性質
感染力
非常に高く、人間なら最大90%の確率で発症。またあらゆる種の生物に感染する可能性があり、虫や魚、植物さえ対象となる。
感染ルート
汚染された水や食物の経口摂取と感染した生物から受けた傷が主。一方で突然変異を起こしやすく不安定なため、拡散直後を除いて空気感染の可能性は低い。
効果
- 感染した生物の新陳代謝を増大させて、強靭な肉体に作り替える。具体的には銃弾を心臓などの急所に受けても致命傷にならないほど。
- ウイルスと遺伝子の相性が良い場合、身体を巨大化させることも多い。特に昆虫などの節足動物では、ノミのような小動物でさえアフリカゾウのような巨体に変貌することがある。
- 反面、脳細胞を侵食して知能を低下させてしまい(一部例外あり)、同時に代謝の増大によって肉体から急速にエネルギーが失われ、空腹感が増大。結果、他の生物を見境なく補食するほど凶暴化してしまう。そのあまりの狂暴性、危険性を指して『タイラントウイルス(tyrant:暴君)と名付けられた。
- 人間が感染した場合、すさまじい生命力を得るものの肉体が腐敗し、意識も知性も失い、ただ飢えを満たすために他の人間を喰らう「ゾンビ」となってしまう。そうして人としては死んだ状態でありながら自ら動き、他の人間に接触して感染拡大させてゆくため、少量を散布するだけで敵対組織を壊滅させられる強力な生物兵器となっている。
- しかしその威力は諸刃の剣であり、このウイルスが漏洩したことで数々の悲惨なバイオハザードが引き起こされた。
- 感染してからゾンビ化発症に至るまでは遅くても2週間。早くて即日。怪我などで弱っている状態ならばさらに進行は早くなる。また、拡散直後に多量のウイルスを取り込んでしまった場合は直接死に至ることも。
開発の経緯
ことの始まりは、アフリカで発見された新種のRNAウイルス。調査の結果、生物の遺伝子に影響を与える働きに気づいた発見者たちはこれに『始祖ウイルス』と名付け、さらに改良を施して軍事利用に適した変異株を生み出す「t-ウイルス計画」を始動。
これを隠蔽しつつ推し進め、強力な生物兵器を製造して軍需産業で巨大な利益を上げる……そのために、表向きは製薬会社として設立されたのがアンブレラである。
B.O.W.
有機生命体兵器(Bio Organic Weapon)の略。遺伝子を変質させて生命力を増大させる特性は、通常の生物では耐えられないような肉体改造、本来不可能とされる異種の生物間での遺伝子交配も可能にした。それによって数々のおぞましい怪物が兵器として造り出されることになる。
一口にB.O.W.と言っても基となった生物や、戦闘用かウイルス散布用かなどの用途によって異なる。人間が偶然感染したゾンビも散布用としては含まれる。
以下、代表的な生物兵器の一例。詳細はリンク先を参照。
軍用犬ドーベルマンにt-ウィルスを投与したもの。ゾンビ同様肉体は腐敗しているが動きは俊敏で、群れをなして獲物を襲う。警察などで飼育されていたものが二次感染して生まれることもあり、こちらは兵器ではない「ゾンビ犬」として区別される。
節足動物の一種、クモにウイルスを投与したもの。人間大にまで巨大化し、網を作らず毒液を吐き出して獲物を仕留める。制御を全く受け付けなかった失敗作だが、ウイルス散布には有用と見なされていた。さらなる巨大化を起こした突然変異種ブラックタイガーも存在する。
魚類の一種ホホジロザメにt-ウイルスを投与したもの。軍事利用ではなく海洋生物にウイルスが適合するか検証するために産み出された。結果、身体の巨大化と狂暴化を起こし、水中では無敵だが、陸上では無力に等しい。
t-ウイルス計画の第2段階で開発された「戦闘用B.O.W.」。ウイルスを媒介にして人間と他の生物の遺伝子を融合させて産み出された。高い攻撃性と簡単な命令を理解する知能を持ち、仲間と連携して獲物を“狩る”。低コストでの量産も容易で、アンブレラ製B.O.W.初の成功作として改良が繰り返されてゆく。
植物を無理やり人形にしたような姿のB.O.W.。正式名称は「プラント43」。自立歩行が可能で、両手のツタ(Iby)とつぼみの消化酵素液で標的を襲う。リメイク版では設定が改変され、プラント43に種を植え付けられた人間が変貌する。
t-ウイルス計画の第3段階で開発されたB.O.W.。成人男性の身体を基にウイルス投与と遺伝子改造を繰り返した結果、圧倒的な攻撃力と耐久力を兼ね備えた強靭な肉体と、様々な命令を遂行可能な知能を獲得。アンブレラ社の狂気の研究の集大成となる『究極の生命体』で、ウイルスの正式名称「タイラント」を与えられた。
治療
アンブレラ社内やその他の研究機関などにおいて様々なウイルス抗体が開発されており、ゾンビ化が発症する前ならば投与して治療できる。
特にラクーン大学で開発された「デイライト」という特効薬は体内のt-ウイルスを即座に死滅させ、その後も体内に抗体が維持されて永続的に感染を防ぐことが可能。これはB.O.W.や突然変異体にも有効で、命中すればタイラントさえも仕留められる。
また、ラクーンシティ原産のハーブ類にわずかながらt-ウィルスの侵食・症状の進行を抑制する効果がある。
しかし突然変異を起こした新種のウイルスには対応できずに発症してしまうことも多い。当のアンブレラがまさにそれで、危険な実験や任務に従事していた社員では感染者が続出。むしろワザと質の低い抗体を与え、社員を利用して大規模な人体実験を行っているフシさえある。
災害発生地
t-ウイルスの漏出で壊滅状態に陥った地域。
アンブレラ・アークレイ研究所(洋館)
黄道特急列車
アンブレラ・幹部養成所
ラクーンシティ
ロックフォート島
アンブレラ・南極研究所
シーナ島
豪華客船スペンサーレイン号
アンブレラ・廃棄物処理施設
アンブレラ・コーカサス研究所
ガディウォール島
関係者
ウイルス研究に関わった主要人物。
旧設定
1998年にPlayStation用ソフトとして発売されたオリジナル版では大きく設定が異なる。というか攻略本等に乗っている設定は、むしろリメイク版よりマニアックである。
旧作では、原始的な節足動物を用いた実験で発見した『クレイウイルス(CLAY Virus)』が基になっている。これが生物に感染すると一般的なウィルスと同じように宿主の細胞に寄生し、エネルギーを利用して自己増殖した後、細胞プログラムを書き替えて異常進化させる。
感染後は、宿主の身体を成長ホルモンを異常分泌させて大型化。反面、代謝機能が著しく低下して体組織が腐乱させてしまう。脳神経系では痛みや恐怖心を鈍化させると同時に、非常に攻撃的な性格にさせる作用があり、そうして最終的に、他の人間に襲いかかるゾンビになってしまう。
これをプロトタイプとして改良が重ねられ、アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)の5種類の変異株が完成。そして最も効力の高いイプシロン型がタイラントウイルスと呼ばれることになった。
また、1000万人に1人の割合でウイルスに完全適合する人間も存在するらしいが、リメイク後は明記されていない。タイラントへの適合率が同じ1/1000万人であるのは、その名残なのかもしれない。
実写映画版
大筋は原作準拠であるが、独自の設定も追加されている。
1つは難病を治す効果で、t-ウイルスの投与で筋ジストロフィーの治療に成功したらしいのだが、ウイルスの変異を抑えるために定期的に抗ウイルスワクチンを接種しなければならない。
2つ目は生物だけでなく自然環境をも蝕む感染力であり、ラクーンシティから流出したt-ウイルスでなんと世界中が砂漠化して文明社会が崩壊してしまった。
後者に関しては原作を無視し過ぎた設定であったためか賛否両論となっている。
余談
- ゲーム版ではウイルスは緑色だが、映画版では青色に変更になっている。
表記ゆれ
ゲーム内では“イ”が小文字の「T(t)-ウィルス」と表記されている。しかし実際の日本医学・化学会においては1953年(昭和28年)に「日本ウイルス学会」が設立され、現在は「ウイルス」の呼び名が正式に採用されているため、本来は大文字の方が正しい。
表記ゆれ?(豆腐ネタ)
豆腐モードで「丁ウイルス」「丁-ウイルス」などとプレイヤーからネタ発言が出ることがある。