概要
てんとう虫コミックス第4巻、藤子不二雄大全集第6巻に収録「月の光と虫の声」に登場。
ホタルブクロに似た見た目のアイテムで、この花のつゆを虫にかけると、どんな虫でもスズムシやマツムシのように美しい声で鳴くようになる。
登場エピソードは大山版では1979年8月31日に、水田版では2011年10月21日と2021年9月18日にそれぞれ放送している。
あらすじ
ある日スネ夫に招待されたのび太達は、彼が高級デパートで買ってもらったスズムシの美しい音色を堪能するが、珍しいものだからと聴き賃を請求され、腹を立てながら帰路についた。
自分もスズムシを買ってほしいと両親にせがみ断られるのび太だったが、パパの「昔は辺りにスズムシがいっぱいいたのにな…」という話を聞いたドラえもんは、昔に行って捕まえてこようと提案し、みんなに家の庭で虫の音楽会を開くと宣言する。
そしてタイムマシンでパパが子どもだった時代へと向かうが、豊かな自然を見て、それが無くなった現代に連れて行くのはかわいそうだと断念。
代わりにドラえもんはこの「虫の声の素」を取り出し、適当な虫を集めて無事に音楽界を開催できた。
それに嫉妬したスネ夫は掃除機で虫を強引に奪い去ってしまうが、使われていた適当な虫はなんとゴキブリであり、帰宅後パニックに陥るのであった。
アニメにおける原作との主な相違点
1979年版
- スネ夫が皆から徴収したコオロギの声の聞き賃は100円。
- パパがスズムシやマツムシがいなくなった理由を説明した後には工業化が進められた都市の描写が追加。
- ドラえもんとのび太が20年前の空地で虫の声を聴いているシーンでは「虫のこえ」が挿入歌として使われている。
- 今回、スネ夫はドラえもんとのび太がちゃんと鳴く虫を集められたか、確かめに来ていない。
- ドラえもんとのび太だけでなく、しずかとジャイアンもスネ夫が野比家からゴキブリを掃除機で奪って行く場面を目撃している。また、スネ夫のママは後からゴキブリだらけの部屋に入ってきており、この2人がパニックになっている間に、スネ夫が買ったコオロギは窓から外に逃げ出した。
- 本編終了後のショートアニメは、ドラえもんがカタツムリに虫の声の素をかけ、その鳴き声に耳をすませているというもの。
2011年版
- 今回、が皆に鳴き声を聞かせた虫はスズムシに変更。そして、声の聞き賃は50円。
- パパが説明した、スズムシやマツムシがいなくなった理由の中には「薬をまく」というのは入っていなかった。
- のび太とドラえもんは夜、虫のコンサートを開くことを皆に空地で宣伝しており、ウソだった場合、のび太とスネ夫は鼻からからしをたっぷりつけた心太を食べることを約束している。
- ドラえもんとのび太が鳴く虫を集めに向かったのは30年前の野比家で、到着した際は家族皆で食事をするのび助たちを見物している。
- ドラえもんとのび太は空地で鳴く虫を捕まえようとするも全く捕まえられず、のび太が背中についた蜘蛛に驚く場面が追加。そこでしかたなくファンタグラスを使用すると、羽根が壊れて上手く鳴けないスズムシを見つけお医者さんカバンで治療し、恋を成就させてあげている。
- ドラえもんは現代へ帰る途中でのび太にスズムシのライフサイクルについて説明しており、その一方でのび助は飛行機のプラモデルを作っていた。
- 今回はパパとママも虫の音楽会に参加しており、ジャイアンとしずかは草餅とジュースをご馳走になっている。
- 野比家の前で虫の鳴き声を聞いていたおじいさんはスネ夫が「邪魔!邪魔!どいて!どいて!」と前を勢いよく突っ走った際はあまりの無礼さに怒鳴り返している。
2021年版
- 今回もスネ夫が皆に鳴き声を聞かせた虫はスズムシに変更。また、虫の鳴き声を最後まで聞くためには有料会員になる必要があり、具体的な金額は言われなかった。
- のび太とドラえもんは夜、虫の音楽会を開くことを皆に電話で伝えており、ウソだった場合、のび太とスネ夫は虫の会の有料会員になることとスズムシの世話をすることを約束している。
- のび太とドラえもんはタイムマシンで昔の野比家に来た時、なぜか縁の下に出てしまった。更に直後、のび助に見つかり柿泥棒と間違われ追い出された。
- ドラえもんとのび太は空地でスズムシなどを捕まえようとするも、全く捕まえられず途方に暮れている中、十五夜のお月見に使うススキを取りに来ていたのび助と出会い、誤解が解けた後、鳴く虫がたくさんいる場所まで案内してもらい、柿もお土産にもらっている。
- のび太とドラえもんはのび助たちがお月見をしている様子を見てから現代に帰っている。
- 虫の音楽会に来たしずかとジャイアンはドラえもんとのび太がのび助からもらった柿をご馳走になっている。なおこの時、スネ夫は掃除機を取りに一旦家に帰っていたので食べていない。
- スネ夫と彼の母親がゴキブリに驚く様子は直接は描かれず、窓越しにシルエットで描かれた。
余談
2021年版で若い頃ののび助の母を演じた三田ゆう子氏は大山版や『キテレツ大百科』でもゲストで参加したことがある他、現在の水田版では3年前に放送されたTVSP「クジラとまぼろしのパイプ島」にてゴニーを担当していた。
また他の藤子不作品では、ハットリシンゾウやポコニャンも演じていた。