※以下の内容は『スーパーマリオRPG』終盤のネタバレを含みます!
概要
「我が名はクリスタラー、
この世の悪の全てをすべる者」
『スーパーマリオRPG』における隠しボス的な存在でモンスタウンの閉ざされた扉の向こうで待ち構えている。
ステータス自体はややラスボスに劣るが、お供を加えた総合的な強さは作中最強。
その外見はとてもマリオの世界には合わず、グラフィックもマリオ達のような3Dではなく、彼のみファイナルファンタジーシリーズ風のリアルなドット絵になっている。
立体的なマリオ達の姿と、平面的な自分の姿に疑問を持ち、立体的世界の秘密を知るため戦いを挑んでくる。
お供として森羅万象を司る火・水・土・風のクリスタルを従えており、いずれも強力な技で攻撃してくる。
ただ、彼らはクリスタラーのことをあまり好く思っていない様子。
クリスタラー関連のBGMではFF曲のアレンジが使用されている。
戦闘では『FINAL FANTASY Ⅳ』のバトル2のアレンジである「対クリスタラー戦」が流れ、勝利時のBGMはファイナルファンタジーシリーズのファンファーレ、戦闘後はプレリュードのアレンジが流れる。
ちなみに下村陽子氏は耳コピで入力したらしく後にそれを知った植松伸夫氏は「言ってくれば音源渡したのに」と言ったらしい。
ただし、彼自体はファイナルファンタジーシリーズのキャラではなく、『スーパーマリオRPG』の為に野村哲也がファイナルファンタジー風に描きおろしたオリジナルキャラクターとなっている(ファイナルファンタジーシリーズでの描写はないが、「手に刃を持ち、体に白銀の鎧をまとっていた」人物と戦った事があるらしい)。
一時期、「海外版『FINAL FANTASY Ⅳ』に出てくるらしい」という噂が流れたがデマである。
海外版『スーパーマリオRPG』での名前は「CULEX」。
なお、彼にマロの技「なにかんがえてるの」を使うと、「チョット バチガイ、、、カ、、モ、、ネ。」と表示されて自分が場違いなことを気にしているらしい。
4つのクリスタルもまた「地上は乾燥しててキライ(水のクリスタル)」とか、「寝ていたのに起こされた(土のクリスタル)」とか、「クリスタラーにはついていけない(火のクリスタル)」とやる気が感じられない。
風のクリスタルに至っては「ひゅ~るり~ひゅ~らら~~」と歌ってるんだからどうしようもない(恐らく「越冬つばめ」ではないかと思われる)。
だがしかしこのやる気の無さに反して使ってくる技は凶悪なものが多い。
戦闘面
クリスタラーと4種類のクリスタルを同時に相手にすることになるが、裏ボスなだけにどの攻撃も対策しないと大苦戦することになる。全体攻撃が凶悪だが特に状態異常が曲者。
クリスタラー
「我が力、なんじらに しらしめよう!! いでよ! しんらばんしょうを 司る力よ!」(戦闘開始直後のセリフより)
対策をしないと即死級のダメージを受ける、敵専用技としては最高火力の「ダークスター」を繰り出してくる。最強防具の「ひまんパタこうら」を装備しても40前後はダメージを受けてしまうので味方の体力には注意が必要。
また攻撃力が全キャラ中最高なのに加え、通常攻撃のモーションも読みにくいため、ガードをするのが難しい(Nintendo Switchのリメイク版では少し前進してから身体を点滅させるのである程度読みやすくなった)。
他にも、味方のステータス上昇を解除する「ひっぺがし」を定期的に放つ。
クリスタルさえ倒してしまえばピーチの回復で耐えられるので然程脅威ではなくなる。
リメイク版では単体対象の魔法攻撃も防御コマンドの対象になり、完璧ならダメージを完全に無効化できるようになった。その中でもダークスターは特にガードタイミングが分かりやすい魔法なので、脅威はかなり軽減されている。
火のクリスタル
「クリスタラーのダンナにゃ もうついて行けねぇよ。」(「なにかんがえてるの」より)
「ライトサーベル」や「コロナ」といった火属性攻撃を繰り出す。魔法攻撃力はカジオー第2形態の魔法使い形態と並んで作中最強である。
弱点は氷。
リメイク版では「コロナ」が大人の事情で「フレア」に変更されたが、同じ技を使用していたカリバーやメビウスと異なりクリスタラー戦に限ってはファイナルファンタジーシリーズにも登場している魔法と同じ名前になった事で寧ろファイナルファンタジー要素が増す形となっている。
水のクリスタル
「地上は、かんそうしていて キライよ!」(「なにかんがえてるの」より)
主に冷気属性の攻撃を使う。気をつけたいのは「アイスロック」で、クリスタラーが使う「ダークスター」程ではないがこちらも高火力を誇る。
弱点は炎。
土のクリスタル
「いい気分で ねていたのに、起こすんだもんなぁ〜。」(「なにかんがえてるの」より)
全体攻撃の「がんせきガラガラ」や単体に大ダメージを与える「ストーム」など、大地に関連する攻撃を用いる。「すなあらし」は受けると恐怖状態を引き起こす。
防御力は低いがHPが非常に高い。
弱点は雷。
風のクリスタル
「ひゅ~るり~ひゅ~らら~。」(「なにかんがえてるの」より)
他の3つのクリスタルよりも魔法攻撃力は低めだが、特殊攻撃の追加効果が危険。睡眠効果を与える「にじいろシャボン」や、相手をキノコ状態にする「さくらふぶき」を使ってくるので厄介。
防御力が高いがHPは低いため、「こんぺいとう」などの固定ダメージを与えるアイテムで早めに倒したい。
弱点はジャンプ。
報酬
見事に倒した時にクリスタラーから貰えるアクセサリーの「クリスタルのおまもり」は、戦闘開始時から攻撃バフと防御バフ(与ダメージ1.5倍・被ダメージ半減とアクションコマンドに成功したジーノウェーヴと同じ状態)が入り、さらに即死攻撃を無効化するという作中でも屈指のぶっ壊れ性能となっている。
ただし、一部のボスが使用する「ひっぺがし」でバフ効果が解除されてしまう点に注意。
余談
このゲームでのマリオVSクリスタラーは「立体VS平面」の構図だったのだが、その後ファイナルファンタジーシリーズが立体的な3Dになり、逆に『スーパーマリオRPG』の続編はペーパーマリオのようなペラペラになった、という経緯がある。
また、スクウェア・エニックスでも後年、半熟英雄対3Dというペラペラと立体的な3Dが対決するという作品を発売した(対3Dというタイトルは、特に映像主義的な自社を自虐するものだった)。
ちなみに、この『スーパーマリオRPG』はグラフィックが立体的なものなのでポリゴンで構成された3Dのゲームに見えるが、厳密には3Dモデルを取り込んだ2次元グラフィックである。その為、マリオ達もクリスタラーのどちらもSFCのスペックでは2Dなのである。
クリスタルが敵になるケースとして、『FINAL FANTASY Ⅴ』の第二世界に登場するクリスタルがある。原作を知っている人にとって印象深いイベントのはず。
ちなみにクリスタラー自体はいまだに1度もファイナルファンタジーシリーズのタイトルで登場した事はない。
4つのクリスタルを無視してクリスタラーを先に倒すと残りのクリスタルも勝手に倒れていくが、倒れる順番が『FINAL FANTASY Ⅴ』で砕けるクリスタルの順番と同じ。スクウェアファンなら思わずニヤリとくる演出かもしれない。
任天堂の作品にファイナルファンタジー関連のネタが出たのはクリスタラーが初めて。
ちなみに『スーパーマリオくん』の4巻では、マリオとヨッシーが『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』の世界に迷い込んでしまうという、クリスタラーとは逆のケースが描かれている。
リメイク版
『スーパーマリオRPG』は長年にわたって移植/リメイクが望まれていたにもかかわらず、移植/リメイクができない一番の理由と言われていた。
会社同士の権利関係から、たとえ本作のリメイクが実現したとしても、当時のお遊び要素であるこのキャラクターの再登場は無いだろうと思われていた…が!
11月2日で公開されたNintendo Switchリメイク版のCM、そのラストにクリスタラーが現れるシーンが映っており、リメイク版でも登場することが確定した。
リメイク版に当たってマリオ達が3D調になっているが、クリスタラー&各クリスタルは当時のドット絵そのままの2Dグラフィックという「リメイク前と同じ戦闘演出」であり、本当の意味での3Dvs2Dの特殊な構図での戦いとなっている。
当時も異質な戦闘形式であったが、マリオ達が当時よりも綺麗な3Dになった事で、クリスタラーのドット絵感(平面感)がより際立って見える。
強さはオリジナル版と変わらないため、クリア後に再戦できる一部のボス達の強さがクリスタラーと互角以上であることも相まって比較的難易度は低めに感じるかもしれない。
どこをどう聞いても『FINAL FANTASY Ⅳ』のボス戦っぽいバトル曲はしっかり当時の曲調がそのまま収録されている(曲名は『対 クリスタラー戦』、勝利時は『クリスタラー戦での勝利』、勝利後は『クリスタラーの会話』である。エンディング後にサウンドプレイヤーが解禁されるがこれらの曲については下記のモンスターリストと同様『ふういんされています』のテキストが表示され、倒すまではサウンドプレイヤーで聴くことが出来ない。またこの時点ではオリジナルのスーパーファミコン版しか解禁されない)。
さらに…
公式ニューストピックスでは、
「クリスタラーに出会うには「ぴかぴかいし」という特別な石が必要なようです。ぜひ皆さん、ぴかぴかいしを持って、クリスタラーに会いにいってみてくださいね。」
「そして、今作ではさらに特別な「いし」の存在が……?! こちらはぜひ、みなさん自身の目でお確かめください。」
…という、なにか意味深な紹介がされている。
同日公開の紹介映像(3:34~辺りから)をよく見てみると、扉を開けるアイテムの名前が「ぴっかぴかいし」となっており、さらなる追加要素の存在を匂わせている。
クリア後のイベントに従い星のふる丘に行き、紫色の星を調べると「さらなる力を得て復活し、再び我の前にあらわれし者を待つ。」という願い事があるが……?
モンスターリスト
クリスタラーはどうやら「最期の幻想」という水晶に纏わる物語の世界から次元を超えてマリオの世界に来訪したようだが、三次元の壁を越えられなかったせいか平面の姿のままとなっている。
ちなみにカジオー撃破後に未発見のモンスターはリストに登録される(「なにかんがえてるの」はされていない状態)のだが、クリスタラーと他のクリスタルのみは『ふういんされています』のテキストが表示され、戦うまではリストに記録されない。
また、4つのクリスタルの方も解説が設定され、それぞれ正義の炎を邪悪な力の源とするクリスタラーに烈火の如き遺憾を抱く火のクリスタル、生命を支える水の癒しは湿潤な環境が欠かせないのに乾燥した地上に呼び出された水のクリスタル、大地の奥底で永き眠りについていたのに起こされて不満タラタラの土のクリスタル……主人に対してあまり良い感情は持っていないようだ。
尚、風のクリスタルは世界に風を行き渡らせていく役目を持つ以外は、何を考えているのかは読み取れずじまいである。「ひゅ~るり~ひゅ~らら~ ひゅるららら~~~~~。」
関連イラスト
関連タグ
セシル・ハーヴィ……作中のセリフからして過去に戦った事がある模様 。
パラレラー……『マリオストーリー』に登場するボス。名前が似ている他、ダンジョン名がクリスター神殿、戦闘の演出が似ているなど類似点が見られる。
アグニム……上記の通り『スーパーマリオくん』4巻では、自分の世界にやって来たマリオとヨッシーに襲い掛かる。クリスタラーとは逆の立場。
四次元ボイルド……『半熟英雄4』に登場した外観がそっくりな人物。クリスタラーが『FINAL FANTASY Ⅳ』のボス曲であるのに対してこっちは『FINAL FANTASY Ⅹ』のある曲のアレンジ(パロディ)。
セーファ・セフィロス……下半身が無い、翼を持つといった異形同士で対照的。
野村哲也……実はクリスタラーのキャラクターデザインを行ったのはこのお方。