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T-44

てーそーらくちとぃーりぇ

第二次世界大戦後期のソ連で開発された中戦車。大戦中には実戦投入されなかったが、戦後型戦車の基本形となった。
目次 [非表示]

次世代への先駆者編集

第二次世界大戦(大祖国戦争)後期にT-34の後継として開発され、ソ連赤軍およびソ連陸軍で運用された中戦車


当時の中戦車としては極めてコンパクトかつ軽量ながら防御力も優秀だったが大戦には投入されず、砲火力に不足があったため戦後の主力ともならなかった。

しかし、T-44の基本設計はソ連初の戦後型戦車となるT-54の原型に活かされた。

前身・T-43の挫折編集

Pz.kpfw. VI Early ProductionWW2 Russian Tank T34-85
ティーガーIの衝撃T-43砲塔の要素を受け継ぐT-34-85

1942年、ドイツはソ連のT-34に対抗すべく、長砲身7.5cm砲を搭載するIV号戦車III号突撃砲を投入。

T-34が撃破されやすくなったため、ソ連は防御力強化に主眼を置いた後継としてT-43を開発した。


しかし、1942年末にドイツはVI号戦車ティーガーIを投入。

T-43の火力・防御力はティーガーIの最大10cm厚の重装甲8.8cm砲を前に無力であり、1943年には不採用が確定してしまう。


ただし、T-43の設計は無駄に終わらず、その大型砲塔はT-34-85砲塔の原型となっている。

T-44の開発編集

う豹ォォォ!逆襲のプラウダ
強力なドイツ中戦車パンター試作型T-44-122(中段の車輌)

T-43の開発中止後、新たなT-34後継としてオブイェークト136、制式呼称T-44の開発が開始された。

1944年1月から2月にかけ、試作車として85mm砲搭載型のT-44-85と122mm砲搭載型のT-44-122が完成。

正面装甲厚は砲塔90mm、車体75mmだったが、鹵獲したドイツ中戦車パンターを用いた試験で防御力不足と判断された。

また、T-44-122は不採用となった。(発射速度が分間3発と遅く、砲弾積載数も24発と少なすぎるといった問題のため)


以降は砲塔・車体ともに改設計が続けられ、最終的に正面装甲厚は砲塔120mm、車体90mmにまで強化。

1944年7月には量産化が決定し、ドイツから奪還したハリコフ工場で1944年11月から量産が開始された。

特徴編集

火力編集

弾名弾種初速射貫可能な垂直装甲(射距離)
BR-365被帽付徹甲榴弾792m/s119mm(100m),100mm(1,000m),85mm(2,000m)
BR-365P硬芯徹甲弾1050m/s167mm(100m),110mm(1,000m)

T-44が搭載するZiS-S-85 85mm戦車砲は、前任のT-34-85が搭載したそれと同型のもの。

最良の条件ではティーガーIやパンターの正面装甲を射距離1,000mで射貫可能で、榴弾威力にも優れた。

ただし、大戦後期の戦車砲としては初速が低く射程が短いため、より強力な砲を搭載するドイツ戦車との正面戦闘は不利と考えられる。

防御力編集

強力なドイツ戦車砲に対抗すべく、当時の中戦車としては非常に強固な正面防御力が確保されている。

(以降の装甲傾斜に関する数値は傾斜角=水平+x度,垂直=90度で統一表記)

防盾・砲塔編集

部位実装甲厚/傾斜角実質装甲厚
防盾(※1)120mm/曲面120mm~
側面90mm/70度95mm
後面78mm/78度79mm

砲塔形状はT-34-85のものとほぼ同じだが、左側面の小突出部、砲塔下部に埋め込まれた砲塔リング部装甲、上面ベンチレーターの配置などに差異がある。


※1:防盾(ぼうじゅん):戦車砲の付け根を覆うパーツ。

車体編集

部位実装甲厚/傾斜角実質装甲厚
正面上部90mm/30度180mm
正面下部90mm/45度127mm
側面75mm/90度75mm
背面45mm/73度47mm

正面の大部分を占める上部装甲はティーガーIやパンターの搭載砲では射貫不可能な程に強固。

良条件下ならドイツ最強の重戦車ティーガーIIが搭載した長砲身8.8cm砲すら防ぐことが出来た。

他方、T-34にはあった側背面装甲の傾斜が失われているが、装甲厚増大により同等の防御力が維持されている。

機動力編集

約32トンの車重はT-34-85と同等。

その車体後部に横置きで搭載されたV-2-44 V型12気筒ディーゼルエンジンは520馬力で、同規模の実用戦車としてはイギリスのコメット巡航戦車に次いで優秀な出力重量比を発揮し、最高速度も51km/hと優れたものだった。


また、それまでKVISなどの重戦車で一般的だったトーションバー式サスペンションが採用されたことで、走破性もT-34以上に優秀だった。

運用史編集

1944年7月には量産開始、同年9月には訓練部隊へ配備されるなど、戦中には既に実用の域に入っていたものの、赤軍が新型戦車の前線投入による兵站の複雑化を望まなかったために、終戦まで実戦投入されることは無かった


そして、戦後の50年代ごろから後継となるT-54の本格配備が進むにつれ、T-44は比較的優先度の低い中ソ国境の警備や訓練などに回されていった。


実戦参加として1945年の満州侵攻や1956年のハンガリー動乱が挙げられる場合もあるが、少なすぎる文献、あるいは真偽不明の写真数枚以外に情報が存在せず、詳細は不明。


生産数は1945年5月のドイツの降伏までに約200輌、1947年の生産終了までに1,823輌

最終的には1970年代まで運用された。

銀幕のT-44編集

めっっちゃ卑怯なパチモン戦車道

戦後、T-44は『ヨーロッパの解放』などのソ連/ロシア製戦争映画に度々出演している。

それも、ドイツ戦車風の改装を受けて。


T-44は砲塔配置が車体中央部大戦期ドイツ戦車の基本レイアウトとほぼ同一のため、砲塔が前寄りのT-34やIS-2を改装したものよりも真にドイツ戦車っぽい外見となりやすい。


戦中には実戦投入されず、戦後もまるで活躍をしていないと考えられるT-44だが、戦車にもかかわらずこうした平和的(?)利用のみに徹したという珍しい経歴は、注目に値するかもしれない。

型式・派生型編集

T-44A編集

量産型。1944年11月から量産開始。

性能は上記の特徴欄を参照。

T-44B / T-44-100編集

カチューシャとT-44-100

1945年1月に完成した試作車。

総数2輌で、内1輌はLB-1 100mm砲を、もう1輌はD-10TK 100mm砲を搭載する。


85mm砲よりも大型の100mm砲を搭載するにあたり、砲塔は左右に大型化した新型のものに変更されている。

また、キューポラ脇にDShK 12.7mm重機関銃を装備、車体側面はドイツ戦車のシュルツェンに似た6mm厚の追加装甲(サイドスカート)で防護されている。

防御力と機動力は量産型とほぼ同等だったが、ドイツの長砲身8.8cm砲に対して防御力不足とされた。

T-44V / T-54試作初号車編集

1945年1月に完成した、戦後型主力戦車T-54最初の試作車。


D-10TK 100mm砲の搭載にあたって砲塔リング径が拡大されているほか、防御力強化、燃料容量増大などの改良が施されている。


正面装甲厚は砲塔180mm、車体120mmで、ドイツの長砲身8.8cm砲をほぼ無力化することができた。

車重35.85トンでV-2-54エンジン(出力520馬力)を搭載し、最高速度45km/h、航続距離320km。

T-44M編集

1960年代の近代化改修型。

エンジン・トランスミッション、車輪、履帯などがT-54と共通化された。

T-44MK編集

T-44Mの指揮車型。無線機器の充実化と引き換えに、携行弾数を15発減じて46発とした。

T-44S編集

1960年代の改装型。

走行中の照準を補助する2軸砲安定装置(スタビライザー)が装備した。

BTS-4編集

1960年代に戦車回収車に改装された型。

自走砲型編集

SU-100M-2編集

1944年の試作車。D-10S 100mm砲を搭載。

SU-100-44 "Grom-1"編集

1944~1945年の試作車。D-10S 100mm砲を搭載。

SU-122-44 "Grom-2"編集

ソビエトロシアでは戦車がウサギを跳ばす

1944~1945年の試作車。D-25S 122mm砲を搭載。

SU-101 "Uralmash-1"編集

1945年の試作車。D-10S 100mm砲を搭載。

SU-102 "Uralmash-1" (SU-101M)編集

1945年の試作車。D-25-44S 122mm砲を搭載。

登場作品編集

ベルウォール学園が保有する車輌として登場。

関連タグ編集

中戦車 ソ連 T-34 T-54

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