概要
2011年5月9日に講談社ノベルスより『虚構推理 鋼人七瀬』のタイトルで刊行された城平京の小説。
イラスト:清原紘
本作は作者の城平氏にとっては約7年ぶりの小説作品である。
怪異が実在する世界を舞台にした推理小説であり、真実を究明することよりも、妖や複数の思惑が絡んだ事件に対して「周囲が納得できる真相」あるいは「秩序を乱すことのない結論」を論理的に創作することに重点が置かれているのが特徴。そのため、『スパイラル』や『絶園のテンペスト』といった過去作品と同じく理屈的な駆け引きが占める割合が多い(また、独特のシュールなギャグセンスも健在である)。
後述するコミカライズ化に際し、2015年12月15日に講談社文庫より本タイトルで刊行。
2019年1月23日には後述の続編に併せて講談社タイガより同タイトルで刊行され、以降も続刊が出されている。
講談社タイガでの表紙イラストはコミカライズ同様片瀬茶柴が担当している。
2012年に第12回本格ミステリ大賞、本格ミステリ・ベスト10第4位を受賞。
シリーズ累計200万部を突破している。
コミカライズ版は少年マガジンRにて2015年1号より連載開始。
作画は片瀬茶柴が担当。片瀬氏は本作が商業誌デビュー作となる。
原作は城平氏著の小説媒体であるが、当初小説は鋼人七瀬編までしか存在しておらず、漫画7巻以降は城平氏から片瀬氏へ漫画用の原案シナリオが小説形式で提供されている(7巻あとがきより)。
そのため一部エピソードは小説よりも先に漫画版が掲載されるというコミカライズとしては変則的な形となっている。
2019年1月からはマガポケで、2020年2月号からは月刊少年マガジンでも連載が開始。現在、WEB上が2つと紙面上1つの3つの媒体で展開されている。
※少年マガジンRは2020年12月より隔月刊の紙媒体から月刊の電子書籍に変更している。
※媒体により更新日・発売日は異なるが掲載されている内容は全て同じ。
2016年に第6回 NEXTブレイク漫画RANKING BEST50第7位を受賞。2018年に第42回講談社漫画賞 少年部門にノミネートされた(受賞自体は『BEASTARS』)。
余談
コミカライズを担当している片瀬氏によると、作中の時代設定は鋼人七瀬編の小説が最初に出た頃とのこと(参照)。
刊行一覧
- 虚構推理 鋼人七瀬(講談社ノベルス以外は副題なし)
- 虚構推理短編集 岩永琴子の出現
- 虚構推理 スリーピング・マーダー
- 虚構推理短編集 岩永琴子の純真
- 虚構推理 敗北と逆襲の日
- 虚構推理短編集 岩永琴子の密室
登場人物
CV:鬼頭明里
主人公にしてヒロイン兼探偵役。名家・岩永家の令嬢。
11歳の時に〝怪異達の知恵の神になる〟という契約を交わし、その証として片眼と片脚を失っており、義眼と義足をしている。(古事記に記されているクエビコになぞらえている。)
以来、怪異の悩みや人間とのトラブルを解決する調停役として立ち回っている。
CV:宮野真守
琴子の一目惚れ相手で、ぐいぐい押して恋人になった(させられた)青年。
一見すると人畜無害の大人しい人物だが、実は祖母の狂気的な実験で不死の身体と「近い未来を決定づける能力」を得た過去を持つ。
琴子のアタックに対してぞんざいな対応をしているが、内心では彼女を大切に思っており、日頃から心配りを欠かしていない。
CV:佐古真弓
九郎の従姉で、初恋の人。九郎と同じ能力を持っており、その解明のために琴子がかかりつけの病院に長期入院していた。
病院の事情で退院せざるを得なくなった事から、一時は岩永家の屋敷に居候していたが、ある目的のために行方をくらませた。
CV:福圓美里
九郎の元恋人。九郎とは高校生からの付き合いで、大学卒業に合わせて結婚する予定だったのだが、その前に旅行先で遭遇した河童が恐れをなして逃げ出した事から九郎の秘密を知ってしまい、それが原因で別離を選んだ。
現在の職業は女性警察官で、真倉坂警察署に勤務していた所『鋼人七瀬』事件に巻き込まれ、琴子や九郎と共に事件の解決へと動くこととなる。
CV:浜田賢二
真倉坂警察署に務める大柄な成人男性の刑事。
柔道五段を有する巡査部長で、紗季に好意を寄せている。
『鋼人七瀬』事件を何らかの陰謀と思い、独自に調査していたが……
CV:上坂すみれ
真倉坂市で事故死した巨乳アイドル。深夜ドラマ『青春!火吹き娘!』で主演兼主題歌担当した事で人気に火が付き始めていたのだが、とあるスキャンダルから休業し、マスコミから逃げ回っていた所、工事現場に放置されていた鉄骨に顔を潰されて死亡する。
だが、その半年ほど後から、同市では彼女の姿を模した顔の無い亡霊『鋼人七瀬』が出現しており……
CV:古川慎
大学生時代に雪山で親友に殺されかけたところ、雪女に助けられた強面の32歳。
大学卒業後は起業し、29歳で結婚と順風満帆な人生を送っていたが、妻に愛人を作られた上に殺されかけた事から離婚し、さらに仲間の裏切りで社長職も追われてしまう。
一連の騒動で人間不信に陥った事から雪女と出会った山の麓に引っ越し、早々に雪女と再会して彼女との半同棲生活を送っていたが、元妻が殺害された事でその嫌疑を掛けられてしまう。
CV:悠木碧
とある雪山に住む妖怪。普段は和服を着たステレオタイプな雪女の姿をしているが、時折洋服を着て人間に変装して街に出ている。
昌幸と再会後は頻繁に彼の家に通っていたが、上述した嫌疑を晴らすために琴子へ助けを求める。
TVアニメ
2019年1月にTVアニメ化決定が発表された
2020年1月から3月までテレビ朝日、MBS、BS日テレ、AT-X、JCOMにて全12話が放送された。なお、テレビ朝日の新作深夜アニメの放送は、2017年春期に放送された『タイガーマスクW』以来。
ストーリーおよび各キャラクターはコミカライズ版に準拠している。
物語は原作小説1巻およびコミカライズ1~6巻の『鋼人七瀬編』が中心だが、プロローグとの間に短編1巻のエピソード1編(コミカライズ版7巻収録の15話)を挟んでいる。
ちなみに、作中に出てくる七瀬かりんのTwitterアカウントや「鋼人七瀬まとめサイト」が実際に作られており、後者は物語の進行に合わせて更新した後閉鎖された。
2020年11月にはSeason2の制作が発表された。
2023年1月から3月まで放送された。本来は2022年10月から放送予定だった。
関東圏での放送局はTOKYO MX、CS放送はアニマックスに変更され、MBSが離脱となった。
第1話は原作者である城平先生描き下ろしのオリジナルエピソードで、琴子と九郎の人物紹介を兼ねたものとなっている。
dアニメストアでは地上波での放送に先駆けて配信。
Blu-ray・DVDは全4巻で発売。
同ブレインズ・ベース制作の「デュエル・マスターズ キング」第1話にて本作の舞台である河越の紹介の際にモブのカメオ出演として松本しげのぶの作風にアレンジされた岩永琴子と桜川九郎がデュエマをプレイしている場面で登場している。
制作スタッフ
監督 | 後藤圭二 |
---|---|
シリーズ構成 | 高木登 |
キャラクターデザイン・総作画監督 | 本多孝敏(第1期)、松本健太郎(第2期) |
美術監督 | 諸熊倫子 |
色彩設計 | 大塚奈津子 |
撮影監督 | 織田頼信(第1期)、関谷颯人(第2期) |
音響監督 | 山田陽 |
音楽 | 眞鍋昭大 |
制作 | NAS |
アニメーション制作 | ブレインズ・ベース |
主題歌
オープニングテーマ
『モノノケ・イン・ザ・フィクション』(Season1)
作詞 - チャム(.△) / 作曲・編曲 - 渡辺壮亮 / 歌 - 嘘とカメレオン
『ヨトギバナシ』(Season2)
作詞・作曲 - カノエラナ / 編曲 - エンドウ. / 歌 - カノエラナ
エンディングテーマ
『LAST DANCE』(Season1)
作詞 - 由潮 / 作曲・編曲 - Jin Nakamura / 歌 - 宮野真守
『Invincible Love』(Season2)
作詞 - Amon Hayashi / 作曲 - $ÜN (SUN)、Le`mon、NAOtheLAIZA / 編曲 - NAOtheLAIZA / 歌 - 宮野真守
各話リスト
Season1
話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル |
---|---|---|---|
第1話 | 一眼一足 | 第2話 | ヌシの大蛇は聞いていた |
第3話 | 鋼人の噂 | 第4話 | アイドルは鉄骨に死す |
第5話 | 想像力の怪物 | 第6話 | 合理的な虚構 |
第7話 | 鋼人攻略戦準備 | 第8話 | 虚構を紡ぐ者 |
第9話 | 鋼人七瀬攻略議会 | 第10話 | 虚構争奪 |
第11話 | 最後の虚構 | 第12話 | 秩序を守る者 |
Season2
話数 | サブタイトル | 話数 | サブタイトル |
---|---|---|---|
第13話 | その神の名は | 第14話 | 雪女のジレンマ |
第15話 | 雪女のアリバイ | 第16話 | 雪女の純真 |
第17話 | 六花ふたたび | 第18話 | 電撃のピノッキオ |
第19話 | あるいは星に願いを | 第20話 | そして支配者はいなくなった |
第21話 | もの言えぬ子ども達 | 第22話 | 招かれざる判定役 |
第23話 | スリーピング・マーダー | 第24話 | うなぎ屋の幸運日 |
関連動画
「虚構推理」原作CM
TVアニメ「虚構推理」PV
TVアニメ「虚構推理」総復習PV
TVアニメ「虚構推理 Season2」ティザーPV
関連タグ
夏目友人帳…こちらも妖怪を題材とした作品繋がりであり、アニメーション会社も同じ。(第5期以降はブレインズベースから分離した子会社である朱夏が担当。)
但し、前者と違い残虐要素等はあまり少なく、どちらかというとハートフルなストーリーとなっている。
評価タグ
外部リンク
鋼人七瀬まとめサイト(閉鎖済み)