概要
コロナウイルスは風邪の原因となるウイルスの一種であり、通常は重い症状にはならないことが多い。
しかし、時に突然変異を起こして重い感染症の原因となることがあり、その場合に起こる病気を新型コロナウイルス感染症という。
これまでに新型コロナウイルス感染症として扱われたのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)・MERS(中東呼吸器症候群)・COVID-19の3種類がある。
新型コロナウイルス「COVID-19」
2019年後半から中国の武漢市を中心に蔓延、各国が武漢市近辺からの旅行者を締め出したり、同国との航空路線を停止したりする騒動に発展した。
同年2月7日、ICTV(国際ウイルス分類委員会)によりこのウイルスに対してSARS-CoV-2という正式名称が付けられた。
2月11日にはWHOがこのウイルスによる感染症を「COVID-19」と命名した。
その後、2020年には世界中に蔓延。同年3月11日には、WHOがパンデミックを宣言した。
同年4月21日時点で、全世界で16万人以上の死者を出していたが、同年7月1日の時点で50万人以上にまで増えている。
この余波でドラッグストアでのマスク買い占めが多発している。
マスクについては2020年4月頃にかけて、世界的に慢性的な品不足が続いていた。この辺りから供給が安定し始めており(マスク不足、再来しない? 中国業者は「軸足を移す」)、7月には中国における、供給過多による業者の倒産が報道されている(中国のマスク業者、年内で95%が破綻 供給過多・価格急落…)。日本においては2021年1月頃に供給が安定してきたという報道がされている(不足したヒト・モノ、今は マスクは潤沢供給―保健師の確保に苦慮・新型コロナ1年)。
中国起源であることから「武漢肺炎」「中国ウイルス」「チャイナウィルス」などとも呼ばれている。2020年3月にはアメリカ合衆国がG7での合同声明に「武漢ウイルス」表記を入れようとしたが、ヨーロッパ諸国から拒絶された(G5外相会合 米が「武漢ウイルス」の呼称主張、共同声明見送り)。
WHOでは2015年に病名・病原体正式名称に地名や人名、動物名を用いないという指針を発表している(新型ウイルスの正式名称は? WHO、汚名を着せないよう慎重に検討)。この方針が固まるキッカケとなったのは、前回のMERS(中東呼吸器症候群)発生・流行の際に、中東地域への差別や経済的ダメージが発生した事例である(新型コロナ、病名の背景に「地名は駄目」のルールと事情)。
ただし、「スペイン風邪」「日本脳炎」や「エボラ出血熱」の様な、2015年の指針発表以前の病気・病原体名については変更されていないため、完全なダブルスタンダードである。
SARS-CoV-2の新たに発生した株についても当初は「インド型変異株(インド政府はこの呼称に抗議している)」等と変異種が最初に確認された国名を冠した呼称がされていたが、2021年5月31日にギリシャ文字を使用することがWHOで採択された。こちらも国や地域への差別を防ぐためであると明言されている(WHO、変異株にギリシャ文字を使用 国名による偏見を回避)。それ以降報道でも「デルタ型」などギリシャ文字を用いた表記法に徐々に切替わっていっているが残っている例もあり、こちらは不徹底であるといえる。
ギリシャ文字を全て使い切った場合には星座名使用が検討されている(新型コロナ、変異も呼び名も「想定外」 ギリシャ文字使い切ったら?)。
中国発祥ということで中国人を始め、ベトナム人やモンゴル人などのアジア系住民が差別の対象として扱われる事例が世界各地で起きている(「中国人を襲え」SNSで拡散…アジア人暴行事件や差別相次ぐ コロナ第2波のフランス)。
中国国内でさえ武漢出身者が差別される事態となっている(武漢都市封鎖から半年 「いまだ死への恐れ」 続く差別や不安との闘い)。
2015年以前の病名について変更されないのに「武漢」呼びはいけないのか、という声が大手の新聞に掲載された例がある(「武漢ウイルス」が差別というなら 元東大史料編纂所教授・酒井信彦)。これを掲載した産経新聞は「新型コロナウイルス」の呼称を使用している。
厚労省や感染症法上では「新型コロナウイルス感染症」の名称を用いており、感染症法上の分類見直しの際にCOVID-19にならった「コロナウイルス感染症2019」への名称変更も検討されたが、感染対策をしなくても良いと誤解されるなどの理由で見送られた。
予防策(コロナ対策も参照)
コロナウイルスは脂質などで構成された膜の構造を持つエンペローブウイルスであるため、アルコール消毒薬や石鹸での対応が可能である。
まず、トイレの後や食事の前には手洗いをしっかりすることが原則である。また部屋の湿度を保ち、十分な休養と食事により英気と免疫力を養うことも重要になる。
部屋の換気も大切である。
なおmこの感染症に限った話ではないが、マスク予防効果は限定的であるという意見が多い。
なぜなら、空気中に長時間漂うような粒子はマスクの目より細かく、マスクで遮蔽されることが期待できないからである。
また、マスクをしているからといって人が密集する環境に身を置けば、未着用と変わらない感染リスクがあるとの研究もある。加えて、一般人マスク取扱は医療従事者から見れば粗雑且つ危険としかいいようがないもの(鼻を出す行為はマスクの意味がなく、顎にかける、手でフィルター部分を触る、使いまわすといった行為は菌やウイルスを顔に付着させる行為である)。寧ろちゃんとした手洗いやうがいの上に完璧なマスクの使い方が出来ない場合は、マスクは返って一般人に要らぬ安心感を与えてし防疫上好ましくない行為をさせる危険があるということを危惧する医療従事者は多い。
しかしながら、マスクの着用についての見解は国によって分かれている。
4月3日にCOVID-19の症状が出ている人だけにマスクの着用を勧めるそれまでの方針を転換し、体調が悪くない市民にも「医療用ではない布マスク」の着用を推奨し始めた、CDC(米国疾病管理予防センター)の様にこれまでの方針や見解が変わる場合もある。
日本では厚労省が感染防止のために、「3密」回避(最初は東京都が独自に使い出した表現だが、定着化し全国で使われるようになった)、マスク着用、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒励行を要請している。
WHOは「健康な人間は感染の疑いがある者を世話する場合にのみマスクを着用する必要がある」としていたが、4月頭に「せきやくしゃみをしている場合は、他人にうつさないための着用を推奨する」という新たな見解を示した。
一方で、「アルコールなどの消毒液または、石鹸と水による頻繁な手洗いと組合わせることでのみマスクが有効である」との見解も示している。
マスクをしなければならないのは既に症状がある人間である。
これもこの感染症に限った話ではないが、既に咳やクシャミをしている人間がマスクをすることによって、ウイルスの漏出を大幅に減らすことが可能になる。
しかしながら、マスクの効果についてはまだハッキリとは分かっていないことも多い。
どちらにせよ、信頼出来る機関からの最新情報を入手することが大切である。
なお、うがいに関する言及はない。
統計を根拠とした研究はいくつかあるものの、実際に予防に寄与する科学的機序が証明されていないため、公的機関はうがいについては推奨していない。
いずれにせよ、感染を防ぐためには、人と人の距離を取ること(いわゆるソーシャルディスタンス)、入念且つ頻繁な手洗いが不可欠である。
それでも3密を避けるのが困難な場合において医療機関から流行し始めた、主にマスクとの併用を想定しているフェイスシールドが注目を浴びており、必要性は賛否両論である。
地表に飛散したウィルスも暫く活性の状態のため、公共の場で寝転んだりする行為も控えるべきである。なお 油断は厳に戒めるべきではあるが 日本は地表飛散ウィルスからの感染は非常に少ないとされている。これは言わずもがな、住宅に土足で入る習慣がないためである。
ただ注意が必要なのは犬と猫などの哺乳類ペット。犬や猫のDNAにはウィルスが定着しきれないため発症することはないが、キャリアになる可能性があるので野放図な放し飼いや、屋外で飼っている番犬などに触れるのは注意を払った方が良い。
ワクチンデマ
2021年5月頃からロシア・ガマレヤ研究所が開発した『スプートニクV』を皮切りに、体内に侵入したウィルスの活動・発症を阻止する(無症状、いわゆるウィルスキャリアになる可能性を それ自体で下げられるわけではない 点に注意)予防ワクチンが出現し始める。続いてイギリス・アストラゼネカ製『AZD1222』、米国・モデルナ製『mRNA-1273』、同・ファイザー製『BNT162b2』、同・ヤンセン(ジョンソン・エンド・ジョンソン子会社)製《※正式名称分かる方おられましたらお願いします》と開発元本国で承認されるワクチンが完成した。
ところが、このワクチンが揃った頃から対COVID-19ワクチンに対する悪質なデマが出回り始める。最もポピュラーなものは、
「本来何年もかかるはずのワクチンが1年ちょっとで出来るはずがない、緊急承認の名を借りた人体実験である」
──という手のもの。
確かに、スプートニクV・アストラゼネカ・ヤンセンが採用しているウィルスベクターワクチンは血栓症が副反応として掲示されている。またファイザー・モデルナが採用しているmRNAワクチンは心筋炎との関係が疑われている状況ではある。
しかしながら、まず前提として副作用が全くない医薬品など存在しない。
鎮痛解熱剤として日本で最もポピュラーな『バファリン』でさえ、肝機能障害・アナフィラキシーショック・再生不良性貧血が副作用として挙げられている。
早い話が、新型コロナワクチンが怖いなら『バファリン』も怖くて飲めないはずである。
増して、第1類医薬品『ロキソニン』など名前を聞いただけで蕁麻疹が出る程でなければおかしい。
そもそもの話として、MRNAワクチンで-25 - -15℃、ウィルスベクターワクチンで2 - 8℃と低温に保っておく必要があり、体温が36℃前後ある人間の体内で悪さし続けるはずがないのである。これらのワクチンはヒトの免疫にCOVID-19ウィルスの情報を与えるだけである。
また、mRNAワクチンやウィルスベクターワクチンはSARSパンデミックの際にこうした事態に即座に対応できるよう開発が開始されたもので、ワクチンのベース部分開発は足掛け18年かけて充分に研究・検証が繰返されてきたものであり、後はCOVID-19ウィルスのRNA情報を転写するだけという構造になっているから短期間に開発できたのである。
なお、このデマ元と思われる医師はその後メディアの取材に一切応じないでいる。
また、自然医療師とかいう無免許医がXなどでデマをバラまいていたりするので、その手の情報は信憑性に欠けると断言して良い。
日本は初期 - 現在にかけて比較的感染者が少なかったことと、菅義偉内閣の行動が素早く現状最も信頼性が高いとされるファイザー製ワクチンを国民の半数に打てる(これだけ打てばほぼ新規感染は抑えられる)数量を確保しているために国民に危機感がないが──
現状、新型コロナワクチンは米英露に委託生産の日本(武田薬品)がフル操業しても世界規模でパンデミックを抑えるには全く足りていない状況である。
現に韓国では偽業者が大邱市を騙そうとしたことがあり、台湾では日米から輸送されるワクチン配分を巡って自治体間で争奪戦が起きていたり、あの北方領土問題で揉めているロシアが『スプートニクV』委託生産を日本に打診して来たりしている状況である。
なのでXで『#プラグを抜こう』何て気軽な気持ちで書込んだり、それを信じてワクチン保冷庫のプラグを抜いたりすると当たり前だが刑事訴追される可能性は決して低いとはいえない。また廃棄することになるワクチンの数によっては損害賠償請求も相当高額となるであろう。
MRNAワクチンやウィルスベクターワクチンとは別個に、従来からある手法の、抗原情報を直接取込むDNAワクチンや組換タンパクワクチンも開発が続けられている。
MRNAやウィルスベクターと比べて開発が1からとなっているため、遅れているが、その中で先陣を切っているのは日本。ただ、障壁となっているのが「日本では感染率が低過ぎて臨床PHASE-3を国内でこなせない」こと。臨床PHASE-3は治験最終段階なのでアレルギーなどの特異を除けばほぼ効果と安全性は期待できる状況。
「油断は厳に戒めるべきではあるが、一方でこうした風説に対しては、今、日本がこの感染症に対してどれだけ「安全」な国であるか、自覚した上で行動を取って欲しい(参考:米国在住の日本人医師のツイート)」
ちなみに、最も原始的な不活化ワクチンは変異株に全く効かないこともある。既に多数の変異株が出ているCOVID-19ウィルスに対抗出来ない可能性がある。
差別などを助長したくはないが、ただでさえ公称有効率51%の中国・シノバック製については ⇒ロイターの記事
新型コロナワクチン『AZD1222』・『mRNA-1273』・『BBIBP-CorV』・『BNT162b2』・『Sputnik V 』(公式情報:英語)
- アストラゼネカ株式会社及びオックスフォード大学 共同開発・新型コロナワクチン『AZD1222』
MHRA(英国医薬品・医療製品規制庁) 2020年12月30日公式報道『Oxford University/AstraZeneca COVID-19 vaccine approved』(外部リンク)
- モデルナ株式会社・NIAID・BARDA 三者共同開発・新型コロナワクチン『mRNA-1273』
- シノファーム・グループ(国薬控股股分有限公司)開発・新型コロナワクチン『BBIBP-CorV』
- ファイザー株式会社及びBioNTech SE 共同開発・新型コロナワクチン『BNT162b2』
- 国立ガマレヤ研究所 開発・新型コロナワクチン『Sputnik V 』
国立ガマレヤ研究所 公式ページ『Vaccine against COVID-19』(外部リンク)
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一部YouTubeではコロナウイルスを予見していたのではないかという説もある。
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