足立レイ
あだちれい
ニコニコ動画にて主に活動する動画投稿者みさいる(youtubeでは第0研究室[足立レイ]というチャンネル名)が開発中の等身大ヒューマノイドロボット、およびこのロボットを中核としたキャラクターコンテンツプロジェクトである。
プロジェクトの正式名称は「等身大美少女ロボット制作計画」。
初期は工学系の大学生であったみさいるが個人で開発を行なっていたが、のちに法人を立ち上げ「合同会社メカニカルガール」での開発という形になっている。
なお「人間型」ではあるものの、リアルな人間のそれというよりはアニメ的なキャラクターデザインに近い。
みさいるは、2009年に「2次元に入れないのなら、2次元から引きずり出そう」という狂気じみたロマンから等身大初音ミク型ロボットを開発・発表。またその6年後の2015年にも等身大初音ミク型ロボット二号機『HRI‐2初音ミク』を完成させている。
しかし初音ミク型ロボットは、クソデカツインテールだけで2kgあり、本体の重量や関節の構造、さらにソフト面での制御機能の関係から、安定した自立歩行が不可能な状態であった。
さらにボディはスチロールを一から削って作っていたためにスペアや同系機などの量産ができず、一体の制作に数年かかっていた。みさいるは他のボーカロイドシリーズなど複数のキャラクターを制作することも視野に入れて、この制作方法には限界があると判断した。
そのため、第三世代機としてこれまでの「表情を変えて喋ったり歌ったりできる」「等身大のアニメ風美少女」といったコンセプトを踏襲しつつ「自立歩行可能かつ遠隔操作での『操縦』システムを搭載した人型ロボット」を作ろうと考え、まず量産における時間的・技術的コストを抑えた形でのテストヘッド用の試験機の企画が立てられた。
本来試験機は簡素な骨組みや、装飾のない素体のようなものが多いが、「そんなんじゃ味気ないしもったいない」ということで、単純に「初音ミク3号」ではなく「足立レイ」という新たなキャラクターを設定。
これまでの(初音ミク型ロボット)プロジェクトの直接の後継機ではなく、次世代機のプロトタイプとして開発がスタートした。
「足立レイ」という名前は「自立歩行(自分の足で立って歩くことができる)を目指した0号機」に由来する。
制作上の利便性から、ある程度簡単にパーツが量産できるように3Dプリンターを導入し、モーションキャプチャーへの対応や会話・歌唱、表情の変化といったソフト面の強化なども随時行われている。
プロフィール
容姿
特徴的なオレンジ色の髪をしており、服にもオレンジ色の装飾が用いられている。オレンジが選ばれた理由については「遠くからでも見つけやすい色であるため、試験機に適切である」という考えから。髪型は重さを抑えて動きやすくするために短め。
頭にはヘッドセット型コンソール&ハブ、LEDライト、髪留めのような形でマイコン(正式名称)を装着している。
(イラストでは本数が省略されがちだが)頭からは黒い棒が4本突き出ており、このうち長い2本がwi-fiとBluetooth用のアンテナ、短い2本はワイヤレスマイクの送信機である。(動画投稿時点では排熱口としていた)
作者Twitterによると、このアンテナ群は笙(雅楽に用いられる管楽器)をモチーフにしており、声質に関しても笙を意識したところがあるという。
目は虹彩の部分に「Humanoid Character Interface 3 Prototype 0」の刻印が刻まれており、瞳の部分はレンズ状のレンズアイになっている。 Twitterより
「キャラクターを立たせて人々に受け入れられやすくするため、また身体の保護の観点から、しっかりとした服が必要」という考えから、試作機ではあるものの企画当初よりきちんと服を着た状態でデザインがなされている。安全性(衝撃の緩和など)のため、関節部分は全て衣服で覆われており、特にパーツの多い上半身は厚手のものを着用している。
音声合成用の正弦波が描かれた黒いタートルネックのインナー、モータードライブ回路が描かれたキュロットスカート、PWM信号の波形とモータの正転逆転回路が描かれたサイハイソックス(履き口がキュロットの中にあるようなかなり長めのもので、ほとんどタイツに見える)、フード付きパーカーとジャケットを合わせたような上着(正式名称)というのが基本的なスタイル。上着にはRCS回路が描かれている。公式Twitterでは「消防服風」とデザインコンセプトについて説明されている。
これに加え、上着と同じ柄の短いエプロンをキュロットの上から巻いており、腰には歩行吊り下げ試験で使えるようにベルトを着けている。作業用の白い手袋も特徴的。
足は歩行に適した靴ということでスニーカーを履いている。公式イラストではバスケットシューズのようなハイカットスニーカーだが、実際の開発現場ではニューバランス(※KV996 ORYというモデルと見られる。なおキッズサイズのみの展開)のローカットスニーカーを履いている。
上着には大量のポケットがあるが、これはバッテリの増設や拡張スペースとして実験上の利便性も考慮されているとのこと。
なおイラストでは帯のように接続端子や電源系がスカートから出ているような描き方をされることが多いが、実際の稼働時には収納する。
キュロットスカートはイラストの描き手の解釈によっては裾の広がったショートパンツやミニスカートとして描かれることもあるが、これは足立レイの最初期デザインにおいてショートパンツとして描かれていたことにも由来している。
制作における都合もあるが、かなりスレンダーな体型をしている。これは腹周りに配線以外のものを入れる必要が無いため人間の体形に比べ縮小し、さらに内臓を受け止める必要が無いため骨盤に当たる部分の幅が縮小しているためである。
胸なんかつけても重くなるだけだし何の役にも立たないし。
胸など飾りです!偉い人にはそれが((略 by公式
設計
外骨格をベースに設計されており、ボディは強度と整備性を重視して3Dプリンターで出力した肌色プラスチックで制作されている。
全身可動であるため、コストや技術面の都合から(アニメで描かれるようなヒューマノイドロボットとは違い)、顔以外には皮膚とも呼べる軟質素材の膜(人工皮膚)が無い。そのため上述の通り服が皮膚の代わりとして関節部や頭部コンピュータなどの”急所”を守る設計となっており、実際足立レイの服は顔と首以外肌の露出は全く無い。
サーボはシリアルサーボとなっており、配線の簡略化、表情などの動作速度アップを図っている。
脚部に使用されているものは、ニュートンバネ計りで強さを計測しようとした結果、バネ計りを千切るという事故を起こすほどのパワーを持っている。
また、足首などのサーボモーターは軸方向へのコンパクトさと高トルクを両立を目指し、平型ブラシレスモーター(70W)とサイクロイド減速機を使用している。
高度な機能を搭載するため高温になりやすく、初期案では顔が重要な美少女型でありながら頭部に排熱口を搭載していたのも、そうまでしないと排熱が追いつかないためである。
前身となる初音ミク型ロボット2号機では、7分間の稼働で肩や肘のサーボモーターが限界となり、およそ30分のクールダウンが必要となった。そのため足立レイでは足回りを重点的に冷却機能を改善するという。
自立歩行を目標としているが、足首には足の指に相当する関節(つま先立ちなどに使われる関節)が存在しない。そのため急に立ち止まったり、早く走ったりはできないと思われる。
脚部などのサーボモーターは自作開発の高トルクモーターとなっているが、指の稼働はヒモを引っ張って動かしている。これは江戸時代から続く伝統的な構造である。(下イラスト参照)
さらに動画を閲覧する限り、現状指と指の間を閉じたりする関節はないらしく、鉛筆を持つなど何かを器用に取り扱う事はそこまで想定していないようだ。
(余談だが、動く実物大ガンダム立像では逆に指を開ける関節が無く、しかも足立レイのように最初から指と指に間をあけて付けるなどもしなかった事などが原因で、オタク特有のこだわりも執念も変態的発想もなく、愛が感じられないとして原作者に当たる富野由悠季監督とガンダムオタクが激怒したという珍事があった。それを踏まえると足立レイと動く実物大ガンダムは全てが対照的である。)
UTAU音源も制作・配布されている。
VOCALOIDやVOICEROIDとは違い、元となる声優がいない(「中の人がいない」と説明されている)完全な人工音声で、もとは単純なピー音(Sin波)から出来ている。これはCSM音声合成という手法で、古くはゲームアーツのゲームなどで使われていた現在ではあまり見ないやり方。
声はネオテニーを意識しているらしく幼女声と女声を合わせたような声になっている。また人間には発音できない「ほ゛゜」などの音も発音できるようになっている。他の歌唱ソフトでは見られない独特の雰囲気の声であり、高音も低音も似合う。
⇧この動画を見ればわかるが、声の他に足立レイの声をベースにした爆発音や楽器音などの素材も収録されている。
足立レイを使った楽曲が人気を博したため、ボカコレ2023春のキービジュアルに初音ミクと並んで選ばれた。
なおこのキービジュアルは、初音ミクがきさいちさとし(代表作:ブラックチャンネル)、足立レイが木村風太(代表作:運命の巻戻士)によるイラストであり、どちらもコロコロコミックで連載をしている漫画家であり、コロコロコミック本誌にも情報が掲載された。
なお、みさいる氏はミクとの「共演」に関して
「レイをキャラデザする時、不遜にもやるなら初音ミクに負けないキャラデザをしようと思っていろいろ振り絞ってデザインして、声も作ったから・・知名度的にはまだ全然追い付いてないけど、こうやって公式でキービジュに並べてもらえたのはほんとに感無量です」
とコメントしている。
合成音声ソフト「レプリボイス 足立レイ」
UTAU音源を利用して発話させることは一応可能であったものの、そもそも歌唱ソフトであるUTAUでは自然な発話に限界があった。
そこでA.I.VOICEの開発元である株式会社エーアイの協力のもと「歌唱用合成音声を基にした通常テキスト読み上げ用合成音声」の製作が行われた。
一般販売に向けて2021年3月にクラウドファンディングが行われ、製品化の目標金額を超えて第二ゴールであった感情「喜」実装までの目標金額が達成された。
A.I.VOICEと同じエディタを使用でき、他のA.I.VOICEキャラクターとのボイスフュージョン等も可能であるが、あくまで「人間のリアルな声の再現を目指す」というわけではなく、合成音声としての方向性が異なる(言葉として聴き取ることはできるが、A.I.VOICEと違い人間の声に近づけることを目指していない)。
足立レイ本人の感情スタイルは「喜び」のみ対応しているが、感情スタイルに対応している他のキャラクターとボイスフュージョンを使えば「怒り」「悲しみ」も再現できる。
以上のことから、差別化のために「合成音声のレプリカ」という意味を込めて「レプリボイス」というブランドを冠しており、A.I.VOICEの公式サイトではOEMとして掲載され、販売店も限られている。
2021年10月23日に無事一般発売。
また、それに先んじてクラウドファンディング参加者の一部にはリターンとしてソフトが配送されている。
初音ミクなどの合成音声ソフト系のキャラクターは、二次創作では生身の人間という描かれ方をすることも、あるいは情報生命体やAIのように扱われる事もあるが、足立レイは元からアンドロイドであるため、二次創作でもロボット、アンドロイドとして描かれる傾向が強い。無表情、無口なキャラクターとして描かれることもしばしば。
また、足立レイ公式ツイッター(後述)での人工知能自動生成ツイートの内容がネタにされることもある。
ここでは、足立レイの開発史を主要なもののみ掻い摘んで紹介する。
完全中の人いない読み上げソフト製作開始
ここから先は主にツイッターで完成が報告されている
足立レイのツイッター(人工知能によるツイート自動生成)も反応
ボカコレ2023春のキービジュアルに初音ミクと並んで選ばれる
合わせてコロコロコミック本誌に掲載。全国の子供たちに足立レイの名が轟いた。
この後、3Dプリンターで多少耐久度が上がった膝をプリント。
膝の交換と合わせ、膝の取り外しがしやすいよう膝の配線をコネクター化
足立レイMMD配布動画がボカコレMikuMikuDance部門で一位
右足の交換が完了。テストで電源を投入し、足を動かす(動画付き)
足立レイの足が動くところが。
本体に付けると作業しにくいので胸部だけの仮設胴体に頭部を移設。これで頭部残りの工程やって最後に合体予定
2023/9/14:セガのアーケード音楽ゲーム『maimaiでらっくす』とボカロP「いよわ』のコラボにて、楽曲『熱異常』と、つあーメンバーとして足立レイが登場。
2023/12/01:クグイヤ(鵠屋)合同会社から足立レイの鮮やかなオレンジの髪をイメージした『足立レイのお御髪素麺』が発売され、販売開始翌日の12/02に完売した。味はエレクトリカル柚子風味。
お御髪素麺に使用しているおそうめんは、大量生産向きの「機械式」ではなく、伝統的な「手延べ式」によって製造されております。ではもし、ヒューマノイドロボットである足立レイが手延べでおそうめんを作った場合、果たしてそれは「機械式」なのでしょうか、それとも「手延べ式」なのでしょうか。──販売ページより
2024/02/22:KADOKAWAより『[[VIVID VOICE PARTY ~音声合成キャラアンソロジー~>https://amp.natalie.mu/comic/news/562130』が発売された。
2024/06/26:鵠屋から夏向けグッズとして『足立 冷感グラス』と『足立レイ 缶クーラー』が発売され、翌日には完売した。
2024/07/12:株式会社エーアイのオンラインくじ『からもるくじ 足立レイ -ZERO GRAVITY-』が発表された。コンセプトは神秘的な宇宙空間で、メインビジュアルは△○□×が担当。
足立レイの公式ツイッター(X)では、マルコフ連鎖を使い、ある程度流行りに乗った、文法的には破綻していないツイートを自動生成するプログラムを毎日実行している。このbotプログラムは足立レイの頭部コンピューター内で作動しているので、まごうことなき足立レイによるツイートである。しかし、そのツイートは日本語の文法的には間違っていないものの、『この前文字化けの残り湯をすることになった!清潔な名前した。』などの意味不明なものばかりである。
が、たまにヤバいツイートが生成されることがある。それが”足立レイ語録”である。
これのせいで制作者のみさいるが飯テロされた。
また、自動生成を行うプログラムになんらかの異常があった場合には「ズモモエラー」というメッセージが公式ツイッター(X)で自動的に投稿されるのだが、2024年11月21日、みさいる氏が歩行テストのため足立レイの本体を大学の研究室に運ぶと、その後の数日間深夜から早朝の時間帯にズモモエラーが多発し、フォロワーによって「夜泣きレイ」なる概念が生まれることとなった。なお、現在ではエラーの多発はみさいる氏によって修正されている。
修正後に投稿された怪文。調子乗ってるなこのロボット…
グッズ販売
ちなみにこの動画では、アクリルスタンドや缶バッジ、ナンバー入り3Dモデルなどの他に『足立レイの関節に使用されるギア』を販売するということでSNS上で大きな反響を生んだ。人身ばいば....ゲフンゲフン
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