「その時のひらめきでストーリーを変えていく…それが俺の“リアリティ”なんだよぉぉ! お前らも燃えろ! 自由にやれ! 自己を解放しろおぉぉッ! パッカ~ン♪ ウェアアァァァッ!!」
演:姜暢雄
概要
実写化される事となった『新初恋ヒーロー』の総監督。本名はDVD特典のフォトカードにて判明。
忍風鬼に憑依された影響なのかはたまた元来の性格なのか不明(忍風鬼が消えた後も然程変わっていなかった事から、おそらくは後者の可能性が高い)だが、劇中では忍風鬼への変貌前・変貌後問わず常時鬱陶しいくらいにテンションが高く、やたら奇声を発する。
また、顔貌こそ端麗であるが、リアクションの際に見せる顔芸のクセも凄い。
作風は本人曰く「リアル志向」と宣っているものの、実際は根幹からズレており、「映画は爆発だ」を信条に、良くも悪くも個人の色を出し、役者の意思を尊重する(というよりは無尽蔵に取り入れてしまう)事を重視する傾向にあり、「素人丸出しの棒演技がマシに思える程酷い演技はリアリティがある」というよくわからない理屈を掲げ、逆に完璧すぎるが為に個性がない演技を見せたソノイやソノニに対しては「(演技が完璧過ぎて)リアリティがない」としてお眼鏡に叶わずに役から降ろしてしまい、(冒頭2段目の台詞にもあるとおり)その場のノリや思いつきだけで本来の作品の方向性とは全く異なる要素を追加してストーリーを勝手に変えてしまう事すらも「リアリティ」と豪語し、遂には本来現場の演者達を統括すべき監督の立場にありながら、逆に演者達に『自由にやれ』と煽り立て、常識人目線で見れば明らかに破綻しているともいえる無茶苦茶な展開でさえも、自分の価値観に基づき逆に大満足する等、実際はかなり型破りともいえる自由奔放でワンマン主義な、“個性派”…どころの話ではない破天荒極まる人物である。
こんな調子の人物な為に、プロデューサーの三枝玲子をはじめ、現場のスタッフやキャスト達も困惑気味で、一見すればまともに付いて行ける人はまずいなさそうだが、撮影自体は完走し切ったので人望やカリスマは割とある方らしい。
上述した黒岩のほぼ場当たり的なノリや独断と偏見だけで急遽加えられた数々の映画オリジナルの要素(ゾンビ、(フィジカル的な)白馬の王子様、リアルヒーロー、等々)、そして役者のドイヒーな演技や好き勝手に脚本にアドリブを加えまくる自由過ぎる行動によって、この時点で映画は原作に対するリスペクトの『リ』の字もない混沌とした内容と化していた。
だが、黒岩は映画のクライマックスを盛り上げる為の最後にして最高のスペクタクルとして『途轍もなく強いラスボスとの決戦』を撮影すべく、既に憑依されていた忍風鬼に変貌して、ドンブラザーズと直接対決に挑む。
戦闘中にも、ドンブラザーズ側の演出にあれこれ文句や注文をつけながら、激戦を繰り広げ、最終的にドンブラザーズに倒される事で映画は撮了。憑依していた忍風鬼もその源であった欲望も昇華され、「爆発した…」と満足げにクランクアップを告げた。
その後、紆余曲折の果てになんとか完成された映画の試写会にドンブラザーズ(&マスターや脳人三人衆、三枝と共に参加。
黒岩本人は完成した映画に自信満々な様子であったが、そんな彼の自信とは裏腹に上映された作品は、まぁ当然というべきか…お世辞にも万人受け……どころか常人では到底理解できない超展開満載な内容なもはや「原作の名前を借りただけの別物」という怪作に仕上がっており、これには観客達だけでなく、三枝でさえも口をあんぐりとさせて呆然自失となっていたが、当の黒岩は上映された作品に思わず感涙していた。
当然そんな内容のもので映画を楽しみにしていた原作のファンの観客達が納得できる訳もなく、上映終了後、舞台挨拶の為に出演者や制作陣が登壇するなり、激烈な抗議やブーイング果てにはゴミが飛び交う大惨事となってしまう(なお原作者の椎名ナオキだけは何故か拍手して喜んでいた他、観客の声の中には「面白かったけど…」「楽しかったよ」という声も僅かに含まれていた)。
そしてそんな事態を引き起こした作品を全国上映させられる訳も無く(現実であれば下手をすれば映画会社が潰れかねない)、結局たった一度の先行試写会のみで上映は中止。
結果的に監督としてのキャリアに自ら浅からぬ傷を付け、作品自体もお蔵入りになるという、黒岩(とドンブラザーズをはじめとする彼に巻き込まれた人々)にとっては元も子もない事実上胡乱遠大な“自爆劇”というオチとなったのであった。
それでも、黒岩は作品への自信を最後まで喪失する事なく、罵声やゴミを投げつけてくる観客達に対しても唯一人「ありがとー!」と笑顔で応えるのだった。ホント、そのポジティブシンキングや自信は一体どこからくるのやら…
余談
このようにドンブラザーズの劇場版のゲスト(一応メインヴィラン)に相応しい程にクセの強烈な濃い人物であれど、一応フォローすると彼の映画に対する思いは本物である。
ただ情熱の余り、自らの感性や趣味趣向を優先しすぎてしまった結果、明確に原作がある物の映画化にあたって一番重要な「原作に合わせる」という行為をしなかったのが原因であり(実際上述した通り、「(映画自体は)面白かった/楽しかった」という声も僅かであるが上がっていた)、完全オリジナルの作品として制作すれば、もうちょっと評価される声もあったかもしれない。
また青春恋愛物である原作に対し監督の趣向がアクション物だったのも理由に挙げられる。
つまり纏めると、「新初恋ヒーロー」と監督自体の相性が致命的に合わなかったのである(もちろん、作風だけの問題ではない事も承知の上であるが…)。
現実でも、撮影監督の方針と原作との相性の悪さ、認識の誤差などが原因で、お世辞にも良作とは評し難い出来になってしまったマンガ・小説作品の実写映画、ドラマの話が何度か見受けられる。
本名が明らかになるまではクレジット上では「黒岩監督」表記であることから本名は「黒岩 監督」ではないかと言われていた。
名前の由来は恐らく、世界的映画監督の黒澤明+演者が同じ忍風戦隊ハリケンジャーの登場人物である霞一鍬/クワガライジャーと思われる。
関連タグ
黒岩省吾:名前及び濃いキャラ繋がりの東映特撮の敵キャラクター。こちらの作品もプロデューサーが白倉伸一郎とシリーズ構成が井上敏樹で、後の本編にシャンゼリオンをモチーフにした敵キャラが現れる
御堂英之助/仮面ライダーアマゾンネオアルファ:中の人繋がりの東映特撮の敵キャラクター。しかし、曲がりなりにもその目的は純粋に『素晴らしい映画を作る』事であった黒岩と違い、こっちは本物の悪人。
オスカー・M・姫島:中の人が演じていた“濃いキャラ”と“顔芸”に定評があるマンガが原作のドラマの登場人物。今作の黒岩のキャラ(&顔芸)を見た視聴者の中には彼の再来と評する意見も上がっていた。ちなみに言うと黒岩とは根拠のわからない自信家な点も共通している。
岸辺露伴:黒岩の予告編での台詞から一部視聴者は連想した模様。
黒岩流星:こちらは少年サッカーの監督だが、同じく黒岩監督と呼ばれる。