「ヘイ!YO!YO!YO! ヒューマギアと人間は生涯の仲間!」
「お前らとはもう絶交。俺の生き様、俺の自由。俺の愛で救う地球!」
演:副島淳
概要
飛電インテリジェンスが開発したラッパー型ヒューマギア。黒人風の容貌と大きなアフロヘアーが特徴。第28話に登場。
フリースタイルが得意で、日常でもラップで会話する。
しかし、ノリが良い反面、自己主張が強く曲がった事を嫌った性格であり、人間の命令をあまり聞かない一面を持っている。
ただラッパーとは、感情と本音のぶつけ合いによりお互いを理解し合い手を取り合う事を目的とした文化である事から、本質的には相手が自分へ心を開いてくれる事を強く信じる性分の様子。
だが、この世には心を開かず嘘と欺きで己を守る輩が存在しているのも事実であり、それに初めて出会い自分の性分を傷付けられて煽られた結果、ヒューマギア特有の純粋さも合わさって激昂。暴言を吐きながらの実力行使に走る様誘導されてしまった。
活躍
第28話
ZAIAエンタープライズジャパンとのお仕事5番勝負最終戦は、ヒューマギア自治都市構想を巡る住民投票においての「演説対決」で行われることになった。賛成派と反対派の代表が街頭演説で市民に訴え、その投票結果にて雌雄を決するルールである。ZAIAは当然反対派に付き、その代理人として市会議員の由藤政光を立ててきたが、法律で禁止されていて参政権を持たないヒューマギアには政治家型がいなかったため、同じように演説が得意ということでイズによってチェケラがスカウトされた。
対決本番では、オーソドックスな街頭演説でヒューマギア廃絶を訴える由藤に対し、これまで或人が接してきたヒューマギアとのエピソードを絡めたラップで「ヒューマギアは人類の仲間」とアピールし、若年層の人気をキャッチした。
その最中、由藤を支持する一般人の聴衆の中にZAIA社員が扮したサクラが紛れ込んでいることに気づいて由藤をマークし、後援会から賄賂を受け取る現場に或人とともに乱入して糾弾。その映像を、全国に生中継される公開討論番組の場にて暴露するが、ザイアスペックで偽装したアリバイ動画で潔白を主張し「記憶にございません」とシラを切る由藤に激怒、或人の制止すら無視して食ってかかり、「汚え人間は滅びろ!」とまで叫んでしまう。さらに天津垓にゼツメライザーを渡され挑発されたことで怒りが頂点に達し、自らの意志で装着しドードーマギアになってしまう。
刃唯阿が変身したファイティングジャッカルレイダーと戦うも、対マギア戦に慣れた彼女には敵わず破壊され、しかもマギア化してから撃破されるまでの様子が多くの人々の眼前で繰り広げられた事も相まって、天津の想定通り「ヒューマギアの危険性」と「レイドライザーの有用性」を世間に知らしめるためのダシに使われてしまった。
そして、これがもとで自治都市構想は大差で否決され、お仕事勝負に敗北した飛電インテリジェンスはZAIAに買収されることとなってしまう。
なお、他のヒューマギア同様にデータのバックアップは行われたはずだが、破壊されて以降登場していないため、復元されたかは不明。
一連の行動がテレビで流されてしまった事や、「やっぱりラッパーなんかに任せるんじゃなかった」という台詞も踏まえると、あまりにも間が悪かったというべきか。
暴れ出した経緯こそ異なるが、腹筋崩壊太郎と同様に公の場で暴れてしまった事や、お笑いと同じく人前で行う故イメージが命となっている職業である事から、彼と同じく悪評が消えるまでは再び活躍するのは難しいと思われる。
その後
ZAIA=垓側にして見れば、チェケラの暴走は滅亡迅雷.netを使っての飛電インテリジェンスのイメージダウンから始まってのお仕事5番勝負=ヒューマギアへのネガティブキャンペーン工作の一つのゴールになったと言える。
実際社会への影響はそれなりだった物の、『シンギュラリティに達したヒューマギアは人間を脅かす』と言う命題を打ち立てられたので、いざ有事が発生してもこの命題で世論を煽っての大規模な実力行使でヒューマギアを全滅させられる下地が出来ている。
更に『人類を脅かす役』である滅亡迅雷.netの中核構成員を秘密裏に生かし、飛電を乗っ取った後前述の命題の元で実力行使の手駒としてレイドライザーを社会に流通させる事で準備を進めている。加えて恐らく、市議会議員として民意を先導出来る由藤を『ヒューマギアに脅かされた人間』として取り込んでいるとも思われ、いざとなれば瞬く間に包囲網が敷かれると考えられる。
そして第30話以降、飛電或人が新しい会社を作ってヒューマギアを助け始めた事、『道具』として扱っていた者達の反抗により垓は屈辱を何度も味合わされるも、上の命題と思惑が最後の防波堤であるが故に悔しさを噛みしめながらも何とか引き下がっている。そして滅亡迅雷.netが復活・再始動したのを口実として、上の大規模実力行使のカウントダウンが始まっている。
その一方、ZAIAがネガティブキャンペーンの舞台装置として仕立て上げていた通信衛星アークは、チェケラの暴走に関わっていなかったが、総集編『プレジデント・スペシャル』内でチェケラの動向と顛末を観察していた事が発覚。その上で「悪意のデータを集め易かった」と彼を高く評価している。
劇中では評価の詳細は伏せられたが、まんまとZAIAの策略に嵌って『悪役』を押し付けられた上で破壊されたチェケラの顛末を見届けた結果、少なくともアークはこの時の自身がZAIAの兵器ビジネスの為に性格を設定された仮想敵=『道具』であった事を自覚した可能性が高い。
その後、秘密裏に修復されていた滅が拘束から脱して自身に再接続したのを皮切りに、滅亡迅雷.netを集結させたアークは自ら通信衛星より抜け出た上で仮面ライダーアークゼロへと変化、自ら人類絶滅を行うべく行動を開始する。その途上で仮面ライダー達と交戦した際、変身の器に使っていた滅亡迅雷のメンバーを滅から迅に変えて相手を牽制する卑怯な戦法を披露。その直後に「どうだった? 人間を騙し、弄ぶ……人間から教わった悪意の一つだ」とチェケラが嵌った境遇を連想させる発言を残している。
しかも、アークは自己を独立させる過程でザイアスペックをハッキングし使用者の人間を暴走させ、ZAIA=垓がヒューマギアへのネガティブキャンペーンを土台にして広めた商品の安全イメージを破壊する、チェケラがしたかったであろう報復行動をデモンストレーションとばかりに実行した。
当然、垓が担いでいた由藤もザイアスペックのユーザー(しかも日頃から着用し内蔵機能も使いこなしているレベル)であり、『ザイアスペックはヒューマギアとは違って暴走する危険が無い』とのイメージ戦略の一端を担っていたが、上述のアークの行動によりそのイメージが根底から崩壊。更にそれを後ろ盾に推し進めていただろう、前述の政治的主張も信用が失われて急激に支持を失ったのが想像される。
そして由藤に残る『ヒューマギアに脅かされた人間』という立場も、アークが由藤のザイアスペックをハッキングした時点でそこにある汚職等の犯罪歴を入手し、それを隠蔽・妨害も追い付かない規模で世間に暴露してスキャンダルを起こす形で由藤の社会的信用が失墜し立場も実質無力化。かつて演説対決でチェケラがやろうとして阻止された方法をグレードアップしたやり方で意趣返しされ、由藤が社会的に抹殺された可能性が大いにある。
こうした由藤の顛末はあくまで想像の範疇で確証は無いが、ザイアスペックの暴走事件がアークの引き起こした物だと突き止めるや垓はA.I.M.S.を率い、アークを破壊する行動に打って出た。これまでに、ZAIAの商品を流通させる土壌を作る『仮想敵』としてアークが人間を脅かす暗躍を黙認しその存在を容認していた垓がそれに反する行動を取ったのは、アークによるザイアスペックの暴走によって垓が想定外かつ大きな被害を被った事を示唆させており、その被害こそがここまでに考察した、垓とそれに加担した者らが仕組んだ謀略の破綻ではなかろうか。
そしてこれを境に垓自身の失墜も加速、最後は会社での地位も含め得ていたものの殆どを失い裸同然の状態からやり直す顛末を迎える。また劇場版『REAL×TIME』においては、大差で否決された筈のヒューマギア自治都市構想が推進されている=由藤の政治的主張が完全否定された社会情勢となっていた。
遡って見返せば、チェケラの嵌められた演説対決は振り返ると端からZAIAが勝つ様に仕組まれており、彼との対決相手役に担がれた由藤は最初から“勝負”をしている気は無く、予め用意された筋書きに沿って逃げただけであった。
そして予定通り逃げ切ったと確信し、悪意を漂わせた笑みを勝ち誇る様に残して由藤は物語よりフェードアウトするも、皮肉にもこの謀略がアークを仮想敵=ZAIAの道具という立場から逸脱させ本当の人類の脅威へ変わる切っ掛けになった事で、そうした人間の小賢しい悪意を人工知能が凌駕する事態を招きそれへ由藤は足元を掬われたとも考えられる。
最初からヒューマギア=人工知能と勝負せず逃げた結果、その人工知能=アークに謀略ごと社会的にひっくり返され二度と物語に関われなくなったと推測される由藤の顛末は正に因果応報かつ、チェケラの残した「汚え人間は滅びろ!」の言葉通りにある意味なったとも言えるかもしれない。
余談
演じる副島氏は本作がシリーズ初出演となる。NHKの情報番組「あさイチ」の火曜レギュラーとして、本作内でも見せた陽気な笑顔を振りまいている。日米ハーフだが、日本生まれ日本育ちのため、英語は話せないらしい(なにせ、NHK高校講座の「ベーシック英語」に生徒役で出演していたぐらいなので…)。
第28話で使用されたチェケラのグッズ(キャップ、Tシャツ、タオルなど)はプレミアムバンダイにて限定販売される。
ちなみに本番ではチェケラもキャップを被る案があったが、副島氏のアフロが大きすぎて入らなかったとのこと(副島氏の身長は195cmで、アフロを入れると210cm)。
その大柄な体格のため、マギア化すると背が縮んでいる(ドードーマギアの身長は191.3㎝)。
なお、今回敵対したゆとう政光の名前の元ネタは野党と与党の中間に位置する政党を指す「ゆ党」ではないかと思われる。
関連タグ
アナザーゼロワン:「人類への反乱に成功したチェケラのIF」と言える怪人。
リュウタロス:挿入曲の彼のバージョンはヒップホップ調。また、OP曲のカバーバージョンではソロのラップパートが有る等、ヒップホップやラップに縁がある。
テコンダー朴:作品内で一連の流れと似たような場面が存在した。