演:島丈明
概要
飛電インテリジェンスが開発した消防士型ヒューマギア。
搭載されたスキャナーで現場の状況を把握し、ヒューマギアならではの頑丈さを生かした瓦礫を持ち上げる等の救助活動を得意とする。また、スキャナーにより見るだけで要救助者の負傷度合い(軽傷、重傷、CPA)の判別する事が出来たり、様々な緊急車両を巧みに乗りこなす運転技術も備えている。
だが、「助かる見込みがない」と判断した重症者は救命の優先順位を下げて生存者だけを助けようとする等、ラーニングされたマニュアル準拠の行動を基本とするヒューマギア特有の判断の為、ある種の配慮の欠如が見られる(とは言え、トリアージの観点から見れば間違いではないのも事実であり、決して誤った判断ではない)。
それまでに登場したヒューマギアと比べると寡黙で口数が少なく、穂村から挨拶代わりに抱負を述べられても首を傾げるだけであった(しかし後述する41話では、ラーニングの結果か気合いの入った言葉を放っている)。
天津垓が持ちかけた「お仕事五番勝負」の4回戦「消防士対決」の代表としてイズに推薦され、ザイアスペックの使用者である消防隊長・穂村武志との対決に挑む。
活躍
第26話「ワレら炎の消防隊」
対決は地上3階、地下1階の施設を使った救出訓練で、地下フロアで瓦礫に閉じ込められた女性陣、地上1階で火災により逃げ場を失ったA.I.M.S.の男性職員達、2階で煙に巻かれて瀕死の福添副社長、山下専務、シェスタの3人の順番で救出していく……と言う設定で、救出した人数で勝負する事となった。
唯阿が何の前置きもなく鳴らした号砲に穂村が面食らっている隙に1人駆け出し、ほぼ同時に地下に到着。要救助者捜索で一時穂村に後れを取るものの、ヒューマギア由来のパワーで何とか同数の5人を救出する。
続いて1階で擬似火災を鎮火した2人はそれぞれ救出に移ろうとするが、そこに突然出現したスカウティングパンダレイダーによって本当の火災が引き起こされてしまい、穂村と共に救助活動を開始することとなってしまう。
その際、スカウティングパンダレイダーの攻撃によって蹴散らされ、瓦礫の下敷きになった心肺停止状態のA.I.M.S.職員を発見するも『生命反応無し』と判断し、彼を救出対象から除外してしまう。
これに気付いた穂村が蘇生を諦めず心臓マッサージを実行、隊員の蘇生に成功した。
外部の応援も得て要救助者と共に脱出した2人だったが、穂村は重傷者を実質的に見捨てようとした119之助の胸ぐらを掴んで叱咤。
穂村「良いか?このメモリーによぉく記録しとけ! 例え生命反応がなかったとしても、すぐに死亡すると決まったわけじゃねぇ。それが、命ってもんだ! 救える命を諦めるやつは消防士失格だ!」
この叱咤がトリガーとなって119之助にシンギュラリティの兆候が現れるが、それを見逃さなかった天津からの命令を受けた唯阿によってゼツメライザーを取り付けられ、マンモスマギアへと変貌。
偶然火災に気付いてやって来た報道陣(元々スイーツ特集の撮影だった)に襲い掛かろうとし、天津に「暴走する危険なヒューマギア」と言うイメージ付けに利用されてしまう。
どうにか或人の手で人気の無い場所に移動させられ、或人が変身したゼロワン・フリージングベアーで脚を氷結されられる。
しかし、天津が変身したサウザーが乱入し、フリージングベアーのデータを奪って繰り出した「ジャッキングブレイク」で破壊されそうになるも、間一髪でメタルクラスタホッパーに変身したゼロワンがマンモスマギアを庇い、即座に放った「プログライジングストラッシュ」によって元の姿に戻った。
混乱が終息した後、119之助は或人に自身の失態を謝罪。
「命に対する理解が足りなかった」と反省点を指摘されるも、「それは俺も同じだ。俺たち、穂村隊長から大切な事をラーニングさせてもらったな」とフォローを受ける。
その矢先、イズより「福添達が火災訓練現場の3階に取り残されている」との報告を受け現場へと急行する。
この期に及んで「ヒューマギアが人間を救えると証明する良い機会だ」と或人を挑発し勝負を続けようとする天津に対し、119之助は穂村と協力して必ず取り残された3人を救命する決意を固めていた。
「救ってみせます!自分が必ず!」
第27話「ボクは命を諦めない」
現場の3階に到着した穂村と119之助だが、崩落の激しい現場内は瓦礫で救助経路が設けられず、更に炎による熱気と煙の勢いも激しく、人間はおろかヒューマギアも長くはいられない状況と化していた。
このままでは自分達も危ないと退避を考える穂村だが、119之助は今度こそ救える命を諦めない為、いくらでもボディの替えが利く言わば「命が無い」ヒューマギアの特性を利用し、単身で炎の中へ進行し、なんと無理矢理瓦礫を持ち上げて救出経路となる道を拓いた。
穂村「自分の命も守ってこそ消防士だ!」
「命を救うのが、自分の…消防士の仕事です! 先に進んで下さい! さぁ早く!」
制止する穂村の声に対し、自分に構わず要救助者の救出に向かうよう促す119之助。
現場に乗り込んできた不破と唯阿と共に穂村が福添達の救助を完了する間、119之助は瓦礫を支え続け、遂には体が燃え上がってスキン部分が焼失するも、その体勢のままで機能停止するのだった。
鎮火完了後、文字通り体を張って道を切り拓く活躍を見せた彼のボディを、或人は労いの思いを込めて自ら背負って現場から運び出すのだった。
或人「ご苦労様…119之助」
最終的に3人を救出したのが穂村だった為、対決はZAIAの勝利となるところだったが、「119之助の活躍無くして救助は出来なかったので、実質彼の勝利だ」と穂村自ら進言し、「彼は紛れもなく消防士だった」と讃えた。
一方、天津の方は一貫してZAIA側の勝利だと意見を曲げずにいたが、今回の火災事件を起こしたスカウティングパンダレイダーの変身者がZAIAの開発部主任の京極大毅であった事が判明した為、社員の粗相に免じて飛電インテリジェンスに今回の勝負の勝利を譲った。
その後
第41話では新たに生産されたと思われる機体で再登場。他の消防士型ヒューマギア達の先頭に立ち、まだ燃えている建物に突入して、救助活動をした。
また、この時「人命救助が最優先」と他のヒューマギアに伝えているため、しっかりと穂村隊長から受け継いだ「命に対する理解」をラーニングできているようだ。
余談
マギア化の末の破壊以外の要因で機能停止したヒューマギアはワズ・ナゾートクに続いて、2体目。あちらはバックアップがないのに妹の身代わりでデータを差し出した為、ボディは破損せずに残ったのに対して、物理的な破損で機能停止したのは現時点で119之助が唯一となる。
穂村達が乗りつけて来た消防車のナンバープレートは平仮名が「ん」になっているが、んは欠番なのでこのような仕様は実在しない。
第26話の119之助の重篤者を見捨てる行為も、AI単独で行ったからこそのケアレスミスであり、人間の穂村がカバーした事で重篤者を救助が出来、第27話は逆に人間単独では二次被害しか起きない故、AI(=代替の利く被造物)があったからこそ救助が出来たと言う状況だった。
最終的には今回の勝負の総括は、『人とAIが適材適所で共同で任務を行う事の重要性』を訴えているように見える。
第27話で119之助のボディが燃え上がってしまったことから、防火性に対して視聴者側から疑問を呈される意見があるが、119之助のボディが特別に耐火性に優れているとは劇中で明言はされていない(ヒューマギアは用途に応じて細かく仕様をカスタマイズ出来る設定の為、好意的に見るのであれば標準的なヒューマギアと大差無い仕様で運用されているのかもしれない)。
なお、引火時は鉄筋と思しき瓦礫を持ち上げていたこともあり、恐らくは周囲の炎熱からの輻射+保持していた瓦礫内部に籠った高温の熱伝導による引火、または周囲に迫った炎による暴露で炙られる形になってしまった可能性が高い。
防火服自体もあくまで耐燃焼性が高いが決して炎を遮断する構造にはなっておらず、火災暴露の際にはどうしても隙間から火傷を負う場合がある為、119之助のボディも防火服も燃えてしまうこと自体は決しておかしいことではない。
ただ、防火服含めストーリーの演出都合上かなり早く燃えてしまっているのは否めない為、演出上の嘘と言われても否定は出来ないだろう。
なお、2020年当時の防火服における国際規格は細かく基準が設定されているが、一例では「衣を縫製する糸が260℃で5分」の耐熱性を保有していなければならない。
この回は他にも
・火災現場へ突入する際、防火服より頑丈であろうバルカンに変身せず、水を被っただけの不破
・何も被らず引火しやすそうな服で同行させられ、こちらもバルキリーに変身しない刃
・119之助も瓦礫を持ち上げたままでなく、どかすことは出来なかったのか?
・どう見ても刑事罰の火災の原因を作った側なのに、なおも勝負を続行しようとする天津
など、冷静に考えると不自然な描写が点在してしまっており、人間がZAIAスペックを用いても出来ないことを、ヒューマギアが穴埋めすることで解決に至り、人間がヒューマギアへの敬意を払う形となったシナリオの流れを評価する声がある一方で、細かい所まで描写が行き届いておらず残念との感想も方々で挙がった。
穂村武志を演じた阿部亮平氏は『仮面ライダー電王』第3-4話以来、13年ぶりの仮面ライダーシリーズ出演となった。
偶然だが、119之助が初登場した第26話の前日は、消防記念日である。
関連リンク
どんな名前だ:救急への通報番号が「119」なのは日本だけである。同型機を海外へ売るプランが無かったのだろうか。