基礎データ
進化
タマンチュラ→ワナイダー(レベル15)
概要
『ポケモンSV』から初登場したむしポケモンで、本作における序盤虫のポジションに該当する。
糸玉のような進化前から、凧糸巻きのような姿へと変わった。目も前面1対がスコープのように大きくなりキリッとした白目になった他、顔の左右にも2対の目が張り出している。どことなく戦隊モノの悪役を思わせる顔つきで、スリムな体格も相まって虫というよりはロボットのような雰囲気。腹部がボビンのように糸が巻いて、脚先とお尻の先端に糸を繰り出す点がある。
下から顔を覗かないと分からないが、進化前同様クモの口元(鋏角と触肢)みたいなパーツの裏には小さな口が隠れている。
蜘蛛ポケモンでは初の8本脚ではあるが、普段は脚を2本ずつ束ねているため一見すると4本脚に見える。戦闘時には4本の前脚の先端から糸を繰り出し、これをあやとりのように展開して敵の攻撃をガードする。残る後脚4本で立つことになるため一見すると二足歩行タイプのようだが、歩行時は全ての脚を地につけて這い回る。この動きが妙にリアルで、虫嫌いなプレイヤーからはかなり怖いとの声もある。
隠密行動に特化しており、糸で木々や葉っぱ、天井などに音もなく張り付き獲物を仕留めることが可能。更に自身の巣にネバネバした高い粘着性を誇る糸を張り巡らせ、巣に入ってきた獲物を罠に嵌める。
ゲーム中では樹木に張り付いて待ち伏せする様子や、進化前から天敵だったストライクと縄張り争いをする様子が確認できる。
色違いはピンクとグレーの基調で、糸は鮮やかな赤。
モチーフ
2本ずつ束ねた8本脚に加えて正面の大きな目、突き出した左右の目、細い体型、前脚で展開する糸、隠密行動に特化した生態などから、モチーフはメダマグモと思われる。
このメダマグモはパルデア地方のモデルとなったスペインや日本には分布しないが、過去にスペイン帝国の植民地だった中南米には分布するクモの種類で、夜間に木や草の上から糸でぶら下がり、地上を通りかかった獲物に頭上から投網を被せて捕獲する変わった生態をもつ。ポケモンカードゲームでは、待ち伏せ中のメダマグモみたく、木から逆さまにぶら下がって糸を繰り出すワナイダーの姿が描かれている。
また、隠密行動に特化した人型の風貌から、特殊作戦(Special Operations)のミリタリー要素もモチーフに取り込んでいると思われる。正面と左右の目が暗視眼鏡、顔の緑色部分がガスマスク、胸部の造形がボディアーマーを彷彿とさせる。通常の色が迷彩で馴染みの緑と褐色であり、色違いの前脚から繰り出す赤い糸もレーザーに見立てる。
名前の由来はおそらく「罠」+「スパイダー」。また腹部のデザインから、糸巻き道具の「ワインダー」も掛けられていると思われる。
英語名「Spidops」はおそらく「Spider」+「Deinopis」(メダマグモ属の学名)で、上記のモチーフから「operations」(作戦)の略「ops」も入れると思われる。
ゲームでの特徴
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
60 | 79 | 92 | 52 | 86 | 35 | 404 |
タマンチュラからワナイダーへの進化レベルは15と、序盤虫らしく早い方。
しかしながら経験値テーブルが60万タイプ(低レベル帯のレベルアップ速度が非常に遅い)のためこの数値は額面通りには受け取れず、旅を始めてすぐの時期から手持ちに入れていると異様なまでにレベルが上がりづらい。
そうして思った以上に長い雌伏の時を過ごしていざ進化してみれば、合計種族値はわずか404。
これは9世代出身の最終進化ポケモンの中ではぶっちぎりの最下位であり、パルデア御三家の第二形態達や電気袋組にすら及ばない低さである。
具体的に言うと、特殊耐久以外はメタングの下位互換である。
むしタイプとして見ても、蜘蛛型ポケモンの先輩であるアリアドスよりは高いものの、あのパラセクトに僅かに届かないという有様。
近年の序盤虫ポケモンは合計種族値の貧弱さが改善傾向にあったことも、余計にその低ステータスを際立たせている。
配分もお世辞にも良いとは言えず、非常に鈍足で火力も高くない上、耐久も防御はそれなりだが低いHPのせいで結局は並程度しかない。
技範囲自体はそれなりに広い反面、威力100以上の技をギガインパクト以外覚えないため、アタッカーとして起用するには心許ないスペックである。
その一方で補助技はかなり豊富かつユニーク。ねばねばネットやどくびしを設置したり、物理アタッカーをタスキ+カウンターで返り討ちにした挙句後続におきみやげを押し付けたり、相手の積みアタッカーをともえなげで流したりと、できる芸当は意外と多彩。
鈍足でありながら、何気に先制技を3つ(フェイント、ふいうち、であいがしら)も覚えられる点も見逃せない。相手からすれば、先制技を嫌って交代を行おうものなら特性「はりこみ」で強化された物理技を受ける羽目になる。
ただ、悲しいことに低火力が災いして攻撃では「はりこみ」ありきなのが実情。前述の通り耐久は過信できず、すばやさも35しかないので、普通に補助技を使おうとすると先に倒されがち。トリパに組み込んで相手の撹乱を狙うなどの工夫が望ましい。
専用技のスレッドトラップは相手の攻撃を守りながら直接攻撃を仕掛けてきた相手のすばやさを下げるという、キングシールドやブロッキングに通ずる守備技。
物理アタッカーを誘ってこの技を決められればおきみやげなどが打ちやすくなるが、非接触技で弱点を突いて仕留めようとしてくるいわタイプには注意が必要。
人気
可愛かったタマンチュラから蜘蛛型の怪人チックな外見に進化したことから、多くのユーザーが悲鳴を上げた。一方でその見た目と貧弱過ぎる性能から妙な人気が出ており、ネタにされている。
実際歴代の蜘蛛型ポケモンがデザイン面で高い評価を受けていた事や、同期のエクスレッグが正統派なビジュアルをしていた事もあり、結果的にネタ方面での扱いがワナイダーに向いてしまったというのもある。
主に東映版スパイダーマン絡みのネタが多い。特に「地獄から来た男、スパイダーマン!」の名乗りを改変した物が多く、「肯定的な意見でも『言う程悪くない』が関の山な男」や「やれる事は多いけど種族値の低さで泣きを見る男」だとか散々に弄られている。
ただ、その一方で場所を問わずイジられすぎて逆に親しみを覚えるユーザーも出て来ており、結果的にカルト的な人気を生む要因となった。
…とは言えその人気故に使う人がいたせいか性能自体は同期のコイツ(の♂)やコイツよりは悪くないという評価になっている。ただ、あまりにも有名になり過ぎてしまったが故に、使用率150位圏外常連のポケモンでありながら戦法がバレてしまうという「何してくるか分からない」というマイナーポケモン特有の強みも消え失せてしまっている(元より出来る事が限られているので尚更)。
そのためか人によってはワナイダー=変化技の印象を逆手に取りフルアタにしている人もいたり…。
余談
同期エクスレッグのモデルとされる仮面ライダー及び仮面ライダーブラックが最初に戦った敵は、どちらも蜘蛛の怪人である。
同期でアメコミ風ヒーローとアメコミ風ヴィランが登場しているため、こちらは日本のヒーローと敵役モチーフで作られた面もあるかもしれない。
使用トレーナー
関連イラスト
関連タグ
0917.タマンチュラ→0918.ワナイダー→0919.マメバッタ