概要
ソニー・コンピュータエンタテインメントより2000年に発売された家庭用ゲーム機。「プレイステーション」の後継機であり、上位互換機。略称PS2、プレステ2。
20世紀最後の家庭用ゲーム機でもある。
本体の縦置きと横置きの両方に対応した初のゲーム機。
当時はまだ珍しかったDVD-Video再生機能を標準で搭載している。
当時の専用DVDプレイヤーより安かったこともあり、DVDを一般に浸透させるのに多大な貢献をした。
売上面に関しては先行していたセガのドリームキャストを瞬く間に抜き去り、国内販売台数約2200万台、全世界累計販売台数は約1億5700万台を記録し第六世代据え置きゲーム機のトップシェアハードとなった。
後継のプレイステーション3が発売されてからも長い間、ヨーロッパや新興国ではPS2が売れ続けていた。
また現行のPS3がPS2との互換を持たないことから、日本でもPS2の発売は続いていたが、2012年12月に新品出荷を終了。海外でも完全に製造が終了している。
そして2018年8月31日に修理サポートも終了した。
本体について
CPU | Emotion Engine 128bit | 通称「EE」。MIPS R5900ベース |
---|---|---|
GPU | Graphics Synthesizer | 通称「GS」。VRAM4MB内蔵 |
メインメモリ | Direct RDRAM 32MB | 転送速度3.2GB/s |
ビデオメモリ | eDRAM 4MB | GSに内蔵。転送速度48GB/s |
メディア | DVD-ROM/CD-ROM | 基本はDVDを採用 |
i/oプロセッサ | MIPS R3000カスタム | 初代PSのCPUを流用しており、互換機能にも使用される。 |
- SCPH-10000
最初期モデル。平成12年3月4日に発売。
DVDプレイヤーが本体に内蔵されておらず、ユーティリティディスクを使ってメモリーカードに書き込む必要がある。
そのDVDプレイヤーVer.1.00、簡単操作でリージョンフリープレイヤーに大変身するというトンデモ仕様だったが、バージョンアップにより修正された。
ピックアップレンズの性能が悪く、2層式DVDの読み込みに失敗する時がある。
なお、メモリーカードのデータが壊れるという致命的な不具合を持っている。
- SCPH-15000
ユーティリティディスクVer.1.00が起動できないように対策。
生産性向上のため、部品を変更。
メモリーカードのリセット回路が改良されているが、それでもメモリーカードのデータが壊れるという致命的な不具合を持っている。
- SCPH-18000
メモリーカードの変わりにリモコンと受光部が同梱される。
DVDプレイヤーを本体に内蔵。
最新版のDVDプレイヤーを使いたければ、上記のようにメモリーカードに書き込めばいい。
マクロビジョンのコピープロテクトの関係でRGBでの出力に制限がかかる。
内部基盤をいじれば効果がなくなるのはここだけの話。
この型番以降からメモリーカードの不具合は発生しなくなった。
- SCPH-30000
モデルチェンジ。
リモコンを別売にし、PCカードスロットをオミット。
HDDユニット用にエクスパンションベイを搭載。
Emotion EngineとGraphic Synthesizerのシュリンク。0.25マイクロメールから0.18マイクロメールへ。
無保証だが、DVD±Rメディアのビデオ再生に対応する。
悲しきかな、この型番が発売された同月に、セガはゲームハード事業から撤退する。
- SCPH-37000
カラー変更機体。(オーシャンブルー。ゼンブラック。)
ヒートシンクの変更。無保証だが、DVD±RW を認識するようになった。
- SCPH-39000
コストカットのため、マイナーチェンジ。
- SCPH-50000
モデルチェンジ。
DVDプレイヤーのバージョンアップにより、プログレッシブ出力に対応。
DVD±R/±RWメディアのビデオ再生に正式対応(DVD-RAM には非対応)。
赤外線レシーバーを本体に搭載。リモコン受光部を別途コントローラーポートに差す必要がなくなる。同時に新型リモコン発売。AV機器として使い勝手が向上する。
iLink端子のオミット。おかげでグランツーリスモ3などで通信対戦が不可能に。
BB Packはこの型番。余談だが、当時、ミッドナイトブラックというカラーが今後標準のカラーになると発表されたものの、次の型番ではあっさりお役御免、チャコールブラックに取って代わられた。
↑ここまで厚型モデル。デカいヤツはこれ↑
↓ここから薄型モデル。小さいヤツはこれ↓
共通事項として、薄型モデルはドライブの構造上、フレキシブルケーブルがディスクに当たり、円周状の傷を残す可能性がある。オリジナルディスクを大事にするコレクターの方はご注意あれ。
- SCPH-70000
フルモデルチェンジ。PSoneのように薄型&小型化。PSoneを意識したのか、箱の右下にtwoと書かれている。
エクスパンションベイのオミット。この型番以降からHDDを必要とするPlayStation BBソフトはプレイ不可となる。代わりにLAN端子を搭載。
ディスクドライブをトップフローディング方式に、ピックアップレンズをSCEカスタマイズモデルから、汎用品に変更。
この型番はACアダプターが必要のためジャンクで購入する場合は注意。
- SCPH-75000
マイナーチェンジ。内部基盤の変更により、これ以降の型番では一部のソフトで不具合が起きる。
この型番はACアダプターが必要のためジャンクで購入する場合は注意。
- SCPH-77000
マイナーチェンジ。不具合を起こす一部ソフトとの互換性を確保。
この型番はACアダプターが必要のためジャンクで購入する場合は注意。
- SCPH-79000
マイナーチェンジ。本体とACアダプターの軽量化。
Emotion EngineとGraphic Synthesizerがメインメモリと一緒に1パッケージ化。
この型番発売の5ヶ月後、最終モデルとなるSCPH-90000が発売されたため、3日天下ならぬ5ヶ月天下となったかわいそうな子。
この型番はACアダプターが必要のためジャンクで購入する場合は注意。
- SCPH-90000
最終モデル。ACアダプターが不評だったのか電源内蔵に逆戻り。
だが、重量は先代より軽い。
128bitのCPUや48GB/sの転送スピードをもつVRAMと当時としては破格の性能を誇るパーツが揃っている。
128bitと言えばドリームキャストのCPUも「32bitCPU×4つの演算レーン」で128bitとしていたものの、PS2のCPUは内部のデータバスが全て128bit一本で接続されている正真正銘の128bitプロセッサである。
このプロセッサのお陰で当時としては高度な物理演算が可能になり、爆発などで飛び散るオブジェクトの破片一つ一つの動きも細やかに再現することが出来るようになっている。
VRAMについては4MBと少な目だが、高速な転送速度を活かしてメモリ帯域を食らいがちな半透明エフェクトを大量に生成するという技法が開発メーカーの間で盛んに行われた。
ポリゴンの描画能力自体は当時の他の競合機種に比べて控えめだが、この技法を活用することで一部のマルチソフトではゲームキューブを上回るグラフィックを実現したソフトも存在する。(例:『Need for Speed』シリーズの車の反射など。プロセッサ等の基本性能はゲームキューブの方が高いがVRAMの転送速度はPS2の方が速く、半透明処理ではゲームキューブと互角かそれ以上のパフォーマンスを発揮していた。)
プレイステーションの上位互換のため、プレイステーションのゲームもプレイできる。
プレイステーション用メモリーカードのアクセスも可能である。
ただしPS用ゲームはPS2用メモリーカードへのアクセスはできない為、セーブにはPS用メモリカードが必要。
PS2用メモリーカード(容量8MB)にPSソフトのデータを移し、データバンクとしての使用も出来る。セーブデータの容量表示もブロック単位からキロバイト単位に変更された。
メディアの裏面はDVD-ROMは通常のDVDと同じ色だが、CD-ROMは青色になっている。
ネットワーク接続機能として「BB Unit」という周辺機器が存在する。
これはネットワークカードとHDD(40GB)のセットとなったものであり、「BB Navigator」という専用ナビゲーションソフトをインストールして使用するものであった。
もっとも、専用オンラインサービスであるPlayStation BBは試験的サービスの色が強く、BB Unitを使用するソフトはあまり多くない。
現在はPlayStation BBはサービスが終了しているため、対応ソフトを使用することはできない(エースコンバット04のようにHDDユニットのみを使用してアクセスを高速化・セーブ領域として使用しているソフトではHDDユニットのみ利用可能。PlayOnlineを使用するFF11など、別サービスを使用するソフトに限り使用可能だったがPS2版のサービスは既に終了している)。
後期版本体(SCPH-70000以降)はネットワークインタフェースは標準搭載となったが、代わりにHDDユニットを接続するコネクタがオミットされており、前出のBB Navigatorも使用できない。
旧世代機であるプレイステーションと同様に頻繁に改良が行われており、初期のSCPH-10000系と最終型のSCPH-90000系とでは内部構成など様々な部分が異なっている。
そのため、本体の種類により互換性の問題が発生しており、一部のゲームソフトでは音飛びやロード時間が非常に長くなる、ゲーム進行が停止するなどのトラブルが発生している。
代表的なソフト
備考・余談
- 後期版本体は構造の都合上、ピックアップレンズ部分のフレキケーブル(オレンジのリボンのような部品)が何らかの不具合で回転中のディスクに触れる可能性があり、それが原因でディスクに円周状の傷が付いてしまう事例があった。
- かつての3DOやAtari Jaguarの事例から当時は「本体が黒のハードは売れない」というジンクスが付きまとっていたが、PS2はそうしたジンクスを打ち破るが如く全世界でおよそ1億5700万台を売り上げ、売れないどころか「世界一売れたゲーム機」となった(余談だが、一般向けではないものの先代のPSも黒色の本体(通称黒ステ)が存在する)。
- 規格外のディスクを入れるとエラー画面が表示されるのだがそのエラー画面というのが不気味なSEと共に赤黒い画面が表示されて『PlayStationまたはPlayStation 2規格のディスクではありません』とメッセージが表示されるというもので、人によっては恐怖を感じるものになっている。
- ちなみにゲームキューブのディスクやブルーレイディスクなど物理的に読み込めないディスクはブラウザ画面に「ディスクの読み込みに失敗しました」との文字が出るだけである。
- 発売当時はその性能の高さと、比較的手頃な価格や本体サイズ故に「兵器転用の恐れがある」とされ、外国為替および外国貿易法上の『通常兵器関連汎用品』に指定されて輸出規制がかけられた事がある。
関連タグ
プレイステーション プレイステーション3 プレイステーション4
プレイステーション・ポータブル プレイステーション・ヴィータ
Linux - PS2の開発環境のベースでもあると同時に、実際にSCEよりPS2をLinuxマシンにするキットが発売された。