概要
『悪魔城ドラキュラ 暁月の円舞曲』で初登場した敵キャラクター。
まだまともに魔法が使えない見習い魔女の娘。飛行はたまに成功するらしい。
海外版の名称は「Student Witch」。直訳すると「学生魔女」であり、意味する所は大体同じ。
普通に「Witch Apprentice(魔女見習い)」としない所を見るに、海外では魔法学校に通う女学生をイメージしているのかもしれない。
海外における魔女のイメージとは、「醜くて恐ろしい悪魔の子」的なニュアンスが非常に根強い訳だが、魔女っ娘文化のある日本人の手腕にかかれば、そんな負のイメージも一体何処へやら。
紫色の簡素なノースリーブローブに、腰まで伸びた赤茶色のロングヘアーと、見た目からしてまだ半人前な娘っ子成分が前面に押し出されたデザインは最早「魔女のコスプレをしたドジっ娘」。
悪魔城ドラキュラシリーズにて悪魔でも怪物でもUMAでもない、見た目はごく普通の人間の女性、それもまだ幼さが残る年頃の可愛らしい少女がそのままザコ敵として登場する事は非常に珍しい。
『ギャラリーオブラビリンス』の公式サイトでは、涙目になりながら必死に箒で追い払おうとする健気なイラストが描かれており、開発スタッフ達にも愛されている事が分かる。
尚、見習いから一人前の魔女へと成長した彼女の詳細は、『まじょ』の記事を参照して欲しい。
暁月の円舞曲
本作が初登場。キャラクターボイスは白馬弥那やヨーコ・ヴェルナンデスと同じ。
普段は箒に跨ったまま歩いてくるだけだが、コチラが近づくと箒で叩いてくる他、空中にゆっくりと浮かび上がって紫色の子猫を召喚してくる。
歩きにくいはずなのに移動速度は結構速く、また召喚した猫は高所から放たれるため、微妙に回避が難しい。遠距離攻撃でさっさと倒してしまう方が安全だろう。
尚、撃破すると猫に変身して逃げてしまうが、この猫は触れてもダメージを受ける心配はない。
ちなみに飛行はたまに成功すると紹介したが、ゲームの仕様上、彼女が飛行に失敗して隙を晒す等といった事は絶対にない。
鈍足の低空飛行とは言え、しっかりと箒に跨って浮遊しているため、どうやら彼女にとっての成功とは一人前の魔女の様に、自由に空を飛ぶ事なのだろう。
ドロップアイテムはMP回復アイテム『マインドアップ』とHP回復アイテム『クリームソーダ』。
店売り品の前者は兎も角、後者は固有のドロップアイテムであり、さくらんぼ付きなその回復量も「+200」と、入手可能な時期を考えるとまあまあ優秀な部類に入る。ソウル収集のついでに集めてみても良いかもしれない。
魔女が現代的な飲み物をドロップする事に多少の違和感を感じるかもしれないが、本作の時代設定は2035年の日本であり、そもそも悪魔城ドラキュラシリーズでは今更な話ではあったりするので、特に問題はない。きっと彼女は甘い物好きの現代っ子なのだろう。
彼女のソウルはバレットタイプ「疾走する猫を放つ」。消費MPは「+20」。
性能としては過去作のマリアが使用していたサブウェポン「びゃーちゃん」に近く、壁に接触するまで敵を貫通しながら前進し続けるため、地上のザコ敵掃除用としてはそこそこ使い勝手が良い。
しかし階段(坂道)は上ってくれるが、段差は上ってくれない他、当然だが空中の敵には全く意味が無い。特に終盤のエリアになるにつれて、常に浮遊しているザコ敵や、段差の多いフロアが増えて行くため、有効な場面が更に限られてしまう事もあり、活躍できる機会は余り多くはないだろう。
蒼月の十字架
続編である本作ではなんと最序盤のザコ敵に降格してしまい、(見習いらしくなったと言えば確かにそうなのだが)かなり弱体化してしまった。
箒に跨ったまま摺り足で移動する様になったため、移動速度が大幅に低下。攻撃手段も近づくなと言わんばかりにその場で何度も箒で叩いてくる他、ゆっくりと低空飛行をしながら真上に来ると、そのまま覆いかぶさる様に落下してくる攻撃のみとなった。…これ何てラッキースケベ?
その後、尻餅をついて痛がりながらも健気に立ち上がる姿はなかなかに可愛らしい。しかし総じて隙が多いため、極度に接近し過ぎなければどんな攻撃でも簡単に倒す事ができるだろう。
尚、前作にあった子猫を召喚する魔法攻撃は無くなったが、撃破時に子猫に変身して逃げ出す仕様は変わっていない。
ドロップアイテムはHP回復アイテム『シュークリーム』のみ。前作の『クリームソーダ』は本作では『まじょ』から入手する事ができる。固有のドロップアイテムであり、ふんわりとした夢触感が楽しめるその回復量は「+80」とそこそこ優秀。やっぱり甘党なのかもしれない。
彼女のソウルはバレットタイプ「猫を召喚する」。消費MPは「+12」。最大レベルは「9」。
基本的な性質は前作と同じであり、やはり地上のザコ敵を一度に攻撃するのに向いている。
また本作ではレベルアップする毎に召喚できる猫の数が増加する様になった(かわいい)。
しかし段差だけはやっぱり上ってくれない(残念)。
ギャラリーオブラビリンス
次回作にも無事に続投。基本的な性質は全く同じだが、キャラクターボイスが変更・追加された事でより愛らしくなった(落下時の悲鳴がよりリアルな絶叫になっていたりするけど)。
しかし出現場所の一つが『冥界の学舎』と、何気に終盤のエリアにも配置されているため、最序盤のザコ敵である彼女にとっては完全に場違いな事になっている。
また『黄昏の森』も前作の『妖魔迎賓館』と同様、中盤のエリアであり、ここまで来れば通常攻撃の一撃で倒す事も左程難しくない。
ドチラのエリアも学び舎なので見習い魔女のイメージにはピッタリなのだが…それが彼女にとって幸せな事かどうかは全く別の問題だろう。「嫌いよぉ」と言われても仕方がない。
固有のドロップアイテムは両方ともシャーロットの専用防具。
『コットンのエプロン』はDEF(防御力)「+7」の性能を持つ体防具。
コットン製の清楚なエプロンだけに他のステータス補正こそ持たないものの、同じ時期に入手可能な体防具の中では最高の防御力を誇るため、2つ先のエリアである『服従の大階段』までは、彼女のエプロンが活躍してくれるだろう。
競合相手は同じく『煙霧の街』に出現する『ワイト』のドロップアイテム『ポンチョ』。
性能は全く同じであるため、(ポンチョ姿のシャーロットか、エプロン姿のシャーロットか甲乙付け難いが)好きな方を選ぶと良い。
ただしそのワイトは特定のフロアに出現するゾンビを、これまた一定数倒さないと出現しない他、『服従の大階段』まで進めば普通に現物を拾う事もできてしまうため、攻略用としてはエプロンの方に軍配が上がる…はず。
『ウィッチハット』はDEF(防御力)「+3」、INT(魔法攻撃力)「+3」の性能を持つ頭防具。
(まだ見習いだけど)魔女である彼女にはピッタリなアイテムだが、実際の彼女はその帽子を被っていない訳で…一人前になった時のために今は大事に持っているのかもしれない。
勿論、天才魔法使いであるシャーロットとも相性は抜群であり、序盤から入手可能な数少ない魔法特化型装備として、是非入手しておきたい。
コチラの競合相手は同じく『煙霧の街』で拾う事ができる共通の頭防具『ビンぞこメガネ』。
性能はDEF(防御力)「+1」、INT(魔法攻撃力)「+3」と防御力の数値こそ負けてはいるものの、普通にフロアを探索するだけで入手可能なお手軽さが魅力(後は瓶底眼鏡のシャーロットになれる)。
ただしコチラはエリアボスである『デュラハン』を撃破した先のフロアに落ちているため、ボス戦の攻略用としては間に合わない。それまでにシャーロットの魔法攻撃力を強化しつつ防御力も確保したい場合は、彼女の帽子を狙う事になるだろう。
…ジョナサンを主に使用していたり、敵の攻撃を全て避ける自信があるのなら、ドチラも必要ないかもしれないが。
制作秘話
突然だが、ここで開発担当者の1人、プログラマー「長倉政章」氏の小話を引用したい。
このエピソードは当時、蒼月の十字架公式サイトの隠しページにて掲載されていた制作秘話の1つであり、現在は公式サイト自体が存在しないため、残念ながら閲覧する事はできない。
(以下、原文ママ)
絵が描けたので見て欲しいと、担当デザイナーに呼ばれました。
これが攻撃、これが死に・・・等と説明されて、
「あと何か足りないパターンがあるか」と聞かれたので、半分冗談でこう答えました。
”掃除機にスカートを吸われて押さえてる絵が無い”
そうしたら本当に描いてくれました(笑)。
調子に乗ってプロセルピナ担当デザイナーにも頼んだのは言うまでもありません。
(引用終了)
…正に鶴の一声である。もしも開発当時、彼にその発想がなかったら…そしてデザイナーがそれを承諾しなかったら……ここまで愛されるキャラクターにはならなかったかもしれない。
そんな訳で『蒼月の十字架』と『ギャラリーオブラビリンス』では実際に、彼女の着ているローブを吸ってめくる事ができる。…良いセンスだ。
その方法は彼女の近くで吸引効果を持った能力を発動する事。
該当するのは『プロセルピナ』の魔導掃除機、ユリウスやリヒターの必殺技『グランドクロス』、シャーロットの風魔法『テンペスト』と暗黒魔法『ダークネスホール』の4つ。
また『蒼月の十字架』限定だが、『デビル』系のザコ敵を倒す事で吸引効果付きの撃破モーションを発生させられるため、これでもめくる事ができる。
しかし女性のシャーロットがローブをめくっている事も勿論おかしいのだが、一族の奥儀をこんな使い方して、ご先祖様達が怒っていないか心配だなあ……いいぞ、もっとやれ(おい)。
余談
『暁月の円舞曲』と『蒼月の十字架』の敵キャラクターには、MP(魔力)の数値も設定されている。
その理由は前者は『キラーマント』のソウル「敵のHPとMPを入れ替える」、後者は『インプ』のソウル「精神にダメージを与える空間を作り出す」の能力に必要となるから。
この能力を使えば、『アイアンゴーレム』の様な「HPは高いが、MPは低い敵」も簡単に倒す事ができる訳なのだが、彼女のMP量は暁月では「999」、蒼月では「300」もある。
…お分かりだろうか?彼女は上記の真逆。つまり「HPは低いが、MPは高い敵」なのである。
まだ見習いであるにもかかわらず、魔力だけはトップクラスの数値を叩き出す辺り、将来有望な逸材と言えよう(実は他のザコ敵もMPだけは意外に高かったりするのは内緒だ)。