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概要編集

ファンタジー系作品に多く登場する架空学校の一種で、魔法を教える。学校の形態や教える内容は世界により大幅に異なるが、そのあり方はおおむね現実のヨーロッパの中世以降の学寮に類似し、中等~高等教育に準じるものが多い。

特権階級を形成してはいるものの魔法を使える者は大勢いる(「ゲド戦記」など)か、世界的には少なくてもまとまった社会を形成している(「ハリー・ポッターシリーズ」など)場合に、魔法学校が存在する事ができるようである。


ここでは触れないが魔法教育のありかたとしては現実における近世以前の職人社会めいた徒弟制というものもある。たとえば『クラバート』や『バーティミアス』などの、自然に、あるいは意図的にごく限られたものしか魔法を使えないようになっている世界で、魔法使いたちは弟子に魔法の術を授ける。

沿革編集

この項では、魔法学校の概念の成立、普及において重要と思われる文学作品の一部を紹介する。


起こり編集

魔法学校の概念の古い例にはアイスランドの伝承のSvartiskóli、千一夜物語のフランスの異同に登場するチュニジアのDomdaniel、ルーマニアのSolomonărie(Scholomance)、スペインのCueva de Salamancaなどが挙げられる。

Svartiskóliはアイスランドの司祭、博識なセームンドル(1056–1133)が通っていた海外(一説によればドイツ)の闇の魔術学校として17世紀の伝承に登場する。学校の入り口の上には「入るがいい、あなたの魂は失われる」という警句が刻まれていた。Svartiskóliには教師が現れず、生徒が魔法の情報を要求するたびにそれに応じた本が次の朝出現するか、壁に書かれていた。生徒は4年以上の在学を禁じられており、また生徒は学校を去る際は誰か他の生徒と同時に去る必要があった。悪魔は最後に余った生徒を学校に残し続けるので生徒たちはくじ引きで誰が残るかを決めた。セイムンドルは何度もその不運に見舞われ、ルールで許されていたより長い間学校に閉じ込められた。

Domdanielはフランスの作家ジャック・カゾットがシリアの司祭ドム・デニス・チャビスから提供された千一夜物語の写本をもとに書いた”Suites des Mille et Une Nuits”(1788-1789)に登場する洞窟のような広間である。Domdanielはチュニジアのチュニスの近くの海中に存在したとされる。ここでは悪魔ザタナイが魔術師モーグラビーとその生徒が講堂を開いた。

Solomonărieについて言及する最も古い資料はルーマニアのドイツ人教師ヴィルヘルム・シュミットがウィーンのÖsterreichisches Biographisches Lexikon誌に投稿した記事(1865)だったが、よく知られているのはスコットランドのエミリー・ジェラルドによってThe Nineteenth Century誌に投稿された"Transylvanian Superstitions" (1885)である。山奥にあるというSolomonărieでは悪魔が7人、10人あるいは13人の生徒を教え、その内容はすべての生物の言語、自然の秘密、そして魔法だった。生徒の在学は7年、または9年間で卒業課題は人類に関する全知識を一冊のSolomonar's bookに書き写すことだった。卒業生の一人は栄えあるソロモナールに選ばれ、ドラゴンに乗り天候を司る役目を担ったという。

Cueva de Salamancaは一説によれば英雄ヘラクレスが当地の人々のために置き去った書物に起源する。人々がヘラクレスのことを忘れ、アスモデウスなどの悪魔に教育者の役が割り振られたとき、この魔法学校の魔法学校たる歴史は始まった。悪魔は7年間、夜闇の中で7人の生徒に占術やさまざまな闇の術を教えたとされる。この洞窟の伝説はさまざまな中近世の文献で言及されるが、有名な占星術師にして死霊術師、エンリケ・デ・ビリェナ(1384-1434)こそこの学び舎の優秀な生徒で、からくも悪魔の手から逃れた人物であるという言説は特に有名である。



現代編集

近代小説における魔法学校の登場の最初期例とみなせそうなのはセオドア・コグズウェルのSF短編"The Wall Around the World"(1953)とロバート・シェクリィの短編"The Accountant"(1954)であろう。

コグズウェルの短編が描くのは、科学技術が禁じられ、魔法が当然の存在となっている世界である。父親を失い、おじとおば、性悪ないとこBull pup(ブルドッグの仔犬の意)と暮らしている13歳の孤児ポーギー・ミルズは世界を囲む超えられない巨大な壁に魅了され、学校の箒を推進力としたグライダーでの突破を目論む。

シェクリィのほうだと学校自体の登場は間接的なものにとどまっている。この作品の主題は魔法使いの家に生まれたものの、学校で学んでいる奇跡や魔法の薬草、大地獄地理学に興味を持てず、むしろ会計士となることを望んでいる少年である。

それからやや遅れて、エレノア・エステスが『魔女ファミリー』(1960)で主人公と友人になった小さな魔女ハンナの口から彼女の学校に関することを語らせる。


これよりさらに後に出版されたのがアーシュラ・K・ル=グィンのゲド戦記第1作『影との戦い』(1968)である。初期鉄器時代に類似した世界アースシーで魔法は暮らしの中心にあり、それは生来の才能によって扱われ、訓練によって伸ばすことができるものである。ロークの学院は特にすぐれた魔術師を推薦によってのみ受け入れる(ただし女人禁制)魔法学校であり、じゅうぶんな才能と規律を証明できたものに杖を所持する許可を与える。学院で生徒が学ぶのは風・詩・姿かえ・手わざ・名付け・守り・薬草・様式・呼び出しの9つの分野。

良き魔術と悪しき魔術が保つ宇宙の均衡という道教的イメージや、ものの本当の名前、真名を魔法行使の重要なキーとして扱う設定は作品に独特の雰囲気を生み出している。発表当時こそ子供向けのファンタジーとして扱われ一般文芸的な批評を浴びなかったものの、魔法学校概念の最初に大衆娯楽的に普及させたのはほとんど間違いなくこれだろう。


"My two friends and I used to come home in our dark uniforms, looking very scruffy at the end of the day – my dark plaits sprouting tufts, with lost hair ribbons. My Mum used to say 'Look at you all. You look like the three witches!' and it gave me the idea for a witch's school – so that it was exactly like my school, but with a subtle touch of magic. All the characters are based on my school friends (and enemies) and teachers."

続いて1974年にジル・マーフィーの『ミルドレッドの魔女学校』(旧邦題:最悪の魔女)が出版される。ミスカックルの運営する私立で5年制のカックル魔女学校で生徒たちが学ぶのは魔法薬、詠唱、ほうき飛行、体育、美術の5教科。ちなみにこういった魔法物語としては珍しく原作では呪文の実際内容が描写されない。

魔法学校物語で、ほぼ現実と違わない世界の中に秘される形で魔法学校が存在するという設定はこれが初。もとになっているのは作者のアーシュリン修道院での学生時代である。

非常に映像作品が多く、原作と各作品では設定に違いがある。たとえば1998年に放送されたドラマでは、「校舎である古城は近隣に住む非魔法使いの住人からは廃墟と思われている」、学校の設立は1000年前、創設者は”ハーマイオニー”・カックル、エセル(金髪で嫌味なライバルキャラ)の家は裕福、というような設定になっていたり……後輩からの影響が垣間見える。

ちなみにリトルウィッチアカデミアはこの作品をリスペクトして作られた。



そして1997年に現れるのがJ.Kローリングによるハリー・ポッターシリーズの記念すべき第1作、ハリー・ポッターと賢者の石。学費無料で7年制の公立魔法学校、ホグワーツ魔法魔術学校は、トム・ブラウンの学校生活から続くイギリスの寄宿学校ものの文脈と結びつけられた近現代的魔法学校の概念を世界に知らしめた記念碑的存在である。

生徒たちの必修科目は呪文学、薬草学、変身術、魔法史、天文学、魔法薬学、闇の魔術に対する防衛術の7つ。3年以降の選択科目としては占い学、マグル学、数秘学、魔法生物飼育学、古代ルーン語がある。そしてイギリスの普通乗用車運転免許よろしく、17歳の誕生日を迎えた者から順に姿くらまし(転移魔法)の講座を受講できる。現実のイギリスに存在するOrdinary Levelを彷彿とさせるOrdinary Wizarding Levelや、A Level、国際バカロレア試験のような卒業時試験のNastily Exhausting Wizarding Testなどが存在していたりと、学習過程が非常に詳細で現代的。

生徒は入学したその日に行われる組分けによってグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンのいずれかの寮に配される。寮(House)は生徒にとっての家であり、生徒がよい行いをすれば寮に加点され、悪い行いをすれば減点される。そして1年間で最も多くの得点を得た寮には、その年の終わりに非常に名誉ある寮杯が贈られる。これも現実の英語圏の寮制学校に存在する制度である。

前述したマーフィーと同様、学校のインスピレーションの元となっているのは作者の学生時代(ただしこちらは総合制中等学校)。


魔法学校を主な題材にした作品編集

ハリー・ポッターシリーズ


学園アリス

クイズマジックアカデミー

剣と魔法と学園モノ。

十二秘色のパレット

落第騎士の英雄譚

エーベルージュトリフェルズ魔法学園

黒猫と魔女の教室王立ディアナ魔術校

神撃のバハムートマナリア魔法学院

ゼロの使い魔:トリステイン魔法学院

TYPE-MOON作品:魔術協会 (時計塔、彷徨海、アトラス院)

ツイステッドワンダーランドナイトレイブンカレッジロイヤルソードアカデミー

マッシュル-MASHLE-イーストン魔法学校セント・アルズ聖魔学校ヴァルキス魔学校

マジカパーティマジカアカデミー

魔法使いと黒猫のウィズ:クロム・マグナ魔道学園(期間限定イベント)

魔法つかいプリキュア!魔法学校(プリキュア)

魔法科高校の劣等生魔法科高校

ラピスリライツフローラ女学院

リトルウィッチアカデミアルーナノヴァ魔法学校


その他の作品に登場する魔法学校編集

エルミナージュ2:ルーベンブルグ学院

グローランサー:魔法学院。ルイセとミーシャが在籍している。

サガフロンティア:マジックキングダム

スカッとゴルフパンヤ:ウィズ魔法学校、マガ魔法学校

スレイヤーズ:魔法学校

マギマグノシュタット魔導学院

マジカルバケーション:魔法学校ウィルオウィスプ

魔術士オーフェン牙の塔

魔導物語ぷよぷよ魔導学校

マビノギNPCの教師から魔法を習え、魔法学校、剣士学校(小学~高校)の制服が装備品として登場する。

まぶらほ

RADIANT(ラディアン):アルテミス学院

ロードス島戦記賢者学院

魍魎戦記MADARA2:特定の町にある魔法学院。有料で魔法を教えてもらう他に、有料で知恵・精神を上げてくれる。


関連イラスト編集

魔法練習中「ようこそ、魔法学園祭へ!」


別名・表記ゆれ編集

魔法学園


関連タグ編集

魔法 学校 中学校 高校 大学

 道場 修道院 ギルド

ファンタジー 学園もの

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