アライメント
あらいめんと
いわゆる「属性」と訳される概念のうち、キャラクターの性格や指針に由来するもの。原義は「並び」や「整列」。
元祖はTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)。海外ゲーム(洋ゲー)の特にRPGに多く、キャラクターの就けるジョブやイベントなどに関わってくる大切なものである。
作品によっては両方が採用されることもあるものの、同じ「属性」でも火や水などといった「エレメント」とは性質が異なるので注意。
「軸」
対立する要素と、その間にどちらにも属さない中立の要素を並べた軸を作るのが一般的。場合によっては、対立するもののそれぞれに上位要素の存在があったりもする。
多くは「秩序-中立-混沌」の倫理的な軸や、「善-中立-悪」の道徳的な軸を採用している。
秩序と混沌
倫理的な軸は、社会的な「規則」に対する態度のあり方。「秩序」は社会のルールを律儀に守るタイプで、逆に「混沌」は他人の決めたルールなぞには従わない(従わないことで不利益を被る場合などは“渋々”従う事も有る)。「中立」は場合によって守ったり守らなかったりする。
善と悪
単純な善悪は時代や社会によって変わってくるためか、より具体的に「善=利他的」「悪=利己的」とする場合も多い。
「自分はどう行動するか」の指針である「秩序-混沌」軸に対し「他者とどう接するか」の指針となるのが「善-悪」とも言える。「善」は他者を尊重し(「みんなが幸せだと嬉しい。その上で自分も幸せならもっと嬉しい」)、「悪」は自分だけが良ければいい(他人とは自分の幸せの為にある。むしろ俺の為に死ね」)といった具合である。
一方、こちらの「中立」も、やはり場合に応じてどちらにもなりえる(「基本的に自分の幸せが第一だが、他人を不幸にしてまで、とは”あまり”思わない」)とされる。
なお、「善-悪」「秩序-混沌」の2軸を最初に導入した「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では「善」は「人助けをせずにはいられない。たとえ、その為に自分に不利益が有っても」級の状態であり「人助けはするが『常識』や『自分が大きなリスクを背負わない』範囲内だったり、人助けをするにしても助ける相手を選ぶ(例:被差別者には手を差し延べるのには心理的な抵抗が有る)」程度では、せいぜい「中立」であり、「仲間であれば助ける」は「悪」属性であっても有り得るとされる。
二軸の組み合わせ
前述の二軸の組み合わせによって、以下の9属性が生まれる。
秩序 | 中立 | 混沌 | |
---|---|---|---|
善 | 秩序にして善 | 中立にして善 | 混沌にして善 |
中立 | 秩序にして中立 | 真なる中立 | 混沌にして中立 |
悪 | 秩序にして悪 | 中立にして悪 | 混沌にして悪 |
二軸の組み合わせを最初に導入した「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では9属性の内、上記の表で角になっている4属性は概ね以下のようになる。
- 秩序にして善:典型的な「正義の味方」(パラディン等の騎士的なキャラなど)。言わば「人助けをせずにはいられないが、その際には法律や慣習を守る方法を選択する」。版や世界設定にもよるがドワーフはこの属性か「秩序にして中立」の場合が多い。外方世界(要は天界や地獄・魔界など)の存在であれば「キリスト教的な天使」に近いイメージの「善属性の内、文明・規範などを司る神格に仕える存在」になる。
- 混沌にして善:圧政や全体主義に立ち向かう革命家。言わば「人助けの為ならば、法律や慣習を積極的に破る傾向が有る」。版や世界設定にもよるがエルフはこの属性の場合が多い。外方世界の存在であれば「善属性だが自然・野生の荒々しい側面を司る神格に仕える存在」が多い。
- 秩序にして悪:外方世界の存在であればデビル(キリスト教の悪魔・堕天使が元になった魔物)に代表される。全体主義・軍国主義的な組織・国家や「悪の巨大官僚組織」(ナチスなど)に属していたり、契約や法律などを悪用するタイプの悪。仮面ライダーシリーズの悪役で言えばショッカーやその後継組織が近い。
- 混沌にして悪:外方世界の存在であればデーモン(キリスト教から見て「異教的」「原始的」「野蛮」な悪魔が元になった魔物)に代表される。無秩序・無軌道を指向するタイプの悪。仮面ライダーシリーズの悪役で言えば仮面ライダークウガのグロンギ族が近い。
このアライメントだが、採用する作品によって取り扱われ方が異なる。
Fateシリーズでは相対的なもの、サーヴァント自身の自己認識に強く影響されるものとして描写されている。ギルガメッシュ(Fate)の属性「混沌・善」などはよく言及される。
一方で人間キャラクターには設定されず、プレイヤーの行動でゲーム上のアライメントが変化しプレイに影響を及ぼすということもない。
一方で元祖である「ダンジョンズ&ドラゴンズ」では、基本的には本人が自分をどう捉えているかによってアライメントの決定が左右されない。
弱きを助け強きを挫く義賊が「なんであれ自分のしていることは悪事だ…」と卑下していても、彼は混沌・悪ではなく混沌・善(少なくとも善悪の軸では善)の存在であるし、狂気に染まり「これは善の為の行いなのです」と確信して無辜の人々を虐殺する人物は秩序・善ではなく秩序・悪(少なくとも善悪の軸では悪)である。
ただし後天的に変化しない訳ではなく、法と善行の板挟み・二者択一の状況に追い込まれた秩序・善の聖職者などが、目前の人を助ける為に法を少し破る事を選んだ場合などは、属性が中立・善にシフトしたりそこまではならずとも秩序・善という属性の範囲内で中立・善寄りになったりする。
また、一部魔法のアイテムは特定の属性でないと利益が得られないことがある。
ウィザードリィでは1つのパラメータとしての扱われ方が強く、またこれによる縛りを無視する抜け道も存在する。
真・女神転生はプレイヤーの行動にも、仲魔や敵のデータにもフレーバーにも、シナリオ分岐にも…とゲーム中の様々なことに影響する重要な要素の1つである。
※「二軸」:上記の「秩序混沌軸」と「善悪軸」を両方採用している場合
作品名 | ジャンル | 採用された軸 | 備考 |
---|---|---|---|
ダンジョン&ドラゴンズ | TRPG | 二軸(作品によって異なる) | 元祖 |
ウィザードリィ | RPG | 善悪軸 | 職業やパーティ編成に関わる |
真・女神転生 | RPG | 秩序混沌軸と明暗軸(LIGHT/NEUTRAL/DARK) | キャラや仲魔の属性、シナリオ分岐などに関係 |
Fateシリーズ | ADV他 | 二軸 | サーヴァントの属性、善悪軸の中立は「中庸」になっている |
デジタルモンスター | 育成ゲーム | 善悪軸 | ワクチン、データ、ウィルスの性質はアライメントに類似 |
マイト・アンド・マジック | RPG | 善悪軸 | 一部サブイベントに関係 |
くりきん | RPG | 温度軸(高温/中温/低温)とpH軸(アルカリ性/中性/酸性) | キンの増殖力に関係 |
(他にもありましたら追加お願いします)