「ザイアスペックをかけると世界が変わる。」
「貴方の頭脳は1000%」
概要
ZAIAエンタープライズジャパンが販売する次世代インターフェース。
本体は片耳に装着するデバイスだが、データのディスプレイ表示などの為に眼鏡(いわゆるスマートグラス)との併用が前提になっている。 眼鏡であればデザイン・種類は問わず、サングラスと併用している例もある。
使用すると装着者に人工知能と同等の思考能力の付与が可能で、この商品の開発によりZAIAは企業として急成長したらしい。 作中でも「まるでヒューマギアになったようだ」と表されている。
飛電インテリジェンスの買収を企てる天津垓が持ちかけた「お仕事5番勝負」で飛電のヒューマギアと、どちらが優れているかの競い合いに至る。
5番勝負編で装着している人間はそろって、ザイアスペックの性能を過信している者が多く、お仕事5番勝負の1回戦の代表・立花蓮太郎と2回戦の代表・新屋敷達巳は特にヒューマギアを見下している傾向が強かった。もっとも3回戦代表の市森直人や4回戦代表の穂村武志等、ザイアスペック使用者でも、ヒューマギアを見下すような者ばかりな訳ではない。
第34話と第37話では、亡やアークによりザイアスペックがハッキングされ、人々が「人類滅亡」を叫んで暴走する事件が発生している。
また、垓はそれを逆手に取り、レイドライザーの販売を促進させる為に、わざとザイアスペックの暴走を企んでいたが、通信衛星ゼアがレイドライザーの大量生産を拒否した上に、福添達がレイドライザーの販売を中止した為、未遂に終わった。
劇場版『REAL×TIME』では、眼鏡からコンタクトレンズ投射型にアップデートされ、更に使用者の体表に不可視の防壁を展開し毒ガス等の吸引を防ぐ機能が追加された。
考察
人間に高い思考能力を与えるザイアスペックだが、下記のようにその安全性について考察する声が多く見られる。
- 視聴者からは「人間の思考能力を、人工知能と同等にするのは本当に安全なのか?」「能力が上がった人間が現場に居ても、その人間の負担が倍増するだけなんじゃ……?」等の疑問を抱かれている。そもそも、これを推している当の天津自身、これを常着していないのが怪しさに拍車を掛ける(但し、天津にはそれ以上のインターフェースがあるので、ザイアスペックが不要なのだろうが)。
- 現時点で天津がザイアスペックを装着していたのが、ほぼ全て機械に対して(主に彼や彼に対して)干渉する時であり、天津が立花等と同様、仕事上で装着している姿はほとんど確認できていない。
- 人間には「肉体」の限界が必ずある上、幾ら思考能力が上がっても体が連動しない可能性もある。
- 実現している似たような技術で、パソコンのオーバークロックがある。動作クロック(回路のメトロノームのようなもの)を本来以上の速さにして、処理速度を無理矢理上げるものだが、発熱や故障のリスクを伴う。もしザイアスペックの仕組みも、脳の処理速度を本来以上にして知能を向上させるものだとしたら、脳に激しい疲労を与えたり、何らかの障害を引き起こしたりする恐れがあると推測される。
- 「人手不足を補い、人間の仕事のアシスト・サポートをするヒューマギアと、使用者の能力を向上させるザイアスペックとでは、用途も目的も違う以上、優れているかの勝負は無意味なのでは?」との意見もあるが『ゼロワン』の世界では、既に「お笑い芸人としてピンで活動する」「漫画家が放棄したストーリーの考案を担う」「人間以上のバイタリティで部活の指導を行う」「華道の家元が恐怖する程の腕前の生け花を披露する」等、多種多様なヒューマギアの存在が確認されており、最早「用途も目的も違う」とは断言し難い状態なのは注意が必要である(但し、最後の例は反則に近い裏技を用いた結果でもあるが)。
- ただし、ザイアスペックのアイデンティティーが、天津が掲げる理想=AIによる人類の進化だとすれば、やはり競合相手としては違うのも事実である。
- 似たようなシステムは平成ライダーで、仮面ライダーG3や仮面ライダーG4として登場しているが、前者は訓練しないとまず扱えないシステム(原作の仮面ライダーアギト及び、ディケイドにおけるG3-Xは特に)、後者は装着者に死ぬ事前提の負荷を与える仕様の為、まず一般人に扱える代物ではない。用途こそ大幅に違うが、そんなシステムが一般家庭に普及したらどうなるかは、容易に想像出来るだろう。
- また、実は黒幕の計画に関わる非常に危険な代物である可能性も指摘されている。更にZAIAに精通している者ならば、ザイアスペックを操作が出来てしまう可能性も示唆された為、第三者の介入によって開発者の思惑を超えた代物になってしまう可能性も否定出来ない。
- 尚『ヒューマギアへの対抗馬』として劇中では売り出されているかのように思われるが、あくまでザイアスペックは“人間の知能を補助する”為のツールであり、ヒューマギア特有の人間以上の怪力を活かした「力仕事」は補完出来ない弱点がある。
- 『ゼロワン』の物語のキーワードとなっている、「シンギュラリティ」を提唱したレイ・カーツワイル曰く「意識をコンピュータにアップロードされた人間(ポストヒューマン)によって、最早人間とAIとの明確な区別が付かなくなる」と予言しており、本作におけるポストヒューマンの描写を、ザイアスペックは担っていると思われる。
- 劇中ではヒューマギアを見下している人間が装着しているものの、作中の描写を見る限り、当初は純粋な願いや仕事に誇りを持っていた人間が装着している事が殆どであった(例えば新屋敷は「『家族が快適に過ごせる広い家』に憧れて、不動産業界に入っている」等)。また、五番勝負の後半には検事の市森や、人命救助の為にヒューマギアとの共同作業で使用している消防士の穂村等と、ザイアスペックに過度な信頼を寄せずに使用している人間も多く存在しており、ザイアスペックも結局は使う人間の心持次第である描写されている。
- レイドライザーで変身するレイダーのスペック紹介ページによれば、レイドライザーが各装置を制御して負の感情を刺激、理性や痛覚を薄れさせるとある他、レイドライザー装着者がレイダーに変身した際には、赤く発光する怪しい描写が見られた事実から、この「各装置」にザイアスペックが含まれている可能性があった。
- 後に、ザイアスペック未使用のレイダーの変身者も登場(おまけに、ザイアスペック使用者に、罪を擦り付ける事案も発生)した為、必ずしもレイドライザーに必須の装置では無い模様。だが、第30話以降に登場したバトルレイダーの変身者は、例外なくザイアスペックを装着している為、何かしらの補助装置になっている可能性は高い。
- 第20話の時点で、ZAIAの代表は2人とも飛電代表のヒューマギアに対し、不正や暴言、暴力を振るう等、最終的に和解したものの、かなり悪質な振る舞いを見せており、テレビ報道はしていないが秘密裏の勝負でもない為、一般人にもそれなりに認知されている。更に消防士対決が本当の火災現場になり、真剣に人命救助をしなけれならなくなった際に見せた、天津の事態の重大さを理解していないような、異常かつ非常識な言動がテレビで生放送された事実もあって、「これらの行動がザイアスペックのイメージダウンに繋がっていき、後述の案件にまで繋がったのではないか?」との声もある。
- 第30話では、ZAIAに買収された飛電インテリジェンスは、天津主導による「ヒューマギアを返却したらザイアスペックプレゼント」の大盤振る舞いなキャンペーンを決行しているが、それに反してヒューマギアの不法投棄案件が起きている。この事実から「一部のモラルに欠ける点があったユーザーのせいで、ザイアスペックも一般人にはあまり受け入れられてないのではないか?」との指摘がされている。
- そもそも、ザイアスペックは汎用性こそあるものの、ヒューマギアと違って解り易い特化性がない面が否めない上、過去の愛用者のように使用者自身に相応の技量・知識が合わさって真価を発揮するツールである。
- ヒューマギアのように人手不足を補えない上、本編で流れたCMの内容も真っ当な商品の説明以上に、天津の抽象的な言動からなる、インパクトだけが悪目立ち1人歩きしている側面も強い結果、一般人には「凄いけどよく分からないツールデバイス」にしか見えず、プレゼントされても困るのが実情なのではないかと推測される。
- そもそも、ザイアスペックは汎用性こそあるものの、ヒューマギアと違って解り易い特化性がない面が否めない上、過去の愛用者のように使用者自身に相応の技量・知識が合わさって真価を発揮するツールである。
- 第34話でのザイアスペックがハッキングされる事態に対して視聴者からは、ザイアスペックもヒューマギアと同様にハッキングされると解かれば、天津の立場が危うく、しかも「『人間』が暴れるとなれば、ロボットと違い『破壊』=『殺人』による対処が不可能な分、ヒューマギアがマギアになって暴れるより質悪い」との意見が挙がっている。
- 第34話で天津がザイアスペックの暴走した事態には、驚いてはいたが暴走そのものには驚いていなかった点、第37話でザイアスペックを意図的に暴走は可能な点等を考慮したら、今回はアークの復活とタイミングが重なったから、レイドライザー販売の為にザイアスペックの暴走を提案したが「アークの復活が無かったら、その内に意図的に暴走させる予定だったのではないか?」との不穏な説が挙げられている。
余談
第17話でザイアスペックのコマーシャルのシーンがあった(冒頭のセリフはその抜粋)が、世界が変わるの謳い文句で、某拡大鏡を想起した人が多数現れ、放送当日ツイッターでトレンド入りする事態になった。CMラストにはサウザーと同じ「Presented by ZAIA」がある。
デザインに関して
表面のチップはヒューマギアモジュールの○に対して×をモチーフとしており、感知した悪意が蓄積されるイメージでデザインされた。
アークワンプログライズキーに×印のチップがあるのも、悪意が集約されているイメージを意識しており、仮面ライダーアークワンのデウスエクスパイト(胸部装甲)のデザインにも取り入れられている(ザイアスペック、アークワンプログライズキー、アークワンのデザインは3つ共にPLEXの山下貴斗氏がデザインを担当している)。
(出典:『フィギュア王No.276』(ワールドフォトプレス/2021年)におけるインタビュー記事『ゼロワン開発計画』の「閲覧コード002:PRESENTED by ZAIA」(P41)、「閲覧コード003:Toward a dream,Toward the FUTURE」(P55)より)
ついに実装。しかし…
なんとついに、視聴者の声があったのかは知らないが、「ヒューマギアのモジュール」「腹筋崩壊太郎の腹筋」等に続き、プレバン限定2万円で登場。
所謂アクセサリーの為、発光、音声ギミックは無いものの、劇中に近い再現度から、多くのグッズ収集ファンが心を踊らせていた。
…だが、実際は表面は原作再現なものの、裏は全体が白く肉抜きされており、(耳の負担を和らげる為には仕方無いのだが……)そこに耳かけのワイヤーが付いているだけ。
これにはファンも「スタッフの悪ノリがすぎる」とか「ガシャポンのおもちゃ」とか「箱に1万円以上費やしてる」等と、散々な言われようであった。
更に後年にデモンズドライバーがプレミアムバンダイにて発売されたが、多色発光LEDを64灯搭載と再現度の高い造形で、それで値段はザイアスペックの半分な為、尚更このザイアスペックの評価が下がった。
その為「2万円あるのなら他の高額ライダーアイテム買った方がまし」である。
関連タグ
ZAIAパンツ︰同じく製造している商品。
仮面ライダーG4:AIが人間の挙動を補助する繋がり。しかし、肉体の限界がある以上、装着者は最終的には死に至る。
スティーブ・ビルズ:「仮面ライダーゴースト」に登場した巨大IT企業社長。ザイアスペック同様に「高度情報ツール」の触れ込みのコンタクトレンズ『デミア』を流通させたが、その実態は…。
アルジャーノンに花束を:能力が強化された人間を扱った物語。こちらは外科手術で明確な副作用がある。
ナニカサレタヨウダ:こちらも強化された人間に纏わるモノで、表記からも分かる通り、えげつない内容である。
ギエン:『未来戦隊タイムレンジャー』のラスボス。旧は数も数えられない程知能の低い人間だったが、肉体の機械化と同時に搭載された電子頭脳によって高度な知能を獲得するも、人格が破綻して言動が狂気的になって行き、やがて世界を滅ぼし兼ねない程の暴走に突き進んでしまう。
鬼塚豪:『遊戯王VRAINS』に登場するデュエリスト。主人公と共に世界の危機を救うも、その後の世間の評価から「主人公を超えたい」思いが強くなり、AI内蔵インプラントチップを自身の脳に埋め込む被験者になった経緯がある。
ゼロシステム:新機動戦記ガンダムWに登場するシステム。人間では最高性能引き出せない兵器を作った反省として「機体が求めるレベルまで、パイロットの反応速度・情報処理能力を強制的に引き上げる」のを目的として設計されたが、常人には到底耐えられない仕様であり、使用した者に強い負荷を掛ける描写があった。
PXシステム:上記作品の外伝にて登場したシステム。人為的に極限状態に追い込み、使用者の潜在能力を引き出す機構で、リミッターを掛けないと最悪、使用者が死亡するリスクがあり、ザイアスペックにも同様の仕掛け(=使用者への負荷を減らす為のリミッター)があると推測される。
ロックマンゼクス:ロボットに近い能力を与えられた人間を扱った物語。こちらは法律で人間をロボットと同じ機械に変えてロボットの寿命を人間と同等にする事によって人間とロボットの共存を実現させている。
アルドリッチ・キリアン:映画『アイアンマン3』の悪役。人間の脳を拡張する薬物を開発して、AIを搭載する無人アーマーと互角の勝負を繰り広げた。