概要
鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の中でも強者たる鬼上位六体を指す。
下弦を含めた他の鬼とは比較にならない身体能力および特異体質を有しており、その実力は鬼殺隊最高位の剣士である“柱”ですら単騎では太刀打ちできない程。蟲柱の胡蝶しのぶは上弦の強さは少なくとも柱三人分に匹敵すると推測している。
鬼殺隊と鬼の戦いの歴史においてこの百年余り一切顔ぶれが変わっておらず、柱を含む鬼殺隊士達を数えきれない程葬り続けている。
例として、炭治郎が遭遇した時点で一番新参かつ最下位の妓夫太郎・堕姫兄妹ですら二人で、計二十二人もの柱を殺して喰らっている。
無惨の正体や能力について僅かながらも開示を受けているようで、彼から直接任務を下され、報告にも参じる。無惨も“代替の利き辛い希少な手駒”という評価を下しており、多少機嫌を損ねた程度では廃棄処分を下す事は無い。
ただし、彼等も通常の鬼同様に無惨の“呪い”の支配下にある事は例外ではない。
無惨が鬼を作る理由の一つがこの上弦並の鬼を増やすことであるが、上弦の鬼は注入される血の量が多いので、殆どの場合細胞が破壊されて死に至ってしまう為、簡単には上弦レベルの鬼は作れない。
故に無惨は今まで上弦になれた鬼と類似した体質の人間を狙って鬼にしている。
鬼はこの世に強い怨みや無念を持っていた者や、人間時代から精神が酷く歪んでいた者であるほどより強い鬼となる傾向があるが、上弦の鬼にまでなる者はその生い立ちや経歴、人格の歪みも常軌を逸したものばかりである。
終盤、欠員が出た肆と陸に新任の2人を任命しているが、伍は欠番のままであり上弦としての適任者がいなかったと思われる。
もっとも本来なら上弦に昇格するべき下弦を無惨自身で壊滅させており、自業自得だったとも言えよう。
これほどの実力者揃いだった上弦が倒されるに至ったのも、鬼殺隊自体の実力向上に加えて下弦の消滅が影響していると思われる。
加えて上弦1体をその場しのぎで殺してしまうなど無惨の手でみすみす崩壊させた感がある。
能力
選別に次ぐ選別を潜り抜けてきた上弦の鬼の身体能力と再生力は、超越生物である人喰い鬼の中でも一段と高い。
さらに応用範囲の広い血鬼術を攻撃・防御・機動力の全てに転化し、加えて自身の体から生み出した専用の強力な武器に上乗せする戦術を採る者が多い。
これに長きに渡る闘争を経て培ってきた戦闘経験までもを加味すると、その総合戦力は人間の限界を大きく逸脱しているといっても過言ではない。
さらにその中でも、上弦の参以上と肆以下の間では明確に大きな力の差が存在しており、同じ上弦でも参以上の面子の力は、最早それ自体が一つの“災厄”とすら呼べる程の領域に達している。
加えて、上弦の鬼達はいずれもが「呼吸を使って戦う剣士」の弱点を熟知しており、弱点を突いてくるような能力や技を持っている者が多い。
ただでさえ戦闘力に差があるにも拘わらず、そもそも呼吸の剣士達にとっては根本的に相性が悪い。
胡蝶しのぶが「女を好んで食らう鬼がいる」程度の情報があった童磨以外は、作中ではどの上弦の鬼も情報が皆無の状態から交戦しており、逆説的に過去に戦闘した隊員は漏れ無く死亡か情報伝達が不可能だったという事実も圧倒的な強さの裏付けとなっている。
分け与えられた血が他の鬼とは比べ物にならない程に濃い為に、上弦の鬼は自らが血を分け与える事で鬼を増やす事も可能である。そのため上弦の鬼には見込みがある人間の鬼へ勧誘を認められている。
ただし、厳密には無惨に鬼を増やしたい意を送って了承されれば濃い血が鬼になれる血に変化するという仕組みであり、上弦の鬼自体に鬼を増やす能力はない。
他にも無惨の許可の下でだが、自分より下位の鬼の思考に干渉して自分の思念を送る事もできる。
構成員
後任
※新・上弦の伍は欠番。
余談
- 上弦の鬼特有の能力かは不明だが、劇中にて相手の人間が自分や鬼である者、己が食べた者と血縁関係にあるかどうかを識別した例が確認されている。
- アニメ立志編OPには、まだ出番は遥か先の話であるにもかかわらず、無惨の背後に彼らと思わしきシルエットが映っている。 劇場版でも同様に、魘夢の回想にシルエットでそれぞれが1カットのみ登場している(原作では猗窩座と堕姫のみ)。ただし、存在そのものが原作未読者にとってネタバレになる為に流石に彼は出ておらず、そもそも魘夢は彼の事は知らなかった可能性が高い。
- 刀鍛冶の里編予告PVではTV放映に先駆けてのワールドツアーの報にて、上弦全員が揃ったカットが登場している。
- 遊郭編までの上弦の鬼達、つまり本編開始時点の上弦の鬼達は七つの大罪を裏テーマとして用いられている節があり、
黒死牟→「強欲」
人間時代に自身よりも遥か強さを持つ双子の弟への憎悪から家族を捨て去り、彼の剣技や才能を強く欲していた。その上短命となってしまう事象を発動したことで自身の死を焦り始め、全てを持っている弟を超える為に無惨の誘いに乗り、悠久の時を生きてただひたすらに強さを求める血肉を喰らう鬼となった。
童磨→「暴食」
栄養価の高い人間の女性を好んで食べており、上弦の陸だった頃に雪が降る夜の中、黒焦げとなった妹とそれを抱える兄の前に現れた際にも遊女の亡骸を抱え、口からは血肉が垂れていた。また、彼がとある人物の母に自身の正体がバレたのも人喰いをしている現場を目撃されてしまったためである。
猗窩座→「憤怒」
彼が人間だった頃に味わった最愛の女性と彼女の父にして武術の師範を卑怯な手で亡くし、沸き上がった感情であり、彼が鬼と化して人間だった頃の記憶を失っても尚、最も自身に向けていた感情でもある。その他には炭治郎に「逃げるな卑怯者!!」と糾弾された際に投擲され自身に刺さった日輪刀を無惨からの叱りの腹いせにズタズタに破壊する。血の気も多く、手が出る方で自身に絡んできた童磨の頭部を殴り飛ばした。
半天狗→「怠惰」
自身(本体)は身を隠し、逃走を図りつつ本体の頸を斬らない限り倒す事が不可能な4体の喜怒哀楽鬼や憎珀天などの分身体で鬼殺隊を消耗させる戦法を取っている。要するに一種の他力本願である。性格面も臆病者で小心者だが、かなりの虚言癖で自己保身や責任逃避しようと自己中心的で極めて狡猾で性根が腐っている。その為、自身の意志で動こうとはせず無惨の命令のみは素直に聞き入れる。
玉壺→「傲慢」
人間を下等生物と見下す所は他の鬼にも通ずるが、彼は刀鍛冶の人々を生きたまま刀で串刺しにして自身の作品に変え、感情が希薄だった頃の無一郎でさえも静かに怒らせ、「下らない命を高尚な作品にしてやったのだ!!」と発言したり、鋼鐵塚の負傷を意に介さず発揮し続けるズバ抜けた集中力に驚愕しつつも尚も妨害し『自分以上の芸術家など存在してはいけない』という驕り高ぶった考えの持ち主で最期の時も、自身を崇高なる存在と自負し、人間を蛆虫と吐き捨てていた。
妓夫太郎→「嫉妬」
口癖にもある「いいなぁ」という台詞や宇随天元の容姿や境遇を皮肉混じりに羨ましがりつつも、憎しみを募らせてはその幸せを壊そうとする人物で実妹である堕姫を傷つけた相手に対しても、された事をとことん根に持ち、その度に取り立ててきたなど非常に嫉妬深い。
堕姫→「色欲」
「美しくて強い鬼は何をしてもいい」と自身の美貌に絶対的な自信があり、戦闘時にて堕姫がピンチの時には実兄である妓太郎が出てくる。つまり、堕姫の失敗や負債を妓太郎が肩代わりして背負っていると言えなくもなく、彼の「なんで俺がお前の尻拭いばっかりしなきゃならねぇんだ!」という台詞は顕著である。また生前から兄とは対照的に容姿に恵まれており、巷で話題の美女であり、周囲の男達を魅了していた。それがある意味で彼女の運命を分けたとも言えなくもない。