである。
NEW GENERATION
本作の公開に先駆ける形で発表されたこの短編ドラマでは、禍木の前歴やアンデッドとの戦いに身を投じるきっかけとなった出来事が描かれている。
元々、ウェイターとして喫茶店で働いていた禍木は、接客中に態度の悪い客に因縁をつけられ、その客とケンカしてクビになった直後にピーコックアンデッドに追われていた夏美と遭遇。(半ば夏美から押し付けられる形とはいえ)鉄パイプを武器に立ち向かおうとするも敵わず、2人揃って窮地に陥ったところを仮面ライダーグレイブに救われた。
この時、グレイブこと志村純一からの仮面ライダーとして戦ってほしいとの頼みを、「俺には関係ないって~の」と一度は素気ない態度で断ったが…直後の志村の台詞通り、この後劇場版での初登場までの間に仮面ライダーになることを示唆する形で、この短編は幕を下ろしている。
仮面ライダーディケイド
「俺は必ず純一を取り戻す。ヤツは最高だったよ…それなのに、大樹のせいで…」
本作では、物語後半に士達が訪れた「ディエンドの世界」にて登場。同じくディエンドの世界の住人として登場しながらも、リ・イマジネーションライダーとして様々な形で原典からの変更点が見られる他の面々に対し、禍木はその中でも比較的改変の少ない形での登場となった。
チーム外の人間に対して当たりがキツかったりする点なども、やはり原典での人物造形を踏襲しているものの、同作では露骨に相手を見下すような態度には出ておらず、ローチ達からの襲撃を受けた際にはディケイドとも柔軟に共闘してみせたりと、気性は荒いとはいえ原典に比べるとマイルドな人物造形とされているのが特徴である。
同作における禍木は、三輪春香や海東純一と共に、フォーティーンに支配されたこの世界を救うべく、士達が来訪する以前よりレジスタンス活動を続けている。原典のように3人が出会った経緯にまでは触れられていないものの、3人の中でもリーダー格であった純一に対しては、前掲の台詞にもあるように尊敬の念を抱いており、彼が敵方に回った後も再び自分達の元へ戻ってくることを願っていた。
それだけに、純一が自分達と敵対するきっかけを生んだ海東大樹への怒りは相当なものがあり、士達の来訪と前後して彼がこの世界に戻ってきた際には、変身して一戦に及ぶなど激しい敵愾心を露わにしているが、それでも春香からの働きかけや、兄を救おうとする大樹の決意に心動かされたのか、最終的には協力する姿勢を示している。
前述した経緯ゆえに、原典と異なり生存するという結末を迎えており、純一の真実を知ってショックを受けながらも、春香と共にフォーティーン亡き後の世界を守っていくものと見られる。
備考
- 演者である杉浦太雄は、『ウルトラマンコスモス』にて主人公・春野ムサシを演じていた杉浦太陽の実弟に当たり、本作の公開当時は「兄はウルトラマン、弟は仮面ライダー」を演じた兄弟として話題になった。
- また、仮面ライダーを演じるに当たり、同じくヒーローを演じていた兄から色々聞いたらしいが、禍木の設定上結局何も役に立たなかったという。
- 杉浦タカオへと改名した後の2014年には、当時31歳だった1982年生まれの俳優からなるユニット「サーティワンアイスクリーマーズ」のメンバーの一人としても名を連ねているが、他の4人のメンバーのうち2人は、本作でも共演した椿隆之と黒田勇樹である。