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隠呼大仏

いんこだいぶつ

スクウェア(現スクウェア・エニックス)のRPG『ライブアライブ』近未来編に登場するボスキャラである。 なお、リメイク版では『大隠呼像』に改められた。
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概要編集

シナリオ開始時点から長らく、フリー行動中に訪れる日暮里の御出居寺にて、裏の池に鎮座する巨大なインコのような仏像として登場する。そこはインコが飛び戯れる寺で、教祖の雲龍が「けるるー。けるけるぴーちゃん。けるるーちゃん。どれんぷちゃんけるける〜」とお経を唱えている。


だが、物語が進むにつれて真相が判明する。人さらいを繰り返す反体制集団・クルセイダーズに自分がいる施設の子を狙われたアキラが筑波研究所に踏み込んできた時、奥の間にあるVIPルームにいた雲龍教祖、科学者シンデルマン、陸軍総帥のヤマザキは『御出居様(おでおさま)』なる神(?)を降臨させる計画を明らかにする。


周囲に飛んでいるインコも実はその兆候はうかがえ、最初こそ「けるる〜」と独特の鳴き声を発する程度だが、次第に明らかに知能を持ったかのような「カエレ!」に変化し、筑波研究所に突入した後は「オデオ オデオ!」と喋りながらアキラに付きまとってくる不気味な変化を見せる。


その計画とは、攫わせて来た一般人を液化して作り出した“液体人間”(2000人分・60000リットル)を注入し、御出居様の降臨した隠呼大仏を動かし、穢れた現世を救うことだった。アキラが仲間の無法松と一緒に逃げ出したのに合わせ、いよいよ計画を実行に移す。しかし、無法松・そしてアキラが動かす巨大戦闘ロボット「ブリキ大王」がすぐそこまで迫っていた。


ブリキ大王の到着前に、どうにか液体人間の注入は完了した。人と人が液体となって溶け合い、互いに争いのない世界を作ろうとした。しかし、そのような世界をよしとしないアキラの手によって、ブリキ大王が襲い掛かってきた。


動き出した隠呼大仏は、足技を封じる“けるる〜しょうわ”、向きを変える“けるる〜きっく”、反撃技かつLvを下げる“ナム〜の後光”(リメイク版は単に後光)、手技を封じる“液体人間呪縛”を使用する。“けるる〜しょうわ”でブリキ大王の切り札であるバベルノンキックを封じてくる場合も多いが、封じられない飛び道具のジョムジョム弾を受けると、しばらくはほぼ確実に“けるる〜きっく”しか使えなくなるため、技を封じたばっかりにジョムジョム弾で調子を狂わされて爆殺されるケースも多いようだ。

なおリメイク版では戦闘中、シンデルマン、ヤマザキ、雲龍が台詞を発する。


こうして大仏は撃破され、漏れ出た液体人間は暴走して雲龍達を呑みこむ。敗北の絶望なのか、死による解脱に対する歓喜ともつかぬ叫び声をあげ、3人の幹部は消滅。隠呼大仏に御出居様を降臨させる野望は、ここに砕かれたのであった。


そもそも本当に「人と人が溶け合えば『争いのない世界』を築けるのならば、同様の現象である新世紀エヴァンゲリオンサードインパクトにおけるゼーレのように「雲龍達3人は液体人間になろうとするそぶりを敗北まで見せなかったのか?」疑問が残る。しかも溶け合うだけならば、隠呼大仏の存在意義が全く見当たらないのである。

こうなると雲龍の主張は詭弁かつ独善でしかなく、本当は隠呼大仏を利用した別の目的が3人にあった可能性が高い(実際、液体人間を利用したサイボーグ・W1号がある)。

仮に、3人の言い分に嘘がなかったとしても、彼等が自ら参加せず上から目線で高みの見物同然の立場にいる限り、いずれ破綻する事態は目に見えており、大多数の人々が不幸になるのは間違いないだろう(事実、筑波研究所にある液体人間達は「た‥‥す‥‥けて‥‥」「か‥‥体を‥‥返して‥‥」と苦しんでる)。


少なくとも液体人間に呑み込まれた3人の有様に対し、アキラには詭弁であるようにしか見えなかったようで3人に皮肉を呟いている。


「よろこびな‥‥

 てめえらも 一つになれんだ‥‥」

60000㍑に沈む


だが、暴走の果てに3人を呑み込んだ液体人間は、今度はブリキ大王に襲いかかってきた!


ブリキ大王ごと呑み込もうとする液体人間にアキラは……彼の運命やいかに!?



御出居様編集

雲竜「来たでける‥‥

   今こそ!

   この隠呼(インコ)大仏像に!

   我らを お救いになるためッ!

   御出居(おでお)様が お降りになるでけるッ!!」


隠呼大仏に乗り移った謎の存在。本編では台詞は1つも無く、ゲーム中・攻略本ともに具体的にいかなる存在だったのかは一切語られていない。

最終編でのオルステッドが「人と人との同化を目指した者」と語りかけているが、実は雲龍・シンデルマン・ヤマザキの3人に対してであり、しかもオルステッドからは液体“人間”による同化すら否定され「破壊によって『人間を滅する意思』」で憎しみの力を大仏に降ろしている。

つまり、御出居とは3人の願いを成就させるどころか、人間を破滅に導く「異形の魔神」だったのである。皮肉にも3人はどっちに転んでも行く末は破滅しかなかったである。

なお島本氏の「超級!! ライブアライブ近未来編」では「憎シミハ…消エヌ!」という台詞(呪詛?)を吐いており、憎悪で動いていることが明確な形となっている。


だが、もとより破滅願望に染まった狂信者の雲龍や、(恐らくだが)液体人間を動力にした新型兵器を求めた(であろう)ヤマザキ総帥と異なり、唯1人“自分の思想・主張を否定された挙げ句、学会を追われた”シンデルマン博士は『自らを否定した学者達への復讐=憎しみ』に突き動かされていたため、彼にとっては救世の神だったのは確かかも知れない。


そして、最終編でのオルステッドの言動から、彼が抱く『“人間に対する尽きない憎しみ”が、数世紀にも及ぶ時の流れで歪んで伝わったモノ』こそが御出居様の正体と思われる。


最終編にて編集

オルステッドを操作するシナリオでは、彼を中世編でどれだけ育てているかにもよるが、ブリキ大王と同じHP(2032)なので、相手のHPを先に空にした方が勝ちである。“けるる〜しょうわ”で足を封じれば、メタルヒットを受けてもほとんどダメージを受けないし、そもそもブリキ大王と同じY座標にいればバベルノンキックを使ってこない。しかも、動き回ればブリキ大王がハロゲンレーザーを乱発してくるので、スキだらけになったところを攻撃すれば負けはないだろう。


他の主人公を選択した場合はボスとして再登場するが、こちらも難易度は低い。アキラのレベルが如何に低くてもブリキ大王の強さは安定しており、しかもこの大仏は弱体化しており、バベルノンキック連発で勝てる。また、ド根性グラブを装備していればブリキ大王への手足封じも通用しないため、敗ける要素はもはやない。


ところが、リメイク版の最終編主人公にオルステッドを選んだ場合、操作するのは(何の手違いかこの弱体化した大仏。ブリキ大王の半分強しかないHPで始まるこの不利をひっくり返すには、“液体人間呪縛”を中心にメタルヒットやバベルノンキックを封じ、ハロゲンレーザーの溜め中に"けるるーきっく"で弾き飛ばしてキャンセルを行うなど、使う技はなるべく最適解を選ばなければならない。遊んでいる余裕はないだろう。

幸い"液体人間呪縛"のデバフがかなり強力で、使えば使うほどこちらは威力が上がり、あちらはジョムジョム弾以外の技は封殺でき、かつジョムジョム弾のヒット数が大幅に減るので、立ち回りさえ気を付ければ案外あっさり片が付く。

また、前述の通りブリキ大王の真横に陣取れば、バベルノンキックを使用不可能にできるため、これならかなり余裕ができる(そうしないと完全に運ゲーになるレベルで、バベルノンキックが強すぎる)。


余談編集

リメイク版では先述の通り、「隠呼大仏」から「大隠呼像」に改められている。容姿自体はリメイク前と同じ仏像モチーフだが、今だと仏教(宗教)に対するコンプライアンスの関係で呼び名が変更されたと思われる。

技発動時にお経を唱えながら出てくる梵字も、リメイクでは「梵字を髣髴とさせるテイストのオリジナル文字」に指し変わっている。

またリメイク版では戦闘時に、雲龍(CV:千葉繁)、シンデルマン(CV:中尾隆聖)、ヤマザキ(CV:玄田哲章)のなかなかに豪華な台詞ボイスが付いた。


なお、島本和彦氏によるコミカライズ「超級!! 近未来編」では、御出居寺を凄絶に破壊しながらのブリキ大王との大立ち回りを演じ、さらにはその姿に恥じぬ飛行能力まで披露。

技も詳細に描写され、「後光」は咆哮とともに閃光を発するもの、「けるる~きっく」はバベルノンキックばりの高空からの急降下キック、「けるる~しょうわ」は口から梵字をまとったリング状の炎を放つものとなっている。また、液体人間が湧き出てブリキ大王の脚部に絡みつき動きを封じる「液体人間呪縛」らしき描写もある(手技を封じるゲーム版とは逆に足技を封じている)。


隠呼大仏の容姿にそっくりなものにリメイク版FF2の追加シナリオ「ソウル・オブ・リバース」のラスボスである「善の皇帝」がいる。さすがに鳥ではないが、複数の翼・衣・大きな輪のようなものが共通している。また、独善的なところもほぼ同じ。


このリメイクに携わったのは、LALと同じ時田氏である。


関連タグ編集

ライブアライブ 近未来編 魔王オディオ 田所晃 ブリキ大王

人類補完計画新世紀エヴァンゲリオン最大の計画。旧劇場版にてその全貌が明らかにされ、その実態が全人類をL.C.L化し、「一つの生命体」にする事だった為、近未来編の液体人間化と酷似している。旧劇場版の放映時期がSFC版ライブアライブの発売よりも後だったため、ライブアライブ側が「ネタをパクった」なんて扱いはあり得ないが、元々古いSF作品でもよく似た設定の話があるため(『ブラッドミュージック』なる作品が元となった説がある)両者ともにそれをオマージュにした可能性はある。なお、エヴァンゲリオン監督の庵野秀明氏と近未来編キャラクターデザインの島本和彦氏は旧友であり、島本氏のアバターである炎尾燃の青春時代を描いたアオイホノオでは庵野氏をモデルにした「庵野ヒデアキ」(ドラマ版:安田顕なる人物が登場している。


ここから先、隠呼大仏の裏設定に関わる途轍もない記述があります編集





















トンでもない元ネタ


2013年になってから近未来編のシナリオ担当者の井上氏によって"近未来編インコ大仏の後ろの額に書かれてる文字はΩ(※)。半年後オウム真理教事件が起こって、ポアされるんじゃないかとヒヤヒヤした。【豆知識】"とする衝撃の事実が明かされた。


つまり隠呼大仏はオウム真理教をイメージして産み出された、恐るべきキャラクターだったのである。


元々インコは鳥綱オウム目インコ科でオウムの仲間であり、鳥綱オウム科(所謂オウム)の中にもインコと呼ばれる種類がいるため、陰呼大仏を見てインコ→オウム→オウム真理教と少々強引ではあるがこのような連想も可能ではある。ただし、オウム真理教のオウムは鳥のオウムの意味ではない(そして隠呼大仏に書かれたオーム=Ωは電気抵抗の単位であり、こちらもオウム真理教とは関係ない)。


また原始編のキャラクターデザインである小林よしのり先生は、当時SFC版ライブアライブが発売された時期に、ゴーマニズム宣言にてオウム批判をしていたため、オウム真理教の信者達によって監視・暗殺されそうになった経緯がある。

当時のアシスタントの1人が、スタジオを監視していたオウム信者に対抗するために、缶コーヒーを買って万が一の時の武器としてポケットに隠し持ち、監視していた信者に対して小林氏に近寄らないように注意したり、またある信者が喫茶店にてVXガスで小林氏暗殺を行おうとしたが、その時に小林氏と同席していた女性スタッフがその信者に睨みを効かせたため(小林氏曰く「SMの女王様並みの迫力があった」)、その信者は恐怖を感じて手を出すのを諦め、小林氏の暗殺は未遂で済んだ。



※:リメイク版では別のマークに変わっている。




















関連タグ(裏設定)編集

社会風刺


カルトカルト宗教カルト教団とも呼ばれており隠呼大仏の元ネタとなった例の教団もその1つとして(悪い意味で)有名になった。更に皮肉にもリメイク版発売の2022年には、旧統一教会から端を発する事件が起こってしまった。


小林よしのり原始編のキャラクターデザインを担当したレジェンド漫画家であり、SFC版ライブアライブが発売された時期にゴーマニズム宣言の1件で、隠呼大仏の元ネタとなったカルト教団に監視されたり、実際に命を狙われてた経緯がある。しかも彼の叔母は上記の説明にもあった統一教会の信者で、その彼女の信心のために小林氏をも含む、彼女の周りの人達が不幸になったり 様々な迷惑を被ったため例の教団と関わる前から、カルト宗教に対しては否定的な姿勢をとっている。

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