概要
2021年12月17日全米公開。日本では2022年1月7日公開。
MCU映画第26作であり、MCUでのスパイダーマンシリーズ、いわゆる「ホーム三部作」の第3作にして完結編。
ドラマ『ロキ』、アニメ『ホワット・イフ...?』などで示唆されていたマルチバース展開(※1)を初めて本格的に描いた作品であり、MCU以前のスパイダーマンの実写映画(サム・ライミ版、アメイジング・スパイダーマンシリーズ)のヴィランたちがオリジナルキャストで登場することで話題を呼んでいる(※2)。
※1 『エンドゲーム』などのタイムライン/時間軸は、厳密に言えば別の概念。
※2 ただし、その関係上、上記の過去シリーズも予め視聴しておかないと、演出や台詞の意図が掴みにくいシーンも結構な数存在する。(勿論、視聴していなくても十分楽しめるように作られてはいる。)
ストーリー
前作『ファー・フロム・ホーム』におけるミステリオの策略により、世間に正体を知られてしまったピーター・パーカー / スパイダーマンは、ミステリオ殺害容疑をかけられたうえ、連日野次馬に囲まれ、ミシェル・ジョーンズやネッド・リーズを始めとした身近な人々にも迷惑が掛かっていた。
そんな状況を打破するため、ピーターはかつて共に戦ったスティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジに相談を持ち掛ける。
ストレンジは魔術によって、世界中の人々から「ピーターがスパイダーマンである」という記憶を消し去る事を提案するが、その魔術が新たな惨劇を招いてしまい、「ピーターの正体がスパイダーマンだと知っている」グリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、サンドマン、リザード、エレクトロといった、別の世界のヴィラン達が次々とスパイダーマンの前に姿を現わし始める。ストレンジは呪文を逆転させ、彼らをそれぞれの世界に戻す準備を始めるが、その時にスパイダーマンは衝撃の事実を知る。それは彼ら全員が「それぞれの世界でスパイダーマンと戦って敗北し、更にその戦いの中でグリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロの3人は命を落とす」運命にあることを。スパイダーマンは彼らを救うために、彼らの力を失わせ、善人に戻してから元の世界に戻す事を提案するが...
キャラクター
カッコ内は、俳優 / 日本語吹替版声優。
- ピーター・パーカー / スパイダーマン(トム・ホランド / 榎木淳弥)
- ミシェル・ジョーンズ(ゼンデイヤ / 真壁かずみ)
- ネッド・リーズ(ジェイコブ・バタロン / 吉田ウーロン太)
- メイ・パーカー(マリサ・トメイ / 安藤麻吹)
- ハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー / 大西健晴)
- ユージーン・“フラッシュ”・トンプソン(トニー・レヴォロリ / 畠中祐)
- ベティ・ブラント(アンガーリー・ライス / 水瀬いのり)
- J・ジョナ・ジェイムソン(J・K・シモンズ / 立川三貴)
- スティーヴン・ストレンジ / ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ / 三上哲)
- ウォン(ベネディクト・ウォン / 田中美央)
過去シリーズより
- ノーマン・オズボーン / グリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー / 山路和弘)
- オットー・オクタビアス / ドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ / 銀河万丈)
- フリント・マルコ / サンドマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ / 石田圭祐)※新たに収録した声のみでの出演、映像はライブラリより。
"想像しろ。超えてやる。"
全ての運命が、集結する。
特別ゲスト
余談
評価
ホーム三部作のみならず『スパイダーマン』実写映画の約20年の集大成ともいうべき内容なだけあって、非常に高い。
その結果は数字にも表れており、米国では公開から3週間で歴代累計興行収入のTOP10入りを果たしている。
またMCUだけで見ても、上位に入るのは確実となっている。
可能性の拡がり
直前に公開された『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンでも、本作とリンクするシーンが挿入されており、本作のポストクレジットシーンと合わせて、いよいよMCUとSSUの本格的なクロスオーバーが始まったことをファンに示している。
今作の「他の次元からキャラクターが集結する」という展開は、コミック「スパイダーバース」を意識したと思われる。
また今後も、同じキャラクターを演じた異なる複数の俳優たちの共演の可能性があるかもしれない。例を挙げると、
- ハルク:MCUがスタートする前にエリック・バナ主演で映画化されている。
- デアデビル:Netflix版ドラマの前に、後にDCEU版でバットマンを演じるベン・アフレック主演で映画化されている。
- ちなみにハッピー役のジョン・ファヴローはこちらでは主人公の親友役。
- ブレイド:MCUではマハーシャラ・アリが演じることが発表されておりMCUの前作『エターナルズ』で先行登場(声のみ)したが、1998年~2004年に3部作で映画化されている。ウェズリー・スナイプス主演。
- ファンタスティック・フォー:これまで3回実写映画化されており、4回目となるMCU版で監督を務めるのはホーム三部作と同じジョン・ワッツ。
- なおメインキャラクターであるヒューマントーチは、2回目の映画(2005,07年のティム・ストーリー版)ではクリス・エヴァンスが、3回目(2015年のジョシュ・トランク版)ではマイケル・B・ジョーダンがそれぞれ演じたが、2人とも後にMCUにキャプテン・アメリカおよびキルモンガー役で参戦している。
小ネタ
- 本作で使われた劇伴の曲名および本作に出て来た架空の本の書名である「Flashpoint」は、DCコミックに同名の作品が有るが、その内容は「過去に起きた悲劇を無かった事にしようとした結果、予想外の影響が起きてしまい……」と云う本作の内容を連想させるもの。
- 『エターナルズ』でもDCネタがある。
- とあるキャラクターが「スパイダーマンは黒人だと思っていたのに」と言うシーンが有るが、ピーター・パーカーが住んでいるニューヨーク市クイーンズ地区は、現実世界ではアフリカ系や中南米系の住民が多い。
- 当該キャラはアフリカ系で元々はスパイダーマンのファンだったので「スパイダーマンの活動範囲などからスパイダーマンはクイーンズに住んでいるらしい」→「クイーンズにはアフリカ系が多いからスパイダーマンは自分と同じアフリカ系だ」と考えるようになったと思われる。
- 黒人のスパイダーマンとしてはマイルス・モラレスがいる。そしてコミックにおけるマイルスの叔父アーロン・デイヴィスは映画『ホームカミング』にも登場しており、「甥がいる」と言っていた。
- 本作で共演したある2人の登場人物は、コミックでは結婚しかけた事が有り、それを念頭に置いて本作を観ると……?
- サプライズ出演したある俳優は、元カノにしてかつての共演者にまで「出演する訳ないだろう」と言っていた為、当然ながら、本作公開後にその元カノから「このクソ野郎」と言われる羽目になった。
- そして、あるTV番組に出演した際に、この話をした結果、司会者から「あんた、元カノまで騙してたのか?」とツッコミを入れられる事になった。
- ちなみに、当該俳優はこの本作公開前に同じ番組で「出演しない」と言い切っていた為、公開後に再出演した時の最初の一言が「弁明の機会を与えてくれて、ありがとう」だった。
国内では
※批判的な意見を含むので注意 |
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日本では全米公開から3週間遅れての公開だが、実は世界中のほとんどの国は同時公開。日程が発表されると国内ファンは海外からのネタバレを警戒し、SNS断ちなど対策を各自始めた。
しかし公開後、海外では一部の心無い観客が上映中の盗撮動画を蔓延させたり、公式がTwitterで試写会の募集やネタバレすれすれの宣伝を行ったり、と日本のファンにとっては素直に喜べない年越しとなった。
日本より遅いのはフィリピンだけで、こちらは理由が明言されているが、日本で遅れた理由は現時点で明らかにされていない(恐らく、本作とは逆に日本先行公開となったこれや公開日が作中でも重要な日であるこれとの兼ね合いだが、これ関連という噂もある)。
しかし、奇しくも遅かったことによってスパイダーマン誕生60周年と実写化20周年いう節目の年に映画が公開される運びとなった。
またエンドクレジットでは今作で重要な役割を果たしたドクター・ストレンジがある人物を訪れる場面が描かれるのだが、
- その映像がストレンジが主役を務めるMCU次回作の特報とほぼ同じであったこと
- 特報の発表が全米公開日の1週間後だったため、(もちろんネタバレ要素はなかったものの)日本のファンには結果的にフライングになってしまったこと
- その次回作の日本公開日が全米より2日早いことで、今作の3週間遅れが目立ってしまったこと
など、いい意味でも悪い意味でも印象に残る作品となりそうである。
関連動画
予告編
関連タグ
スパイダーマン:スパイダーバース…ある意味先駆けと呼べるアニメ映画。
ザ・フラッシュ…DCコミックのヒーロー。単独実写映画にて、過去にバットマンを演じた複数の俳優が、再度バットマンとして登場することが噂されている。
ダークナイトライジング…DCコミックの映画であるが、完結作で前作のヴィランが原因でヒーローが悪人の汚名を背負うといった展開が共通している。
仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER…公式から公開初日に観る様推奨された作品繋がり。
海賊戦隊ゴーカイジャー/ウルトラギャラクシーファイト…かつての出演者たちが同じ役柄で登場する作品繋がり。後者に関してはマルチバースや時間を越えて現れた敵が登場するなど本作と共通する部分が多い。