概要
特別な牧草を用意せずとも雑草を餌として与えるだけでもきちんと成長し、険しい地形でも移動できるので、家畜として重要な位置にある。
餌の選り好みが少ないため天然の芝刈り機として使う事もあるが、繁殖力が旺盛なため下手に放置すると土地を丸裸にしてしまう。
好奇心が強く、活発で勝気で気まま。(リーダーとして)おとなしいヒツジの群れに混ぜ、誘導用に使う事がある。
主に乳と肉が利用される他、実験動物や愛玩動物としても飼育されている。子供動物園では常連的存在。
だが独特の瞳を持つこの生き物は近くで見るとかなり不気味であり、人によっては猫や蛇と同様に嫌悪感の対象になりえる。
繁殖欲が旺盛な為、エジプトでは不妊治療の一環としてヤギを用いた方法が幾つか考案され、またキリスト教では、聖なる動物である羊と対照的に悪魔の化身とされた。
北欧神話では、トールがもつ車を牽く生き物は、「タングリスニ(歯を研ぐもの)とタングニョースト(歯ぎしりするもの)」という二頭の、色が黒くて片足が不自由なヤギで、これに牽かせて天空を駆け回り、ミョッルニルの槌をふるって雷を落とし、麦畑を実りの豊かなものにするとされる。また、トールは冬至に家々を訪れてこのヤギ(骨以外は再生が可能という便利なものであった)を屠り、肉を家へのプレゼントとしたと伝えられるが、これを本地としたらしいサンタクロースは、18世紀ころまで、「家へ山羊をもたらす」と言われていた。
粗食に耐える山羊は遠洋に出る船乗りたちに重宝された。なかでも英国海軍は帆船時代、高級士官に新鮮なミルクを供するため山羊を船に乗せていたという。
そのため海軍には軍艦のラウンジや下士官の居室を指す「goat locker」というスラングがある。
食用として
奄美群島の一部では山羊を食べる習慣があり、山羊汁などの郷土料理が観光客にふるまわれることがある……が、注文する際は覚悟が必要。
ラム肉も人によっては臭みが強くて受け付けないと言われるが、山羊肉の臭みはその比ではない。他では味わえない一品となることは間違いない。
奄美大島ではメジャーな郷土料理である鶏飯とは違い、山羊料理を扱う店は限られている。かなり強烈な薫りが店内に充満してしまうことが取り扱いにくいことの一因となっているのではないかと思われる。
備考
山羊と紙
山羊は紙を食べる事でも知られる。
但し紙が好物と言う訳ではなく、寧ろ乳歯が生えたばかりの赤ん坊が違和感から何でも噛もうとする行為に近い。
紙は食物繊維の塊であるので、山羊に紙ばかり与えると腹痛を起こす。また最近の化学薬品が含まれた紙を食べさせると内臓疾患で山羊が死ぬ事もあるので、動物園で山羊に触れ合う機会があっても絶対に紙を食べさせてはいけない。
ヤギ目
ヤギの瞳孔は横長である。
これは天敵の発見などに有利に作用し、ヒツジや馬も同じ横長の瞳孔を持つ。