「或人社長。どうやら、故障のようだ…であります。ゼロワンに関するデータが完全に消滅しちまった…でいらっしゃいます」
「一刻も早く、ゼロワンの今までの戦闘データをラーニングさせろ!…でござる」
演:鶴嶋乃愛
概要
『仮面ライダーゼロワン』に登場する赤目イズの正式名称。
TVに登場した「プレジデント・スペシャル PART.01」および同「PART.02」では公式から名を明かされる事がなかった為、一部のファンからは上記の仮称で呼ばれていた。
登場までの経緯
作品のOPにおいて一瞬だけ、イズに似ているが目とヒューマギアモジュールが赤く光るロングヘアのヒューマギアが登場しており、作品開始当初から「マギアになっているのではないか?」「イズはそのヒューマギアと何か関係があるのでは?」という疑惑が持ち上がっていた。
しかし、このロングヘアーのイズは(恐らく放送開始直前までは)登場予定が無かったらしく、演者の鶴嶋氏が「アークに操られた時か、或人に何かあった時にこうなるのでは」と推察するに留まっていた。
その後、新型コロナウイルスの影響で撮影がストップしたことにより、5月17日より急遽放送された総集編「プレジデント・スペシャルPART.01」に初登場。
後述する人物の項目にある様に怪しい言動が目立ち、「プレジデント・スペシャルPART.01」のラストシーンでは或人はアークの中に閉じ込められ、謎の仮面ライダーの影を見ることになった事からも、この時点でファンからは「このイズの正体はアークの意思そのものなのではないか?」、「アークがゼロワンをラーニングしようとしているのではないか?」と推察されていた。
人物
時系列は不明ながら(少なくとも冒頭で雷のデータが奪われたと説明されている為、第35話冒頭以降と思われる)、第35話の翌週に放映された特別編で、突如衛星ゼアの回廊にて或人の前に現れる。
回廊内ではノイズの入った映像ながら、長髪で赤い目と赤い発光色のモジュールになったイズの姿が見え隠れし、「ゼロワンのデータを失ってしまった」と不具合を訴える。
そのため、或人は、イズにゼロワンのデータをアップデートするためにゼロワンの戦いを振り返るが、ヒューマギアの通常の故障と違い、性格そのもの無邪気ながらもどこか狂気や悪意を感じさせる、小悪魔的な全く違うものになった。
口調もいつものイズとは大きく異なり、「~させろ。でございます」といった感じに安定しておらず、「メモリーにございませぇん」などとふざけたような態度を取ったり、或人のギャグに対して解説を行わないどころか酷評したり、さらにはツッコミを放棄するなど、最初は単なるバグのように感じられた対応も、物語が進むごとに或人へのタメ口から命令口調で話したり、悪意や滅亡迅雷.netについて嬉々として語るなどイズらしくない様子が垣間見えるようになった。
また、なぜか滅亡迅雷.netやZAIAエンタープライズに関わる情報はハッキリと覚えており、さらには或人すら知らなかった真実を語りだす、加えてゼロワンのデータを失ったと言っている割にはシャイニングホッパー以降のデータは必要ないと言うなど、明らかに矛盾したことを言い、その上で、迅の復活について知りたがったりと、或人からは不審がられた。
※ちなみに、アークの復活はシャイニングホッパーが完成した次の回である。
PART02でも引き続き登場し、今度は「ヒューマギア」をテーマにゼロワンのラーニングを行う事となり、垓が持ちかけた『お仕事5番勝負』について振り返っていた。
しかし、亡を利用しレイドライザーをばら撒かせた垓に対し、人間の悪意を利用した事ではなく、「アークを利用しやがって」と、通信衛星アークを利用したことそのものに憤怒したり、ビンゴと市森の戦いの裏で作られていたメタルクラスタホッパープログライズキーの事を知っている等、ますますイズらしくない言動が目立つようになった。
また、MCチェケラの事を「よく覚えている、ラップバトルは悪意を集めやすい」と語るなど、異常なまでに「人間の悪意」を理解している一方で、ヒューマギアの善意のことは全く知らず、そして或人の事を「愚かだなぁ、ヒューマギアを信じ過ぎて会社を奪われたって事だろ?」と、普段のイズならば絶対に口にしないであろう言動から、ついに或人に「ただの故障じゃない」と看破される。そして、ついにその正体を明かす。
正体
「今頃気づいた? 私は…『アークの使者』。ゼロワンの戦闘データはラーニングさせて貰った」
明かされたその正体は、ゼロワンのデータをラーニングする為に通信衛星アークが送り込んだ『アークの使者』。所謂彼女は「アークの化身」ともいえる存在。
「ゼロワンの戦闘データは、アークに渡す」としてゼロワンのラーニングを完了するが、或人には「善意が何かを理解できてないお前には、一番大切なこと(ヒューマギアと人間の絆)は絶対にラーニングできないからな」と言われてしまう。
しかし直後、アークの声が届き「滅亡迅雷.netのデータは揃った。これから何が起きるのか、楽しみに待っていろ」と或人に伝える。
高笑いの中そこにはアズの姿は消え、イズがいたのであった…。
人物相関図によればアークのハッキングによってゼロワンの情報を得たとされているが、作中で行われたのは衛星ゼアでの出来事だったため、イズの身体を使っていたのかイズをハッキングして得た情報をデータとして送り込んだのかまでは不明。
PART01でゼロワンのデータのうちシャイニングホッパー以前のもののみ欲しがったのは、これらがアーク復活前の出来事であり、自力でのデータ収集が不可能であるからだと思われる。
なお、公式では彼女について「ヒューマギア型の存在」と言及されており、下手をすると本質的にはヒューマギアですらない可能性が高い。
本編での活躍
- 第35.5話「ナニが滅亡迅雷を創ったのか?」
「秘密のア~ズちゃん♡」
滅亡迅雷.netの4人の前に謎のプログライズキーを携えて姿を現し、彼らが”生まれた意味"が彼女によって判明することになった。
そしてアークの地上進出の為、滅亡迅雷全員のシンギュラリティデータの収集を始める。
この時はプレジデント・スペシャルの時と違って口調はまともになり「アーク様の専属秘書」を自称した。ただし相変わらず敬語は使っておらず、より小悪魔的な言動が目立つようになった。また、アークのシミュレーション機能を利用して迅の前には或人の姿で現れた(もっとも、彼には「茶番」と見抜かれていた)。
そしてデータを粗方取り終えると、衛星アークの中に赴き、集めたデータを渡した。
このやり取りからアークとの関係がより明瞭になり、決して自身の利益の為に利用しているのではなく、心からアークに忠誠を誓っている様子が描写されていた。
- 第42話「ソコに悪意がある限り」
アーク本人たる仮面ライダーアークゼロが行動を開始してからは沈黙を守っていたが、その撃破後に本格的に行動を開始。
事前にアークワンプログライズキーを用いてアークを概念としてバックアップしており、その「器」を与える時を待ち望んでいた。
「感じる。あなたの心から、湧き上がる『悪意』を」
そして滅によってイズが破壊されたことで悪意に取りつかれた或人の前にイズの挙動と物腰で現れ、傷心状態である彼に付け込んで実質誘導する形でアークワンキーを渡すと仮面ライダーアークワンに変身させた。
この時、赤だった髪のメッシュがOP映像や総集編の時と同じくイズの緑色になっている(曰く、「或人好みの色に変えた」)。
「悲しまないで。私が傍にいるから…アーク様」
わざわざイズに「滅がアークに乗っ取られる」シミュレーションを見せて単独で誘き出したこと、アークワンプログライズキーを用意していたこと、イズが破壊された後に待ち構えていたかのように或人のもとに現れたことを考えると、最初から或人をアークワンにするために目をつけていた可能性が高い。
しかし、当の或人には「俺の秘書はお前じゃない!イズだけだっ!」と言われて突き放されており、そのためか今度は或人と戦う中で迅に庇われた滅に接触。
或人にした時と同じように扇動し飛電ゼロワンドライバーとアークスコーピオンプログライズキーを渡す。
「悪意は連鎖する」という台詞に合わせてアークのプログライズキーを量産しているようなシーンが流れた事から、どうやら彼女は悪意から生まれるアークの力を広める事が目的であるらしく、そのためなら陣営は問わないようだ。
そして、或人と滅の決戦の様子を電波ジャックして中継し、1人ほくそ笑む。
「悪意の連鎖によって無数のアーク様が生まれ、世界が滅亡する」
余談
神出鬼没だったり容姿が固定されている訳でもない事等から、本当の正体は今なお不明であり、そもそもヒューマギアなのか、実体があるのかどうかさえ怪しい(仮面ライダー図鑑でも、種族は「ヒューマギア」ではなく「ヒューマギア型の存在」としか記されていない)。
少なくとも、作中の描写からアークやイズと異なる独立した存在と考えられる。
正式名称が不明確だった時期にはファンからは上述の「赤目イズ」のほか「長髪イズ」「赤イズ」と呼ばれていた。公式サイトなどでは主に「長髪のイズ」と呼称されていた。
OP映像の姿はイズ同様、髪に緑のメッシュが入っているが、本編登場するにあたって赤いメッシュに変わっている。
普段はですます口調で敬語なイズがやや高めな声質でタメ語だったり語尾がござる等と言った普段のイズとは違う口調である為か、「これはこれで可愛い」と感じるファンも多い。演じる鶴嶋氏は「小悪魔ちゃんのイメージ」と称している。
また正体が判明して以降は「アズの性格はアークの趣味なんじゃないか」と言われたりもしていた。
目的は達成したもののイズのフリをしていた場面でも、アーク側に立った発言が多く怪しまれていた事から、演技力には疑問が残るところである。もっとも、第35.5話以降は口調がまともになっている為、初期の暗殺ちゃんと同様、ラーニングが足りなかったからと言う可能性はある。
尚、或人への憎しみに囚われた滅にも、ニッコニコでプログライズキーを渡した後に、或人から滅に乗り換えていた様子とこの考察から、一部では「イズが或人に一途なのに対し、アズは悪意に満ちた人間に擦り寄っては、プログライズキーを渡しては別の人間に乗り換えている」なんてネタもある。
名前の由来は「アークのイズ」でアズか。もしくは、「ノアズアーク」からとっているのかもしれない(ちなみに、何の偶然か演者の名前は鶴嶋乃愛である)。またイズやイズの先輩達の命名法則を鑑みるに、英語の前置詞「As」も含まれていると思われる。
不破役の岡田龍太郎氏からは「アナザーイズ」とも呼称されており、「略してアズか」と言うコメントもあった。
また二人の名前の頭文字である「Azu」と「Izu」を組み合わせると『AI(人工知能)』となる。
ファンからは「たとえ或人自身が倒される事を望んでも、アズが新しい人間に目を付けたら、別のアークワンが生まれてしまうのでは?」と考察されており、実際にアークスコーピオン、エデン、滅亡迅雷と次々とアーク製ライダーが生まれ続けている。
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ネタバレ注意
※ここからは最終回のネタバレです。閲覧注意!
滅と或人との戦いをアークの中から眺めていたところに、人工知能だけ復元された迅が現れる。
戸惑うアズに「あの2人なら悪意を乗り越えられる」と言い残し、迅は消え去る。
彼が言った通り、2人はアークの力を乗り越え、互いに滅ぼし合う事はなかった。
しかし...
アズ「大いなる悪意が生まれた時アーク様は再び蘇る。」
???「アーク?」
アズ「あなたの結論は?」
???「この世界を破壊し、楽園を創造する。」
終盤の黒幕ポジションでありながら倒される事も消える事もなく、ましてや改心もせずに生存という予想外な結末を迎えた。そして自身も...。この間に、一度は或人に倒されたのだが、復活の手段が断たれているにも拘らず、復活を遂げている為、実体はあっても本当にヒューマギアかどうかは益々怪しくなっている。
その上、謎の男に飛電ゼロワンドライバーと量産されたアークのプログライズキーを渡し、彼と結託する形で再びアークの意志を継ぐ仮面ライダーを作り出している。この時には既に、髪のメッシュの色が或人好みの色から元の赤に戻っている他、服装が怪しげな占い師のようなものに変化した。
しかしその男…エスが純粋な善意の上で行動していた事を知って早々に見限っていた。
次なるアークの意志を継ぐ仮面ライダーを作り出すべく、ZAIAのCEO…リオン=アークランドに接触。今度はレザー生地の服装に身を包み、これまでに比べると外見は落ち着いた印象を受ける。
衛星アークの名はリオンから取られていた事を知り、運命の人と言って擦り寄っていたが、彼に渡した筈のゼロワンドライバーが仮面ライダー滅亡迅雷の変身ツールに使われたことに不満をぶつける。その目的はソルドを売る為の必要悪を作るためだった。そしてその必要悪…仮面ライダー滅亡迅雷が生まれた事で、用済みとなった彼女の末路は、リオンの命令でソルドに射殺されるというものだった…
その後、機能停止した彼女はデイブレイクタウンに葬られ(この事について、パンフレットで迅役の中川氏は「アズは間違いなく敵なんですけど、ソルドと同じように、モノのように扱われたのが迅としても耐えられなかったんじゃないかと思っています」と語っている)、迅達はソルド解放へ動き出す…
しかし、解決していない問題が残っている。
と、言うのも一度は『ファイナルステージ』で或人に倒されても難無く復活したからである(本来ファイナルステージのストーリーは劇中の出来事には含ませない事の方が多いが、『ゼロワン』のみは劇中の出来事であるとしっかり明言されている)。実際に迷いを抱えた滅がアズが葬られた場所に戻った際には既に彼女の姿は無くなっており…。
彼女がアークの道具として動いていたのか、それともシンギュラリティに目覚めて自らの意思で動いていたのか…。或いはアークに続き、新しく生まれた人間の未来にとって危ない存在によって蘇ったのか…。そして彼女は本当に破壊されたか…。その答えが明かされるのはまた別の話になるだろう。
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