「アークの意志のままに.....。」
演:山口大地
変身する仮面ライダー
概要
迅からはお兄ちゃんと認識されている。
活躍
不破に滅亡迅雷.netのスパイ疑惑を掛けられたことにより、それを晴らす為に或人らと行動し、滅亡迅雷.netのアジトを突き止めた雷電であったが、実はその行動自体が滅の罠であった。
迅「お帰り、雷(いかづち)!」
そこに滅の指示を受けた迅が現れ、自分が滅亡迅雷.netの一員「雷」であり、密かに仕込まれたプログラムにより無意識のうちに衛星ゼアがキャッチしたシンギュラリティに到達したヒューマギアの情報を横流しにしていたことが明かされる。
さらに耐えたように見えたハッキングも、実はプログライズキーを奪うべく或人らをアジトにおびき寄せるプログラムを仕込んでいたに過ぎず、全ては計画通りだった。
雷電自身は(おそらく12年前の“デイブレイク”時に)自分が既に滅亡迅雷.netの一員と化していたという自覚は全く無かったが、本人の素知らぬ所で密かに衛星ゼアから得た情報を組織に提供するプログラミングが何者かによって施されており、無自覚ながらマギア化していたヒューマギアともいえる(その証拠に普段は正常な青色をしているが、迅にプログライズキーを奪う為に或人をアジトへ誘き出すプログラムを新たにインストールされ、そのプログラムに従い2人をアジトへと案内した時に赤色へと変化している)。
明かされた秘密に仕込まれたプログラムが反応し苦しむ中、「僕のお兄ちゃんになってよ」と迅に無理矢理滅亡迅雷フォースライザーを取り付けられたことで
「うわぁあああああああああああああああっ!......(滅亡迅雷netに接続).....。」
抵抗する間もなく暴走状態に陥ってしまい、滅亡迅雷.netの一員である雷として覚醒する事となってしまった。
そして迅から渡されたドードーゼツメライズキーで仮面ライダー雷に変身。
ゼロワンやバルカンを圧倒し、彼等のプログライズキーを奪ってアークの知能を復活させることに成功するが、アサルトウルフに変身を遂げたバルカンに逆に圧倒され破壊された。
しかし、大元のデータはゼアに保存されており、或人が飛電を去る際にヒューマギアプログライズキーに移していた。
その後、第34話にて滅亡迅雷復活に向けて動き出した滅が、ミドリを人質とした取引で或人から奪取。戦闘中に取り落とし一度は奪回されるが、亡の復活により自身の任務を完了した迅が乱入、キーを奪取した。
第35話ラスト、ヒューマギアプログライズキーからダウンロードされたデータを(おそらくアークに作らせたか、或人達がやっていたように不法投棄された物を回収した)第4世代型ヒューマギアの素体に移され復活。
滅「よくぞ蘇った、雷……」
そして雷電、いや雷(いかづち)は口角を上げながら、改めてアークに忠誠を誓う事を宣言。かくして滅亡迅雷はようやく、第35話目にして初の揃い踏みとなった。
第35.5話のアズのシンギュラリティテストでも、復活直前と変わらず滅亡迅雷の雷としてアークへの忠誠を主張するも、宇宙野郎雷電として育んでいた昴の兄としての想いが自覚しないまま残っていた事を突き付けられ動揺。
そこにアズの起動した謎のキーの「マリスラーニングアビリティ」によりシンギュラリティのデータを回収された。第36話でもアークの力に巻き込まれモジュールを損傷した亡を気遣うなど兄貴分的な姿を見せた。
第37話ではアークの指示により、ZAIA傘下の飛電インテリジェンスに亡と共に潜入し戦闘データの入ったドードーゼツメライズキーを奪還。
天津に宣戦布告した後にアーク等と共に、ZAIAと結託したAIMSの部隊と交戦し、見事勝利を収めて帰還した。
第38話では、アークを案内する形で補佐していたが、飛電インテリジェンス敷地内のロケットを見た事で脳裏に弟との記憶が浮かび…
「なんだ、このメモリー(記憶)は……?」
そしてその記憶に動揺しつつもアジトへと退却するが、アークがゼロワンやサウザーに敗れた後、戻った先でも記憶のフラッシュバックは現れ続け、更には混乱しながらもアジトから立ち去る姿を見るも、何故かアークは気にも止めない素振りを見せていた。
そのしばらく後、突如として飛電製作所に現れる。シンギュラリティに達したと語りつつ或人に宇宙野郎雷電だったころの接し方そのものを見せ、「昔の兄貴だ」と或人に確信させるに至る。彼に促され、アークの破壊に向かう或人たちだったが…
アーク「お前の心をつかむ術は知っている…」
なんと、一連の行動はアークが或人をおびき出すべく雷自身も知らぬ間に彼を操った結果だった。すべては或人のゼロワンドライバーを利用してゼアを乗っ取るための布石に過ぎなかったのだ。
結果としてまた自身の意思で行動していたつもりが単に利用されていただけの自覚無き駒に過ぎなかったのである。
そして雷の機体も直後にアークゼロの器として乗っ取られてしまい、ゼロワンとの戦闘の末にゼロワンドライバーを奪い取り、それを利用して雷の体でアークがゼアを乗っ取る。
そして変身を解除し、アークでもなく雷電でもなく、雷は「ゼアは滅びた!!」と喜々として言葉を発していたのであった。
それからしばらくはアークゼロの器として使われていたが、第40話でアークゼロがゼロツーに敗北した際、アークから引きはがされたことで自我を取り戻す。
それ以降アークが単独行動を始めたことで指令が来なくなり、見捨てられたのかと口にしつつ誰よりも怒りを募らせ荒れた様子を見せた。
その後、説得に来た迅を退けた滅がどこかに去ると、自身も亡とも別れて単独行動を開始。その中で、アークが「人間もろともヒューマギアを根絶する」という結論を導き出したのを受け、とうとう自らの意思でアークに反旗を翻すことを決断。
「宇宙の大海原がっ!!」
昴「僕達を待ってる....っ、兄さんっ!?」
かつての居場所であった飛電インテリジェンスに現れると、昴の手引きを受けてアークが宿る通信衛星ゼアに接触し、「アークの意志」たるアークゼロが地上で戦っている時に二人で宇宙に赴き、ゼロツーに敗北したアークがゼアに戻った隙をついてブレイキングマンモスを強奪。
「あばよ…アーク!!」
そのまま砲撃を浴びせて通信衛星を破壊した。
かくして、幾度となく自らの意志に反して手駒としてアークに弄ばれ続けた彼は、その忌まわしき「役目」をついに脱し、自らの手でアークに引導を渡した。
その後は滅のヒューマギアの安息を目指す聖戦やアークの再来などの出来事が起こるものの、迅や亡と共に滅亡迅雷側には付かずに人類との共存寄りの中立という立ち位置に収まっている(そして、ちゃっかりと宇宙飛行士として復帰したようである)。
第44話では滅を説得するために滅亡迅雷のアジトに戻ったが、「お前の弟が人間に滅ぼされたら、お前はどうする?」と問われて何も言い返せなかった。
全てが終えた後は飛電インテリジェンスへ戻り、ゼアに代わる新たな通信衛星の打ち上げに意欲を燃やしていた。
考察
アークとの関係
第一世代のヒューマギアは(のちの)デイブレイクタウンで製造ないし試験運用を行っていた為、デイブレイクを生き残った者として出てきたのは、どこかで休眠状態だったワズやタウンの外に居たであろう博士ボットなど、一部しか登場していないが、生き延びた個体も存在する事が明らかとなっている。
第25話によれば、滅亡迅雷は『(計画に必要な役割を割り振る上で)優れたヒューマギア』として選ばれたため、劇中の役割は『衛星アークの打ち上げが失敗した』事に起因する予定変更だと考えられる。
滅は父親型、亡はエンジニア型、迅は滅の息子である事以外は謎に包まれたまま本編を終えたが、雷だけは出自の関係により、本編中で全貌が明らかとなった上、他のメンバーがある意味、適性が在れば別の存在とすり替えられるポジションに居るのに対し、雷こと宇宙野郎雷電だけは、『真っ先に確保しなければならないヒューマギア』である事が示唆された。
洗脳された雷電は「シンギュラリティに到達したヒューマギアの検知」という役割を与えられたが、これはただ単に「ヒューマギアの検知」だけならば弟の昴もしくは他の衛星ゼア関連スタッフでも技術的に問題無い。
ではどうして雷電だったのか。それは14話で一気に語られた。
- 『宇宙野郎雷電は12年前に打ち上げられなかった衛星を管理するヒューマギア』
- 『宇宙野郎昴は現在の衛星を管理するヒューマギア』
- 『先任者である雷電は後任者である昴を教育する立場』
であると言う会話から、『宇宙野郎雷電は本来、通信衛星アークの宇宙空間での管理を行うヒューマギアだが、打ち上げが失敗した事が起因となり、今は後輩の指導と新通信衛星ゼアの補佐官をやっている』事が判明。
《通信衛星アーク》が無事に打ち上げられた場合、雷電は本来の使命、『通信衛星アークの宇宙空間での管理』を行う為に宇宙に出立。となると彼はアーク本体の維持や点検を担当する、人間でいう処の専属医と言うべき立場であり、地上の整備施設から遠ざかっているアークにとって、宇宙空間での機能維持に絶対に必要な存在となる。(衛星ゼアに昴と雷電が常在している事から、恐らくだが、ブレイキングマンモスに該当するアークの後部ユニットに生活空間が存在すると思われる)
なので、たとえ勤務地を変えようが、彼は『通信衛星アークの管理とダイレクト通信を行う管理責任者権限』を有している=『アークと非常に相性が良い唯一無二の存在』である事が明らかとなった。
第35.5話のアズはシンギュラリティテストで雷のシンギュラリティポイントが『弟』であると判明したが、ただ単に『弟』とだけしか言っていない。
アークと雷電は対になる『衛星と管理官』として作成。互いに電脳面での常時リンクを可能とする間柄は精神(プログラム)的パートナーであり、機体の規格は違えど『兄弟』であると言って過言では無く、アークはデイブレイクが発生した年に通信衛星として完成を見ている事から、アークも『弟』である可能性は存在する。
ついでに言えば、雷の化学現象の中に『アーク放電』という物がある。有名どころでは『アイアンマン』のアークリアクターなど。
雷電が雷の自然現象の事なので、二人は『雷の名を持つ』という共通点がある。
アーク復活の為にプログライズキーを集めた行為は、ゼアの管理官という地位が必要ならば、昴をハッキング・変身させたとしても技術としては可能。だが、昴は『通信衛星アークの管理責任者権限』を持っていない為、『シンギュラリティに到達したヒューマギアの検知』+『通信衛星ゼアの管理責任者権限』+『通信衛星アークの管理責任者権限』からなるコンボが出来るのは雷電のみ。
本編開始まで12年の月日がたっているが、滅・迅・亡がそれぞれ暗躍していたのに対し、雷は決起する日まで飛電の庇護下に置かせて待機=保護させていたという見方の方が近く、これだけでも別格の待遇を受けている。
宇宙野郎雷電にとって昴は『果たす事の出来なかった自分の使命(夢)を託す相手』。その夢であるアークを守るのが雷の行動原理であり、司令塔である滅とは別ベクトルでアークを信望している。
「これからはお前の時代だ」と弟の独り立ちを応援している雷電の姿は『アークを失った悲しみの裏返し』で、雷が「ゼアは滅びた!!」と喜々としたのはアークへの思いが歪んだ形で出て来た物であるととれるなど、彼のバックストーリーは宇宙のブラックホール並みに途轍もなく重い。
二人の行動について、アーク側の行動による関連を示す物としては、①劇中で他のメンバーが自己の意思、外部からの説得等で洗脳状態が比較的解けやすかったにもかかわらず、雷だけは外部からの(それも破壊間際の攻撃を行った上で)強制解除が無ければ憑依が解けない程に強固。➁アーク自身がゼロワン達を欺く為に、深層意識の状態から遠隔操作が出来る同調性。③ゼアを乗っ取ったアークが宇宙空間に対する防衛を一切行わずに雷・昴の攻撃を受けたのは、『人工衛星アークの管理責任者として作られた雷電が衛星を破壊する行動を取らない』と言う一種の信頼があった為に予測しなかったとも判断できる点。
「お前の心をつかむ術は知っている…」は、見方によってはゼロワンでは無く雷に対してのセリフにも聞こえる。そしてアークの「雷の役目は終わる」言葉も、落ち着いて考えると、単に滅亡迅雷の雷としての役目を終わらせて、元の雷電に戻る=これ以上戦いに関わらせたくないと翻訳が可能。初見では誰も解らないが。
雷電=雷側は、①昴が『兄弟二人で宇宙に行く』と発言した際に『俺達じゃない、お前が一人で宇宙に出る』と自分の消失前提で独り立ちを応援している→アークとの決別を覚悟した際に『俺達が宇宙に出る!』と明確な心情変化がある。➁アークの憑依が解けた状態で「ゼアは滅びた!!」と歓喜した。③ゼア内部のアーク本体を破壊する際に別れを告げた。
リアルな人工衛星も、『地上に何らかの被害が及ぶ可能性』を考慮して、自爆・自壊等のマニュアルが存在する。
例えば、人工衛星はやぶさ等の探査衛星は地球帰還時に、採取ボックス以外は大気圏で燃え尽きる事を前提として設計。2021年にはロシアが衛星破壊ミサイルによって物理的に破壊。SF災害映画『ジオストーム』でも、遠隔操作による衛星の自爆シークエンスが発動。
これらの事から、アークとゼア、そしてウィアにも何らかの破壊マニュアルが存在しており、それを実際に行うのは管理センター内の人間&ヒューマギアか現地のスタッフ。手順にもよるが、衛星管理官かそれに準ずる存在が最終的な破壊行動を取る事が当初から決定されている。
昴が宇宙に出立したのは機能不全となった元ゼアの破壊、雷電が出立したのは再起不能となったアークの破壊。
どちらも衛星を守る為に作られた管理官としての最終任務であり、昴の方はまだゼア本体が無事であるが、雷電にとって、12年に渡った通信衛星アークの管理官として最後の使命である。
雷は『ヒューマギア殲滅を宣言したアークから弟の昴を守る為』に覚醒し、衛星ゼアの中に居るアークを打ち落とした。この際に言った、
「あばよ…アーク!!」
とは、果たせなかった使命(夢)の終わりを意味する物であり、宇宙野郎雷電の本当の半身である通信衛星アークへの最後の愛情である。
滅亡迅雷の中で最後までシンギュラリティに達していなかった雷は、この場面をもってシンギュラリティに達したと公式が言っている。
シンギュラリティに達するにはポイントの存在が必要不可欠である為、この時の雷=雷電は、『通信衛星アークの維持を優先する為、不必要な要素は全て切り捨てる』か『正常な通信衛星としての稼働が不可能となったアークを、管理責任者権限を持って破棄する』という、どちらの弟を取るのか決断しなければならない二択に追い詰められた状況である。だから重い。
なお、アークの専属秘書であるアズは上記の流れから、雷の直接の後輩にあたり、改変された歴史にアズが居たのなら、雷とツートップを組んでいた可能性がある。(例えるなら、アズが執事で雷が家令)。映画の時間軸で雷と亡は出てこなかったが、雷は宇宙で仕事をしているので登場しなかったと説明はできる。
本編後の活躍
以下、本編後のネタバレ注意
- 『仮面ライダーゼロワン ファイナルステージ』
「さぁ…雷落としてやるぜ!」
本編後と劇場版の間に起こった出来事
仮面ライダー達への復讐心が芽生えたアズが変身したアークゼロワンが復活させた暗殺ちゃんに亡と共に呼び出さて洗脳されてしまい、「暗殺亡雷.net」なる組織の構成員にされてしまう。洗脳後は滅と迅を襲撃し、一人逃げた迅を追う。その後迅を追撃し、アークゼロの必殺技を喰らいそうになった迅を滅が庇う。そこで、滅と迅が「夢」について語り合う事によって、洗脳が解け、本編では叶わなかった「滅亡迅雷」の仮面ライダーの集結により、暗殺ちゃんを協力して撃破する。
滅「誓え…例え離れていようと、ヒューマギアの安息の為に、我々滅亡迅雷.netは戦い続けることを…」
全てが終わった後は、亡と共に自分の居場所に戻るが、この時に4人で誓いの拳を交わした。
- 『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』
今回は特殊ガスの影響で人間の行動が制限されてしまうためか、変身せずにサポートに専念する。服装は宇宙野郎雷電としてのツナギ姿に戻っており(或人にも「兄貴」と呼ばれていたので、飛電に復職したのだろう)、ライズホッパーを呼び出した或人にトラックで運んで持ってくる。曰く「呼ばれる10分前にはゼアから通信が来ていた」との事。
余談
- 演者の山口大地氏は仮面ライダーTVシリーズには初出演となるが、他媒体では前作のスピンオフ作品『RIDER TIME 龍騎』にて仮面ライダーベルデの変身者である木村を演じていた。同じ演者で別のライダーという事例は割とよくあることだが、同じ年に立て続けに2人のライダー変身者を演じるような事例はほとんどなく大変珍しい。
- 1話限りの登場とはいえ、ゲストのヒューマギアが仮面ライダーに変身するだけでなく物語の根幹を担う装置を起動するという破格の待遇を受けており、このヒューマギアも物語の超重要人物だったと言える。その為、仮面ライダー雷のデザインや演者の山口氏の熱演も相まって1話のみの登場を惜しむ声も多く、再登場が期待されていた(少なくとも滅亡迅雷の一角なので何かしらのフォローはあると考えられていた)。
- その後第34話でのヒューマギアプログライズキーの奪還により、翌話にて復活した。
- 演じる山口氏は他の滅亡迅雷のメンバーのように黒い衣装を着たかったと述べており(滅亡迅雷bookより)、復活に伴い黒い衣装に新調したことを喜んでいる。
- 因みに靴には明朝体でそれぞれ靴の外側に「滅亡迅雷雷」とデザインされており、もう一つの雷は「雷(いかづち)の衣装」なだけあってどの文字よりも大きめに書かれている。
- なお、右腕に付いてるオレンジの紐の装飾は「変身ポーズが映えるようにする」為に付けたとの事。
- 第35話の終盤で雷が復活、遂に滅亡迅雷.netの幹部が揃い踏みした事もあり、次週の話に期待した視聴者も多かったが、COVID-19の影響で総集編を3回に分けて放送される事が次回予告と公式のアナウンスで判明するや否や、悲しみに暮れる声が続出した。
- 総集編を挟んだ後の第37話で久しぶりの変身をするものの、アークゼロの変身エフェクトで殆ど見えなかった。