『UC-MSV』における設定はこちら。
カタログスペック(ユニコーンモード/デストロイモード)
頭頂高 | 19.7m/21.7m |
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本体重量 | 23.8t |
全備重量 | 52.4t |
ジェネレーター出力 | 3,890kW/測定不能 |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
スラスター推力 | 206,770kg/測定不能 |
概要
RX-0シリーズの3号機、つまりユニコーン、バンシィの兄弟機にあたるが、ビスト財団の干渉を受けず、地球連邦軍のスタッフのみでロールアウトされたという独自の経緯を持つ。
開発開始が最も後発なため、ジェネレーター出力など、単純なカタログスペック(ユニコーンモード)は1、2号機を上回り、特にパワー・ウェイト・レシオは3.9倍と、第二期モビルスーツと同等という驚異の数値を誇る。しかしながら、コクピットがNT-Dに対応しておらず、デストロイモードに『変身』しても、コントロールスティックとフットペダルが残ったままになるなど、“完成度”が高いわけではない。
外観面では、軽度のビーム耐性を持った黄金色のエマルジョン塗装を特徴としており、デストロイモードでは本体装甲がスライド拡張すると同時に、アームド・アーマーDEが展開。サイコフレームが青色に発光する。
開発経緯
『UC計画』にビスト財団が関与することを良しとしない、ラーソン中将を始めとした一部の地球連邦軍高官の思惑によって建造された機体である。
試験用にアナハイム・エレクトロニクス社(以下、AE社)から先行納入されたフル・サイコフレームの素体を基にしつつ、1号機と2号機のデータを反映して、軍のスタッフのみでロールアウトまで達成している。
AE社社長夫人であり、ビスト財団の血縁でもあるマーサ・ビスト・カーバイン女史からは「つまらない意地で勝手に作った機体」と揶揄されたというが、AE社ではブラックボックスとされたNT-DさえもOSに搭載するなど、総合性能は1、2号機と比較して大きく劣ってはいない。
運用実績
宇宙世紀0095年12月4日、性能評価トライアルとして、AE社と地球連邦軍が合同で機動試験を実施。その中でフェネクスはNT-Dを発動したが、そのまま制御不可能な暴走状態へと突入してしまう。
当該機はラーソン中将以下、試験評価員を乗せたアイリッシュ級「エシャロット」の艦橋へ、シールドファンネル(アームド・アーマーDE)による攻撃を加え撃沈した――すなわち数十人以上の軍人を殺害したのち、戦闘空域を離脱。以降はパイロットであるリタ少尉も含め、行方不明となった。
このエシャロット事件を経て、地球連邦軍を始め、テストに同席していたマーサ女史らAE社も行方を追っており、いくつか目撃情報(恐らく、漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』で描かれた、宇宙世紀0096年1月の事件に相当すると思われる)はあるものの、同年に勃発したラプラス事変(4月7日~5月4日)の期間も含め、鹵獲には至っていない。
この事件以降、本機のサイコフレームはユニコーンモード時でもほぼ常時発光するようになり、斥力を作り出して推進剤がゼロとなっていても、宇宙空間を超高速で飛行する事が可能になっている。
その加速性能は、観測したダマスカスのレーダー長を、「ほとんど光の速さ」と驚愕させた。(小説版では「ビームより速いのか!?」というセリフもある。)
そしてリタも肉体が消滅し、本編開始の時点では精神だけを機体に宿す状態になっていた(よってコックピットは空である)。
フェネクス捕獲を企む各種勢力
上述の「ラプラス事変」終盤、あたかも『時を巻き戻した』かのようにMSのジェネレーターを分解するなど、人智を超えた力を発揮したユニコーンガンダム1号機及び2号機は「シンギュラリティ・ワン(技術的特異点)」と呼ばれ、危険視される事となった。
結果、地球連邦軍(政府)は自組織が所有する2号機の解体を交換条件として、ミネバ・ラオ・ザビに1号機を解体・封印させ、同時に全組織におけるサイコフレーム関連技術の封印協定が結ばれる事となった。
それ故に宇宙世紀0097年には、残るユニコーンガンダム・タイプであるフェネクスを捕獲する為、地球連邦軍は秘密部隊「シェザール隊」を組織して『不死鳥狩り』作戦を展開する。
しかしその作戦にはルオ商会、AE社だけでなく、ジオン共和国までもが介入を始め、地球圏は混迷を深めつつあった。
武装
頭部バルカン砲
頭部左右に内蔵された60mm砲。
ビームマグナム
エシャロット事件の段階で喪失している。
RX-0シリーズ共通の射撃兵装。一射につきEパックをひとつ消費する。命中しなくとも粒子だけでモビルスーツを撃破するほどの威力を誇るが、その反動の強さからRX-0シリーズ以外の機体が使用すると、腕部が稼働不良となる。
アームド・アーマーDE
実体モデルのユニコーンガンダム用シールド(Iフィールド・ビームバリア内蔵)に接続するタイプのアームド・アーマーである。「DE」は「Defence - Extention(ディフェンス・エクステンション)」の略。
バンシィ・ノルンの同装備と同じく、増加ブースターとメガキャノンの内蔵により、機動力と攻撃力の双方に寄与する。フェネクスは、背部コネクターを介してに翼のように二枚一対で装備しており、爆発的な加速力を発揮した。
更に、後端にはパネルが連続して繋がったテール状のパーツが配され、姿勢制御用のスタビライザーとして機能する。
シールドファンネル
ラプラス事変後期に、1号機が見せたものと異なり、設計段階から意図して付与されている機能。メガキャノンの射撃、Iフィールドによる防御だけでなく、実体シールドを用いての打突攻撃も可能。
ナラティブガンダム(A装備)との初戦では、サイコキャプチャー展開のわずかな隙に背部マウントから二基のシールドファンネルを射出し、フェネクス本体がキャプチャーの結界に囚われてすぐ、ファンネルによる打突攻撃をA装備のアームに仕掛けることで、窮地を脱している。
サイド6の学園都市コロニー「メーティス」においても、同じく打突によってシナンジュ・スタイン(機動戦士ガンダムNT)を無力化させるなど、敵機を撃破することなく鎮圧するために最大限に利用される。
ビームサーベル(ビームトンファー)
RX-0の共通武装。前腕に二基、バックパックに二基装備している(バックパック装備は、デストロイモードでターン・アップ、使用可能となる。)
コクピットにヨナ・バシュタを迎え入れた後のデストロイモードでは、トンファー・モードで使用。この際には、Ⅱネオ・ジオングのサイコシャードさえも一刀両断にした。
サイコ・フィールド
フェネクスが腕部を振るうと発動する、虹色の波動。
接触したマシーンを、あたかも『時が巻き戻った』かのように分解する効果を見せる。
コロニー「メーティス」では、周囲に民間人がいた為、発動を渋っており、“ユニコーンガンダム【光の結晶体】”のように特定の部位だけを狙えるのかは不明。
なお、ナラティブガンダム(A装備)が右腕のサイコキャプチャー・フィールドで防御したように、既存のサイコミュ兵器によって干渉、無効化する事も可能である。
劇中での活躍
宇宙世紀0097年……エシャロット事件から約1年半が経過した頃、サイド4近傍の暗礁宙域で、地球連邦軍のシェザール隊によりフェネクスの捕獲作戦が行われていたが、フェネクスは青い燐光を撒き散らしながら途轍もないスピードで部隊を翻弄していた。
その戦場へと、ルオ商会によりナラティブガンダム(A装備)が投入され、フェネクスはこれと交戦状態に入る。MA並の推力と各種武装を使ったナラティブの攻撃に食い下がられるフェネクスは、特殊兵装「サイコ・キャプチャー」で捕縛されかけるがこれをアームド・アーマーDEで対処、サイコ・フィールドの波動で、左サイコ・キャプチャーを分解するのだった。
ナラティブのパイロットのヨナから、通信ワイヤーを使った接触通信で呼びかけを試みられるが、応答はなく、そのままナラティブガンダムを振り切ると戦闘空域から離脱した。
サイド6の学園都市メーティスでは、ナラティブガンダム(B装備)とシナンジュ・スタインとの対決に飛来するも、NT-Dの発動によって暴走したナラティブガンダムのサイコ・キャプチャーで捕獲されて破壊されそうになってしまう。
意に反した暴走によるヨナの怒りでナラティブガンダムはハルユニットのコントロールを奪って合体し更なる暴走状態に陥るも、フェネクスが『UC』での1号機のように胸部装甲に右の掌で接触すると、ヨナは正気に戻り暴走は収まった。
ヘリウム3を臨界爆発させようとするⅡネオ・ジオングを止めに現れた際は、力及ばずアームド・アーマーDEを失った末に捕縛されてしまう。
しかし駆け付けたナラティブガンダム(C装備)に救出されると、共闘によって一時的に優位を取り戻す。
その後、破壊されたナラティブガンダムからヨナが移乗すると、アームド・アーマーDEを再び装着してデストロイモードへ『変身』。ビームトンファーによってⅡネオ・ジオングのメガ粒子砲の斉射を割り、更に日輪型のサイコシャードさえも両断。武装を失ったハルユニットを捨てたシナンジュ・スタインに、トンファーを突き立てて機能停止させると、巨大な翼を顕現させⅡネオ・ジオングを破壊すると共にヘリウム3を臨界前の状態に戻す事に成功した。
ガンプラ
「ナラティブver.」販売
上述した2018年の機動戦士ガンダムNT制作発表後、スタビライザー周りのパーツが新規造形された上で、HGUCブランド(1/144スケール)でゴールドパール成型の通常版と、金メッキ仕様の特別版が、一般販売を開始した。これらに加えて、ガンダムベース東京限定販売品でクリア成型仕様が販売されている。
マスターグレードブランド(1/100スケール)では、プレミアムバンダイ限定で販売となっている。
アームド・アーマーDE
バンシィと異なり、最初から装備されているため判別しにくいが、フェネクスのDEもシールドに覆い被せる方式で追加装備している。
因みに立体物では、マスターグレードの場合はDEの脱着がそのまま再現されているが、HGUCなどでは、価格を下げる事を目的に、シールドとDEを一体化させたパーツを採用しているため、取り外すことが出来ない仕様となっている。
設定の変遷
ユニコーンガンダム3号機フェネクスは、2013年にお台場のガンダムフロント東京で公開された3Dデジタルアニメ『機動戦士ガンダムUC One of Seventy Two』を初出としている。本作に合わせてガンプラ(マスターグレード)での立体化も果たしている(このため、このMGのパッケージイラストには、『One of Seventy Two』版バンシィも描かれている)。
そしてその後も、UC-MSVとしていくつかの『ガンダムA』刊行作品に登場していった。
2018年4月に劇場公開アニメ作品として、前述の『不死鳥狩り』をモチーフとした『機動戦士ガンダムNT』が発表され、あわせてフェネクスも、アニメ設定と辻褄が合うよう、設定と機体デザインに若干の変更が加えられ、設定がまとめられた。
このため『NT』発表後は、HGUCやMGといった、既に商品展開が行われていたガンプラでは「ナラティブVer.」として『NT』版のデザインで改めて販売され、サンライズ公式イベントやホビージャパンなどの模型誌における「開発系統図」といった資料では「ナラティブVer.」が用いられるようになった。
アーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』やソーシャルゲーム『スーパーガンダムロワイヤル』ではバンシィ同様に特に注釈無く「ナラティブVer.」が「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」として用いられている。
外部出演
スーパーロボット大戦
シリーズ初出演。
「ユニコーンガンダム3号機 フェネクス(デストロイモード)(ビーム・トンファー(ビーム・サーベル)」という最長名称で、18年12月から実装。パイロットはヨナ・バシュタ。HP依存とはいえ強力なスキル「奇跡の子供達」と、18年実装SSRとしての高いステータスが魅力。
余談
高速機動SE
本機の高速飛行時のSEには、脚本を担当した福井晴敏氏の意向により、レイズナーのV-MAXの効果音が用いられている。
挙動
リタの意識は、サイコフレームを介してフェネクスに宿っている為、細かな挙動や仕草がすごく人間的……もっと言うならば少女的である。
劇中での敵の謀略にあっさり引っかかるドジっ子的なシーケンスや、主役機と言えるナラティブガンダムに救出される等、ファンからは「フェネクスがヒロイン」という意見が多く挙がっている。まぁリタは本当にヒロインだし間違ってはないのだが……。