1960年8月24日生まれ。大阪府出身。
概要
人呼んで「日本一忙しい映画監督」。元々監督業に対する強い熱意があったわけではなく、助監督として馬車馬のごとく働いていたらなし崩し的にデビューした、という特殊な経歴を持つ。
仕事を選ばない姿勢ゆえ、幅広いジャンルを扱う売れっ子である。他の監督なら断ってしまうような企画まで引き受けた上で作品としてきっちり完成させるため、フィルモグラフィがとてもカオス。作品も様々だが『オーディション』『殺し屋1』『クローズZERO』『十三人の刺客』あたりが代表作として挙げられ「ヤクザ映画・ヤンキー映画・ホラー映画の作り手」「苛烈な暴力描写が持ち味」と紹介されることが多い。
海外での人気が高いためハリウッドからの引き合いもあったが、日本での仕事が多忙なためなかなか折り合いがつかず、海外進出まであと一歩のところまで迫った企画もあったのだが、トム・ハーディのドタキャンにより頓挫している。
海外ドラマならアメリカのケーブルテレビ向けに制作した『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』があるが、内容があまりにアレだったため放送中止になり、結局、一部地域で映画として公開された。
作風
- 作品によっては非常に強いバイオレンス、ゴア描写が入ることがあり、三池にとって一つの代名詞となっている。本人いわく「バイオレンスを撮ろうとしているわけじゃなくて、隠そうとしていないだけ」。
- コメディのみならずシリアスな作品でも超展開を差し挟むことがあり、シュール・ナンセンスな作風とも評される。また、作中で謎とされる部分が解明されないまま終わったり、クリフハンガー的な終わり方も多いことから「丸投げ」が得意とも言われる。
- 作中に頻繁にゲイが登場する。男色要素をコミカルな要素として入れることもあれば、男同士の恋愛をシリアスに描くこともある。
- 漫画などを原作とする際には、原作の持ち味を引き出した上で忠実にやりたがる派で、監督のオリジナリティを入れるのは余計なお世話だろうと述べている。
- 一方で、「この原作を映画化したい」という欲が出過ぎるとエゴになってしまうとも語っている。
- 原作が未完結の場合、そのまま映像化して「俺たちの戦いはこれからだ!」的な締め方をすることも。先述の「丸投げ」芸と重なるところがある。
人物
- 映画監督としてはメディア露出やそれに伴う発言が多い。トレードマークは眼鏡かサングラス。舞台挨拶に登壇する際には髪型を変えていることもある。
- いわゆる大人の事情には逆らわず、出来る範囲で全力を出すというスタンス。低予算での無茶振りをされることも多く「日本映画界は「え」の連続」と語っている。
- 従来なら予算不足などで諦める場面でも機転を利かせて(時には奇抜な案で)対処することから、業界内ではアイディアマンとして評価されている。
- 役者に対して技術的な演技指導はせず、本人の感情を引き出した上で本人に演技を任せている。「他の現場で溜めたフラストレーションを自分の現場で発散してもらう」という旨の発言もしている。そのためキャストからの評判はよく、三池作品に複数回出演している役者も多い。
- 一方で、短期間・低予算での撮影を実現するため、三池組は徹夜続きの過酷な現場だと伝えられる。
- 現場での思いつき、アドリブで内容を変更することがある。「台詞を噛む」「素の反応をしてしまう」など本来ならNGになるようなカットを採用することもある。
- 普段から映画をよく観ているが、あくまで観客目線であり、自作のために映画を研究して役立てるといったことはしない。
- 既婚者で妻子持ち。結婚式の仲人は児玉進が務めた。
- 柳下毅一郎は三池の手腕を評価しつつも、その人柄について「(駄作を撮ってしまっても)まったく責任を取らない」「三本撮って一本面白くなってればいいやと割り切ってしまえる人」と評し、三池に仕事を丸投げする日本の業界人を辛辣に批判している。
監督作品
映画
『新・第三の極道 勃発関西極道ウォーズ!!』1995年 - 未公開
『第三の極道』1995年
『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』1995年
『極道戦国志 不動』1996年
『岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇』1997年
『アンドロメディア』1998年
『BLUES HARP』1998年
『岸和田少年愚連隊 望郷』1998年
『日本黒社会』1999年
『サラリーマン金太郎』1999年
『DEAD OR ALIVE 犯罪者』1999年
『オーディション』2000年
『漂流街』2000年
『DEAD OR ALIVE2 逃亡者』2000年
『ビジターQ』2001年
『FAMILY』2001年
『天国から来た男たち』2001年
『殺し屋1』2001年
『DEAD OR ALIVE FINAL』2002年
『カタクリ家の幸福』2002年
『熊本物語』2002年
『荒ぶる魂たち』2002年
『新・仁義の墓場』2002年
『MPD-PSYCHO/FAKE MOVIE REMIX EDITION』2002年 - 2000年放送のテレビドラマの再編集版
『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』2002年
『実録・安藤昇侠道伝 烈火』2002年
『SABU ~さぶ~』2002年 - 同年放送のテレビドラマの再編集版
『許されざる者』2003年
『極道恐怖大劇場 牛頭』2003年
『美しい夜、残酷な朝』「box」2004年
『着信アリ』2004年
『ゼブラーマン』2004年
『IZO』2004年
『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~』2005年
『妖怪大戦争』2005年 - 兼脚本
『WARU』2006年
『46億年の恋』2006年
『太陽の傷』2006年
『龍が如く 劇場版』2007年
『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』2007年
『クローズZERO』2007年
『神様のパズル』2008年
『ヤッターマン』2009年
『クローズZEROⅡ』2009年
『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』2010年
『十三人の刺客』2010年
『忍たま乱太郎』2011年
『一命』2011年
『逆転裁判』2012年
『愛と誠』2012年
『悪の教典』2012年
『藁の楯』2013年
『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』2014年
『喰女-クイメ-』2014
『神さまの言うとおり』2014年
『風に立つライオン』2015年
『極道大戦争』2015年
『テラフォーマーズ』2016年
『土竜の唄 香港狂騒曲』2016年
『無限の住人』2017年
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』2017年
『ラプラスの魔女』2018年
『初恋 FIRST LOVE』2019年 - 日本公開は2020年
『その瞬間、僕は泣きたくなった−CINEMA FIGHTERS project−』「Beautiful」
2019年
『劇場版ひみつ×戦士ファントミラージュ!~映画になってちょーだいします~』2020年
テレビドラマ
『多重人格探偵サイコ/雨宮一彦の帰還』2000年 - 兼脚本
『SABU ~さぶ~』2002年
『交渉人』2003年
『ウルトラマンマックス』2005年 - 兼特技監督。第15話・第16話
『ケータイ捜査官7』2008年 - 総監督
『QP』2011年
『彼岸島』2013年 - 総監修
『ガールズ×ヒロイン!シリーズ』2017-2020年 - 総監督
その他
『FULL METAL 極道』1997年
『シルバー』1999年
『鬼哭 KIKOKU』2003年
『探偵物語』2007年
『平和への誓約』2007年
プチプチ・アニメ「ころがし屋のプン」2016年
出演
OVA『殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE 0』2002年 - 垣原役
映画『ホステル』2005年
映画『劇場版 どうぶつの森』2006年 - 声の出演・ラコスケ役
ゲーム『NO MORE HEROES 2 DESPERATE STRUGGLE』2010年 - ゲスト出演