リピア(ウルトラマン)
りぴあ
概要
「シン・ウルトラマン」に登場する巨大人型生物ウルトラマン(仮称)の本名
(ウルトラマン本編における初代ウルトラマンの本名ではないので注意)。
禍威獣第7号ネロンガが出現した際に突如大気圏外から飛来し、降着した衝撃から子供を庇い命を落とした禍特対の作戦立案担当官・神永新二と融合。
その姿を借り、人間と外星人の狭間の存在として地球で活動する。
降着直後は銀色の体表に同じく銀色のライン、そして口元に皺がある顔立ちをしていた。
その後神永と一体化してからはラインが赤く変わり、顔立ちも鉄仮面のようでどこか微笑を浮かべたような表情に変化した。
神永から元の姿に戻る際には、ベーターシステムの起動点火装置たるベーターカプセルを点火することで、別次元のプランクブレーンに隔離された外星人としての本体を召喚する。
その際、プランクブレーンから出現した右手が神永を掴む様に一体化し、そのまま腕を突き上げた状態で実体化する。
ぐんぐんカットは最終決戦直前で登場した。
活動エネルギーはスペシウム133という物質で、これの応用により光波熱線の使用や、重力を歪めた飛行等が可能になる。
飛行速度の公式設定はないが、地表に降着した際には12000km/h≒マッハ9.6と言及されており、ネロンガ撃破後の飛行では本人周囲にベイパーコーンが発生しているため、地表からの飛行でも超音速に到達していることは間違いない。
しかし、プランクブレーンからの非コンパクト化の負荷に加え、融合した神永の生命情報維持に多くのスペシウムエネルギーのリソースを割いていることから消耗が激しく、エネルギーが低下すると体表のラインが赤から彩度を抑えた緑に変色し、活動限界に達すると消滅してしまう。
必殺技は腕を十字に組んで放つスペシウム133の光波熱線や丸い鋸状エネルギーを投げつけると言ったもの。また、防御のために長方形のバリアを展開する能力も持っている。
なお、地球に降着し初めて光波熱線を放った際は、右手を垂直に立て、左手をゆっくり真横に伸ばしながらエネルギーを充填していたが、2回目の変身以降はこの予備動作無く発射している。
人物像
自分の行動が原因で神永が死亡したことに対する責任を取ると共に、『自分よりも弱い者の為に命をかける』地球人の行動に興味を持った為、神永を理解しようと光の星の掟に背いて神永との一体化を決断する。
以降は感情を表に出さず、生前の神永以上に独断行動を取るようになる。その一方で辞書や専門書といった様々な分野の書物に目を通すなど機械的なようで好奇心旺盛にも見える。
神永の記憶と思いは受け継いでおり、地球における人類の言葉の意味を理解しているが、実感はしていない。人間よりも優れた存在故か「個」の概念は確立しているが、「仲間」や「助け合い」等の概念が希薄、もしくは感性が異なる(作中では地球人の在り方を『群れ』と呼称する等)。そのため、バディであるはずの浅見弘子との序盤での関係性は良いとは言えず、浅見の神永/リピアに対する第一印象は「アホなの?」であった。
しかし、短い間とはいえ禍特対の面々と触れ合う内に人間の素晴らしさや可能性を信じるようになる。その一方、あえて多くは語らず行動で示す場面もある(助けを信じてベーターカプセルを浅見に託したり、事態解決のヒントとなるベーターシステムの原理式を記したメモリを滝明久のデスクの上に置いておいたりする、など)。
加えて人類の黒い一面も学んだようで、政府機関の男が禍特対メンバーに危害を加えることを仄かした際には「もしそれを実行すれば、人類をためらうことなく滅ぼす」と言い放つ一面を見せた(本人曰く「対等な立場での交渉」)。
内面の変化が戦闘にも影響したのか、ガボラ戦では放射能が広がらない為に熱光線を体で受け止めながら光線を使わずに駆除、後処理で遺体を持ち去ったり、ザラブ戦では落下する浅見を優しく救助したり等、戦闘での動きに大きな変化が見られるようになる。
ゾーフィのセリフから、光の星の「裁定者」達は感情よりも宇宙の秩序を優先する事が分かり、脅威となる存在には数光年先まで影響を及ぼす兵器である天体制圧用最終兵器ゼットンの使用も躊躇いがなく、過激を通り越して潔癖とも言える。
しかし、リピアはそんな光の星の掟を破り、同胞と敵対する事になっても『人間』と『外星人』の間に立つ事を選択。勝てない相手と分かっていながら、「やってみるだけだ」とゼットンに挑む。
電磁バリアで無力化されながらもスペシウム光線、ウルトラスラッシュを放ち続けるが、ゼットンの猛攻の前に敗北。大気圏に落下し、重傷を負ってしまう。
だが、意識を失っている間に先述のメモリからゼットンを倒す方法を滝が導き出す。しかしそれは、成功したとしてもリピア自身もゼットンと共に別次元の宇宙に飛ばされてしまうというものだった。
田村班長の反対を振り切り、必ず戻ることを浅見と約束し、人類と地球の未来のために最後の戦いに挑むリピア。
作戦は成功し、ゼットンを倒せたものの、発生したワームホールの重力に抵抗できず、別次元に飲み込まれてしまう。しかし、リピアの生きたいと願う気持ちを察知したゾーフィによって救出される。自らの命より神永の命を優先し、更にまだ見ぬ脅威に晒される地球を憂う等、地球への愛はゾーフィを認めさせる程にまで高まっていた。
その願いを叶えたゾーフィによってリピアは神永と分離し、その命を散らした。彼の命を与えられた神永は無事生還した。
そんなリピアの在り方を示す言葉はただ一つ。
余談
- 由来はおそらくヒメイワダレソウの別名リピア(リッピア)。繁殖力が非常に強く、既存の生態系に極めて重大な悪影響を及ぼす重点対策外来種とされる一方、その生命力から雑草避けにもなるグランドカバーで庭の守護者という二面性を持つ。花言葉は「絆」「誠実」「私を理解してください」。
- CVを担当した高橋一生氏は『シン・ゴジラ』にて安田龍彦役を演じただけでなく、ウルトラシリーズでは『ウルトラマンコスモス』にミツヤ役でゲスト出演したことがある他、『ウルトラQ dark fantasy』、『ウルトラゾーン』にも出演した経験がある。また、子役時代に『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に出演した経験もある。さらに、現在本編の方でウルトラマンの声優を務めている櫻井孝宏氏とは岸辺露伴を演じた繋がりがある。
- 戦闘中に「ヘアッ!」や「シュワッチ!」といった掛け声を一切発しない。掛け声が付けられないのは過去作のウルトラマンが客演した際にはしばしば見られた演出であるが、主役ウルトラマンにこういった措置が取られるのはかなり珍しく、他の例はせいぜい原語版のウルトラマンパワードくらいである。ただし、『シン・ウルトラファイト』では初代ウルトラマンと同じ掛け声を発している(『ウルトラファイト』のウルトラセブンは初代ウルトラマンの掛け声だったので、それを意識したものと思われる)。
- 初期の段階では体表のラインは青であり、エネルギーを消耗すると人類と一体化していない状態では紫、一体化した状態では赤く変色するという、カラータイマーの機能を全身で表現したものになる予定だった。しかし樋口監督から「青のウルトラマンはタイプチェンジ等ですでにメジャーになっている」という指摘を受け、緑になったという経緯がある。
- 昔の雑誌独自の設定では非戦闘員を意味するユニフォームとして緑色のウルトラマンが存在していた。
- その為、リピアは一時的とはいえウルトラシリーズで初となる本格的な緑色のウルトラマンとも言える(ウルトラマンの仲間である緑色の戦士や、緑色の鎧を纏って戦うウルトラマンはいる)。
- リピア以前のウルトラマンに緑色が存在しなかった理由はグリーンバックスクリーンと色が重なってしまうため。ウルトラマンサーガは当初は緑色を入れる予定だったが、前述の理由により没となった経緯がある。同様の理由でブルーバックスクリーンを使用していた頃は青いウルトラマンは存在できなかった。
- ちなみに、初代ウルトラマンも企画段階では宇宙をイメージした青いカラーリングだったが、背景の青空と被ってしまうため却下されたという経緯がある。
- スタジオカラーのTwitterによると、体色が神永との同化前が銀色なのは、検討用に作られた銀色の雛形を見た庵野が「これはこれでカッコいい!」と感じたため。
- 劇中ではこの名はゾーフィが神永(と融合したリピア)に最初に呼びかけた一回のみ登場する。以降はゾーフィ自身も地球での呼び方に倣って彼のことを「ウルトラマン」と呼び、リピアとは呼ばない。
- 逆に視聴者からは初代ウルトラマンや区分としてのウルトラマンと区別するため、ネタバレありの場では「リピア」と呼ばれることも多い。
- 歴代のウルトラヒーローは、地球人と融合することで新たな能力を獲得する、技の威力が増す戦士が多く、さらに活動制限のデメリットを回避できるなど多くの場合でメリットがあるパターンが多いが、リピアの場合は神永と融合したことで消耗が激しくなるというマイナスの描写が描かれた。
関連タグ
初代ウルトラマン:原典に当たるウルトラ戦士。リピアと同じように「ウルトラマンは神ではない」という考えの持ち主。
ウルトラセブン:TVシリーズの続編平成ウルトラセブンではリピアと同じく人間の素晴らしさや可能性を信じ、同胞と敵対する事になっても最後まで『人間』側に着く事を選んだ。
ウルトラマンジャック:地球に来た当初は透明だったが、人間と融合することで鮮明な姿となったウルトラ戦士。
ウルトラマン・ザ・ネクスト:人間と融合することで身体的な変化が現れた戦士繋がり。初代ウルトラマンをリビルドした作品繋がりでもある。この戦士も当初は銀色の姿だったが後に赤いラインの姿へと変化している。
ウルトラマンメビウス:正体がバレた後も、仲間たちと絆を育み共に戦った戦士繋がり。