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有機化合物の編集履歴

2022-08-02 18:18:26 バージョン

有機化合物

ゆうきかごうぶつ

有機化学において、研究や学習の対象となる化学物質。

概要

有機化学において研究や学習の対象となる物質。炭素を主体とする骨格でできている。我々の身の回りにはびこっており、この世から(生き物以外の)有機化合物が消えればまず生活ができないといっても過言ではない。そもそも、生き物自身が複雑な有機化合物の塊である。


自然界に存在する天然物と人工的に合成した物質(合成物)とに分ける分類の他、高校の化学では脂肪族化合物と芳香族化合物に分けて分類する学習方法がとられている。天然においては、生体に必要なビタミン、遺伝子を司る核酸物質、三大栄養素の炭水化物タンパク質脂肪などの有機化合物がある。一方、合成物はビニール袋でおなじみのポリエチレン(他にもあるが)、ペットボトルの原料のポリエチレンテレフタラート(通称PET)、発泡スチロールの主成分であるポリスチレンなどが挙げられる。また、合成樹脂や合成ゴムなどもこれらに該当する。なおこれらの用語については以降の見出しで順次解説するが、記載していないものについてはそれぞれの記事を参照してほしい。


有機化合物の分類

先に述べたように、天然物と合成物とに分ける方法と、脂肪族化合物と芳香族化合物に分ける方法とがある。前者は主に高分子化合物の記事で説明するため、ここでは後者の分類を紹介する。

脂肪族炭化水素は炭素が鎖のように連なった構造をしているものと、環状になったものとがあり、それぞれ単結合のみでできているもの(飽和炭化水素)、二重結合あるいは三重結合を持つもの(不飽和炭化水素)とがある。

一方、芳香族炭化水素はアズレンフランなどの一部の化合物を除き、ベンゼン環と呼ばれる環状の構造を持っており、脂肪族にはない特有の性質をもった化合物が多い。

また、これらに官能基と呼ばれる特定の性質を示す原子の集まり(原子団)がくっつく場合もある。官能基についてはリンク先を参照。

ここでは、高分子化合物分野を除く、高校までに学習する程度の、官能基がついた有機化合物もいくつか合わせて記載する。化学式については、数字は本来元素記号よりも小さく右側に添えるのだが、機種依存文字なので通常の大きさの数字で表している。


脂肪族炭化水素

物質名化学式主な使用用途備考・その他
メタンCH₄都市ガス・化学工業の重要な原料天然ガスの主成分。最も単純な炭化水素。
エタンC₂H₆化学工業の原料
プロパンC₃H₈プロパンガスなど液化石油ガス(LPG)の成分の1つ。
ブタンC₄H₁₀ガソリンの添加物液化石油ガス(LPG)の成分の1つ。異性体※1が存在
ペンタンC₅H₁₂寒地用ガソリンの添加物
ヘキサンC₆H₁₄有機溶媒
エチレンC₂H₄化学工業の重要な原料植物の成長ホルモン
アセチレンC₂H₂金属溶接燃焼時に高温になる
ブテンC₄H₈4つの異性体がある。シス-トランス異性体を持つ
シクロヘキサンC₆H₁₂有機溶媒

芳香族炭化水素

物質名化学式主な使用用途備考・その他
ベンゼンC₆H₆化学工業の重要な原料・有機溶媒発ガン性がある
トルエンC₇H₈シンナーの主成分
キシレンC₈H₁₀3つの異性体がある
ナフタレンC₁₀H₈防虫剤ベンゼン環が2つ繋がった形をしている
アズレンC₁₀H₈7員環と5員環が合わさった珍しい芳香族化合物

ハロゲン化合物

ハロゲン(フッ素塩素臭素ヨウ素)を含んだ有機化合物。特定のグループ名がないため、便宜上の名称。

物質名化学式(示成式)主な使用用途備考・その他
クロロホルムCHCl₃有機溶媒麻酔性がある
テトラクロロメタンCCl₄(昔)ドライクリーニングの溶剤などオゾン層破壊物質の1つで温室効果ガスでもある
パラジクロロベンゼンC₆H₄Cl₂防虫剤消臭剤特異臭がする
フロン※2冷媒オゾン層破壊物質
ハロン※2フロンの代替物質一部フロン類を含む。フロンの記事にて解説

  • 官能基のある有機化合物

アルコール

物質名化学式(示性式)主な使用用途備考・その他
メタノールCH₃OH有機溶媒・燃料体内に摂取すると失明する恐れ
エタノールC₂H₅OHお酒の主成分リンク先の記事を参照
ブタノールC₄H₁₀O有機溶媒4つの異性体がある
プロパノールCH₃CH₂CH₂OH有機溶媒2つの異性体がある
エチレングリコールOHCH₂CH₂OH冷却水内の不凍液の主成分
グリセリンC₃H₅(OH)₃口内洗浄剤(モンダミンなど)

フェノール

物質名化学式(示性式)主な使用用途備考・その他
フェノールC₆H₅OH合成樹脂の原料弱酸性を示す
クレゾールC₆H₄(OH)CH₃殺菌用消毒剤4つの異性体がある
ヒドロキノンC₆H₄(OH)₂ゴムの酸化防止剤2つのヒドロキシ基はパラ位
フェノールフタレインC₂₀H₁₄O₄酸塩基指示薬

エーテル

物質名化学式(示性式)主な使用用途備考・その他
ジエチルエーテルC₂H₅OC₂H₅有機溶媒単にエーテルといった場合に該当する化合物
ダイオキシン※2ゴミ(主に合成有機化合物)の焼却などにより発生
テトラヒドロフラン(THF)C₄H₈O有機溶媒環状のエーテル

カルボニル化合物

アルデヒド

物質名化学式(示性式)主な使用用途備考・その他
ホルムアルデヒドHCHO合成樹脂の原料の1つシックハウス症候群の原因物質とされる。水溶液はホルマリンと呼ばれる
アセトアルデヒドCH₃CHOエタノールの参加によって生成
バニリンC₆H₅(H₃CO)(OH)CHOバニラの香り成分

ケトン

物質名化学式(示性式)主な使用用途備考・その他
アセトンCH₃COCH₃有機溶媒・マニキュアの除光液など沸点が低く、気体になりやすい
シクロヘキサノンC₆H₁₀O
ベンゾキノンC₆H₄O₂重合防止剤2つの異性体がある
ショウノウ(樟脳)C₁₀H₁₆O医薬品・防虫剤・防腐剤樹木の精油成分

カルボン酸

物質名化学式(示成式)主な使用用途備考・その他
ギ酸HCOOH家畜の飼料の添加物など多くのアリが持つ物質
酢酸CH₃COOH食酢・溶媒など様々いわゆるお酢の主成分
酪酸C₃H₇COOH足の悪臭の原因物質の1つ
乳酸CH₃CH(OH)COOH化学合成の原料疲労物質の主成分。鏡像異性体を持つ
シュウ酸(COOH)₂ほうれん草の苦み成分
クエン酸(CH)₂COH(COOH)₃クエン酸回路(TCA回路)で有名
安息香酸C₆H₅COOHナトリウム塩が食品保存料芳香族カルボン酸
サリチル酸C₆H₄(OH)COOH医薬品の原料芳香族カルボン酸
リンゴ酸CH₂CH(OH)(COOH)₂自然界ではリンゴブドウなどの果物に多く含まれる

エステル

物質名化学式(示成式)主な使用用途備考・その他
酢酸エチルCH₃COOC₂H₅有機溶媒など酢酸とエタノールのエステル
サリチル酸メチルC₆H₄(OH)OCOCH₃消炎鎮痛剤サリチル酸の誘導体
アセチルサリチル酸C₆H₄(OCOCH₃)COOH解熱鎮痛薬(アスピリンサリチル酸の誘導体
ニトログリセリンC₃H₅(ONO₂)₃狭心症薬ダイナマイトの原料として有名

窒素含有化合物

物質名化学式(示成式)主な使用用途備考・その他
尿素CO(NO₂)₂肥料や尿素樹脂の原料尿の主成分
トリニトロトルエンC₆H₂(NO₂)₃CH₃ 爆薬トルエンの誘導体
ピクリン酸C₆H₂(NO₂)₃OH爆薬フェノールの誘導体
ニトロベンゼンC₆H₅NO₂化学工業の原料特異臭がする
アニリンC₆H₅NH₂化学合成の原料塩基性を示す
p-ヒドロキシアゾベンゼンC₆H₅NNC₆H₄OH橙赤色の染料ジアゾカップリングによる生成




生体物質およびその他の物質

高分子化合物およびこちらを参照。


※1 異性体とは、分子式は同じであるが、構造の違いによって異なる性質を示す物質同士を指す。詳しくはリンク先を参照。

※2 複数の物質の総称。


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有機化学復習


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