飛電ゼロワンドライバー
ひでんぜろわんどらいばー
仮面ライダーゼロワンの変身ベルト。作中では「ゼロワンドライバー」と呼ばれる。
人間の手でヒューマギアをコントロールするための「新時代セキュリティシステム」が組み込まれている。
飛電是之助の告別式当日、通信衛星ゼアからの指令を受け飛電インテリジェンス社長室ラボの多次元プリンターでライジングホッパープログライズキーと共に3Dプリントされ、イズを介して2代目社長に任命された飛電或人に託された。
長く続く「仮面ライダーシリーズ」の中でも、作中で変身ベルトの製造工程が描かれたのはこれが初めてである(一応ファイズ等でも製作途中の描写があったが、既に完成品に近い状態まで仕上がっていた)。
「オーソライザー」によりプログライズキーをスキャンすることでオーソライズ(認証)する機能を持ち、キーを診断して目立った外傷、故障等が無い場合はプログライズキーを認証、ロックを解除。それにスキャン、展開したプログライズキーを差し込むことでキーが宿す「ライダモデル」とゼロワンシステムが反応。
生物の固有能力と人体の相互作用を最大化する形態に変換する「プログライズ」を実行し、「ライダモデル」やゼロワンのアンダースーツを量子成形機「ビームエクイッパー」により照射成形することでゼロワンへの変身を行う。
装着と同時にベルトの背面側にある「バックレイドーム」によって装着者の脳は衛星ゼアと無線接続され、人工知能に匹敵する演算速度を持つヒューマンマシンインタフェースが構築される。
要するに、人工知能と同等の圧倒的な思考速度が得られる。
ドライバーやプログライズキーのチュートリアルが用意されており、思考速度の向上と合わせることで未経験者でもその場で使用法を習得できる親切設計である。第1話の初変身ではベローサマギアの攻撃が当たるまでの5秒間でチュートリアルを完了し、即座に戦闘に移行している。
両側の腰にはプログライズホルダーが付いており、2箇所にプログライズキーを固定できる(これはマギアやレイダーを除いた他のベルトにも同じく装着されている)。
装填されたプログライズキーを再度押し込む事で必殺技を発動でき、必殺技名は「~インパクト」で統一される。
さらに別のプログライズキーをスキャンすることで必殺技を「ビットライズ」「バイトライズ」「キロライズ」「メガライズ」「ギガライズ」「テラライズ」の最大6段階まで強化することが出来る。この機能は第13話でシャイニングホッパーが使用したのが唯一だが、設定上は他の形態でも使用可能と思われる。
また、同時に開発されたライジングホッパープログライズキーが保存しているバッタのライダモデルが中枢部の「プログライズリアクター」に保存されており、ライジングホッパーを介さず他の派生形態に変身した場合でもバックアップアーマーが展開される。
なお、本編では或人がしっかりプログライズキーをスキャンすることでオーソライズしていたが、このベルトのように一瞬でもライズキーがオーソライザーの前を通過するだけでもしっかり診断、認証する優れモノであることがVシネにて発覚した。
第30話まで、使用権限があるのは「飛電インテリジェンスの社長のみ」とされており、ZAIAエンタープライズによって会社を追われた或人がドライバーを装着しても、認証機能は働かなかった。
しかしイズが新会社「飛電製作所」を設立し、ゼアが「飛電製作所の社長」となった或人個人をゼロワンとして改めて認めたため、再び変身可能になった。
このことから、ゼロワンドライバーの使用権限は「飛電是之助が取得していたヒューマギアに関する特許を委譲されている人物が、ヒューマギアにまつわる会社の社長に就任している」状況下で初めて与えられるものであることが示唆されている。
早い話、単に飛電インテリジェンスの社長になっただけでは、ゼロワンの力はおろか衛星ゼアすら完全な支配下に置けない事であり、その事を理解した天津は非常に動揺した様子を見せていた。
だが変身資格を持たずとも衛星ゼアに接続するバックドアとしては機能してしまうらしく、39話にて何度もゼロワンのデータを吸収して来たサウザンドジャッカーからデータを取り込みより深くゼアをラーニングしたアークにより奪われ、ゼアへのアクセスの足掛かりとされてしまった。
こうして、物語終盤に変身ベルトが失われる前代未聞の出来事が起きてしまったのだが……
尚、『ゼロワン』シリーズでは一貫して或人が使用し続けたが、他の媒体では後述する複製品を含め他の人物も別のライダーやフォームへの変身に用いている。
不破が使用出来たのは「飛電是之助が取得していたヒューマギアに関する特許を委譲されている人物が、ヒューマギアにまつわる会社の社長に就任している」使用条件を、「指定は社長である事だけが条件であって、それが本社社長なのか、子会社社長かの指定が無かった」と条件の解釈を分析した結果、「飛電是之助が取得していたヒューマギアに関する特許を受け継いでいる飛電或人が、ヒューマギアにまつわる会社の社長に就任している人に特定の手順を踏めば委託できる」裏技が発動できた為。
アークに奪われたことで完全に或人の手を離れてしまったゼロワンドライバーだが、最終話において或人がゼアを通じて対話した飛電其雄から受け取ったデータを基に、ゼロツープログライズキー及び飛電ゼロツードライバーから新たなゼロワンドライバーが製作された。
最終決戦において或人はこの新たなゼロワンドライバーを使用し、新たな形態のゼロワンへと変身。仮面ライダー滅・アークスコーピオンを撃破し、戦いに終止符を打ったのであった。
しかしオリジナルのドライバーがアークゼロに奪われた結果、少なくとも一品物であるアークドライバーの代わりとしてゼロツープログライズキー製以外のモノも(恐らくは)アズの手でいくつか複製された模様(オリジナルがどうなったのかは不明)。このため、終盤以降は複製したゼロワンドライバーを元に新たなベルトを作り出す流れが確立しているようだ(そのため、これらゼロワンドライバーから変化したベルトは、ゼロワンドライバーとしての名残か音声がゼロワンドライバーに準じている)。
ライダーシステム的には「あくまでゼロワンの技術を流用した違法複製』状態のため、『正規使用者で無い為、ゼア本機とのリンクが開かない」などのセーフティーがかかっている。
『ファイナルステージ』ではアズが仮面ライダーアークゼロワンに変身する際に、複製品をそのまま用いた。
いずれもゼロワンドライバーに追加ユニットを付けたような形状だが、ベースがそれであるだけでドライバーとしては別個体である。
44話ではアズから滅の手に与えられたゼロワンドライバーがアークスコーピオンプログライズキーの力で変貌させられた。
最終回(時系列では『ファイナルステージ』の後となっている)にてアズはキーと共にエスに提供し、エスはエデンゼツメライズキーの力で変貌させたそれを使って仮面ライダーエデンに変身した。
Vシネマ『ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷』でアズがリオン=アークランドに提供したゼロワンドライバー。
しかし、リオンがとある目的のために使用した結果変貌した。
スピンオフ『仮面ライダーアウトサイダーズ』「創世の女神と第三のシンギュラリティ」にて仮面ライダーゼロスリーが用いるベルト。
DXトイにてラインナップ。2019年8月31日発売。
ライジングホッパープログライズキーが同梱し、後にプログライズホルダーが同梱されたセットも販売。
また、一般販売前にプレミアムバンダイにて先行抽選販売が行われた。
この他、2024年にはゼロスリードライバーユニット発売に合わせてかSUPER BEST版としてパッケージリニューアルの上で一般販売で再販されている。
プログライズキーを認証せずに装填すると「エラーライズ」と鳴り変身が行えない。
必ず認証→装填の2段階認証(使用権限の点では実質3段階認証ともいえる)の過程を踏まなければ変身できないため、放送直前に問題を起こした7payが比較され「(7payよりずっと)セキュリティーが高い」とネタにされていた。
他のドライバーと違い、劇中終盤まではワンオフの使用方法だったので一時期は「ショットライザーより拡張性が低い」等と称する人間もいたが、終盤以降は新たなドライバーユニットによって完全に別物のベルトとして遊べる他の変身ベルトには無かった特徴を得たことで現在は一転して「拡張性が高い」と評価されている。この部分が功を成したのか、近年の作品ではこのシステムがフォームチェンジや強化フォームの要素に用いられている。
プログライズホルダーはラッシングチータープログライズキーとセットでゼロワンドライバーと同時発売。
更に2023年、デザイアドライバーに続き第2弾としてハイスペックベルト帯が登場。ベルト帯とプログライズホルダーがCSMに準じた仕様となって発売される。メモリアルプログライズキーと合わせれば、再現度は非常に高くなる(と言うか、CSMと比較して足りないのが本体の塗装とBGM位でハイスペックベルト帯が出た時点でぶっちゃけCSMを出さなくても良いレベルのクオリティに仕上がる)。
先述のようにゼロワンドライバーは様々なドライバーの原型となっているため、全ベルト分揃えるのであれば5本必要となる。やはり多々買わなければ生き残れない…。とは言え、拘りさえ無ければ1本で5本分のドライバーとして遊べる上に、ホルダーに関しては他のベルトにも使い回せるため、ディティールアップの幅はかなり大きかったりする。
「ゼロワンドライバー」は特撮版キカイダー01が第1話から使用する必殺技であるが、この名称はヤマハが自社製ゴルフクラブの商品名として商標登録していた(現在は生産終了)ため、正式名称を「飛電ゼロワンドライバー」とすることで問題を回避している。
この名称に合わせたのか、本作の変身ベルトは「エイムズショットライザー」のように運用組織の名称が頭に付けられている。
ここ数年の傾向と異なり、本作では前述の使用権限もあってか、或人以外の使用者がTV本編には登場しなかった(本編外なら2人いる)上、複製品が別のベルトに変化して使用される珍しい形を取っている。
「ベルトに追加パーツをつけて強化する」という玩具展開自体は平成一期で見られたものだが、追加パーツにより別のベルトに変化するという展開は珍しい。
音声を担当しているメイナード・プラントとブレイズ・プラントは兄弟であり、石ノ森章太郎の故郷である宮城県在住である。ロックボーカリストらしいノリの良さや二人が同時に発声するなどの珍しい演出が発表当初から話題になった。なお二人はカナダ出身であり発音はカナダ英語である。
ソケットにはプログライズキーを装填したり押し込むと飛び出るピンがあったが、結局使用されるようなユニットが出ることはなかった。
何気に左右対称デザインのホルダーを腰の両側に装備しているのは極アームズ(ロックシードホルダー)以来である。
なお、劇場版「REAL×TIME」にて、或人が禁断の変身を実行し、変身によってその力を使用し、さらに外部からも自ら攻撃することで使用しているプログライズキーの破壊を試みてドライバーごとキーをぶん殴っているが、それでもキーには傷一つ着いていない…のだが、ドライバーにも傷一つ着いておらず、なんならそのすぐ後の変身にも使用されているという、歴代ライダーの変身ベルトで見ても恐ろしく強度があることが暗示されている(最も、映画の関係上仕方がないが…)。
世界を滅ぼす程のパワーで全力でぶん殴っても傷一つ着かないドライバーって一体…。
デザインコンセプト
デザイナーは三嘴翼氏。
PLEXの山下貴斗氏によると、ノーモチーフではあるものの、初期コンセプトは“キーを入れることで起動する近未来の虫眼鏡”で、プログライズキーに入っているデータ化した動物をベルトに入れて観察するというイメージでデザインされた。
また、変身と同時にシャッターが開いてバックル中央に円形のパーツが露出するなど、仮面ライダー1号のタイフーンを思わせる形状だが、これは仮面ライダー1号をはじめとした歴代ライダーへのオマージュも込められている為。
(出典:『フィギュア王No.276』(ワールドフォトプレス/2021年)におけるインタビュー記事『ゼロワン開発計画』の「閲覧コード001:A JUMP TO THE SKY TURNS TO A RIDERKICK」(P27)より)
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