「危害を加えるつもりは無いよ。僕はカナン星から来たハービーって言うんだ。どうぞよろしく、バンドウ・ヤスノブ君」
「アースガロンは合図1つで僕の元へ駆けつける。後は君が仲間になってくれたら完璧さ! さぁ、僕と一緒に来なよ(着なよ)!」
DATA
概要
『ウルトラマンブレーザー』第6話「侵略のオーロラ」に登場したカナン星人の1人。
度重なる争いで壊滅状態に陥ったカナン星に代わって地球を手中に収めるべく、仲間のカナン星人ロビーと共に地球侵略及び、オーロラ光線による機械の反乱による人類抹殺を画策。その中でアースガロンの開発者の1人であるSKaRD隊員のバンドウ・ヤスノブと接触し、彼を仲間に引き入れようとする。
武器は、機械に宿る負の感情を具現化してコントロールするオーロラ光線を発射する光線銃(それにより、ヤスノブの家の近所のコインランドリーの乾燥機『クルル』に心が芽生えると同時に、アジトへのテレポート装置になった)。
『袖ヶ咲(そでがさき)風力発電所』の風車に偽装した宇宙船兼アジトを拠点としている。
人物像
感情表現が明瞭かつ一人称が「僕」なのも合わさり、全体的に幼い印象を与える。
地球侵略を謳いながらも、ハービー個人は地球の言語には強い興味を持っており、「一緒に来なよ!」と「服を着なよ!」を掛けたダジャレを披露するお茶目な一面を見せていた(ただし、反応はお察しの通りであり、ヤスノブからもかなりのガチトーンで「おもんな」とあしらわれた)。
また「ヤスノブが自分達の仲間になる」と楽観視し、カナン星人の民族衣装(金と黒のボーダーのセーター)を用意し着させようとする早とちりな一面や、洗脳したアースガロンの相性を考えてヤスノブをスカウトする辺り、仲間には相応の配慮をする見識はある模様。
しかし、ヤスノブが自らの誘いを断わるや一転、ヤスノブが構えた23式電磁拳銃を無力化し、オーロラ光線を照射したアースガロンを操作し破壊活動を実行するなど、本性は狡猾かつ冷酷な侵略者に他ならない。
また、ヤスノブに対し「機械にも心がある」と訴えながら、当のハービーはパフォーマンスで心を発露させたクルルを無視し放置したり、アジト内ではオーロラ光線の効果を消してある(実際、アジト内でヤスノブはハービーによって操られた23式電磁拳銃が再び使えるようになったことを確認している)など、実際は「心があろうがなかろうが所詮は機械」と割り切るような姿勢を見せている。
そもそも、機械が持つ負の感情のみを取り上げ、それ以外の感情を触れない辺り、その本性に拍車をかけている。
上記の様子から察すると、例え地球侵略に成功しても、地球を舞台に再び戦争を起こしてカナン星のように荒廃させてしまう可能性がある(共存や移住などの穏便な手段が他にもあるにもかかわらず、最初から侵略=強硬策に出た様子に加え、故郷が戦争で荒廃した過去を語った際の声音が悲愴感よりも自虐気味であり、戦争が起こった事実に反省した様子が微塵もない)。
総じて幼い故の『視野の狭さ』や『相手を軽んじる』姿勢=欠点を多々抱えており、結果的に後述の大失策に繋がってしまう事態に陥る。
活躍
世界中をオーロラ光線で覆う計画の最中、第4話のレヴィーラ戦でアースガロンを発見、第5話のドルゴ戦にてアースガロンにオーロラ光線を浴びせてシステムを掌握。
尚、ドルゴ戦の回想をよく見ると、レジャーシートを敷いて弁当箱や水筒などを持ってきており、明らかにピクニックに来ていた実態がわかる。……ピクニックついでに操られるアースガロンェ……。
更に上空にオーロラそのもののオーロラ光線を発生させ、自動車やセスナ機など機械の暴走を誘発、地球侵略のテストを行っていた(公式サイトによると “風力発電所の風車のブレードからオーロラ光線を放射していた” 模様)。
その後、侵略計画を本格的に始動すべく、7月10日にコインランドリーでヤスノブと接触。ヤスノブとクルルにオーロラ光線を照射すると「創造主よりも優れた能力を持ちながら、道具として酷使される不遇によって機械は負の感情を持つ」とのカナン星の持論について嬉々として話しながら、彼を仲間に引き入れようと誘うも案の定、ヤスノブはこれを拒否(ただし、先程のオーロラ光線で腰ポケットに挿していた23式電磁拳銃も操られ、反撃できなかった)。
この返答を聞いたハービーは態度を一変、実力行使に移行し、オーロラ光線を本格展開すべくアジト防衛の為にアースガロンを起動して操り、追跡してきたSKaRDの面々を苦戦させる。
だが、アースガロン奪取を果たした油断からか、心を発露させた洗濯機のクルルを放置した結果、クルルを説得したヤスノブに自分達のアジトの侵入を許した上、ヤスノブの言葉を信じクルルに懇願したゲントによりアジトの所在がバレるなど、多数のヒューマンエラーを犯し、せっかくの優位性を失ってしまった。
そして、ヤスノブが自身のアジトに侵入した際は拳銃(アジト内ではオーロラ光線の効果を消していたため再び使えるようになった)を突きつけられるが、故郷のカナン星の悲惨な実状を語った後、隙を突いた仲間がヤスノブを銃撃するものの反撃を受けて死亡。しかし、背後を取って銃を取り上げ、アースガロンの制御に戻った。
しかし、アースガロンはゲントが変身したウルトラマンブレーザーに足止めされ、更に放置していたヤスノブが「機械には【心】がある」との言葉を信じ屋外まで出ると、アースガロンに必死に呼びかけた為、アースガロンの洗脳が解かれる想定外の事態が発生。
「どうした?……戦え! 戦うんだアースガロン!!」
アースガロンに命令するも、機能すら停止したアースガロンはピクリともせず、更にブレーザーからこれまでにない怒りを感じさせる眼光をモニター越しに向けられ、ハービーは咄嗟に銃を向けるも「敵わない」と察するや否や、アジト兼宇宙船を竹とんぼ風に変形させ逃走を試みた。
しかしブレーザーは見逃さず、身体を大きく捻って投擲された勢いで光の刃状に変形したスパイラルバレードが直撃、宇宙船ごと真っ二つになって撃破された。
その後、上空のオーロラも消え、暴走した機械は元に戻った。
余談
作中ではカナン星人同士の会話にカナン星の言葉(宇宙語)が用いられ、洋画よろしく対訳字幕が表示された。
CVを務める竹内絢子女史は、今作のメイン脚本を担当する小柳啓伍氏が軍事考証で参加した『ゴジラS.P』にも金原さとみ役で出演している。
尚、原典で登場したカナン星人は全員女性であり、ハービーは上記の通り中の人は女性であるものの、一人称が「僕」かつ全体的に中性的な言動が目立つため、この2人と同じケースかボクっ娘かの判別が難しい上、現時点で公式からの補足もないため実態が明らかになっていない。
今回アースガロンがカナン星人に操られてブレーザーと戦う、宇宙船が真っ二つになって撃破される最期などは、原典へのオマージュと思われる。
武器の光線銃は『ウルトラマンジード』のAIBのアスタナージ・ガンの流用と思われる。
今回、田口清隆監督がコインランドリーの常連客役でカメオ出演している。その際(オーロラ光線を浴びて慌てて脱ぎ捨てた)半裸のヤスノブと遭遇してしまい、引き気味に去って行った。
また、第24話で休暇中のヤスノブがコインランドリーにいる場面でもカメオ出演している。
ハービーのスーツアクターを務めた岡部氏は、『ULTRAMANREGULOS』ではインストラクターフォロス、前作ではプロフェッサー・ギベルスと、同年で公開された作品全てで宇宙人キャラクターを演じている。
個人名のハービーの由来は恐らくアイザック・アシモフの短編集『われはロボット』に収録されている短編『うそつき』に登場する嘘吐きロボット・ハービーから。
尚、相方のカナン星人・ロビーについても、同書収録の短編『ロビイ』にて同名の子守りロボットが登場している。
ゲント役の蕨野友也氏は、今回の話を「(身近な物を大事にする事を学ばせてくれる回。無論、物だけでなく人も)」とコメントしている。
ある意味では、ハービーが語った「機械にも心がある」との訴えにも通ずるものがある……かもしれない。
ちなみに、蕨野氏は別の特撮ヒーロー作品にて心を持った機械を演じている。こちらも、黒幕によって悪意の感情を埋め込まれたが、同族を「友達」として大切にしており、敵である人間と心を通わせて最終的に友達になっている。そのため一部の視聴者からは、冗談混じりに「機械と友達の機械の王にバレた時点で、ハービー達の計画は破綻していた」とコメントされている。
関連項目
パワードダダ:前々作にて似たような侵略作戦を行った敵。こちらも防衛チームのロボットを操った(ただしこちらは無事だったアースガロンと違い、最終的にロボットをスクラップ状態にせざるを得ない事態になってしまった)。
液体生物(液体怪獣):アニメ作品に登場した存在で、同様の事態を起こした。
クリシスゴースト:25年前の作品に登場した存在。こちらは防衛組織のコンピューターの乗っ取りを計った後、金属生命体の破片と融合し破壊活動を起こした。
バズド星人アガムス:前作に登場した宇宙人。こちらも防衛チームのロボットを操った(ただ彼の場合、カナン星人とは少し事情が違うが)