黒蠍
くろさそり
誰も痛めず、傷つけず、貧しき者からは何も盗まず! それが、黒蠍盗掘団!
「黒蠍盗掘団」に所属する闇属性の戦士族モンスター群とそのサポートカードの総称。正式名称から「盗掘」を省いて「黒蠍団」と略される場合もある。メンバーは全員腕に黒いサソリを模したタトゥーを入れている。
メンバー全員が闇属性であり、チーム名に「盗掘」の単語が含まれており、おまけにメンバーのいかにもな人相の悪さや、各自で物騒な得物を携えている様子等から、少数精鋭の犯罪組織のようだが、実際は「誰も痛めず、傷つけず、貧しき者からは何も盗まず」とする『盗みの掟三箇条』を掲げ、後述のアニメ版では意外と間の抜けたコミカルな一面を見せもする為、総じて極悪人には見えない。しかし、世界観上のストーリーでは成金ゴブリンを襲撃して金品を奪った過去があるらしく、「義賊」と「強盗」の中間のようなポジションであるが、やはり犯罪組織である実態は間違いない。
元々は『黒蠍盗掘団』表記の1枚のモンスターカードとして遊戯王OCGに登場したが、その後首領・ザルーグが単独でOCG化、その後着々と別のメンバーもカード化されていった。遂には遊戯王GXにて敵組織の一員として十代達の前に現れる。それもコスプレなどではなくご本人達が直々に。実体化したカードの精霊の類だったようで、彼らが関与していた事件が終わった後は全員万丈目に引き取られた模様。実はデッキにも投入されていたらしい描写が僅かながらあったが、残念ながらデュエルにて万丈目に活用されはなかった(恐らく、オジャマに加えて黒蠍まで喋った場合のコストが一因かもしれない)。
黒蠍モンスターは、基本的に相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えて効果を発揮する。特徴的なのはほぼ全員が効果を2つ持っており、ダメージを与えた際にどちらか片方を選んで効果を発動させるスタイルである点。どちらかが発動しても意味を成さない、あるいは効果を発動させると裏目に出るようであれば、もう片方を選択し事実上の不発や不利益の防止ができる。効果自体は「盗掘団」らしくデッキ破壊を中心に、手札やフィールド上のカードの破壊、カードのサーチや回収などが目立つ。
一方で、戦闘ダメージを与えて効果を発揮するにもかかわらず、総じて戦闘力が控えめであるのが弱点。最高打点である黒蠍-強力のゴーグでさえレベル5でありながら攻撃力は1800しかなく、下手をすると下級アタッカーにも簡単に一蹴されてしまう。幸いにして闇属性の戦士族の集団なのでサポートは豊富であり、低ステータス故にサーチや特殊召喚がしやすいので、その辺りを中心に他のカードでフォローを入れてやる必要がある。
ちなみにカードのイラストや効果の発動は首領・ザルーグが中心となっているような描写が多い。実際、彼が黒蠍盗掘団の首領であり、ステータスも他のメンバーと比較するとそれなりに高い。しかし「首領・ザルーグ」の表記を見ての通り、名前に「黒蠍」の文字が入っておらず、そのせいでカテゴリーから省かれて扱われる場合がある(例えば黒蠍-棘のミーネの効果で回収できない)。尚、黒蠍-罠はずしのクリフも海外盤ではカード名に『dark scorpion(=黒蠍)』の表記がなかったが、代わりにミーネの効果に“黒蠍並び罠はずしのクリフのカードを手札に入れる(端的な邦訳)”のテキストでフォローされている(その為、日本のデュエリストの中には「日本のミーネも首領・ザルーグのフォローをいれろ」と不満に思っているとか)。また、全員集合した「黒蠍盗掘団」はステータス的にはメンバーの中で最弱である黒蠍-逃げ足のチックよりレベルが1高いだけであり、何故か基本的に個々で戦った方が強い(チックに関しても効果は大きく異なり、決して下位互換扱いにはならない)。
もしかして仲が悪かったり、チームワークが意外と苦手だったりするのだろうか? いや、それにしては全員ノリノリでポーズや台詞を決めているし、アニメでは傷ついたザルーグを見て心配したり奮起したりしているし、「必殺!黒蠍コンビネーション」なんて専用サポート罠カードもあるわけだし……謎である。
一応、リミット・リバースの適用範囲に収まれている他、近年では特殊勝利カードの1種の『ジャックポット7』を活かすキーパーツの個性を手に入れてはいるので、強ち無駄ではないようである。
専用サポートカードは少なく、個々の戦闘力も低く、現状黒蠍デッキはお世辞にも強力とは評価し難い。しかし、上手くコンボが決まると圧倒的なアドバンテージを得られるトリッキーな戦い方ができ、ハマるとなかなか面白いカテゴリーである。
モンスター
首領・ザルーグ
星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1500
二丁拳銃を得物とする黒蠍団の首領。頼れるお頭。相手の手札1枚かデッキ2枚を墓地送りにする効果を持つ。
メンバーであり、組織のトップでありながら唯一「黒蠍」の名を持たない。また、彼のみ若かりし頃の姿が別枠でカード化されている。首領だけあって一番キャラが立っている。余談だが、海外では銃規制の影響でイラストが短剣二刀流になっているが、銃は手放したのに弾帯は体に巻き付けたままの意味不明な装備になってしまっている。
黒蠍-罠はずしのクリフ
星3/闇属性/戦士族/攻1200/守1000
ナイフを得物とする黒蠍団のナンバー2。ちょっと神経質なメガネ。相手の魔法・罠カード1枚の破壊かデッキ2枚を墓地へ送る効果を持つ。
異名の通り罠の破壊が得意で、その点が効果にもしっかり反映されている。黒蠍団の中では比較的高い地位にいる設定だが、モンスターとしては意外にもチックと同じレベル3。
黒蠍-逃げ足のチック
星3/闇属性/戦士族/攻1000/守1000
木槌を得物とする黒蠍団の新米。ちょっと臆病で逃げ腰だがやる時はやるタイプ。フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻すか、相手のデッキの一番上のカードを確認し、そのまま戻すかデッキの一番下に送るかを選べる効果を持つ。
ステータスこそ黒蠍最弱だが、効果自体は最も応用が利くトリックスター。その性質があるカードとの危険なコンボに繋がりかねないとされ、一時期は準制限カードに指定されていた。ある意味でメンバーの中で最高の出世頭。
黒蠍-棘のミーネ
星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1800
棘付きのムチを得物とする黒蠍団の紅一点。首領であるザルーグも頭が上がらない黒蠍団の纏め役。自分のデッキか墓地から任意の黒蠍カードを手札に加える効果を持つ。
攻撃力はチック(及び集合時)と並んで黒蠍最弱だが、逆に守備力は黒蠍最高値。そして黒蠍デッキではその展開力を支える重要なポジション。他のメンバーが男ばかりな上にミーネ自体イラストが普通に可愛らしい為、黒蠍カードの中でダントツに人気がある。また、アニメではミーネ専用のサポートカードも存在した。
黒蠍-強力のゴーグ
星5/闇属性/戦士族/攻1800/守1500
ハンマーを得物とする黒蠍団一の巨漢。厳しげな表情をよく浮かべているが、意外とシャイで無口な糸目。相手のフィールド上のカードをデッキの一番上に戻すか、相手のデッキから1枚墓地へ送る効果を持つ。
レベルも攻撃力もザルーグを上回る、戦闘力では最強の黒蠍団員。しかしやはり他のモンスターとの戦闘では力負けしやすいステータス。しかもレベル(と攻撃力)が高いせいで通常・特殊ともに召喚条件が若干厳しく、最も使い難い黒蠍団員である。
黒蠍盗掘団
星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1000
遊戯王OCGに最初に登場した「黒蠍」であり、上述したメンバー全員が集結したもの。しかし何故かステータスは最弱クラス。しかも効果も個々のメンバーのように選択性ではなく、相手のデッキから相手が選んだ魔法カード1枚を墓地送りにする使い勝手の難しいもののみ。黒蠍モンスターの方向性が決まる前に登場してしまったため、結果的にこのような形になってしまったものと思われる。一応名前は「黒蠍」なので一部のサポートカードの恩恵を受けられるが、それらでさえ必ずしも相性が良くはない。
ただ、上記の特徴勝利カードや、墓地から発動する類の魔法カードが増加してからは、強制転移などのコントロール転移カードで送りつけるデッキなどが考案されるようになる。
魔法・罠
黒蠍団召集
自分フィールドに首領・ザルーグがいる時にのみ発動可能の通常魔法カード。
手札にある〈黒蠍〉のモンスターカードを全て召喚できる(ただし、同名のカードは1枚のみ)為、後述のコンボに繋げるのが容易になるが、肝心要の首領・ザルーグは上記の通りミーネによるサーチができない為、キラー・トマト等の〈黒蠍〉以外のフォローが必須。
必殺!黒蠍コンビネーション
自分フィールドに全ての〈黒蠍〉(首領・ザルーグも含む)が表攻撃表示でそろっている時にのみ発動可能の通常罠。
カード表記に〈黒蠍〉があるモンスター(首領・ザルーグも含む)にダイレクトアタック能力を付与させるが、ダメージは400に固定される為、各自カードの効果発動を優先されている仕様なのが難点。
しかし、カード表示に〈黒蠍〉があるのでミーネの効果対象である為、即座に回収し(次のターンまで誰も倒されなければだが)再び発動できる強味もある為、仮に与えるダメージが『元々の攻撃力』 か『発動時の攻撃力』 に依存していた場合は、最悪禁止カードになっていた可能性もあり、致し方ないのかもしれない。